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<ヌアザの攻防>

暴虐の女王

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キ、キキャァーーーー!

ワシの放った銃弾をその胸に受け、女王《クイーン》が甲高い咆哮を上げる。
だが、やはりこの大の刻印の弾丸をもってしても、一撃で致命傷を与えるに至らんか……。

そして、猛り狂った女王クイーンが、その巨大な手で、ワシよりも大きな岩を掴んで投げて来る。
当たれば間違いなく致命傷だろうが、避けるのは容易たやすい、差して驚異を覚える攻撃では無い……それが一つだけならな。

両手で、手あたり次第に投げて来る。
しかも、それだけでは無い。
あの、蜘蛛の様な足の先端にも、やや小さいが、器用な手の様な物が付いておる。
その足も使って次々に石を……ん!?

炎をまとった何かが無数にワシの傍に降り注ぐ。
「なんと!?ゴブリンだと!」

恐らく、我が子で有ろう、火が付き、のた打ち回るゴブリンも引っ掴み、岩と共にワシに向かって投擲してくる。
うむ、ジムやオーウェンがヤツ等の事を、知性も感情も無いと称しておったが、正にだな。

頭上からは降り注ぐ岩とゴブリン、そして、地上からも襲い掛かるゴブリンの群れ。
それらをかわしつつ、女王クイーンに向け引き金を引く。
ズドン、ズドン!

キキシャァーーーー!

一発は、女王クイーンの腹に、もう一発はヤツの蜘蛛の様な足の一本を吹き飛ばす。

ワシが放つ銃弾は効いてはおる様だが、貫けんか……。
「うむ、埒が明かんな」

女王クイーンが更にゴブリン共を、次々に投げ飛ばしてくる。
その内の何割かは、地面と衝突し、打ちどころ悪く、そのまま立ち上がる事も無い。
だが、何割かは、ワシの近くに上手く着地し、飛び掛かって来る。

咄嗟に銃を口に咥え、軍刀を抜き放ち、一閃して切り伏せる。

ゴブリン共を切り捨てるのは容易だが、しかし、死を恐れずワシに群がるゴブリン共のせいで、女王クイーンを狙う暇がない。
仮にその隙が有ったとて、あの巨体、どうやって致命傷を与えたモノか……。

大技を放てば、あれ程の敵と言えど造作も無い。
それに、此処ここは町の外だ。
放つ方向さえ間違えなければ、町にも被害を及ぼさん。
だが……観客が多すぎる。
さすがに、女王クイーン程の巨体を吹き飛ばす魔法を放てば、言い訳のしようも無い。

群がるゴブリン共を切り伏せながら、女王クイーンに目をやる。
銃弾を撃ち込んだ、胸と腹の傷が見に入る。

ドクドクと血が噴き出しておる。
死に至らしめるには及んでおらんが、軽傷と言う分けでも無い。
今一つ、威力が有れば……。

フッ、良い手を思い付いた。
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