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格闘ゲーム編10
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コンボで距離を離した忍さんはそのまま遠距離からのビーム攻撃を続けます。
相手は攻撃を避けながら忍さんに近付いき、ゲーム開始時と同じくらいの距離になりました。
同じ攻撃が何度も通用しないと思った忍さんは判定の強い攻撃を置いて一旦様子見をする事にしたようですが、相手はギリギリの所で攻撃を見極めてジャンプ攻撃からのコンボを決めてきました。
試合はどちらが勝ってもおかしくないジリジリとした緊迫状態に。
またもや近距離戦になりビームかフェイントかそれ以外の行動をするかの読み合いが発生しています。
忍さんのフェイントに相手がつられて前転をして忍さんが勝利――――と思ったらちょっとだけ相手の前転のタイミングが早いような気が。
――――何だか嫌な予感が横切ります。
相手は忍さんのフェイントを読んであえて早めに前転を出していて、忍さんのほんの少しのフェイントモーションの硬直を狙ってコンボを叩き込んだのです。
このまま相手は近距離で忍さんを逃さずに攻撃を続け、近距離が苦手な忍さんのキャラは倒されてしまいました。
「ああっ!? もう少しだったのに」
「おしかったね~」
「これで負けられなくなってしまいました……」
「そんな事よりほら、すぐに桜の出番だよ。切り替えていこ」
「そうですね。で、では行ってきます。シャンティは忍さん達と応援お願いします」
私は再び壇上に登りすぐに対戦が始まりました。
次の相手はトリッキーな技を使い行動が読めないタイプです。
攻撃も防御もそんなに強くないので一気に負ける事もあれば相手に何もさせずに一気に勝ちにも行ける、ようは安定しないギャンブルを続けるようなキャラですね。
そういう不真面目なキャラと対戦する時にする事は決まっています。
それは相手に真面目に付き合わない事。
相手が当たれば大きいくじ引きをしているような戦いをしているのにこちらが真面目に立ち回っていたては相手の思惑通りになってしまいます。
なので私は、相手が攻めてきた時は防御を捨ててこちらもくじ引きを引くような動きをする事にしました。
―――――そして、お互いに好き勝手動く運試し大会が始まり、ハチャメチャな展開になりながらも何とか勝利を手にするのでした。
という事で決勝まで進んだ私は最後の準備が終わるまで忍さん達の元に戻る事にしました。
「な、なんとか勝ちました……」
「大会でやるようなプレイじゃないわね……」
「忍さん。そうは言ってもあのキャラ相手だと仕方ないです」
「まあ確かに私もあのキャラ相手だとちょっと荒ら目な感じになるとは思うけど」
「それより忍さん。忍さんに勝った相手はどんな感じでしたか?」
「どんな……って言われても速いキャラをいい感じに使いこなしてたって感じだったかな。コンボも難しいのを決めてたしかなり器用だと思う」
「なるほど。体力に余裕があっても注意した方がいいかもしれませんね」
「頑張りなさいよ? それに負けても事情を話せば景品受け取りを待ってくれると思うからそんなに気負わなくてもいいと思うし」
「大丈夫です。私には秘密兵器がありますから」
「秘密兵器?」
私はカバンからアーケードコントローラーを取り出して膝の上に乗せて忍さんに見せました。
「これです!」
「あれ? 桜ってパッド派じゃなかったっけ?」
「実は店長から借りてちょっと練習してました。こっちの方がやりやすい事もあるので――――」
「ふ~ん? ……って、もしかしてそれ連射とかマクロとか仕込んでないでしょうね?」
「忍さん。いくら私でもそこまではしません……」
「ほんと~にぃ? だってこの前――――」
私達の会話を決勝の準備が終わったとの会場アナウンスが遮りました。
「では、行ってきます!」
「それじゃ。私はここから応援するから。シャンティはどうする?」
「ボクもここから見てるよ」
「頑張るんだよ~」
忍さん、シャンティ、アルティの声援を受けながら私は最後の決戦の地へと赴きました。
最後の対戦相手は青いパーカーを着た人物で、フードを深く被って顔を隠していま―――――。
…………おや? そういえばこの人どこかで見た記憶があるような。
私はささっと対戦相手の前に移動して顔を下から覗き込んで確かめる事にすると、そこには。
「ああ~っ!?」
「…………? ああ。なんだお前か」
飛行機事故を一緒に解決した少女の姿がありました。
「パーカーさん!?」
「……誰だそいつは?」
そういえばあの時は名前も聞かずにお別れしてしまったのでした。
「えっと。その……」
今聞くのもなんですしどうしたものかと考えていると、壇上の上のモニターにトーナメント表が表示されていたのでそこでパーカーさんのエントリーネームが目に入りました。
「カズキ……さん?」
「私の名前に何か問題でもあるのか?」
「い、いえ。前に会った時は名前を聞いて無かったので」
「そういえばあの時はバタバタしてたから、そんな暇なかったかもな」
「で、ではカズキさんと呼んでもいいですか?」
どう見ても本名では無いただのエントリーネームなのですが、それでもあの時出会った時に聞けなかった名前が知れました。
「好きにしろ、桜」
「ええっ!? ど、どうして私の名前を!?」
「お前と同じ方法だよ」
私はカズキさんの視線の先を見てみると、カズキさんの名前のちょうど反対側に私のエントリーネームがありました。
なるほど。どうやらこれを見て名前を知ってもらえたみたいですね。
ふふっ。お互いに名前が知れてちょっぴり嬉しくなりました。
「それよりそろそろ対戦の準備をしないか?」
「っと、そうですね。すぐに用意します」
私はゲーム機にアーケードコントローラーを認識してからテーブルの上に置きました。
そして、少し喉が渇いたのでカバンから水筒を取り出して一口だけ飲んでからアケコンの上に置きます。
……ふぅ。これで準備は万端です。
キャラはお互いに今までと同じ、カズキさんはスピード特化で私は扱いやすいスタンダードキャラ。
ステージも選び終わり、後は開始のラウンドコールを待つだけになりました。
キャラとステージを読み込むNowLoadingの表示がいつもより長く感じます。
呼吸を1つした後、ロードの文字が消え画面にはお城を上空から見下ろした画面が出てきます。
そこからグイッとカメラが下がって城下にある町にズームして私達のキャラクターが画面に現れました。
相手は攻撃を避けながら忍さんに近付いき、ゲーム開始時と同じくらいの距離になりました。
同じ攻撃が何度も通用しないと思った忍さんは判定の強い攻撃を置いて一旦様子見をする事にしたようですが、相手はギリギリの所で攻撃を見極めてジャンプ攻撃からのコンボを決めてきました。
試合はどちらが勝ってもおかしくないジリジリとした緊迫状態に。
またもや近距離戦になりビームかフェイントかそれ以外の行動をするかの読み合いが発生しています。
忍さんのフェイントに相手がつられて前転をして忍さんが勝利――――と思ったらちょっとだけ相手の前転のタイミングが早いような気が。
――――何だか嫌な予感が横切ります。
相手は忍さんのフェイントを読んであえて早めに前転を出していて、忍さんのほんの少しのフェイントモーションの硬直を狙ってコンボを叩き込んだのです。
このまま相手は近距離で忍さんを逃さずに攻撃を続け、近距離が苦手な忍さんのキャラは倒されてしまいました。
「ああっ!? もう少しだったのに」
「おしかったね~」
「これで負けられなくなってしまいました……」
「そんな事よりほら、すぐに桜の出番だよ。切り替えていこ」
「そうですね。で、では行ってきます。シャンティは忍さん達と応援お願いします」
私は再び壇上に登りすぐに対戦が始まりました。
次の相手はトリッキーな技を使い行動が読めないタイプです。
攻撃も防御もそんなに強くないので一気に負ける事もあれば相手に何もさせずに一気に勝ちにも行ける、ようは安定しないギャンブルを続けるようなキャラですね。
そういう不真面目なキャラと対戦する時にする事は決まっています。
それは相手に真面目に付き合わない事。
相手が当たれば大きいくじ引きをしているような戦いをしているのにこちらが真面目に立ち回っていたては相手の思惑通りになってしまいます。
なので私は、相手が攻めてきた時は防御を捨ててこちらもくじ引きを引くような動きをする事にしました。
―――――そして、お互いに好き勝手動く運試し大会が始まり、ハチャメチャな展開になりながらも何とか勝利を手にするのでした。
という事で決勝まで進んだ私は最後の準備が終わるまで忍さん達の元に戻る事にしました。
「な、なんとか勝ちました……」
「大会でやるようなプレイじゃないわね……」
「忍さん。そうは言ってもあのキャラ相手だと仕方ないです」
「まあ確かに私もあのキャラ相手だとちょっと荒ら目な感じになるとは思うけど」
「それより忍さん。忍さんに勝った相手はどんな感じでしたか?」
「どんな……って言われても速いキャラをいい感じに使いこなしてたって感じだったかな。コンボも難しいのを決めてたしかなり器用だと思う」
「なるほど。体力に余裕があっても注意した方がいいかもしれませんね」
「頑張りなさいよ? それに負けても事情を話せば景品受け取りを待ってくれると思うからそんなに気負わなくてもいいと思うし」
「大丈夫です。私には秘密兵器がありますから」
「秘密兵器?」
私はカバンからアーケードコントローラーを取り出して膝の上に乗せて忍さんに見せました。
「これです!」
「あれ? 桜ってパッド派じゃなかったっけ?」
「実は店長から借りてちょっと練習してました。こっちの方がやりやすい事もあるので――――」
「ふ~ん? ……って、もしかしてそれ連射とかマクロとか仕込んでないでしょうね?」
「忍さん。いくら私でもそこまではしません……」
「ほんと~にぃ? だってこの前――――」
私達の会話を決勝の準備が終わったとの会場アナウンスが遮りました。
「では、行ってきます!」
「それじゃ。私はここから応援するから。シャンティはどうする?」
「ボクもここから見てるよ」
「頑張るんだよ~」
忍さん、シャンティ、アルティの声援を受けながら私は最後の決戦の地へと赴きました。
最後の対戦相手は青いパーカーを着た人物で、フードを深く被って顔を隠していま―――――。
…………おや? そういえばこの人どこかで見た記憶があるような。
私はささっと対戦相手の前に移動して顔を下から覗き込んで確かめる事にすると、そこには。
「ああ~っ!?」
「…………? ああ。なんだお前か」
飛行機事故を一緒に解決した少女の姿がありました。
「パーカーさん!?」
「……誰だそいつは?」
そういえばあの時は名前も聞かずにお別れしてしまったのでした。
「えっと。その……」
今聞くのもなんですしどうしたものかと考えていると、壇上の上のモニターにトーナメント表が表示されていたのでそこでパーカーさんのエントリーネームが目に入りました。
「カズキ……さん?」
「私の名前に何か問題でもあるのか?」
「い、いえ。前に会った時は名前を聞いて無かったので」
「そういえばあの時はバタバタしてたから、そんな暇なかったかもな」
「で、ではカズキさんと呼んでもいいですか?」
どう見ても本名では無いただのエントリーネームなのですが、それでもあの時出会った時に聞けなかった名前が知れました。
「好きにしろ、桜」
「ええっ!? ど、どうして私の名前を!?」
「お前と同じ方法だよ」
私はカズキさんの視線の先を見てみると、カズキさんの名前のちょうど反対側に私のエントリーネームがありました。
なるほど。どうやらこれを見て名前を知ってもらえたみたいですね。
ふふっ。お互いに名前が知れてちょっぴり嬉しくなりました。
「それよりそろそろ対戦の準備をしないか?」
「っと、そうですね。すぐに用意します」
私はゲーム機にアーケードコントローラーを認識してからテーブルの上に置きました。
そして、少し喉が渇いたのでカバンから水筒を取り出して一口だけ飲んでからアケコンの上に置きます。
……ふぅ。これで準備は万端です。
キャラはお互いに今までと同じ、カズキさんはスピード特化で私は扱いやすいスタンダードキャラ。
ステージも選び終わり、後は開始のラウンドコールを待つだけになりました。
キャラとステージを読み込むNowLoadingの表示がいつもより長く感じます。
呼吸を1つした後、ロードの文字が消え画面にはお城を上空から見下ろした画面が出てきます。
そこからグイッとカメラが下がって城下にある町にズームして私達のキャラクターが画面に現れました。
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