猫は銃と魔法の荒野を往く ~魔人と呼ばれた男、妖精猫に転生す。異世界で振るうは、天魔の権能~

春古年

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<ガンスリンガー>

後始末と葬送

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「バリー、立てるか?」
「ああ、ジム済まねぇ。もうダメかと思ったぜ。えーと、猫の旦那、ホントに助かった。礼を言うよ」
ジムが手を貸し、腰を抜かし座り込んでいた御者を引き起こす。

「さて、日が暮れる前に、嫌な仕事を終わらせちまおう。悪いけど、バリーも手伝ってくれ」
「わかった」
そう言うと、ジムはうつむせで倒れている盗賊の一人をひっくり返し、仰向けに。
何をしている……成るほど、身ぐるみを剥ぐと云う事か。
まあ、奴らも他人の身ぐるみを剥ごうとして返り撃ちに成ったんだ、自業自得だな。

いや違う!?
ジムはナイフを取り出し、男の喉元に突き刺し、何やら抉る様な仕草。
勿論、相手は死体。
だが、ジムは淡々と作業をこなす様に見える。
死者を冒とくしている風では無い。

「ジム、さっきも言ったがワシは世情せじょううとい。何をしているんだ?」
「何って、これさ」
ジムが男の死体から抉り出したものを、そのままナイフの刃先に乗せて見せる。
「これは……魔力結晶」
大きさは小豆ほど、血にまみれているが恐らく無色だなこれは。

「そ、この世の生きとし生けるものすべてが持つものさ」
「それで、魔道具の素材にでもするのか?」

「ハハハ、まさか、そう言う悪趣味な奴も居ないでは無いが、そうじゃ無いよ。役所かフロンティアギルドに持って行くのさ。そうすれば、この魔力結晶を計測器にかけて魔紋を取って、お尋ね者の魔紋と照合してくれる。それで、お尋ね者なら賞金を戴けるって事さ。それと、仮にお尋ね者じゃ無くても、届け出る義務が有るんだ。それで、幾ばくかの賞金も戴ける」

「魔紋?」
「生きとし生けるものは、皆魔力を持つ。で、皆固有の魔力の紋様を持っているのさ。特殊な測定器を使って、特殊な技術を持った役人が、事件現場でその残留されている魔力の魔紋を取って手配するんだ」
魔紋とな……面白い。
その様な発想は前世では無かった。
確かに、魔力にはわずかに色合いの違いや、放つ量の強弱違いはある。
ある程度、感覚で判断は出来るが、その違いを正確に計測する術が有るとはな。
ワシの知らない魔道の技術か……実に興味深い。

「成るほど、ではワシも手伝おう」
「そうしてくれると助かる。何しろ、ほとんど旦那の獲物だからな」


一通りの作業を終える。
魔力結晶を抉り取り、金目の物を剥ぎ取る。
まあ、金目の物と言っても銃と弾薬、それと幾ばくかの金貨と銀貨。

その後の遺体は森の中へ投げ入れられた。
こうすれば、魔物どもが処分してくれるだろう。

そして、もう一人。
「タッドすまんな。俺が責任もって家族の元へ連れて行ってやるからな」
御者の男が、そう言いながら奴らに殺された男の喉元にナイフを突き刺し、魔力結晶を抜き取る。
あの魔力結晶を、あの男の家族の元に届けると云う事なのだろう。

盗賊共とは違い、男の亡骸は街道沿いに埋められ、石を盛り、森の出口付近に落ちていた木の枝で組んだ十字架を刺して、粗末な墓が作られた。
駅馬車の乗客も集まり、簡素な葬儀が行われる。

恐らく、あの男と親しい間柄なのはあの御者だけなのだろうが、あの亡くなった男は銃を手にしていた。
乗客達にとっても、身を挺して死んだ男を弔う気持ちは変わらんのだろう。

粗末で簡素では有るが、厳かな葬送。
男の魂は、幽世かくりよに向かい、輪廻の輪に戻ったであろう。

ワシは、前世の最後、どの様に送られたのであろうか……。
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