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21 雨
しおりを挟む雨が降ってた。
その日は取引先の問屋との会食で帰りが遅くなるので、秘書は定時には帰るようにと伝え先に帰社させた。
ホテルのロビーで取引相手と別れて、エントランスから外に出ようとしたら目の前に鮮やかな赤。
俺が密かに焦がれた赤い髪――
「何で君がここに居るんだよ」
「え?」
振り返った彼女はやっぱり綺麗で。
そこだけスポットライトが当たっているみたいに見えた。
「貴方こそ」
「俺は仕事。君は? アイツは一緒なんだろ?」
「・・・」
「どうしたの?」
押し黙った彼女の視線の先にいたのは、親友で。
隣には見覚えのない、ブルネットの髪の毛を結い上げた御婦人の姿。
ご丁寧に腕を組んで何かを話して歩いて行く。
その先に待っていた小ぶりの馬車に2人は乗り込むと、御者がドアを閉めて2頭立ての馬車は走り去っていった。
「え、さっきの・・・ アイツ」
「・・・」
気の強そうなエメラルドの瞳が吊り上がって見える。
――ああ。あの馬鹿、何やってるんだろ。
俺はどうするのが正解なのかが分からなくて、彼女に手を差し出した。
「お手を。レディ」
「・・・ ありがとう」
彼女は俺の差し出した手の上に、白いグローブをはめた華奢な手を重ねた。
――元妻をエスコートすると香水がフワリといい匂いをさせてドキリとした。
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