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162 雑用係の呟き
オベール宰相が眉間を指で揉みながら
「通達は以上だ。
殿下の消息は魔塔に一任してあるが、我々も殿下が見つかるまでは捜索に参加だ」
と実に重々しく言う。
「エ~、騎士団じゃないんですか?」
宰相に言い返すのはハーヴィ補佐官。
「騎士団に任せたら大騒ぎになる。
出来るだけ穏便に見つけ出せ」
『騎士団・・・ 使えねぇ~!』
と思った補佐官達である。
×××
「レイモンドはどっから探すよ?」
レイモンドが宰相府から出て中庭を突っ切る最中にハーヴィに呼び止められて振り返る。
「ああ~、城下街?
殿下が一時男爵令嬢と出歩いてた辺りがクサイかなとは思ってる。
側近候補達の家は幾らなんでも無いだろう」
「あ、成る程な。
じゃあ俺は学園の寮辺りに一応行ってくるわ。
例のご令嬢は寮暮らしみたいだからな。
まぁ、今は彼女も出歩けないだろうから、殿下が通う可能性が0じゃ無いし」
渡り廊下でそんな話をしながら城門に向かうレイモンドとハーヴィ。
他の補佐官達も思い当たる場所に向かっていく最中である。
「ま、直ぐ見つかるだろ。
魔塔も動くって言ってるし。
その後は殿下の警護に魔塔の連中が当たるらしい。
それと見つかったら連絡が来るからな」
「側近達ももうちょい考えて行動すりゃいいのによ~ ったく」
他の補佐官達も口々に文句を言いながら城門に向かう。
「まぁ、まだ学生気分が抜けないんだろな」
全員が困り顔をしたり苦笑いをしているのは多分自分達もやんちゃな時期があったせいだろう。
「若いってことだな。
それよりも騎士団が動くと大ごとになるからって俺らが動かなきゃいけないことのほうが問題だろ?」
比較的年配の補佐官が肩を竦める。
「まーな。
制限君主制になってからまだ50年経って無いから仕方ねーよ。
国王一強で軍部が王の采配で直ぐ動くって時代じゃ無いからな。
憲兵との兼ね合いもあるだろ?
だから魔塔に依頼って形なんだろうな」
王都内の警邏はもっぱら憲兵という平民だけで構成されている部署が動くことになる
憲兵は自警団に近いが、軍部に所属していてもっぱら人探しや困り事に対応するのが仕事で当然だが盗み等の軽犯罪者の捕縛も彼らの仕事になってくる。
騎士団は殺人や詐欺、国際的な重犯罪絡みで出動するのが主な仕事となるが、こちらは騎士爵を持っている貴族子息や準貴族で構成されている。
犯罪でもなく自ら行方不明となっている王子を騎士団や憲兵に任せるのはお門違いだということで、魔塔と宰相府が動くことになったらしい。
ハーヴィがため息をつきながら
「給料がいいとか、エリートとか言われてても結局ハッキリ言って、俺ら雑用係だよな」
と零したが誰からも反対意見はなかったようである・・・
「ま、誰かがやらなくちゃいけない仕事だけど、どこに回せばいいか分からん様な問題事が俺等の仕事って事だな」
じゃあ、もうちょっと人を増やして欲しいと思わない者はこの場にはいなかった。
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