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32 子供がいらないと捨てる国があった5
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老婆はとても悲しそうな表情をしていた。
アーサーはできる限り優しい顔をして近づいた。
「おばあさん。こんにちは、私達は旅人です。いつも、このように人通りが少ないのですか。」
アーサーに問いかけられて、老婆は一瞬驚いた顔をしたが、彼の優しい顔と声に安心させられたようだった。
「旅の方ですか。悪いことはいいません、今すぐに、このミレーネ王国から出られた方が良いです。変な薬を無理矢理飲まされ、子供がきらいな身勝手な大人にされてしまいます。人間ではなくなります。」
「見たところ、おばあさんは普通の大人のように見えますが。人間ではなくなるとは? 」
「子供に対する愛情以外にも、当然もっている人間らしい感情が全てなくなり、反対に力が異常に強くなり凶暴になってしまうのです。」
「おばあさんは、無事だったのですね。」
「私はもう100歳近くです。内務大臣の考えでは、寿命が尽きるのが近い老人には、貴重なエクスポーションを渡さないことになっているそうです。」
「ところで、メインストリートというのに全く人がいないということはどういうことでしょうか。」
「野獣のようになってしまった大人達は、夜行性になったようで、何も食べずに深夜まで動き続けます。それと、子供達は――みんな、へんぴな場所に捨てられてしまったのです―――― 」
老婆の目から涙が流れ始めた。
「大丈夫です。必ずこの国は元に戻ります。」
老婆はアーサーをじっと見た。
「不思議です。あなたにそう言われると、必ずそうなるような気がします。とても強い力を感じます。」
その時、メイナードが急いで告げた。
「王子様。騎馬がやってきます。」
2人が身構えていると、数人の騎士の集団がやってきた。
その一人が、アーサーに問いただした。
「おまえ達は誰だ? 他国からの侵入者か? 国境を固く封鎖しているのに、なぜ我が国に入ってこれたのだ? 」
別の騎士が気がついた。
「あっ!! 知っている。この人はゴード王国のアーサー王子だ。昔、我が国で行われた武芸大会で優勝した。先に戦いでもゴード王国に侵入した連合軍を打ち破った。英雄だ!!! 」
「英雄であれ何であれ、侵入者は全て殺せとボウ様から指示が出ている。しかし、私達がやっては問題になる。だから、あれを使うぞ。」
その騎士はふところから笛を取り出し、それを鳴らした。
すると、誰もいなかったメインストリートに住民達が出てきた。
みかけは普通だったが、異常な動きをしていた。
「殺人笛を吹いた。さあ、逃げるぞ。俺たちも殺されてしまう。」
騎士達は急いでその場を逃げようとした。
しかし、騎士の中の一人が乗っていた馬の足を住民につかまえ落馬した。
騎士はあわてて剣を抜き、住民に向かって振った。
しかし、皮膚が硬質化しているのか、住民は剣を跳ね返した。
落馬した騎士は他の騎士に助けられ、その場を急いで去った。
その間に、現われた大勢の住民達でメインストリートがあふれた。
アーサーは決断してメイナードに指示した。
「メイナード。私の体を槍で突いて、私の血を槍につけて住民達に刺してください。あなたは世界一の槍の名人です。槍のわずかな切っ先で突くことができるはずです。」
「王子様。御身に向かって槍を突くなど、臣下としてはとてもできません。お許しください。」
「お願いします。これしかないのです。私の英雄の血で、できる限り多くの住民を助けたいのです。私はおばあさんを守っていますから。」
アーサーのとても真剣な顔を見て、メイナードは決心した。
「王子様。左腕を前にお出しください。失礼します。申し訳ありません。」
メイナードは自分の気を最大限に整えると、アーサーの左腕に向かってやりを突いた。
槍はほんのわずかな切っ先だけアーサーの体に刺さった。
メイナードはすぐに槍を引き抜くと、回りを取り囲んでいた住民達1人1人を槍で突いた。
名人の槍は硬質化された皮膚を貫通した。
すると、英雄の血が体内に入った住民達は苦しみ始め、倒れ始めた。
しばらくすると、効果がなくなった。
「王子様。王子様の血の効果がなくなりました。」
「また私を刺してください。遠慮はいりません。早くお願いします。」
「御意。申し訳ありません。」
メイナードは再びアーサーの左腕を槍で刺すと、再び住民達を刺し始めた。
それは長い時間、何回も続き、最後には血を抜きすぎて、アーサーはフラフラになり倒れそうになった。
一方、住民達は王都キプロ全体から数万人が集まっていた。
「王子様。御指示に背きます。もうこれ以上はお命が危険になります。私にはもうできません。」
「メイナード。ありがとうございました―――― 普段からもっと食事を多くとって、体重を増やしておけばよかったですね―――― 」
アーサーは老婆を守るような体勢を続けようとしたが、崩れ落ちて倒れてしまった。
メイナードは槍をその場に捨てた。
そして、素手で住民達が殺到するのを防ぎ始めた。
「こういうような状況では、槍使いは役立たずだな。」
恋人の姿が浮かんだ。
「フレイヤ。悪い、私は数秒でも指命を果たして死んでいく。」
その時だった!
「いと巨大な力をもつ時間の神よ。いにしえから誰の命にも従わなくても、我には従え。我は魔女の中の魔女、真実に至る魔女クリスタの娘にして、その名を継ぐ者クラリス。我が言うことが真実。 」
「命ずる! 時間を止める鐘よ鳴れ! 」
ゴーン、ゴーン、ゴーン
巨大な鐘の音が鳴り響いた
アーサーはできる限り優しい顔をして近づいた。
「おばあさん。こんにちは、私達は旅人です。いつも、このように人通りが少ないのですか。」
アーサーに問いかけられて、老婆は一瞬驚いた顔をしたが、彼の優しい顔と声に安心させられたようだった。
「旅の方ですか。悪いことはいいません、今すぐに、このミレーネ王国から出られた方が良いです。変な薬を無理矢理飲まされ、子供がきらいな身勝手な大人にされてしまいます。人間ではなくなります。」
「見たところ、おばあさんは普通の大人のように見えますが。人間ではなくなるとは? 」
「子供に対する愛情以外にも、当然もっている人間らしい感情が全てなくなり、反対に力が異常に強くなり凶暴になってしまうのです。」
「おばあさんは、無事だったのですね。」
「私はもう100歳近くです。内務大臣の考えでは、寿命が尽きるのが近い老人には、貴重なエクスポーションを渡さないことになっているそうです。」
「ところで、メインストリートというのに全く人がいないということはどういうことでしょうか。」
「野獣のようになってしまった大人達は、夜行性になったようで、何も食べずに深夜まで動き続けます。それと、子供達は――みんな、へんぴな場所に捨てられてしまったのです―――― 」
老婆の目から涙が流れ始めた。
「大丈夫です。必ずこの国は元に戻ります。」
老婆はアーサーをじっと見た。
「不思議です。あなたにそう言われると、必ずそうなるような気がします。とても強い力を感じます。」
その時、メイナードが急いで告げた。
「王子様。騎馬がやってきます。」
2人が身構えていると、数人の騎士の集団がやってきた。
その一人が、アーサーに問いただした。
「おまえ達は誰だ? 他国からの侵入者か? 国境を固く封鎖しているのに、なぜ我が国に入ってこれたのだ? 」
別の騎士が気がついた。
「あっ!! 知っている。この人はゴード王国のアーサー王子だ。昔、我が国で行われた武芸大会で優勝した。先に戦いでもゴード王国に侵入した連合軍を打ち破った。英雄だ!!! 」
「英雄であれ何であれ、侵入者は全て殺せとボウ様から指示が出ている。しかし、私達がやっては問題になる。だから、あれを使うぞ。」
その騎士はふところから笛を取り出し、それを鳴らした。
すると、誰もいなかったメインストリートに住民達が出てきた。
みかけは普通だったが、異常な動きをしていた。
「殺人笛を吹いた。さあ、逃げるぞ。俺たちも殺されてしまう。」
騎士達は急いでその場を逃げようとした。
しかし、騎士の中の一人が乗っていた馬の足を住民につかまえ落馬した。
騎士はあわてて剣を抜き、住民に向かって振った。
しかし、皮膚が硬質化しているのか、住民は剣を跳ね返した。
落馬した騎士は他の騎士に助けられ、その場を急いで去った。
その間に、現われた大勢の住民達でメインストリートがあふれた。
アーサーは決断してメイナードに指示した。
「メイナード。私の体を槍で突いて、私の血を槍につけて住民達に刺してください。あなたは世界一の槍の名人です。槍のわずかな切っ先で突くことができるはずです。」
「王子様。御身に向かって槍を突くなど、臣下としてはとてもできません。お許しください。」
「お願いします。これしかないのです。私の英雄の血で、できる限り多くの住民を助けたいのです。私はおばあさんを守っていますから。」
アーサーのとても真剣な顔を見て、メイナードは決心した。
「王子様。左腕を前にお出しください。失礼します。申し訳ありません。」
メイナードは自分の気を最大限に整えると、アーサーの左腕に向かってやりを突いた。
槍はほんのわずかな切っ先だけアーサーの体に刺さった。
メイナードはすぐに槍を引き抜くと、回りを取り囲んでいた住民達1人1人を槍で突いた。
名人の槍は硬質化された皮膚を貫通した。
すると、英雄の血が体内に入った住民達は苦しみ始め、倒れ始めた。
しばらくすると、効果がなくなった。
「王子様。王子様の血の効果がなくなりました。」
「また私を刺してください。遠慮はいりません。早くお願いします。」
「御意。申し訳ありません。」
メイナードは再びアーサーの左腕を槍で刺すと、再び住民達を刺し始めた。
それは長い時間、何回も続き、最後には血を抜きすぎて、アーサーはフラフラになり倒れそうになった。
一方、住民達は王都キプロ全体から数万人が集まっていた。
「王子様。御指示に背きます。もうこれ以上はお命が危険になります。私にはもうできません。」
「メイナード。ありがとうございました―――― 普段からもっと食事を多くとって、体重を増やしておけばよかったですね―――― 」
アーサーは老婆を守るような体勢を続けようとしたが、崩れ落ちて倒れてしまった。
メイナードは槍をその場に捨てた。
そして、素手で住民達が殺到するのを防ぎ始めた。
「こういうような状況では、槍使いは役立たずだな。」
恋人の姿が浮かんだ。
「フレイヤ。悪い、私は数秒でも指命を果たして死んでいく。」
その時だった!
「いと巨大な力をもつ時間の神よ。いにしえから誰の命にも従わなくても、我には従え。我は魔女の中の魔女、真実に至る魔女クリスタの娘にして、その名を継ぐ者クラリス。我が言うことが真実。 」
「命ずる! 時間を止める鐘よ鳴れ! 」
ゴーン、ゴーン、ゴーン
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