ゲームキャスターさくら

てんつゆ

文字の大きさ
109 / 128

人形列車 人形使い9

しおりを挟む
 バトル開始のアラートが鳴るとVRゴーグルに映る景色が一瞬にして真っ暗になり、再び映像が表示された時には、私はバトルフィールドに立っていました。

 最新テーマパークと言っても、個人に貸し出されるVRゴーグルはそんなに高性能な物ではありません。
 
 なのであんまり激しい動きをするクラスを使ったら、処理が追いつかずにフリーズしちゃうかも。

「桜。使うクラスは?」
「なるべくいろんな状況に対応出来て、処理の軽いので!」
「じゃあ、フェアリーナイトでいい?」
「オッケーですっ!」

 クラスを選択して私の服がフェアリーナイトの物になったのを確認してから、私はセーフティゾーンからバトルエリアへと足を踏み入れました。

 対面では、すでに戦う準備が終わったマリアさんが私を待ち構えています。
 
「やっと来たわね。マリア待ちくたびれちゃった」
「何でこんな事するんですか?」
「ひみつ。けど、マリアに勝ったら教えてあげる」
「じゃあ、すぐに説明してもらいます!」
 
 マリアさんの手には大き目の四角いカバンが1つあるだけで、武器らしい物は見当たりませんでした。

 あのカバンで殴る?
 ………………のは流石に無いとして。

 多分カバンの中に武器を隠してる感じですね。
 けど、なんでわざわざカバンに武器を隠してるんでしょうか?

 対戦が始まってからカバンから武器を取り出すくらいなら、最初から出してればいいのに。

 フィールドを確認すると、周辺には触れたら爆発する爆弾が沢山浮いていました。
 威力の高い攻撃で爆弾まで運ばれたら、ガードしてても爆風で大ダメージを受けてしまうから注意しないと。

 一応壁もありますが、薄くて攻撃を数回防いだら壊れちゃうくらいの耐久値しか無さそうなので、非常時の防御くらいにしか使えなそうです。

 マリアさんは最初にいる場所から全く動く気配がありません。
 
 もしかして、このままタイムアップまで動かない?
 …………いえ。流石にそんな事は無いはず。

 動きたく無いなら遠距離キャラで狙撃すればいいのに、そうしないって事は何か準備をしているのかも。

 だったら準備が終わる前にこっちから仕掛けるっ!!!!

「やああーーーーっ!」
 
 私は大剣を構えて突撃してマリアさんに斬りかかると、マリアさんはカバンを振り回す様にして私の斬撃を弾きました。

 バシンと予想以上に重さの乗った攻撃に大剣が弾き飛ばされそうになったのを、剣を握る手に力を入れてなんとか武器が無くなる事だけは回避。

「くっ」
「そんな大振りじゃマリアには当たらないわよ?」

 それにしてもカバンから武器を出すんじゃなくてカバンを振り回して攻撃してくるなんて。

 これはマリアさんはカバン振り回しマスターの可能性がありますね。

 ともかく今は中身に注意しながら戦わないと。

「もしかしてこれの中身が気になってる?」

 考えてる事が読まれちゃいました。

「ふふ。じゃあ頑張ってる桜に、特別に見せてあげる」

 私は何が出てきても対処出来る位の距離をとってから、壁に背を向けて後からの攻撃にも備えました。

「じゃーん」

 マリアさんはカバンの上についているロックを外すと、パカッとカバンが縦に開き、そのまま中身を私に見せつけるように見せてきたのですが…………。

「…………え!? 何も入ってない!?」

 その直後。
 後ろから急に大きな音が聞こえてきて、気付いたときには背中に強い衝撃を受け、私は前方に吹き飛ばされました。

 そして、私が吹き飛ばされた方向には浮遊する爆弾が。

「かはっ!?」

 爆弾に当たった瞬間。
 爆風で地上から30メートルくらい上空に吹き飛ばされ、そのまま私は受け身を取ることも出来ずに地面へと激突してしまいます。

 不意打ちとステージに配置されているダメージオブジェクトてのコンボで予想以上のダメージを受けてしまいました。

「どうしたの? 見たいって言うから、せっかく見せてあげたのに」
「べ、別に思ってただけで見たいとは言ってません!」
 
 私が不意打ちを受けた壁を見てみると、大きな穴が空いていて向こう側の景色が見えていました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!

ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。

MMS ~メタル・モンキー・サーガ~

千両文士
SF
エネルギー問題、環境問題、経済格差、疫病、収まらぬ紛争に戦争、少子高齢化・・・人類が直面するありとあらゆる問題を科学の力で解決すべく世界政府が協力して始まった『プロジェクト・エデン』 洋上に建造された大型研究施設人工島『エデン』に招致された若き大天才学者ミクラ・フトウは自身のサポートメカとしてその人格と知能を完全電子化複製した人工知能『ミクラ・ブレイン』を建造。 その迅速で的確な技術開発力と問題解決能力で矢継ぎ早に改善されていく世界で人類はバラ色の未来が確約されていた・・・はずだった。 突如人類に牙を剥き、暴走したミクラ・ブレインによる『人類救済計画』。 その指揮下で人類を滅ぼさんとする軍事戦闘用アンドロイドと直属配下の上位管理者アンドロイド6体を倒すべく人工島エデンに乗り込むのは・・・宿命に導かれた天才学者ミクラ・フトウの愛娘にしてレジスタンス軍特殊エージェント科学者、サン・フトウ博士とその相棒の戦闘用人型アンドロイドのモンキーマンであった!! 機械と人間のSF西遊記、ここに開幕!!

処理中です...