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2 動乱の始まり編
056 進級試験2
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「どうやって特訓すんのよ、ガストン?」
「ジル! お前毎日朝から魔法の特訓しているよな?」
「ああ……まさか」
ジルは嫌な予感がした。いや必ずしも嫌というわけではないのだが……。
「ジルとレニちゃんの朝練に俺も参加するんだよ。レニちゃんはいま初級だから、呪文の詠唱の練習が中心だろ? だったら俺も一緒にジルに教えてもらえば上手くなるはずだ!」
ガストンの考えとやらが予想通りだったので、ジルは一つ溜息をついた。
「別にお前の訓練に付き合うのは吝《やぶさ》かではないんだが、わざわざレニとの訓練で一緒にやることはないだろ?」
「そうよ! せっかくジルと2人で訓練できるのに、レニちゃんが可哀想じゃない」
イレイユがかなり余計な気を回す。
「い、いや……そういうことではないのだが」
イレイユは何か誤解しているのではないか、ジルは慌てて言った。
「朝早い時間に練習するのが効率良いからだよ! それにジル、昼間や夜だとお前の研究の時間を奪っちまうことになるんだぜ。それで良いのか?」
「うっ、そうだな……。一回で済むならそれにこしたことはないが……」
「あんた、そんなこと言って、ただレニちゃんに会いたいだけなんじゃないの?」
「ふふん、それは君の心が汚れてるから出てくる言葉だよ、イ・レ・イ・ユ!」
ガストンがおどけて言う。
結局ガストンの言うように、レニとの訓練にガストンも参加することになった。この場にいる誰もが、ガストンの言うことを額面通りに受け取ったものはいないのだが……。そしてこの事をレニに話した時、レニが一瞬嫌そうな顔をしたのは言うまでもない。
それから一週間、朝の訓練にガストンも参加した。当然第一位階のレニとは難易度が異なるわけだが、ジルを前にレニとガストンは並んで魔法発動までの時間を短縮する練習を行った。レニは少なくとも表面的には、ガストンが居ることに不満を表さなかった。ジルが親友の危機を救いたいという考えを尊重したのだろう。
ガストンは意外にも特訓中は真面目であった。むろんガストンのことだ、たまに軽口を叩くようなことはあるが、ジルに分からないところを問い、そして指摘されたことを真剣に改善しようとした。その熱意にはジルも感心せずにはいられない。さすがに実家の魔法塾を継ぐため、ルーンカレッジの卒業資格は何としても取らねばならないという使命感があるのだろう。
レニにとってもこれは悪くないことかもしれない。今までジルと2人だけで訓練をしてきたが、レニが今ひとつ訓練に集中しきれていないような雰囲気をジルは感じていた(これはレニの気持ちを察することができないジルに原因があるのだが)。しかし意外にもガストンが熱心に練習に取り組んでいるため、レニも感化されて集中力が増したようだ。
**
そして一週間後。
「ジル、今までありがとうな。おかげで大分詠唱が速くなった気がするよ」
ガストンは彼にも似ず、礼儀正しく礼を言った。実際ジルは、なんの見返りもなしに一週間も特訓に付き合っていたわけなので、礼ぐらいは言うべきだろう。
「いや、実際速くなってるよ。訓練でやった通りの力が出せれば、進級試験も問題ないはずだ」
「おう、ありがとな、ジル。それとレニちゃん、一緒に特訓してくれてありがとう!」
「いえ、こちらこそ勉強になりました。一緒に特訓してくれる方がいたほうが早く上達するような気がします」
レニの言葉は多分に社交辞令であろうが、真の気持ちが含まれていないわけではない。
「じゃあ、これからも朝練に参加しちゃおうかな~?」
「それはやめてください……」
レニは即座に冷たい声で返してしまった。
結局上級への進級試験は全員が無事通過した。ジルは余裕で、イレイユとルクシュは充分な成績で、そしてガストンはぎりぎりで合格したのである。ガストンが彼にしては優れた成績をあげたことに、ロクサーヌも驚いていた。
「ガスト~ン、やったじゃない」
ガストンの背中をパーン! と手で叩いて祝ったのはイレイユである。
「おう、これもジルのおかげだぜ。今日は俺が何でもおごってやるからよ!」
「やったー、今日はガストンのおごりだって~」
イレイユが便乗しておごりにあずかろうとする。
「おいっ、まて! お前らにはおごらないぞ!」
かなり慌てた口調でガストンが注意する
「ガストンさん、ありがとうございます」
「ルクシュまで……」
今日は皆で進級試験通過のお祝いをすることになりそうである。
「ジル! お前毎日朝から魔法の特訓しているよな?」
「ああ……まさか」
ジルは嫌な予感がした。いや必ずしも嫌というわけではないのだが……。
「ジルとレニちゃんの朝練に俺も参加するんだよ。レニちゃんはいま初級だから、呪文の詠唱の練習が中心だろ? だったら俺も一緒にジルに教えてもらえば上手くなるはずだ!」
ガストンの考えとやらが予想通りだったので、ジルは一つ溜息をついた。
「別にお前の訓練に付き合うのは吝《やぶさ》かではないんだが、わざわざレニとの訓練で一緒にやることはないだろ?」
「そうよ! せっかくジルと2人で訓練できるのに、レニちゃんが可哀想じゃない」
イレイユがかなり余計な気を回す。
「い、いや……そういうことではないのだが」
イレイユは何か誤解しているのではないか、ジルは慌てて言った。
「朝早い時間に練習するのが効率良いからだよ! それにジル、昼間や夜だとお前の研究の時間を奪っちまうことになるんだぜ。それで良いのか?」
「うっ、そうだな……。一回で済むならそれにこしたことはないが……」
「あんた、そんなこと言って、ただレニちゃんに会いたいだけなんじゃないの?」
「ふふん、それは君の心が汚れてるから出てくる言葉だよ、イ・レ・イ・ユ!」
ガストンがおどけて言う。
結局ガストンの言うように、レニとの訓練にガストンも参加することになった。この場にいる誰もが、ガストンの言うことを額面通りに受け取ったものはいないのだが……。そしてこの事をレニに話した時、レニが一瞬嫌そうな顔をしたのは言うまでもない。
それから一週間、朝の訓練にガストンも参加した。当然第一位階のレニとは難易度が異なるわけだが、ジルを前にレニとガストンは並んで魔法発動までの時間を短縮する練習を行った。レニは少なくとも表面的には、ガストンが居ることに不満を表さなかった。ジルが親友の危機を救いたいという考えを尊重したのだろう。
ガストンは意外にも特訓中は真面目であった。むろんガストンのことだ、たまに軽口を叩くようなことはあるが、ジルに分からないところを問い、そして指摘されたことを真剣に改善しようとした。その熱意にはジルも感心せずにはいられない。さすがに実家の魔法塾を継ぐため、ルーンカレッジの卒業資格は何としても取らねばならないという使命感があるのだろう。
レニにとってもこれは悪くないことかもしれない。今までジルと2人だけで訓練をしてきたが、レニが今ひとつ訓練に集中しきれていないような雰囲気をジルは感じていた(これはレニの気持ちを察することができないジルに原因があるのだが)。しかし意外にもガストンが熱心に練習に取り組んでいるため、レニも感化されて集中力が増したようだ。
**
そして一週間後。
「ジル、今までありがとうな。おかげで大分詠唱が速くなった気がするよ」
ガストンは彼にも似ず、礼儀正しく礼を言った。実際ジルは、なんの見返りもなしに一週間も特訓に付き合っていたわけなので、礼ぐらいは言うべきだろう。
「いや、実際速くなってるよ。訓練でやった通りの力が出せれば、進級試験も問題ないはずだ」
「おう、ありがとな、ジル。それとレニちゃん、一緒に特訓してくれてありがとう!」
「いえ、こちらこそ勉強になりました。一緒に特訓してくれる方がいたほうが早く上達するような気がします」
レニの言葉は多分に社交辞令であろうが、真の気持ちが含まれていないわけではない。
「じゃあ、これからも朝練に参加しちゃおうかな~?」
「それはやめてください……」
レニは即座に冷たい声で返してしまった。
結局上級への進級試験は全員が無事通過した。ジルは余裕で、イレイユとルクシュは充分な成績で、そしてガストンはぎりぎりで合格したのである。ガストンが彼にしては優れた成績をあげたことに、ロクサーヌも驚いていた。
「ガスト~ン、やったじゃない」
ガストンの背中をパーン! と手で叩いて祝ったのはイレイユである。
「おう、これもジルのおかげだぜ。今日は俺が何でもおごってやるからよ!」
「やったー、今日はガストンのおごりだって~」
イレイユが便乗しておごりにあずかろうとする。
「おいっ、まて! お前らにはおごらないぞ!」
かなり慌てた口調でガストンが注意する
「ガストンさん、ありがとうございます」
「ルクシュまで……」
今日は皆で進級試験通過のお祝いをすることになりそうである。
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