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1 ルーンカレッジ編
049 ヴァルハラ祭 〜魔法闘技大会3
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自分の試合が近づいてきたので、ジルも腰を上げ、競技場へと向かうことにする。次の試合の選手は、競技場の端で前の試合が終わるのを待つ決まりである。
第二試合は、ファイアーエレメンタルを召喚した学生が相手に継続的なダメージを与え続け勝利した。ファイアーエレメンタルは第二位階に位置し、召喚魔法としては最もレベルの低い魔法である。召喚魔法は詠唱時間が長く、召喚した後も幻獣をコントロールするのに集中力を必要とする難しい魔法であるが、幻獣が顕現している限り継続して攻撃することができるというメリットがある。使いどころが難しいが、はまれば強い魔法である。
第一試合に比べ珍しい魔法が見られたことで、会場は盛り上がっていた。ジルはこの雰囲気のなかで、試合へと臨む。
相手は上級クラス2年のマールである。セードルフと親しく、よく一緒にいる上級生である。以前セードルフが指導生だった頃、ジルも何度か会ったことがある。ジルがセードルフと勝負した時に現場にいた数少ない人間であり、ジルの力をよく知っている。
「ビーー!」
ブザーとともに試合が始まった。ジルは試合を長引かせる気はない。小さな魔法を連発するのではなく、強力な魔法によって試合を一気に決するつもりだ。ジルとマールが同時に詠唱へ入る。
ジルがセードルフを倒した時、フレアの魔法を使っていたのをマールは知っている。マールは自分にも火属性の魔法を使ってくる可能性が高いと考えていた。フレアか、ひょっとしたらジルのことだ、ファイアーボールかもしれない。そこでマールは賭けにでる。第二位階の魔法、プロテクションファイアを唱えることにしたのである。この魔法は火属性の魔法の威力を大きく減少させる防御魔法だ。
ジルはマールの魔法が先に完成したのを見た。しかし何も攻撃は飛んでこない。とすれば十中八九防御系魔法だろう。
ジルが唱えていたのは、第三位階のウインドスラッシュである。ウィンドスラッシュは「かまいたち」を利用した風系の単体攻撃魔法である。
これに対し火属性の魔法は派手な魔法であるが、プロテクションファイアなど様々な方法で対抗することができる。最も原始的な方法で言えば、服や鎧を水で濡らしておくだけで威力が大きく減少する。そのため火属性の魔法は注意しないと戦いの決め手とならない可能性がある。
またファイアーボールの本来の特性は範囲攻撃魔法であり、一度に大勢の敵にダメージを与えることに呪文としての意義がある。したがって、ファイアーボールは単体に対する攻撃力は必ずしも高くはなく、適切とは言えない。
ジルはこの点を考慮し、第三位階の魔法としては単体に対して最大級のダメージを与えるウィンドスラッシュを唱えたのである。しかも呪文を一部変更し、威力を上げている。
第二位階までの魔法は、魔法によって起こる現象も地味なものが多い。しかし第三位階の魔法ともなると、非常に派手なエフェクトが起こり、見る者を圧倒する。会場の目はジルが放つ魔法に集中していた。
呪文の完成とともに、ジルの周囲に2つの竜巻が発生する。そしてその竜巻の間から「かまいたち」が生まれ、マールへと襲いかかる。結界によって魔法の威力は20分の1になっているはずだが、それでも「かまいたち」はマールに強い衝撃を与え、その身体を吹き飛ばす。マールの身体は競技場の壁に叩きつけられた。
客席はその呪文の威力に、静まり返った。会場のディスプレイには、マールのダメージ量が110ポイントと示されていた。一撃での勝利である。
――レニは自分の目を疑った。
これまでの2試合では、一撃での勝利などなかった。それなのに……
「うわー、ジル先輩ってば派手ねー! 格好良いじゃない、ねえレニ!」
隣でメリッサが興奮している。身近な人間が強力な魔法を使ったので、自分が凄くなったように錯覚しているのかもしれない。
レニは、自分がこの人を指導生にすることが出来て本当に幸運だと思った。ジルという人間が、類まれな才能を持つ人間であることが誇らしかった。
第二試合は、ファイアーエレメンタルを召喚した学生が相手に継続的なダメージを与え続け勝利した。ファイアーエレメンタルは第二位階に位置し、召喚魔法としては最もレベルの低い魔法である。召喚魔法は詠唱時間が長く、召喚した後も幻獣をコントロールするのに集中力を必要とする難しい魔法であるが、幻獣が顕現している限り継続して攻撃することができるというメリットがある。使いどころが難しいが、はまれば強い魔法である。
第一試合に比べ珍しい魔法が見られたことで、会場は盛り上がっていた。ジルはこの雰囲気のなかで、試合へと臨む。
相手は上級クラス2年のマールである。セードルフと親しく、よく一緒にいる上級生である。以前セードルフが指導生だった頃、ジルも何度か会ったことがある。ジルがセードルフと勝負した時に現場にいた数少ない人間であり、ジルの力をよく知っている。
「ビーー!」
ブザーとともに試合が始まった。ジルは試合を長引かせる気はない。小さな魔法を連発するのではなく、強力な魔法によって試合を一気に決するつもりだ。ジルとマールが同時に詠唱へ入る。
ジルがセードルフを倒した時、フレアの魔法を使っていたのをマールは知っている。マールは自分にも火属性の魔法を使ってくる可能性が高いと考えていた。フレアか、ひょっとしたらジルのことだ、ファイアーボールかもしれない。そこでマールは賭けにでる。第二位階の魔法、プロテクションファイアを唱えることにしたのである。この魔法は火属性の魔法の威力を大きく減少させる防御魔法だ。
ジルはマールの魔法が先に完成したのを見た。しかし何も攻撃は飛んでこない。とすれば十中八九防御系魔法だろう。
ジルが唱えていたのは、第三位階のウインドスラッシュである。ウィンドスラッシュは「かまいたち」を利用した風系の単体攻撃魔法である。
これに対し火属性の魔法は派手な魔法であるが、プロテクションファイアなど様々な方法で対抗することができる。最も原始的な方法で言えば、服や鎧を水で濡らしておくだけで威力が大きく減少する。そのため火属性の魔法は注意しないと戦いの決め手とならない可能性がある。
またファイアーボールの本来の特性は範囲攻撃魔法であり、一度に大勢の敵にダメージを与えることに呪文としての意義がある。したがって、ファイアーボールは単体に対する攻撃力は必ずしも高くはなく、適切とは言えない。
ジルはこの点を考慮し、第三位階の魔法としては単体に対して最大級のダメージを与えるウィンドスラッシュを唱えたのである。しかも呪文を一部変更し、威力を上げている。
第二位階までの魔法は、魔法によって起こる現象も地味なものが多い。しかし第三位階の魔法ともなると、非常に派手なエフェクトが起こり、見る者を圧倒する。会場の目はジルが放つ魔法に集中していた。
呪文の完成とともに、ジルの周囲に2つの竜巻が発生する。そしてその竜巻の間から「かまいたち」が生まれ、マールへと襲いかかる。結界によって魔法の威力は20分の1になっているはずだが、それでも「かまいたち」はマールに強い衝撃を与え、その身体を吹き飛ばす。マールの身体は競技場の壁に叩きつけられた。
客席はその呪文の威力に、静まり返った。会場のディスプレイには、マールのダメージ量が110ポイントと示されていた。一撃での勝利である。
――レニは自分の目を疑った。
これまでの2試合では、一撃での勝利などなかった。それなのに……
「うわー、ジル先輩ってば派手ねー! 格好良いじゃない、ねえレニ!」
隣でメリッサが興奮している。身近な人間が強力な魔法を使ったので、自分が凄くなったように錯覚しているのかもしれない。
レニは、自分がこの人を指導生にすることが出来て本当に幸運だと思った。ジルという人間が、類まれな才能を持つ人間であることが誇らしかった。
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