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<狙われた町と黒い沼>

オーガ、その巨体

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「ドウマさんも災難ですな。ゴブリン程度ならまだしも、オーガが五匹。この町も、もう終わりですな。クックック♪そうだ、あなたが今買われた債券、私が百万ドルで買って差し上げても良い。如何いかがですかな?クックック♪」

取り合えず、小男は無視し、ジムに問いかける。
「で、そのオーガとやらたおす手立ては?」
「強力な魔弾でも有れば、リンドヴルムと違ってたおせない相手じゃ無え。だが……今は、持ち合わせが無い。レナード、お前は?」
「まさか、オーガに風穴開ける程の大砲、休暇中の俺が持ってるわけ無いだろ」

小男が、「クックック♪」と、いやらしく、せせら笑う。

うむ、如何どうしたものか……。
リンドヴルムとやらと違って、魔弾でもたおせると言う事なら。
ワシの魔法が効かん訳が無い。
とは言え、こうも人前で、魔法を披露すると成ると……そうおいそれとは行かんな。

「そんな事より、オーガがこっちに向かってるんです。オーウェンの旦那、町長、早くみんなを避難させないとマズイですぜ!」
ケニーと呼ばれた若者が、思い出したかの様にそう急かす。

確か、町のゲートから此処ここまでは、一本道。
こっちに向かっておると言う事なら、そのオーガとやらの姿を拝めるか……。

「ジム、レナード、スマンが二人は、皆の避難を誘導してくれ。それと、町長、デュモンさん、それとドウマさんでしたな。あんたらも早く避難してくれ」
オーウェンがそう指示を出す。

「クックック♪オーウェンさん、私達はどうすれば良いのですかな?」
小男がからかう様に尋ねる。
「フン!勝手にしろ!」

うむ、避難しろと言われても、ワシにそんな気は無い。
まあ、ワシも勝手にさせて貰うとしよう。

集会所内の町民は、こぞって裏口へと向かう。
町のゲートはこの集会所の正面玄関に面しておるからな。

ワシはその人の流れに逆らい、戸口へと向かう。

グオォォーーー!
凄まじい雄叫。

既にかなり近く迄来ておる様だ。
雄叫び以外にも、バキバキ!と破壊音も聞こえる。

そして、戸口の外。
ヤツ等が居た。
立ち並ぶ木造の家屋の屋根よりもデカい。
確かに、トロール・ベアなぞ、アレに比べれば子供程度の大きさに過ぎんな。

「旦那は逃げ無えのかい?」
そう、ジムに呼び止められる。
「お前さん、皆の誘導は良いのか?」
「誘導も何も、みんな裏から逃げてったぜ。で……」

ジムは気を使ってか他に聞かれない様に、声を押し殺す。
「オレとしては、あれ程の魔力結晶を手に入れた程の旦那に期待してるんだが……どうだい?」
つまり、リンドヴルムをたおす程のと云う事か。
「そうだな……」
出来れば、目立たず始末したい所なんだが……さて、如何どうしたモノか。
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