猫は銃と魔法の荒野を往く ~魔人と呼ばれた男、妖精猫に転生す。異世界で振るうは、天魔の権能~

春古年

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<ヌアザの攻防>

ゴブリン共を誘導する

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荷馬車は敢えて、ゴブリン共が付かず離れず追って来れる様に、ゆっくりと走って居る。
ワシの俊敏な動きなら、走って追うのは容易たやすい。

夜陰に紛れ、並走しながらそっと近づいて行く。
当然、隠身かくりみを使って居るワシを見つけるなど、ジムの様な凄腕は早々居らん。
気付かれず、荷馬車の背後に付き、そしてそのまま飛び乗る。

荷馬車の荷は、やはり山積みのゴブリン共のむくろ
そのむくろを踏み越え、御者の背後に付く。

そして、ホルスターから十四年式を抜くと、敢えて、御者に聞こえる様にカシャ!と、コッキングノブを引く。
一瞬驚いて、後ろを振り返ろうとするその御者のこめかみに銃口を突き付け、耳元で囁く。
「後ろを向くな。声も出すな。命が惜しければ、ワシの言う通り動け」
そのワシの言葉に御者が頷く。

「うむ、良かろう。ならば、進路を西に向けろ」
荷馬車は町の東側に回ろうと、北東に向け走っている。
此処ここから西に向かえば、どうにか罠迄誘導できる筈だ。

「そ、そんな事をしたら……ゴブリン共に追いつかれちまう……」
「なら、馬を急がせればよかろう」
「こ、これだけのゴブリンの死骸を引っ張らせてるんだ。これ以上急がせたりしたら……う、馬が持た無え……」

背後から、左手を男の首に回す。
そして、人差し指の爪を伸ばし、男の首筋の薄皮をゆっくり切り裂いていく。
「貴様を始末するのにわざわざ銃を使うまでもない。このまま喉を切り裂いて、荷馬車から突き落とす事も出来るんだが?」
「ヒィッ!」
男が小さく声を上げる。
喉を切り裂かれ、荷馬車から突き落とされた後、未だ意識のあるままゴブリン共に食い殺されていく様でも思い浮かべておるのだろう。

ピシッ!と御者の男が鞭を振るい、馬車の進路が西へと方向を変える。
左右を護る様に並走していた男達の馬も、突然の方向転換に驚きいななく。

「オイ!ハイマン、どうした!方向が違うぞ!馬車を戻せ!」
並走する男達が御者に声を掛ける。
当然ワシが返事なぞさせん。
喉元に当てた爪を僅かに食い込ませる。
「ヒィッ!」

「オイ!テメエ!どう云う積りだ!」
バン、バン、バン!
業を煮やした男が、銃を抜き、空に向かって放つ。

「み、見逃してくれ、このままじゃアイツらに撃ち殺されちまう……」
御者が囁く様に懇願する。
「フッ、気にするな、威嚇だ。それに、揺れる馬上で撃った弾など、早々当たらんさ。まあ、こうやって、こめかみに銃口を密着させれば別だろうがな」
そう言いながら、十四年式の銃口を強く押し付ける。
「ヒィッ!」
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