【完結】ずっと君を愛してる〜心惹かれる想いを君へ〜

hazuki.mikado

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80 ステファン視点⑥

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 「お幸せそうで何よりですわ」


 彼女はエイダンを慕ってたが、訳あって卒業後は家から出される事が決まっていると聞いていた。

 学生の頃はあまり気にして居なかったが、養子か何かだったのかと聞くと黙って首を横に振った。そして、



 「今は高貴な方々の閨のお悩みの相談を受けるのが今の私の仕事ですの」


 高価な扇子を顔の前に広げて首を傾げる。


 「滅多に夜会には出席しませんが、知り合いに会えて良かったですわ。それでは」


 優雅に膝を折ってホールから去ろうとする彼女を引き止めたんだ。

 藁にも縋る思いで打ち明けた。

 学生の頃の事。

 結婚するまでの事。

 5年待たせた彼女と5年律儀に約束を守ってくれた親友の事。

 結婚してから閨事が進まない事。


 彼女は首を傾げながらずっと黙って聞いてくれた。


 「侯爵様も、伯爵様も奥様をとても大切に思ってらっしゃるのですね」


 そう言って考えた後で、閨の指導を受けてみるか? と言われたのだ。

 俺にいなはなかった。

 だってもう後が無いじゃないか。

 これ以上彼女に呆れられるのも、これ以上冷めた仲になるのも嫌だった。





 当日になり、アディに嘘をついたのは心苦しかったけれど兎に角待ち合わせのレストランに出掛けた。

 食事中の会話で、色んな事を聞かれたが意外に事務的だったの驚いた。

 淡々と様々な質問をされ、それに俺が答えると最後に


 「相変わらず拗らせてますわね」


 と、あっさり言われて驚いた。


 「妻を神聖視するのはお辞めなさい。お互い生身の人間です。女性でも肉欲があって当然ですし、反対に男性でもそれがない人は存在します。それだけじゃありませんよ? 今まで領地でやってきたことを彼女に話しましたか?」


 俺は首を横に振った。

 
 「格好ばかりつけてないで、泥臭い格好の悪い自分を、彼女にさらけ出さないからそうなるんですよ」


 呆れられた・・・


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