異世界大正ロマン 帝都の魔導小町 ~悪魔なんて召喚しませんわ、猫を召喚しますの♪~

春古年

文字の大きさ
77 / 173
<大正:英国大使館の悪魔事件 解決編>

ローレンスさんの密命

しおりを挟む
「そうですわね……まず初めに、今回の事件ですけれど、主に三人の方が中心と成りますわ。一人は前大使閣下、一人は公使閣下、そして、もう一人のお方……ですわ。ですから、出来るだけ時系列に順序だててご説明しますわね」

「最初に前大使閣下のお話しですわ。そういえば、この中で前大使閣下にお会いになった事がお有りの方は、ストーカーさんだけかしら?」
「いえ、私も以前お会いしたことが有りますよ。とても物腰の柔らかい、温厚な方でした」
そう、上村さんが答える。
まあ、外務官僚ですものね。

「前大使閣下に付いては、関わった方々のお話しや、燃えてしまいましたけれど、書庫に納められていた蔵書を見ても、そのお人柄を偲ばれますわ。もっともオタクしゅみじんでは有られたみたいですけれど♪」
前大使閣下が所蔵していた魔導書は、全て偽物だったわ。
それは、間違って集められた物なんかじゃなく、敢えて、そういう物を集めていた。
ご自身の趣味が、まかり間違えば危険な物に成ると、わきまえていたから。

「話は三年程前にさかのぼりますわ。前大使閣下と、その特殊な趣味を共有なさっているお友達の皆さんが集まって、降霊会を定期的に催す事に成りましたの。まあ、降霊会と言っも、名の有る霊能者や魔術師を呼んで、術を見せて貰う程度の他愛もないものだと伺っていますわ」
「その特殊な趣味のお友達と言うのは、ローレンスの手帳に挟まれていた名簿のメンバーと言う事ですかな?」
「ええ、その通りですわ、ストーカーさん。もっとも、あの名簿に書かれていたお名前は、降霊会に参加されていた方々が名乗っていた、偽名、というかニックネームの様な物でしたけれど。因みに前大使閣下はダンテ・アリギエーリと、名乗って居られた様ですわ」
「神曲ですか……まあ、似合うかどうかはともかく、らしい選択ですな」

「お聞きした限り、その降霊会は前大使閣下の人柄もあって、当初は和気あいあいとしたもので有ったと。ですが、発足から一年ほど経って、前大使閣下がある白人の男性を連れて来られたとの事ですわ。恰幅が良く、少々横柄な人物でらしたと伺っていますわ。しばらくして、その人物が覆面をされて、参加する様に成ったとのこと。フフフ♪何か後ろめたい事でも思い付いたのかしら♪」
「確か、公使の自室の金庫から、白い覆面が発見されたと報告を受けているが……その人物が公使だと?」
「ええ、大使閣下。当時、降霊会に参加されていた方数人に、覆面を見て貰って確認が取れていると伺っていますわ」

「それで、お嬢さん。その前大使と、公使の特殊な趣味……降霊会と仰いましたかな。その降霊会とローレンス君の事件は何か関係が有るのですかな?」
「勿論ですわ、ですけれど、お話しは順序だてて♪」

「覆面の人物……公使閣下が降霊会に参加する様に成って、降霊会の様相が一変することに。次々に身なりの良い人物が参加される様に成って、降霊会と言うより、まるで社交界の様相でらしたと。前大使や古い参加者の方達は、皆さんウンザリされていたらしいですわ。そして……それから半年程経った頃、今から約一年半程前の話ですわね、前大使閣下がお亡くなりになったのは」
「覚えていますよ。突然、お倒れに成って……そして、そのまま……」
ストーカーさんが、しばし目を閉じ、思い返す様に、そう話す。

「その後、降霊会は公使閣下が、主催者を引き継ぎに成られた様なのですけれど……さらにおもむきが一変したと。何しろ、公使閣下の主催する降霊会では、アヘンを使っていたという話ですわ。勿論、アヘンは降霊会で使うだけでなく、その会員の皆様をお相手に御商売も」
「公使の自室から見つかった、例の帳簿はそのあきないの物と?」
「その様ですわ、大使閣下。公使閣下にとって、この降霊会は実に都合の良いものだったのでしょうね。前大使閣下だけでなく、当初から参加者されていた皆さんも、有力者の方達ばかり。ある種のステータス目当てのお金持ちの方達を呼び込むのは、簡単でしたでしょうし、しかも、降霊会と言う秘密を共有できる場、アヘンの即売会場としては、都合が良かったと思いますわ、とっても♪」

「ミス蘆屋、貴女あなたの仰り様は、公使が前大使の降霊会を乗っ取る為に近付いた、そして……その為に前大使を公使が……と。貴女あなたは、そうお考えに成っているのでは有りませんかな?だとすれば、公使が前大使を害したと云う、何か証拠の様な物はお持ちか?」
「いいえ、さすがに、一年と半年も前の事、わたくしはその様な証拠は持って居りませんわ。それに、そもそも前大使閣下の死を調べるのは私のお仕事では有りませんもの。どちらかと言えば、それは……大使閣下のお仕事なのでは?だからこそ、大使閣下はローレンスさんに調査を命じてらっしゃったのでは、有りませんの♪」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

慈愛と復讐の間

レクフル
ファンタジー
 とある国に二人の赤子が生まれた。  一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。  慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。  これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。  だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。 大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。  そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。  そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。  慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。  想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

処理中です...