【完結】ずっと君を愛してる〜心惹かれる想いを君へ〜

hazuki.mikado

文字の大きさ
80 / 150

80 ステファン視点⑥

しおりを挟む

 「お幸せそうで何よりですわ」


 彼女はエイダンを慕ってたが、訳あって卒業後は家から出される事が決まっていると聞いていた。

 学生の頃はあまり気にして居なかったが、養子か何かだったのかと聞くと黙って首を横に振った。そして、



 「今は高貴な方々の閨のお悩みの相談を受けるのが今の私の仕事ですの」


 高価な扇子を顔の前に広げて首を傾げる。


 「滅多に夜会には出席しませんが、知り合いに会えて良かったですわ。それでは」


 優雅に膝を折ってホールから去ろうとする彼女を引き止めたんだ。

 藁にも縋る思いで打ち明けた。

 学生の頃の事。

 結婚するまでの事。

 5年待たせた彼女と5年律儀に約束を守ってくれた親友の事。

 結婚してから閨事が進まない事。


 彼女は首を傾げながらずっと黙って聞いてくれた。


 「侯爵様も、伯爵様も奥様をとても大切に思ってらっしゃるのですね」


 そう言って考えた後で、閨の指導を受けてみるか? と言われたのだ。

 俺にいなはなかった。

 だってもう後が無いじゃないか。

 これ以上彼女に呆れられるのも、これ以上冷めた仲になるのも嫌だった。





 当日になり、アディに嘘をついたのは心苦しかったけれど兎に角待ち合わせのレストランに出掛けた。

 食事中の会話で、色んな事を聞かれたが意外に事務的だったの驚いた。

 淡々と様々な質問をされ、それに俺が答えると最後に


 「相変わらず拗らせてますわね」


 と、あっさり言われて驚いた。


 「妻を神聖視するのはお辞めなさい。お互い生身の人間です。女性でも肉欲があって当然ですし、反対に男性でもそれがない人は存在します。それだけじゃありませんよ? 今まで領地でやってきたことを彼女に話しましたか?」


 俺は首を横に振った。

 
 「格好ばかりつけてないで、泥臭い格好の悪い自分を、彼女にさらけ出さないからそうなるんですよ」


 呆れられた・・・


しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

冷遇された没落姫は、風に乗せて真実を詠う ─残り香の檻─

あとりえむ
恋愛
「お前の練る香など、埃と同じだ」 没落した名家の姫・瑠璃は、冷酷な夫・道隆に蔑まれ、極寒の離れに追いやられていた。夫の隣には、贅を尽くした香料を纏う愛人の明子。 しかし道隆は知らなかった。瑠璃が魂を削って練り上げた香は、焚く者の心根を映し出す「真実の鏡」であることを。 瑠璃が最後に残した香の種を、明子が盗み出し、手柄を偽って帝の前で焚き上げた瞬間。美しき夢は、獣の死臭が漂う地獄へと変貌する。 「この香りの主を探せ。これほど澄み切った魂が、この都に在るはずだ」 絶望の淵で放たれた一筋の香りに導かれ、孤独な東宮が泥の中に咲く白蓮を見つけ出す。 嘘と虚飾にまみれた貴族社会を、ひとりの調香師が浄化する、雅やかな逆転劇。

明日のために、昨日にサヨナラ(goodbye,hello)

松田丹子(まつだにこ)
恋愛
スパダリな父、優しい長兄、愛想のいい次兄、チャラい従兄に囲まれて、男に抱く理想が高くなってしまった女子高生、橘礼奈。 平凡な自分に見合うフツーな高校生活をエンジョイしようと…思っているはずなのに、幼い頃から抱いていた淡い想いを自覚せざるを得なくなり…… 恋愛、家族愛、友情、部活に進路…… 緩やかでほんのり甘い青春模様。 *関連作品は下記の通りです。単体でお読みいただけるようにしているつもりです(が、ひたすらキャラクターが多いのであまりオススメできません…) ★展開の都合上、礼奈の誕生日は親世代の作品と齟齬があります。一種のパラレルワールドとしてご了承いただければ幸いです。 *関連作品 『神崎くんは残念なイケメン』(香子視点) 『モテ男とデキ女の奥手な恋』(政人視点)  上記二作を読めばキャラクターは押さえられると思います。 (以降、時系列順『物狂ほしや色と情』、『期待ハズレな吉田さん、自由人な前田くん』、『さくやこの』、『爆走織姫はやさぐれ彦星と結ばれたい』、『色ハくれなゐ 情ハ愛』、『初恋旅行に出かけます』)

大人になったオフェーリア。

ぽんぽこ狸
恋愛
 婚約者のジラルドのそばには王女であるベアトリーチェがおり、彼女は慈愛に満ちた表情で下腹部を撫でている。  生まれてくる子供の為にも婚約解消をとオフェーリアは言われるが、納得がいかない。  けれどもそれどころではないだろう、こうなってしまった以上は、婚約解消はやむなしだ。  それ以上に重要なことは、ジラルドの実家であるレピード公爵家とオフェーリアの実家はたくさんの共同事業を行っていて、今それがおじゃんになれば、オフェーリアには補えないほどの損失を生むことになる。  その点についてすぐに確認すると、そういう所がジラルドに見離される原因になったのだとベアトリーチェは怒鳴りだしてオフェーリアに掴みかかってきた。 その尋常では無い様子に泣き寝入りすることになったオフェーリアだったが、父と母が設定したお見合いで彼女の騎士をしていたヴァレントと出会い、とある復讐の方法を思いついたのだった。

代理で子を産む彼女の願いごと

しゃーりん
恋愛
クロードの婚約者は公爵令嬢セラフィーネである。 この結婚は王命のようなものであったが、なかなかセラフィーネと会う機会がないまま結婚した。 初夜、彼女のことを知りたいと会話を試みるが欲望に負けてしまう。 翌朝知った事実は取り返しがつかず、クロードの頭を悩ませるがもう遅い。 クロードが抱いたのは妻のセラフィーネではなくフィリーナという女性だった。 フィリーナは自分の願いごとを叶えるために代理で子を産むことになったそうだ。 願いごとが叶う時期を待つフィリーナとその願いごとが知りたいクロードのお話です。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

処理中です...