覇気ある公爵令嬢は愛を叫ぶ

クリス

軍の大隊長のクリスにも同様の手紙が届いていた。


｢ふうん１週間後か｣

正直な話、クリスにはどうでも良かった。

歳上の女性がタイプのクリスは、同じ歳のナタリーに興味はあったものの


公爵家の時期当主には興味はなかった。


｢そそる身体だけど....｣


堅苦しいの嫌いなんだ。と心の中でため息をつく。

エルサレムもクリスも女性からモテないわけではないし
クリスも貴族の出で、お金には不自由していない。

大隊長になったのだってたまたま運が良かっただけの話だ、と心の中に思うクリス。

事実、クリスの運の良さではなく本人の実力なのだが周りはそれをクリスに言えないのである。


一度その事を口にした他の隊員から話を聞くと
酷く切ない顔をした様子のクリス。

それ依頼、クリスには隊員が言うことはなくなった。


クリスの私室に飾ってある写真に語りかける。


｢君を忘れることが出来たらどんなに楽だろう｣


大隊長になったクリスに見合いの手紙がわんさか来る。

若くて優秀な大隊長のクリス。
甘めなフェイスのギャップに惹かれる女性は多くいた。

そんな夫の伴侶になりたいと年下の女性を紹介されるも、軍の過酷さに耐えられる女性は少ない。

しかも大半が甘やかされたお嬢様だ。

歳上でも未亡人だったり、遊びの相手とするには
付かず離れずの距離を心得ているばかりの女性だったりする。

その中で、一番の武家であり
政略結婚の相手となる公爵令嬢を選んだのは
都合が良かったから。

｢クロレッチ家に行く｣それだけで
見合いの手紙が止まったのも事実。


｢行くだけ行ってみるさ｣


そう一人ぽつりと呟くと

クリスは私室を出て夜の走り込みをする。