28 / 61
28 街へ
しおりを挟む本日は、3日間続く園遊会の2日目が王宮で開かれている日である。
長期イベントなら中だるみになりがちな中間日と思われそうだが、実は初日に謁見が出来ない貴族や商人達の為に構えられているのがこの2日目である。
なんせ数が多いので仕方がないのだ。
最終日となる3日目が打ち上げ日みたいなもので、その日は王宮で参加者全員に向けての夜会も開催されるが、参加せずに領地に戻る貴族家も多いのが実情だったりする。
確かに夜会のための衣装や宝飾品を構える余裕がない地方貴族も多い為、王宮に申し出さえしておけば貸衣装も借りられるのだが、タウンハウスのない地方貴族がもう1日2日と宿泊する為の金銭的負担は大きい。
それを王家が負担してくれる訳では無い。
そう、皆が皆裕福なわけでは無い・・・
――まあ、お役所仕事みたいなもので実情を知らないお偉方が多いのは、どの時代どこの国でも一緒である。
ともあれ、アリア達シルフィールド一家は初日の謁見が済み次第領地へ帰りたかったのだが、そこは辺境伯一家の動向次第となるので勝手に帰ることもままならず、王都に足止め中であった。
もっとも、辺境伯の好意により宿泊代や食費までもが浮いたため予算としては潤沢とまではいかないが、それなりの余裕はあった。
ただ、城へ登城すると伯爵夫妻の胃痛が明らかに発症することが判明したため、本日は自由行動の日と家族会議で決定した。
両親は王都にあるカフェテリアでお茶をしたいし、待っている使用人達にもお土産を探したい。
母は馬車に乗っている間、手慰みに刺繍したベットカバーやテーブルクロスやらハンカチやら諸々を売り捌きに雑貨屋へ行きたいらしいが・・・
そしてアリアは領地で滅多に入手出来ない本を探しに本屋へ行きたかったので、結局全員が外出の予定となった。
実は辺境伯一家は王城に連泊となる為、タウンハウスにいるのは客である伯爵一家だけだった事もあり屋敷付きの召使い達にやたら丁寧にもてなされており、ちょっと恐縮で腰が引けていた彼らとしては外に出て息をつきたかったという理由も実はあったりする・・・
腰が低いといえばいいのか、貧乏性といえばいいのか・・・・。
兎に角、御もてなしに馴れてない一家なのである。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
128
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる