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46 海上警備隊
しおりを挟む貴族のご令嬢が行方知れずになったという通報を受け、王都の港に停泊中の船は一隻残らず虱潰しに捜索が行われることに決まった。
請け負ったのは外交を主な生業としている商人達が雇っている海上警備隊である。
園遊会の影響で港にはわんさか外国からの船が停泊中で、早朝から始まった捜索は難航していた・・・外国から来た船に乗っている水夫達は、この国の言葉を殆ど理解できない上に荒っぽく、機嫌を損ねると例え警備隊員であっても簡単に海に放り込まれたりするからだ。
「おい、あの船の甲板デッカイ馬が乗ってるぞ、何だありゃ」
先程船乗りの機嫌を損ねて海に放り込まれたばかりの隊員が自分のジャケットを絞りながら、同じように絞っている相方に声を掛けた。
「馬ぁ? げっ」
甲板を見上げると、この国の馬と比べると一回り以上デッカイ斑馬が甲板の上で、どうやらその船の乗組員らしき男のシャツの襟首を咥えたまま船縁から海の上に首を突き出し、振り回している。
男は何かを叫びながら手をバタバタさせているのだが、馬の方は知らぬ存ぜぬといった様子で彼をそのまま海に向かって思い切り放り出すように落としてしまった。
「うわっ!! 早く助けようぜ」
「お、おう」
そう言って、自分たちの上着を放り出し、そちらに向いて慌てて走り出す2人組。
それを甲板の上からジッと覗いていた斑馬が鼻の穴をおっ広げて、腹立たしげに『フンッ』という音をさせ去ったのを見ていたのは、船のマストに留まるカモメ達だけであった・・・
引っ張り上げられた男はどうやら船の船長らしく、かなり酔っ払ていたようで酒臭かった。しかもその船の水夫達も同様でデッカイ馬に全員が叩き落され、港の救護室で毛布に包まり震えながらコーヒーを飲んでいた。
――春とはいえ、海は冷たい。
水夫でも寒いもんは寒いのである。
彼らは何やら身振り手振りで説明をしているが言葉が全く分からないため、急いで通訳を呼ぶために他の隊員が騎士団に向けて連絡しに出て行ったばかりらしい。
「一体何が起こったんだ?」
未だにその船の上から警備隊詰所を見張るように、巨大な斑馬がジッと此方を見ているのが遠目にもわかる・・・
隊員たちは首を傾げた。
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