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161 口達者な魔女。
「殿下が城から抜け出したらしいわよ。
探すように辞令が来たわ。
アンタにも。
そのまま殿下の護衛任務よッ?!
あーもう。
折角非番だったのにさッ」
魔塔の中に併設されている寮の私室で本を読んでいると同僚が菓子の入った紙袋を片手に、もう片方に持っていた辞令書をシルビアに差し出した。
「え? 抜け出したって・・・
近衛や護衛は何やってるの?
ていうか、ただのお忍びじゃないの?」
「それがさ~、今日の夕食会でセルゲイ殿下とマリーナ皇女が国王御一家と同席するらしいんだけど、それまでの時間王城内に居るのが精神的に無理だって殿下が言い残してたらしくってさぁ~。
まぁ、あれよ。
ストーカーしてる方は相手の迷惑なんか気にしないんでしょうね。
アタシは全然分かん無いけど」
シルビアは肩を竦める同僚の言葉に若干狼狽える。
前世の自分にも当てはまるが、今生の自分自身もちょっぴりやっちゃった感があるせいだ。
勿論今はレイモンドに付き纏うようなことは恐ろしくて一切していないが。
「あ。
シルビアはフラメア卿に似たようなことやってたっけ?」
「止めてッ! あれは・・・!」
顔色が
『ザザッ!』
という効果音が聞こえそうなくらいに急に真っ青になるシルビア嬢・・・
「なんかあったの?
まぁ、今は諦めもついたんでしょ? アンタも一時から比べたら全然出歩かないし。
彼、結婚しちゃったからねぇ。
魔塔の魔女でフラメア子息を狙ってた子は多かったからさぁ~
籍入れたって噂が出た時はちょっとした騒ぎだったもんねぇ~
貴族派の筆頭侯爵家の嫡男だから地位狙いの貴族の女もかなりいたらしいから、アンタもどうせそいつらに囲まれたんでしょ?
あんなヤバそうな男にまぁ、怖い物知らずってすごいわよね。
ま、アンタも似たようなモンだけどさ」
この同僚は、以前からレイモンドは怖いので近寄らないと影で言っている闇属性持ちの魔女である。
この世界では同じ属性持ちの者同士なら相手の力量をある程度測れるが、同時に本能的に惹かれ合う事が多いのが周知の事実だ。
しかし優秀な筈の彼女は一貫してレイモンドには全く興味が無い。
寧ろ避けている――
今は彼女の本能的な忌避も理解らなくは無いシルビアだ。
「まーったく、皇女もロクでもないわよね。
初日は魔塔にも乗り込んできたしさあ。
あ、でもフラメア卿にも彼女絡むんじゃないかしらね?
なんで勝手に魔塔の主任だと思ったのかは知らないけど名指しで言ってたじゃん。
フラメア卿は長期休暇中で登城して無いみたいだから、会う機会も無いだろうけどさ~・・・」
「え? なんで?
皇女って殿下を追い回してるんでしょ?」
マリーナ皇女はハロルド王子にかなりご執心だと聞いているシルビアは首を傾げた。
「だってあの皇女も闇属性の魔力持ちだったもの。
しかも子供でわがままっぽいじゃん?
一国の王子にストーカー行為なんかする馬鹿みたいしさ。
フラメア卿の力量が大き過ぎで多分測れないんじゃない?」
「え」
「同じ魔力持ちに惹かれ合うのって簡単に言えば本能的なもんじゃん?
あのマリーナ皇女って子、顔は可愛いけどさどう見たって考えなしだもん」
「確かに・・・
やってる事が・・・」
前世の自分を思い出し、押し黙るしかなかったシルビアである。
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