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予め店に断りを入れ、天晴組の警備は早い出勤なのだと伝えれば昼間に外へ出ることが許された。銀灰を男性従業員で、今朝の当番には通してもらったのだと嘘を並べれば疑われることもなかった。女豹倶楽部の方角へ歩き、牛車を拾う。銀灰によると胡桃の結婚式は城下ではなく常盤地区で行われるらしかった。有名な式場らしく、御者は調べずとも順路が分かったようだった。彼は緊張し、車内ではずっと無言で目が合えば笑みを寄越したがすぐさま俯いてしまった。声を掛けても気を遣わせるだけだろう。牛車に揺られ、車窓から入る風が乾涸びた感じのある弟の傷んだ毛先を撫でていく。靡くと柔らかう思え、姉の指先をうずうずと煽った。
「姉ちゃん」
近くの売店で買った飯を食わせれば彼の緊張はいくらか和らいだようだった。緊張と空腹が彼に酔いを与えているらしかった。しかしまだ緊張感を持った調子で呼ばれ極彩は首を傾げた。
「…色街で働いてるんすね」
銀灰は惑いながら訊ねた。今までの無言が別の意味を持ち始める。天晴組とのやり取りで情報がすぐ傍に居た彼にも漏れていた。
「うん」
姉弟の縁を切ると言い出すならば、首は縦にしか動かなかった。菖蒲に強いたことが跳ね返ってくる。曇らせたくない。姉と養父を失ったとしても彼には母親の恋人と杉染台の友人たちがいる。銀灰は一度唇を開いたが、何も言わず閉じてしまった。
「ごめんね、黙っていて」
風に遊ばれていた髪が振り乱される。
「姉ちゃんが身請けされちゃったらどうなる?」
「身請け制度はない店だよ。客と話して、少し痛いことするだけ」
吊目が丸くなる。
「痛くされるんすか?カラダは大丈夫なんすか!」
「痛くするのはわたしのほう。心配することないよ。色街の入口だし、休みもあるし、身体を売ってるところでもないし」
吊目が彷徨った。大丈夫だよ、ともう一度言った。傷んだ毛先が揺れ、極彩は彼の髪に噛み付きたくなった。
「なんだ…びっくりした」
「嘘吐いていてごめんね」
「それは全然気にしてないっすよ。…あの人は知ってるんすか。つきナントカさん…」
銀灰の声が低くなる。桃花褐のことらしかった。肯定すると、弟の眉間に珍しい皺が刻まれた。爛漫な彼には似合わず、その盛り上がった皮膚を押す。
「あの人はもう変なことしないよ」
「う…ん。うん」
手に毛先が掠れ、とうとうその髪に手櫛を通した。晴れやかさが戻り、弟は牛車の揺れにあやされ眠った、夜中に寝返りの物音が多かったが深く眠れていないらしかった。心地良い揺れに極彩もうとうとしかけたところで牛に引かれている籠が止まった。反動で膝から転がりそうな弟の肩を押さえる。銀灰は飛び起きた。御者が籠に通じる小窓を覗き、目で訴える。極彩が籠の外へ出てみると、牛の行く手を阻むように青年が立っている。喉を掻き捌き、庭に埋めたはずの寡黙な黒髪の男が刀に手を掛けている。
「どちらへ向かわれるんです」
抜刀の構えに入っている。返答次第では牛を斬り殺しかねない。極彩はその青年・紫煙の前に立った。
「仕事です」
「そんなはずはないでしょう。こちらに勤め先はありません」
「出張です」
牛車から銀灰が顔を出したらしく、紫煙の瞳の動きでその背後でのことを極彩は察した。殺気を帯び始めた青年の視界に入り込み、牽制する。
「城の者ではありませんね」
「色街の人です」
「外部で接触している記録はありません」
ぴしゃりと紫煙は再び籠へ意識を戻した。
「今まで尾けてでもいたというの」
「はい。初日から今日まで。貸家から加虐娘・女豹倶楽部への移動の間。帰りも然り」
紫煙を睨んだ。彼はその敵意を全く気にもせず感情のない双眸で女を見下ろす。
「いいじゃないですか、堅いコト言わずに」
忌々しい明るい声音が2人の外から聞こえた。極彩は驚いて振り返った。籠の上に人が乗っている。簾のようなさらさらの直毛が炎症の痕がある片目の前でそよぐ。刀を担ぎ、肩凝りを解消するみたいに打ち付けていた。その者は極彩に笑いかけながら籠の上で屈んだ。脅迫が大好きな天晴組の組長が籠に刀を突き立てはしないかと慎重になる。
「ですが条件がありますよ、姫様」
「組長殿」
呼んだだけなのか制したのかも分からないほど紫煙の声は無機質で、対照的に石黄はにこにこと極彩を高所から眺めていた。
「ひとつお手柄があったんですよ。この前の薬物、我々が調査しているものと成分が合致しましてね。しかも濃度も高い。姫様に任じていただいている案件とは違いましたが、ご協力していただけたとは」
白い袴を翻しながら石黄は地面へ飛び降りる。軽い身のこなしで負荷も感じさせず、極彩のもとへ近付いてきた。
「見逃して差し上げます、今日だけ。姉弟(きょうだい)水入らず…って言うんですか。信賞必罰が天晴組の標語ですからね。若様の弟御もよく口にしていらっしゃいますし」
紫煙の周りを羽虫の如く徘徊し、しかし澄んだ瞳は極彩を捉えたまま放さなかった。庭に埋まっているはずの青年は石黄を煩わしがっている様子もなかった。
「二公子は許可していません」
「側近殿、若様は柔軟に対応せよと仰せでした。側近殿にはどのようにお命じになったか分かりませんが、私にはそのようにお命じになりました。ここは私が持ちますよ」
「逃亡しないとは限りません。頭部が無事ならば生死は問わないと。ここで斬るのが賢明です」
柄を掛けた手に力が入っていた。石黄はふふんと笑ってその柄頭を押さえる。
「叩き斬ったら一撃で死んでしまいますよ。若様の意に沿わないとはどういうことか理解していただかないと。しかしそれは今ではありません。ね、姫様。どうぞ先をお急ぎくださいな。ですが逃亡は駄目ですよ、離れ家で預かっている片輪の子供が無事では済まなくなってしまいますからね。うっかり、客人が来た時に刺身にしてしまうかも知れません」
紫煙は無表情のまま自分から離れ背を向ける石黄を眺めていた。
「逃亡なんてしません」
「よい返事です」
「条件とは何ですか」
石黄の口元に勝ち誇ったような喜びが灯った。彼はずいと首を伸ばした。
「夜、相手してください」
耳元で囁かれる。紫煙の腰から下げた刀が小さく軋み、石黄は極彩から身を引いた。
「二公子は姫様に対して異性の過剰な接近を嫌っています。見つけ次第殺せと」
「仕事の慣れを確認しただけですよ、嫌だなぁ。ぼくのことは簡単にコロすなって、言われてるんでしょう?」
不気味な青年は肩を竦め紫煙に弁解した。
「弟御によろしくどうぞ」
別れ際に石黄は言った。極彩は肩越しに振り向いただけだった。鳥肌が止まらなかった。御者に謝り、籠に乗る。銀灰はじっと極彩を気にしていたため、笑みを返して誤魔化した。牛車が動き出す。車窓から石黄が手を振った。銀灰は彼に激しい嫌悪を示していた姉に気を遣いながらぎこちなく手を振り返す。極彩は一瞬たりとも窓を見ず、視界にすら入れなかった。春のはじまる温かい気温にもかかわらず寒気がして両腕を摩り合う。夜、相手してください。爽やかな物言いが鼓膜に粘り付いている。胃が引っ繰り返りそうで、息を整える。傍に座る弟が前屈みになって彼女を案じた。
「少し酔っちゃって」
「そっすか?」
銀灰は極彩の隣に移動し自身の膝を叩いた。
「姉ちゃん」
近くの売店で買った飯を食わせれば彼の緊張はいくらか和らいだようだった。緊張と空腹が彼に酔いを与えているらしかった。しかしまだ緊張感を持った調子で呼ばれ極彩は首を傾げた。
「…色街で働いてるんすね」
銀灰は惑いながら訊ねた。今までの無言が別の意味を持ち始める。天晴組とのやり取りで情報がすぐ傍に居た彼にも漏れていた。
「うん」
姉弟の縁を切ると言い出すならば、首は縦にしか動かなかった。菖蒲に強いたことが跳ね返ってくる。曇らせたくない。姉と養父を失ったとしても彼には母親の恋人と杉染台の友人たちがいる。銀灰は一度唇を開いたが、何も言わず閉じてしまった。
「ごめんね、黙っていて」
風に遊ばれていた髪が振り乱される。
「姉ちゃんが身請けされちゃったらどうなる?」
「身請け制度はない店だよ。客と話して、少し痛いことするだけ」
吊目が丸くなる。
「痛くされるんすか?カラダは大丈夫なんすか!」
「痛くするのはわたしのほう。心配することないよ。色街の入口だし、休みもあるし、身体を売ってるところでもないし」
吊目が彷徨った。大丈夫だよ、ともう一度言った。傷んだ毛先が揺れ、極彩は彼の髪に噛み付きたくなった。
「なんだ…びっくりした」
「嘘吐いていてごめんね」
「それは全然気にしてないっすよ。…あの人は知ってるんすか。つきナントカさん…」
銀灰の声が低くなる。桃花褐のことらしかった。肯定すると、弟の眉間に珍しい皺が刻まれた。爛漫な彼には似合わず、その盛り上がった皮膚を押す。
「あの人はもう変なことしないよ」
「う…ん。うん」
手に毛先が掠れ、とうとうその髪に手櫛を通した。晴れやかさが戻り、弟は牛車の揺れにあやされ眠った、夜中に寝返りの物音が多かったが深く眠れていないらしかった。心地良い揺れに極彩もうとうとしかけたところで牛に引かれている籠が止まった。反動で膝から転がりそうな弟の肩を押さえる。銀灰は飛び起きた。御者が籠に通じる小窓を覗き、目で訴える。極彩が籠の外へ出てみると、牛の行く手を阻むように青年が立っている。喉を掻き捌き、庭に埋めたはずの寡黙な黒髪の男が刀に手を掛けている。
「どちらへ向かわれるんです」
抜刀の構えに入っている。返答次第では牛を斬り殺しかねない。極彩はその青年・紫煙の前に立った。
「仕事です」
「そんなはずはないでしょう。こちらに勤め先はありません」
「出張です」
牛車から銀灰が顔を出したらしく、紫煙の瞳の動きでその背後でのことを極彩は察した。殺気を帯び始めた青年の視界に入り込み、牽制する。
「城の者ではありませんね」
「色街の人です」
「外部で接触している記録はありません」
ぴしゃりと紫煙は再び籠へ意識を戻した。
「今まで尾けてでもいたというの」
「はい。初日から今日まで。貸家から加虐娘・女豹倶楽部への移動の間。帰りも然り」
紫煙を睨んだ。彼はその敵意を全く気にもせず感情のない双眸で女を見下ろす。
「いいじゃないですか、堅いコト言わずに」
忌々しい明るい声音が2人の外から聞こえた。極彩は驚いて振り返った。籠の上に人が乗っている。簾のようなさらさらの直毛が炎症の痕がある片目の前でそよぐ。刀を担ぎ、肩凝りを解消するみたいに打ち付けていた。その者は極彩に笑いかけながら籠の上で屈んだ。脅迫が大好きな天晴組の組長が籠に刀を突き立てはしないかと慎重になる。
「ですが条件がありますよ、姫様」
「組長殿」
呼んだだけなのか制したのかも分からないほど紫煙の声は無機質で、対照的に石黄はにこにこと極彩を高所から眺めていた。
「ひとつお手柄があったんですよ。この前の薬物、我々が調査しているものと成分が合致しましてね。しかも濃度も高い。姫様に任じていただいている案件とは違いましたが、ご協力していただけたとは」
白い袴を翻しながら石黄は地面へ飛び降りる。軽い身のこなしで負荷も感じさせず、極彩のもとへ近付いてきた。
「見逃して差し上げます、今日だけ。姉弟(きょうだい)水入らず…って言うんですか。信賞必罰が天晴組の標語ですからね。若様の弟御もよく口にしていらっしゃいますし」
紫煙の周りを羽虫の如く徘徊し、しかし澄んだ瞳は極彩を捉えたまま放さなかった。庭に埋まっているはずの青年は石黄を煩わしがっている様子もなかった。
「二公子は許可していません」
「側近殿、若様は柔軟に対応せよと仰せでした。側近殿にはどのようにお命じになったか分かりませんが、私にはそのようにお命じになりました。ここは私が持ちますよ」
「逃亡しないとは限りません。頭部が無事ならば生死は問わないと。ここで斬るのが賢明です」
柄を掛けた手に力が入っていた。石黄はふふんと笑ってその柄頭を押さえる。
「叩き斬ったら一撃で死んでしまいますよ。若様の意に沿わないとはどういうことか理解していただかないと。しかしそれは今ではありません。ね、姫様。どうぞ先をお急ぎくださいな。ですが逃亡は駄目ですよ、離れ家で預かっている片輪の子供が無事では済まなくなってしまいますからね。うっかり、客人が来た時に刺身にしてしまうかも知れません」
紫煙は無表情のまま自分から離れ背を向ける石黄を眺めていた。
「逃亡なんてしません」
「よい返事です」
「条件とは何ですか」
石黄の口元に勝ち誇ったような喜びが灯った。彼はずいと首を伸ばした。
「夜、相手してください」
耳元で囁かれる。紫煙の腰から下げた刀が小さく軋み、石黄は極彩から身を引いた。
「二公子は姫様に対して異性の過剰な接近を嫌っています。見つけ次第殺せと」
「仕事の慣れを確認しただけですよ、嫌だなぁ。ぼくのことは簡単にコロすなって、言われてるんでしょう?」
不気味な青年は肩を竦め紫煙に弁解した。
「弟御によろしくどうぞ」
別れ際に石黄は言った。極彩は肩越しに振り向いただけだった。鳥肌が止まらなかった。御者に謝り、籠に乗る。銀灰はじっと極彩を気にしていたため、笑みを返して誤魔化した。牛車が動き出す。車窓から石黄が手を振った。銀灰は彼に激しい嫌悪を示していた姉に気を遣いながらぎこちなく手を振り返す。極彩は一瞬たりとも窓を見ず、視界にすら入れなかった。春のはじまる温かい気温にもかかわらず寒気がして両腕を摩り合う。夜、相手してください。爽やかな物言いが鼓膜に粘り付いている。胃が引っ繰り返りそうで、息を整える。傍に座る弟が前屈みになって彼女を案じた。
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