輪廻の誓いは、愛になる

帰り花

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第二部 安定と余白

夕方が来る前に

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 研究棟の外に出た瞬間、月那るなは自分が「出た」のに「終わっていない」ことを知った。
 扉が閉まる音。
 換気の低い唸り。
 消毒の匂い。
 全部、さっきと同じなのに、胸の中心だけが乾いている。
 五分の余白は、喉を潤さなかった。
 むしろ、渇きの輪郭だけをはっきりさせた。
(月那、帰れ)
(夕方に戻るって――陽臣はるおみが言ってる)
 分かっている。
 だからこそ、息が浅い。
 月那はエレベーターに向かって二歩だけ歩いた。
 それで止まった。
 体が「鍵」を探している。
 鍵へ戻れば整う。
 整えば生きられる。
 ――でも今日は、整うだけでは足りない。
 整うことが、怖い。
 月那は、引き返した。
 足音が自分のものとは思えないほど速い。
 呼吸が胸に引っかかる。
 言葉が喉の奥で鳴る。
(研究じゃない)
(もう、研究じゃない)
 扉の前で、いつもの癖――一度息を整える――ができなかった。
 そのままノックをした。
 一回。
 間も置かずに二回目。
「……どうぞ」
 光理ひかりの声が返った。
 硬い。けれど、逃げない声。
 月那は扉を開けた。
 光理は机の前に立ったまま、こちらを見ている。
九条くじょうくん」という呼び方をする準備の顔だった。
 線の内側に戻る準備の顔。
 でも月那は、その線を守る言葉を持っていなかった。
「……先生」
 かすれた声。
 研究ノートも、質問も、手から落ちそうになる。
「さっきの“五分”で、余計に苦しくなりました」
 言ってしまった。
 言葉にした瞬間、戻れない感覚が胸を刺す。
 光理の眉がほんの少しだけ動いた。
 それから、深く息を吸って、吐いた。
 自制の呼吸だと分かる。
「……月那くん」
 呼び方が変わった。
 それだけで、月那の胸の中心が跳ねた。
「君は今、研究の話をしに来ていないね」
 否定じゃない。
 確認でもない。
 “理解している”と言われたような声だった。
 月那は頷くしかなかった。
「……うまく息ができないんです」
 鍵のせいだけじゃない。
 渇きのせいだけでもない。
 その両方のせいで、呼吸の仕方そのものが分からない。
 言い終えた瞬間、下腹の奥が、遅れて熱を持った。
 疼き、というより――じわ、と広がる不快な熱。
 汗が背中に薄く浮いて、シャツが肌に貼りつきそうになる。
(やだ)
(こんなの、言ったら)
 光理は、机の縁に指を置いた。
 置いたまま動かさない。
 触れてはいけない衝動を、そこへ固定しているみたいに。
「君にとって、僕は危ない」
「……知ってます」
 言うだけで、喉が乾いた。
 乾くほど、身体が勝手に呼吸を探して、熱がまた一段上がる。
「それでも来た」
 月那は、笑えなかった。
 代わりに、息を吐いた。
「……それでも、来ました」
 言い切った瞬間、光理の目が少しだけ揺れた。
 研究者の目が。
 そして、男の目が。
「……僕も」
 光理は、言葉を選ぶように一拍置いてから、短く言った。
「君を、何度も考えてしまう」
 それは告白の形をしていないのに、月那の胸には刺さり方が同じだった。
 “蓋のない言葉”。
「……どうして」
 月那が思わず聞く。
 質問の形をしていない。
 研究の形でもない。
 ただ、確かめたいだけの声。
 光理の指先が、机の縁を少しだけ強く押した。
「理由をつければ、いくらでも言える」
「RBSの当事者だから。君が真面目だから。夢の話が重なるから」
「……でも、それだけじゃない」
 光理は視線を逸らさない。
 逸らさないのに、距離は詰めない。
 線の上で踏ん張るみたいに、まっすぐ言う。
「君が、誰かを楽にする。無意識で」
「自分が苦しいときでも、他人の呼吸を先に整えようとする」
「……それを見ると、止めたくなる」
 止めたくなる。
 守りたい、とも違う。
 支配したい、とも違う。
 でもその言葉の温度が、月那の胸の中心を明るくした。
 同時に、下腹の奥がきゅっと縮んで、また熱がじわりと湧いた。
 恥ずかしさじゃない。
 怖さでもない。
 身体が勝手に「反応」を用意してしまうのが、怖い。
「……先生」
 月那は言葉を探して、失敗して、結局、いちばん危ない言葉の手前で止めた。
「僕、昨日から……」
「……“会う理由”が、崩れてる」
 研究。記録。相談。
 全部、仮面だと認めてしまう言い方。
 光理の呼吸が、ほんの僅かに乱れた。
 乱れを戻すように、彼はゆっくり吐く。
「崩れてるのは、君だけじゃない」
 低い声。
 それが、月那の身体をさらに揺らした。
 熱が上がる。汗が増える。
 喉の奥が甘くなりそうで、月那は息を浅くしてしまう。
「僕は、君を“ここに来させたくなる”自分が怖い」
「だから距離を取る。……取らなきゃいけない」
「……でも、距離を取られると」
 月那は、言ってしまう。
 言えば、もう戻れないのに。
「息ができない」
 声が震えた。
 声が震えるのに、身体は熱い。
 下腹の奥が、じん、じん、と脈を打って、脚の内側が落ち着かない。
 光理の目が、月那の喉元に一瞬だけ落ちて、すぐ戻った。
 熱の兆候を見た目だ。
「月那くん」
「君は今、研究室の空気に“飢えてる”」
 その言葉で、月那の胸が痛んだ。
 当てられた。
 名づけられた。
「……飢えてるのに、怖いんです」
「うん」
 光理の返事は短い。
 否定もしない。
 慰めもしない。
 ただ、受け止める。
「怖いのに来た。――それは、君の意思だ」
「意思で来たなら、意思で止まれるところも作らないといけない」
 言葉は正しい。
 正しいから、苦しい。
 月那の足元が、わずかに揺れる。
 揺れたのは発作じゃない。
 気持ちが、身体より先に立ち上がった反動だ。
 そのとき、月那の鞄の肩紐がずれて、机の角に当たった。
 不格好な音。
 中身が少し飛び出して、ペンケースが転がる。
 慌てて拾おうとした月那の肘が、机に置いてあった紙コップに当たった。
 ――ぬるいコーヒーが、白衣の前を黒く濡らした。
「……っ」
 胸元から腹のあたりまで、一気に染みていく。
 白衣の白が、汚れていく。
「ごめんなさい……!」
 月那が立ち上がると、光理が先に動いた。
「動かないで」
 低い声。
 焦らせない声。
 でも、止める声。
 光理は棚からタオルを取り出して、月那に差し出した。
 その距離が、近い。
 月那の胸が跳ねる。
 跳ねるのに、汗も熱も出ない――はずなのに、今日は違う。
 熱が、下腹からまた上がる。
 近さだけで、過剰反応の入口に触れてしまう。
「白衣、替えがある。……中のシャツも、濡れてるね」
 光理は視線を逸らしたまま言った。
 見ないために、言葉だけで処理しようとする。
 月那は頷き、白衣を脱いだ。
 次に、シャツのボタンに手をかけたところで、指が止まる。
(先生の前で?)
 恥ずかしさより先に、胸の底が冷える。
 でも、濡れたままでは帰れない。
「……すみません」
 光理は背を向けた。
「いい。……替えを取ってくる」
 その“背中”が、月那にとっては救いで、同時に残酷だった。
 距離を取られると、渇きが増えるから。
 月那は濡れたシャツを脱いだ。
 肌に冷気が当たり、歯型や赤い跡が一斉に浮いて見える。
 見えない場所に残っているはずの痕まで、ここでは“現実”になる。
 戻ってきた光理が、背を向けたまま替えのシャツと白衣を置いた。
 置いて、振り向こうとして――止まった。
 視線が、月那の体に落ちてしまったからだ。
 一瞬。
 空気が凍った。
 光理の喉が、目に見えないほど動く。
 理性が、身体の前に立つ音がした。
「……これは」
 声が低い。
 震えてはいない。
 震えないように固めている。
 月那は、息が浅くなるのを感じた。
 恥ずかしいからじゃない。
 怖いからでもない。
 見られた、という事実が、胸の奥の沈殿を揺らす。
 揺れた拍子に、下腹の疼きが強くなる。
 脚の付け根が熱くて、じっと立っていられない。
「……陽臣が」
 言いかけて、言葉が止まる。
 “儀式”という単語が喉に引っかかった。
 光理は、目を逸らした。
 逸らしたのに、もう遅い。
「手当てする」
 医師の声だ。
 研究者の声だ。
 その形でしか、今の衝動を扱えない声。
 光理がタオルに消毒液を含ませる。
 近づく。
 触れる。
 ――その瞬間。
 月那の身体が跳ねた。
 息が乱れる。
 汗が浮く。
 視界が薄く揺れる。
 下腹が、ぎゅ、と収縮して、熱が一気に押し上がる。
(やだ)
 非番のアルファへの過剰反応。
 分かっているのに、止められない。
 光理の手が止まる。
「月那くん、呼吸」
 医師の声。
 だけど、その声に混じる“痛み”が分かる。
 触れたくないのに触れてしまう痛み。
 月那は机の縁を掴んだ。
 熱が下腹の奥から上がってくる。
 怖い。苦しい。なのに――胸の中心は明るい。
「……やめないで」
 声が出てしまった。
 光理の目が大きく揺れる。
「君は今、症状で――」
「分かってる」
 月那は息を乱したまま言う。
 言いながら、腰の奥がうずく。
 痛いわけじゃないのに、疼きが逃げ場を探してしまう。
「分かってるのに、……心が、ここにいる」
 鍵じゃない。
 安定じゃない。
 “心が求める”と言ってしまった。
 光理の手が、震えた。
 震えを隠すように、指を握りしめる。
「……君を壊す」
「壊れてもいい」
 月那は必死に首を振る。
「苦しくてもいいから、……触れてほしい」
 言い終えた瞬間、光理の理性が一歩だけ後退したのが分かった。
 光理は、月那の顔を見た。
 逃げ道のない目で。
 そして、ゆっくり距離を詰めた。
 触れないまま、近づく。
 息が重なる。
 ——唇が触れた。
 優しく長い。
 逃げない触れ方だった。
 月那の身体が大きく反応する。
 呼吸が壊れる。
 熱が跳ねる。
 下腹の疼きが、ひどく生々しくなる。
 それでも、胸の中心だけが、静かに「息」をする。
(これだ)
 と思ってしまう。

 思ってしまった瞬間。

 扉が開く音がした。
「――月那」
 低い声。
 空気が一段落ちる。
 陽臣だった。
 夕方に戻るはずの陽臣が、研究室の入口に立っている。
 視線が、室内を一瞬で把握する。
 脱いだ白衣。晒された素肌。距離。唇の残りの温度。
 “安全管理”のための配置が、ここで牙を剥く。
 月那の鞄に仕込まれた端末。
 その小さな点が示した“逸脱”。
 陽臣の目が、静かに割れた。
「……離れろ」
 光理に向けた言葉。
 でも実際は、“世界”に向けた命令だった。
 光理は一歩退いた。
 退いたのは怖いからじゃない。
 状況を理解したからだ。
 陽臣は月那へ向かって歩く。
 早足ではない。
 でも、逃げ道を消す速さ。
「月那、こっちへ」
 手を伸ばす。
 そして、顎に触れようとする。
 月那の身体が反射で硬くなる。
 鍵が触れれば安定する。
 安定するのに、今は――
「……やだ」
 声が出た。
 自分でも驚くほど大きく。
 陽臣の手が止まる。
「……何?」
 月那は息を吸う。
 吸うほど、熱が強まる。
 過剰反応が、いまも続いている。
「今……それ、やだ」
 拒絶だ。
 運命の番への拒絶。
 陽臣の目が、揺れた。
 揺れたまま、静かに崩れ始める。
 言葉が出ない。
 呼吸が乱れる。
 空気が再び歪みそうになる。
 月那は分かった。
 また暴走が来る。
 自分の拒絶が、陽臣を崩す。
(止めなきゃ)
 そう思ったのに、体が動かない。
 鍵に戻るのが怖い。
 渇きから離れるのが怖い。
 陽臣は、一歩だけ近づいた。
 声が低くなる。
「……月那」
 次の瞬間、陽臣の動きが変わる。
 ――月那の首元へ。
 月那は反射的に身を引いた。
 引いたのに、逃げきれない。
「やだ、や――」
 言い終わる前に、陽臣の腕が月那の身体を固定した。
 その先は、月那の記憶が“音”で切れる。
 布が擦れる音。
 息が引きつる音。
 自分の喉が震える音。
 そして――
 鋭い痛み。
 うなじ。
 一瞬で、世界が“確定”に傾く感覚。
 それは快ではない。救いでもない。
 これまで夜ごと繰り返された安定とは違う。
 発情中に、うなじを噛まれた。
 番契約の成立。
 逃げ道が閉じた感覚だった。
 月那の体から力が抜ける。
 呼吸が整う。整ってしまう。
 整うことが、今だけは罰に思えた。
 陽臣が、月那の耳元で囁く。
「……戻った」
 戻った、ではない。
 戻された。

 研究室の空気が凍る。
 光理は、動けない。
 目の前で起きたことが“治療”ではないことを知っている。
 陽臣が顔を上げ、光理を見る。
 言葉はない。
 でも、その視線は言っている。
 ――ここから先は、天城あまぎの領域だ。
 ――お前の“余白”は、もう許さない。
 光理の目が、揺れた。
 怒りでも恐怖でもない。
 悔しさと、焦燥と、研究者としての絶望が混ざった揺れ。
 月那は、その視線の意味まで理解できなかった。
 体が“鍵”へ戻され、呼吸が整ってしまったからだ。
 整っているのに、涙が出た。
(……僕は、どこにも行けない)
 陽臣が月那を抱き上げる。
 丁寧な動き。乱暴ではない。
 だからこそ、拒めない。
「帰る」
 陽臣が言う。
 命令ではない。
 “決定”だ。
 月那は声が出ない。
 出ないまま、光理を見た。
 助けて、とは言えない。
 助けてと言った瞬間、もっと壊れる気がした。
 光理は唇を噛み、ほんの僅かに首を振った。
 ――今は動けない。
 ――でも、終わらせない。
 そう言っているように見えた。
 見えただけかもしれない。
 研究室の扉が閉まる。
 廊下の白が戻る。
 消毒の匂いが戻る。
 でも月那のうなじには、痛みが残っている。
 そして何より、胸の底に“確定”が落ちた。
 秋の二十歳の誕生日まで、公にはできない。
 それでも、鍵はもう「約束」ではなくなった。
 鍵は、「支配」になった。
 月那は、息を吸う。
 整ってしまう呼吸が、いちばん苦しかった。
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