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84 忠告
しおりを挟む疲れた。
本当に疲れた。
片付け途中の会長室には戻らず隣の社長室のソファーにドサリと座る。
クリスも首を傾げながら、やはりドサリと音を立てて座った。
「マリア・ギタレスだっけ、なんか凄い女性だったね」
「ああ。まるで医者のようだったが・・・」
『閨指導』などずっと以前に廃れたモノだと思い込んでたが全く違っていて驚いた。
それよりも親に売られたという言葉や、存在しない者には何も出来ないという言葉。
そして男爵家には娘は1人しか元々いないと言う彼女。
「戸籍そのものが既に無いってことか・・・」
彼女の言った言葉の端々にこれ以上は関わるなという意味合いに受け取れるものが多々あった。
けれど・・・
「今回の事は元を正せば俺が原因ってことか・・・」
俺が関わっていなければ起こらなかったかもしれないのか?
「ウ~ン、ソレ言っちゃうと、ステファン氏が兄さんに義姉さんのことを頼んだのが不味かった・・・ いや、親父が侯爵家との縁談を持って来たんだし・・・ 元後妻が縁談を持ってきたのが始まりで・・・ やっぱやめよう。キリがない」
彼は肩を竦めると
「電話の忠告の事だけは、彼女の好意だと思いたいね」
「ああ盗聴されてたとはな」
「でも彼女が直接って訳じゃなさそうだったよ?」
「・・・考えたくはないが王家絡みかな。オルコットが外国に逃げないように見張ってる可能性は大いにあるだろう?」
「まぁ、そんな所だよね。でもソレを知ることのできる立場にいるってことだろ? あの人」
俺は黙って頷いた。
「離宮に住んでる口ぶりだったろう?」
「「・・・」」
俺はそれ以上は口にしなかったがクリスもそれは同じだった。
「・・・ 夫婦喧嘩は犬も喰わん」
「そうだね。まあ、方針は変わらないから、静観しよう」
クリスが決定事項をもう1度繰り返した。
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