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群青の妻を、二公子がいうところの青年実業家の鼠の妻を、極彩は知っている。健気で可憐な娘である。彼女を平気で蔑ろにする二公子にも、裏切る群青にも腹が立った。
「詭弁でございます」
「うん、詭弁で、建前だね。でもそれが大事なのさ」
首輪と首の狭間から指が抜かれた。直後、紙を鷲掴まれるのだった。
「感情と社会的役割を分けるにはね、こんな都合のいいことはないよ。オレも、二公子であるという建前で、君のことも、訳の分からない子供のことも生かしているのだし。天藍としては……生まれたときのそのまま、空としての本音は、今すぐ殺してやりたいよ。君の周りをうろつく親無しの身売りガキなんて、その辺で野垂れ死ぬのがいいのさ。今すぐ大人と同じように大金をかき集めて、血税を納めてくれるって?そのうちに病気になるでしょうが。身売りしか生きる術のないクソガキじゃあね。洗朱風邪の次は何の病気が流行るの。そうでしょうが?オレは二公子・天藍をやっているからね。どんな野良ガキでも風月国じゃ保護し養育しきゃいけないよ。国益だからね。色街を取り締まっているお偉方が何人、ローブを脱いだ途端、懇ろな娼婦を抱え込んでると思ってるの。詭弁で結構。場面、場面で使い分けるのさ。それが賢さだよ、彩。いちいち突っ込んでいたらキリがないね、野暮だよ……白梅ちゃん」
二公子は彼女を突き放した。
「もう少し頭を冷やすといいよ。隣には草臥れたおじさんもいるから、寂しくないでしょう?まだ遊んでいたいけど、仕事があるからね。天藍としての仕事が」
極彩を弄んだ白い手袋を直しながら、天藍は牢を出ていった。全身の鈍い痛みが蘇る。熱くなる。錠の掛かる涼やかな金属の軋りが心地良いくらいだった。
思えばもうすぐ夏である。暑い日々がはじめるのだろう。けれど冷えたこの地下では実感のないことだった。
彼女は眠ることにした。疲弊していた。心身ともに。鞭で打たれれば体力を削られ、二公子と関われば精神力を磨り減られされる。寝床の固さなど些細なことだった。けれど深くは眠れない。痛みはあったが唇に起こる違和感が鬱陶しかったのだ。柔らかなものが何度も触れるのだった。しかし寝返りをうつには骨が痛む。とうとう彼女は目を開くに至った。つらく厳しい現実に帰ってこなければならなかった。だが身体はまだ
痛みながらも安らかな眠りに引き留めようとするのだった。口唇に張りつく蛭のようなものを恨むほかない。
花の匂いがした。ところが身のうちから薫るものではなかった。外から運ばれてくるものだった。彼女は肌に掠れる温度のない、だが冷えたものに気を散らすしかなかった。
「—さん」
聞き覚えのある声が甘えたような音吐を使うのが気持ち悪かった。
「何の用ですか」
上半身を起こせなかった。顔だけ向けた。背の高い眼鏡の男が立っている。暗い空間に色濃い影を纏っている。
「逃げましょう、—さん」
玻璃紙が小うるさい音を出す。相手は爆ぜそうなほど大きな花束を抱えていた。まるで葬儀中だとでもいうように、一本一本、そこから引き抜いて彼女の周りに添えていく。
「出ていってください」
だが彼女の話を聞こうともしなかった。花が供えられていくたびに、手負いの獣を思わせる荒い息吹が近付く。侵入者は身体を火照らせていた。鞭打ちにでも遭ったのだろうか?
「逃げよう。こんなところにいちゃ、また殺されちゃう」
この声は、そう語りかけはしなかったはずだ。慣れない口調に、痛む全身は寒気と微かな掻痒感を覚える。
「翡翠さんには関係のないことです。出ていってください」
喋るのも厄介だった、さらに彼女の割いた体力は無駄に終わる。大事そうに抱えられていた大きな花束は石の地面へと叩きつけられた。そして侵入者はまだ釈放されたわけではない囚人を抱え上げる。
「翡翠さん!よして。降ろしてください。刑が長引きます!」
身体が重い。怠い。痛い。熱い。だがそうはいっていられなかった。拒否は義務だった。
「—さん!—さん!姉さん!」
格子のほうへ行かなかった。壁を正面にすると、方向転換し跳び上がって蹴りを入れる。腕の中にいる極彩にも強い反動が襲いかかる。彼女は身を縮め、衝撃に耐えた。砂埃や粉塵をかぶる。古い壁が崩れていく。腫れは熱いが肝は冷えた。そして煙に咳き込んだ。身体に響く。
翡翠は蹴り崩した地上に彼女を押し上げた。外はまだ早朝というには薄暗かった。生い茂った雑草に這う。だが彼女は脱獄するつもりはなかった。牢へと戻るつもりだった。ところが翡翠はその間を与えはしなかった。自由はなかった。真下に見える地下牢に足を降ろすのと、尻が地面から離れるのはほぼ同時だったのだ。
「放して、翡翠さん……」
彼を見遣れば、表情はなく、双眸は虚ろで、妖しい光を携えていた。
「姉さん、帰ろう」
石の地面よりも緩やかな弾み方をした。草が2人分の体重を受けとめている。城にも無防備な場所があるらしい。その足取りは呑気だった。だが急停止する。極彩は放り出される本能的な不安に戦慄いた。けれどもぬかりはなかった。
「極彩様……」
まったく滑稽で奇妙な邂逅であった。何かしら抱いている2人が相対していた。
「極彩様」
血塗れの青年がそこに佇立している。襷掛けによって晒された腕には生まれて数週間といったうさぎがいる。白い毛にもはた迷惑な暗赤色がべったりとついている。赤色のうさぎというのが存在するなどと噂がたてば、その原因はここにあるだろう。
「極彩さま……」
満足げであった。返り血を浴び、痩せ痩けた顔には笑みが浮かんでいる。肌はそそけだち、荒れ果て、削げ落ちたような頬には影が落ちていた。落ち窪んだ目が眇められて、腕の中の汚れた毛並みを撫でた。彼は人を斬ってきたのだった。そしてそのまま帰ってきた。まだ街衢に人々が出ていない時間帯ではあるが、けれども無人というわけにはいかなかろう。彼等にも仕入れや仕込みや掃除というものがある。そのなかをやってきたのだ。
「極彩様」
極彩は自身が抱き上げられていることも忘れた。やはり彼は正気ではなかった。
「俺たちの子供です……」
あまりにも恐ろしい告白だった。恥ずべきことだった。彼にはたった一人しか見えていなかった。そしてそのために羞恥心を捨ててしまった。唯一視界に存在する女を支える男にもまったく気付いていないようだった。
「かわいい、俺たちの子供です」
うさぎは確かにかわいかった。だが群青はその点について分っていそうではなかった。一体彼には何が見えているのだろう。白い毛尨の軽量な、耳の長い子供について。
いたぞ!
群青はその大声を聞くや否や、突然、目蓋を下ろし、大きく傾いた。
「うさぎが……!」
極彩は潰されそうな小動物の身を案じ、前にのめる。だが毛に覆われた群青の子供だというのは、父親を蹴って軽快に着地した。群青の身体も地面に叩きつけられる前に受け止める手があった。天晴組の羽織を着た隠密と思しき装束の人物だった。小柄ながら、自身よりも大きな体躯を腕を膝で支えている。うさぎに人間の事情など関係はなかった。父親から逃げんばかりに跳んでいく。そして拾われる。
「なるほど、これが彩と群青の子供か。可愛いね。毛皮を剥いで、鍋で煮て、食べちゃいたいほどにね」
つい先程会ったばかりのような気もした。だがおそらく彼女が思うよりも長いこと時間が経っている。二公子だ。背後には天晴組の数人を侍らせていた。
「詭弁でございます」
「うん、詭弁で、建前だね。でもそれが大事なのさ」
首輪と首の狭間から指が抜かれた。直後、紙を鷲掴まれるのだった。
「感情と社会的役割を分けるにはね、こんな都合のいいことはないよ。オレも、二公子であるという建前で、君のことも、訳の分からない子供のことも生かしているのだし。天藍としては……生まれたときのそのまま、空としての本音は、今すぐ殺してやりたいよ。君の周りをうろつく親無しの身売りガキなんて、その辺で野垂れ死ぬのがいいのさ。今すぐ大人と同じように大金をかき集めて、血税を納めてくれるって?そのうちに病気になるでしょうが。身売りしか生きる術のないクソガキじゃあね。洗朱風邪の次は何の病気が流行るの。そうでしょうが?オレは二公子・天藍をやっているからね。どんな野良ガキでも風月国じゃ保護し養育しきゃいけないよ。国益だからね。色街を取り締まっているお偉方が何人、ローブを脱いだ途端、懇ろな娼婦を抱え込んでると思ってるの。詭弁で結構。場面、場面で使い分けるのさ。それが賢さだよ、彩。いちいち突っ込んでいたらキリがないね、野暮だよ……白梅ちゃん」
二公子は彼女を突き放した。
「もう少し頭を冷やすといいよ。隣には草臥れたおじさんもいるから、寂しくないでしょう?まだ遊んでいたいけど、仕事があるからね。天藍としての仕事が」
極彩を弄んだ白い手袋を直しながら、天藍は牢を出ていった。全身の鈍い痛みが蘇る。熱くなる。錠の掛かる涼やかな金属の軋りが心地良いくらいだった。
思えばもうすぐ夏である。暑い日々がはじめるのだろう。けれど冷えたこの地下では実感のないことだった。
彼女は眠ることにした。疲弊していた。心身ともに。鞭で打たれれば体力を削られ、二公子と関われば精神力を磨り減られされる。寝床の固さなど些細なことだった。けれど深くは眠れない。痛みはあったが唇に起こる違和感が鬱陶しかったのだ。柔らかなものが何度も触れるのだった。しかし寝返りをうつには骨が痛む。とうとう彼女は目を開くに至った。つらく厳しい現実に帰ってこなければならなかった。だが身体はまだ
痛みながらも安らかな眠りに引き留めようとするのだった。口唇に張りつく蛭のようなものを恨むほかない。
花の匂いがした。ところが身のうちから薫るものではなかった。外から運ばれてくるものだった。彼女は肌に掠れる温度のない、だが冷えたものに気を散らすしかなかった。
「—さん」
聞き覚えのある声が甘えたような音吐を使うのが気持ち悪かった。
「何の用ですか」
上半身を起こせなかった。顔だけ向けた。背の高い眼鏡の男が立っている。暗い空間に色濃い影を纏っている。
「逃げましょう、—さん」
玻璃紙が小うるさい音を出す。相手は爆ぜそうなほど大きな花束を抱えていた。まるで葬儀中だとでもいうように、一本一本、そこから引き抜いて彼女の周りに添えていく。
「出ていってください」
だが彼女の話を聞こうともしなかった。花が供えられていくたびに、手負いの獣を思わせる荒い息吹が近付く。侵入者は身体を火照らせていた。鞭打ちにでも遭ったのだろうか?
「逃げよう。こんなところにいちゃ、また殺されちゃう」
この声は、そう語りかけはしなかったはずだ。慣れない口調に、痛む全身は寒気と微かな掻痒感を覚える。
「翡翠さんには関係のないことです。出ていってください」
喋るのも厄介だった、さらに彼女の割いた体力は無駄に終わる。大事そうに抱えられていた大きな花束は石の地面へと叩きつけられた。そして侵入者はまだ釈放されたわけではない囚人を抱え上げる。
「翡翠さん!よして。降ろしてください。刑が長引きます!」
身体が重い。怠い。痛い。熱い。だがそうはいっていられなかった。拒否は義務だった。
「—さん!—さん!姉さん!」
格子のほうへ行かなかった。壁を正面にすると、方向転換し跳び上がって蹴りを入れる。腕の中にいる極彩にも強い反動が襲いかかる。彼女は身を縮め、衝撃に耐えた。砂埃や粉塵をかぶる。古い壁が崩れていく。腫れは熱いが肝は冷えた。そして煙に咳き込んだ。身体に響く。
翡翠は蹴り崩した地上に彼女を押し上げた。外はまだ早朝というには薄暗かった。生い茂った雑草に這う。だが彼女は脱獄するつもりはなかった。牢へと戻るつもりだった。ところが翡翠はその間を与えはしなかった。自由はなかった。真下に見える地下牢に足を降ろすのと、尻が地面から離れるのはほぼ同時だったのだ。
「放して、翡翠さん……」
彼を見遣れば、表情はなく、双眸は虚ろで、妖しい光を携えていた。
「姉さん、帰ろう」
石の地面よりも緩やかな弾み方をした。草が2人分の体重を受けとめている。城にも無防備な場所があるらしい。その足取りは呑気だった。だが急停止する。極彩は放り出される本能的な不安に戦慄いた。けれどもぬかりはなかった。
「極彩様……」
まったく滑稽で奇妙な邂逅であった。何かしら抱いている2人が相対していた。
「極彩様」
血塗れの青年がそこに佇立している。襷掛けによって晒された腕には生まれて数週間といったうさぎがいる。白い毛にもはた迷惑な暗赤色がべったりとついている。赤色のうさぎというのが存在するなどと噂がたてば、その原因はここにあるだろう。
「極彩さま……」
満足げであった。返り血を浴び、痩せ痩けた顔には笑みが浮かんでいる。肌はそそけだち、荒れ果て、削げ落ちたような頬には影が落ちていた。落ち窪んだ目が眇められて、腕の中の汚れた毛並みを撫でた。彼は人を斬ってきたのだった。そしてそのまま帰ってきた。まだ街衢に人々が出ていない時間帯ではあるが、けれども無人というわけにはいかなかろう。彼等にも仕入れや仕込みや掃除というものがある。そのなかをやってきたのだ。
「極彩様」
極彩は自身が抱き上げられていることも忘れた。やはり彼は正気ではなかった。
「俺たちの子供です……」
あまりにも恐ろしい告白だった。恥ずべきことだった。彼にはたった一人しか見えていなかった。そしてそのために羞恥心を捨ててしまった。唯一視界に存在する女を支える男にもまったく気付いていないようだった。
「かわいい、俺たちの子供です」
うさぎは確かにかわいかった。だが群青はその点について分っていそうではなかった。一体彼には何が見えているのだろう。白い毛尨の軽量な、耳の長い子供について。
いたぞ!
群青はその大声を聞くや否や、突然、目蓋を下ろし、大きく傾いた。
「うさぎが……!」
極彩は潰されそうな小動物の身を案じ、前にのめる。だが毛に覆われた群青の子供だというのは、父親を蹴って軽快に着地した。群青の身体も地面に叩きつけられる前に受け止める手があった。天晴組の羽織を着た隠密と思しき装束の人物だった。小柄ながら、自身よりも大きな体躯を腕を膝で支えている。うさぎに人間の事情など関係はなかった。父親から逃げんばかりに跳んでいく。そして拾われる。
「なるほど、これが彩と群青の子供か。可愛いね。毛皮を剥いで、鍋で煮て、食べちゃいたいほどにね」
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