【完結】引きこもり王女の恋もよう〜ハイドランジア王国物語〜

hazuki.mikado

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episode1 出会い。其れは唐突にやって来る♡

2話 イケオジの一目惚れ

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 突然転移門に光とともに現れた美女はゆっくりと周りに視線を巡らした後こちらに向き直り、ニコリと微笑み優雅なカーテシーをして見せる。

 「トリステス帝国の偉大なる鷲、グエン・トリステス皇帝陛下そして、ゲオルグ・トリステス皇子殿下に初めてお目もじ仕ります。ハイドランジア王国第2王女シンシア・ハイドランジアで御座います。以後お見知りおきをお願いいたします」


 頭を垂れたまま


 「此度の交換留学に応じていただき誠にありがとうございます」


 そのままの姿勢でそう続け、こちらからの返答を待っている王女。


 「・・・」


 何も言わない皇帝陛下。


 「陛下?」

 「・・・・」


 何も言わない父親の顔を覗き込むゲオルグ。


 「・・・おい、クソ親父」


 小さい声で囁くと、スイッチが急に入ったラジオの様に喋りだした。


 「はっ! よ、ようこそ。シンシア王女。顔をお上げください!」

 「はい、仰せのままに」


 少しだけ、顔を上げるシンシア。


 「あ、いや、楽に、あの真っ直ぐ立っていただければ・・・」

 「? はい。ありがとうございます。お言葉に甘えさせて頂きます」


 ゆっくりとカーテシーの姿勢から背を伸ばして、ゆるりとした動きでドレスのスカートからそっと指を離す。




 その所作は優雅そのもので2人の皇族はついつい、逐一その動きを目で追ってしまう・・・

 次の言葉が頭に浮かばず、固まっているらしい父の脇腹にすかさず肘鉄を入れるゲオルグ皇子。

 急な痛みにグえッと変に喉を鳴らした後で、彼女に近づく皇帝が次に取った行動に、彼は生まれて初めて目玉が飛び出すぐらい

 微笑みながら首を傾げる王女に向かって跪くやいなや、その手を取って


 「シンシア王女、結婚してください」


 クソが付くほど真面目な顔でプロポーズしたのである・・・・


××××××××××


 時間は少々遡る。


 「お父様、どうかトリステスに留学させてくださいませ」


 ハイドランジア王国フリージア城内にある国王の執務室。

この国の第2王女であるシンシアは両手をすり合わせて一生懸命目の前に座る父、フィリップ国王にお願いをしている所である。

 ハイドランジア王族に多いラピスブルーの瞳を持つ、妖艶とも言える美女の目に一生懸命過ぎて涙が浮かんでしまう。


 どちらかというと、父王よりは、祖母に似た艷やかな黒髪。
 女性にしては上背はあるが、その豊満な胸、キュッと締まったウェスト。
 スンナリと伸びる美しい両手を胸のあたりで祈るように組む姿はまさに傾国の美女である。


 そしてマーメイドドレスで更に存在を強調される形の良いプリンとして、キュッと上がった美しいヒップ・・・


 出入り口に立ち並ぶ侍従や護衛の近衛もだらし無く眉が下がり口が半開きになりそうになるのを防ぐために腹にギュッと力を入れるが、代わりに下半身には力を抜け! と己の己に叱咤激励中である・・・


 「シンシア、国内の情報だけでは足らぬのか?」


 父王フィリップは周りの健康男子の情緒事情には幸せなことに全く気が付かないまま、目の前の娘のお願いに困っている様子である。


 「はい。魔石の有効利用に関する最新情報はトリステス帝国に集まっているはずですの。この国は魔法は盛んですが、工業に関してはの国より立ち遅れておりますわ」


 伏せ目がちにして頭を左右にゆっくり振るシンシア王女である。

 その動きは緩慢ではあるが、かえってそれがこの上もなく優雅に見えるのは彼女の姿勢の美しさとその美貌によるものであることに異を唱える者はいないであろう。


 「あー、まあ。なぁ。確かにあの国は工業が盛んだからなあ~。特に紡績に関しては、世界トップクラスだなあ」


 困り顔でフィリップがそう呟くと、嬉しげな顔になるシンシア王女。





 「そうなのです。廃棄処分用の魔石の再利用で染色を安値で効率よく民に広げる為にも彼の国に渡ってその紡績工程を学び取りたいのでございます。お父様」


 父王であるフィリップは彼女の『お父様』に弱い。


 「うーん、行かせてやりたくない訳ではないが、お前の身体能力的に4日も船に乗って海を渡るっていうのがなあー・・・」


 そうなのだ。

 この傾国の美女と言われている妖艶な美しさを持つシンシア王女。
 兎にも角にも超絶運動音痴で、王妃のお腹の中に居るときにその能力配分を脳味噌に全振りしたんじゃないかと噂されるくらいである。

 何も無いところですっ転ぶのは毎日のルーティーンであり、階段途中でつまずいてみたり、朝イチでベットから転げ落ちそうになるのは日常茶飯事である。

 彼女の行動に一時監視体制を敷いたことがあり、この所謂『鈍臭さ』が明らかになって以来、王宮魔導師や王家の『蝙蝠や蝶』といった間諜が姿を消したまま、ほぼつきっきりになったのである。


 因みに本人はこの事実を知らない為、あらゆる方面で隠密に助けられてる事実を認識していない・・・


 「では、転移スクロールでの移動ならいかがでしょう? それならワタクシでも海を一瞬で渡れますわ!」


 国王陛下のビミョーな表情をよそに乙女の祈りのように指を絡めて両手を組み、大喜びをしながら身体をくねらすシンシアを目にいれてしまった周りの侍従や近衛が、己の鼻粘膜と下半身に更なる叱咤激励を送ったのは言うまでもない。



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