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1 ルーンカレッジ編
047 ヴァルハラ祭 〜魔法闘技大会1
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ジルはレニとともに、魔法闘技大会の会場に入った。
「次は先輩の番ですね! サイファーさんに続いて頑張ってください」
となりのジルが何も言わずに頷く。
魔術師クラスは魔法戦士クラスよりも学生の数が多く、層が厚い。大陸の魔術師の最精鋭を養成する看板コースである。いくら才能が認められているとはいえ、まだ中級クラスの1年であるジルは必ずしも鉄板の優勝候補というわけではない。上級クラスには油断のならない使い手が何人もいるのである。
「先輩のこと信じてます! 怪我だけはしないように気をつけてください」
レニの激励を背中で聞きつつ、ジルは控室に向かった。誰かに心配されるのも悪くない気分だ。
控室に入ると、すでに参加する選手たちが6割がた集まっていた。基本的に選手は魔術師コースの学生であるため、ジルの見知った顔も多い。その1人は、かつてジルの指導生であったセードルフである。セードルフはジルを見ると露骨に顔をしかめた。ミアセラが「嫉妬深くて姑息」と評した所以である。
「ジル! お前もこの大会にエントリーしていたのか……。この頃活躍しているようだが、この大会を甘くみないことだ。そこらの冒険者などよりも、このカレッジの学生の方が手強いことを思い知らせてやる。かつての俺だと思うなよ」
「……お手合わせするのを楽しみにしています、先輩」
「!?」
何を勘違いしたのか、セードルフは鬼のような形相となって戻っていった。おそらくジルに侮られたと思ったのだろう。
ジルにとってセードルフとのことは気の重いことであった。一応学園の先輩であり、確かにかつては指導生であったわけであるから、そう邪険にはできない。しかしこうも会う度に突っかかられるのでは、気が滅入るというものである。
「さっそくセードルフとやりあったのね」
ふふ、と笑いながら近づいてきたのはミアセラである。
「べつにやりあったわけでは……」
ジルは心外な顔をする。
「だめですよ、あんな言い方をしたら、彼にとっては喧嘩を売られたも同然ですから。余計ないざこざを防ぎたかったら、相手の立場も考えてみないと」
歳上のミアセラがジルに忠告する。
「……」
ジルはセードルフなどにいちいち煩わされたくなかった。
「面倒なことを避けたいなら、それなりの努力も必要なのですよ」
「……今度から気をつけてみます」
ジルも認めざるを得ない。この程度でいちいち気が滅入っていては、陰謀渦巻く宮廷では生きていけないだろう。
「選手のみなさんはこちらにお集まり下さい。判定に必要な装置を取り付けさせていただきます」
大会の係員が選手を大声で呼ぶ。魔法によるダメージをポイント換算する魔法の装置である。拳大よりも小さな四角い装置で、選手たちの腰のところに取り付けられる。この装置により、受けたダメージのポイントが、競技場のディスプレイに表示されるようになっている。
魔法闘技大会の会場は、魔術師コースの授業で使用される特別な結界が張られたドームである。このドームの中では結界により、使用される魔法の威力が20分の1に抑えられる。これはファイアーボールやライトニングボルトなど、危険な攻撃魔法を授業で練習できるようにするためである。
大会では、特別な判定装置を選手にとりつけ、被ったダメージを20倍に、つまり結界で弱められる前の通常のダメージに換算してカウントする。相手のポイントを合計100ポイントにした方が勝ちとなるのである。
係員から対戦の組み合わせ表が渡される。ジルの名前はA組の第三試合に記されていた。剣闘大会と同じく、この魔法闘技大会も選手は、Aの山8名、Bの山8名の計16名になっている。表を見ると、Aの山の第一試合にセードルフが入っている。もしセードルフが勝ち進めばAの決勝で相対することになるだろう。Bの山にはミアセラがおり、順当にいけば彼女が勝ち進んでくるはずだ。
「次は先輩の番ですね! サイファーさんに続いて頑張ってください」
となりのジルが何も言わずに頷く。
魔術師クラスは魔法戦士クラスよりも学生の数が多く、層が厚い。大陸の魔術師の最精鋭を養成する看板コースである。いくら才能が認められているとはいえ、まだ中級クラスの1年であるジルは必ずしも鉄板の優勝候補というわけではない。上級クラスには油断のならない使い手が何人もいるのである。
「先輩のこと信じてます! 怪我だけはしないように気をつけてください」
レニの激励を背中で聞きつつ、ジルは控室に向かった。誰かに心配されるのも悪くない気分だ。
控室に入ると、すでに参加する選手たちが6割がた集まっていた。基本的に選手は魔術師コースの学生であるため、ジルの見知った顔も多い。その1人は、かつてジルの指導生であったセードルフである。セードルフはジルを見ると露骨に顔をしかめた。ミアセラが「嫉妬深くて姑息」と評した所以である。
「ジル! お前もこの大会にエントリーしていたのか……。この頃活躍しているようだが、この大会を甘くみないことだ。そこらの冒険者などよりも、このカレッジの学生の方が手強いことを思い知らせてやる。かつての俺だと思うなよ」
「……お手合わせするのを楽しみにしています、先輩」
「!?」
何を勘違いしたのか、セードルフは鬼のような形相となって戻っていった。おそらくジルに侮られたと思ったのだろう。
ジルにとってセードルフとのことは気の重いことであった。一応学園の先輩であり、確かにかつては指導生であったわけであるから、そう邪険にはできない。しかしこうも会う度に突っかかられるのでは、気が滅入るというものである。
「さっそくセードルフとやりあったのね」
ふふ、と笑いながら近づいてきたのはミアセラである。
「べつにやりあったわけでは……」
ジルは心外な顔をする。
「だめですよ、あんな言い方をしたら、彼にとっては喧嘩を売られたも同然ですから。余計ないざこざを防ぎたかったら、相手の立場も考えてみないと」
歳上のミアセラがジルに忠告する。
「……」
ジルはセードルフなどにいちいち煩わされたくなかった。
「面倒なことを避けたいなら、それなりの努力も必要なのですよ」
「……今度から気をつけてみます」
ジルも認めざるを得ない。この程度でいちいち気が滅入っていては、陰謀渦巻く宮廷では生きていけないだろう。
「選手のみなさんはこちらにお集まり下さい。判定に必要な装置を取り付けさせていただきます」
大会の係員が選手を大声で呼ぶ。魔法によるダメージをポイント換算する魔法の装置である。拳大よりも小さな四角い装置で、選手たちの腰のところに取り付けられる。この装置により、受けたダメージのポイントが、競技場のディスプレイに表示されるようになっている。
魔法闘技大会の会場は、魔術師コースの授業で使用される特別な結界が張られたドームである。このドームの中では結界により、使用される魔法の威力が20分の1に抑えられる。これはファイアーボールやライトニングボルトなど、危険な攻撃魔法を授業で練習できるようにするためである。
大会では、特別な判定装置を選手にとりつけ、被ったダメージを20倍に、つまり結界で弱められる前の通常のダメージに換算してカウントする。相手のポイントを合計100ポイントにした方が勝ちとなるのである。
係員から対戦の組み合わせ表が渡される。ジルの名前はA組の第三試合に記されていた。剣闘大会と同じく、この魔法闘技大会も選手は、Aの山8名、Bの山8名の計16名になっている。表を見ると、Aの山の第一試合にセードルフが入っている。もしセードルフが勝ち進めばAの決勝で相対することになるだろう。Bの山にはミアセラがおり、順当にいけば彼女が勝ち進んでくるはずだ。
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