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59* ゴシップ
しおりを挟む「やられた・・・」
翌日。
王都で売られている新聞が挙って一面にステファン・バーンスタイン侯爵のスキャンダルをデカデカと掲載した。
『お相手は男爵家の次女で既にお手付き!』
『真実の愛のお相手への裏切り行為か』
『長年の幼なじみを捨てて、新しい恋を求めた恋多き男』
『侯爵夫人は傷心で実家へ』
他にも色々あった気がするが、もう覚えちゃいられない。
あまりにも情報量が多過ぎるからだ。
中にはアデラインに関する情報もあったが、そちらは概ね同情的に書かれていた。
俺に関してはアデラインにフラレた元夫という扱いで、男色の噂が書かれていたモノもあったが少数派だった。
「どこから漏れたッ?!」
「いやあ、コレは・・・ 私と会長の男色の噂は酷いですねえ・・・」
秘書がウンザリ顔で、新聞の一文を拾って呟いている。
「まあ、売れりゃあいいんだから何でも書くだろうよ」
額を抑えて考える。
何処からだ?
「ひょっとして・・・」
「ああ、その情報流したの俺だ」
社長室に向かった俺に、弟がそう言った。
「前回別邸を義姉さんに貸した後で嗅ぎ廻ってた連中がいたんだよね。だから裏から手を回して此方に有利に働くように情報を操作したんだ」
なんて事も無いといった感じで肩を竦めた。
「ウチの商会に不利になるのは困るんだ。義姉さんはイメージモデルだし、新規事業も始まってる。商会としてはここで義姉さんの評判を落としたくは無いからね」
「だが、夫婦の間の問題だぞ」
「もう無理だよ。俺が情報を流さなくても情報屋が遅かれ早かれ新聞やゴシップ誌に売りつけるネタだ。兄さんもタダじゃ済まなくなる。それなら先に同情を買っといて、今後の商売に繋げるよ」
そう言った弟の顔は商売人の顔だった。
「因みに男色のネタはお前か?」
「いや、そりゃいくらなんでも違うよ」
よし、弁護士を呼ぶか。
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