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第一章 柴イヌ、冒険者になる
第十四話 目指せランクアップ
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リリアンさんを見送ってモニカさんと二人でギルドに戻った後、オレは腹ペコだったもんで真っ直ぐキッチンへと行きました。
だけどご飯と交換しようと思ったお金が、ずいぶんと少なくなっているんです。
「注文お願いします!」
「はいよコテツさん、今日は何にする? いつものバーガー?」
「いいえ! お金がこれだけしかないのです。なのでこれ全部と交換できるご飯をください!」
「えっ? これだけ? うーん、これじゃあ何も買えないなあ……あ、骨付き肉の骨だけなら買えるよ! なんてな、あはは──」
「それでお願いしますっ!」
「い、いや、コテツさん、冗談なんだけど……」
「お願いしますっ!!」
「…………」
キッチンのコックさんはいつも親切です。お金の少ないオレにこんな素敵な骨を交換してくれました! しかし『なんかごめん……』と謝っていたのはなぜでしょうかね?
「ちょっ!? コテツさん、なに食べているんですかっ?」
「あ、モニカさん、これは骨です! 美味しいですよっ」
「そんなの食べたら駄目でしょ! お腹こわしますわよ?」
「大丈夫だと思いますけど? あ、でもウンコは真っ白になります!」
「だ、駄目ですっ、いつもの焼肉定食とかトリプルチーズバーガーとか、普通のものを食べて下さい!」
骨は普通じゃないのでしょうか? 確かに細かく砕かずに尖ったのを飲み込んでしまうと死にますが……
うぅむ、そうは言ってもお金ないですしねえ。
「え? お金がない? ならギルド依頼やりましょ? そうだわ、報酬でポイント貯めてランクアップすれば、リリアンと一緒の依頼も受けられるようにもなりますわよ」
「そうなんですか?」
「ええもちろん、Aランクまで上がるのは大変ですけれど……」
「じゃあ今回みたいな危険な時にも、リリアンさんとずっと一緒にいられるようになるんですね! ならオレ頑張ってランクアップしますっ!」
「そうですね……リリアンも喜ぶと思いますわ、頑張って!」
あれ? モニカさんが急に元気のない匂いになりました。どうしたのでしょう?
「モニカさん? なんだか元気ないですけど……この骨一緒に食べますか?」
オレがそう言って骨をすすめたら、モニカさんはなんだか驚いた顔をしました。骨ってそんなに変ですかね?
「コテツさんは本当に他人の感情に敏感なんですのねえ、ありがとう。でも大丈夫ですわ、なんだか私の悪い癖がまたでたなって思っただけですから」
「どんな癖ですか? 盗んだものを穴に埋めて隠すとか?」
「い、いえ、違います……」
オレが小首を傾げると、モニカさんはほんの少しだけ笑って話してくれました。
「私ね、自分が本当に欲しいものを簡単に譲ってしまう癖があるんですよね、小さな頃からずっとそうなんです。馬鹿みたいですよね」
「なんで譲ってしまうんですか?」
「なんででしょ? 多分、自分に自信がないから?」
そう言ってまた笑ったモニカさんは、笑っているのに寂しそうな匂いで一杯です。
「モニカさん、寂しいんですか?」
「えっ? どうして……」
「モニカさんが寂しいなんて駄目です、そんなのほっとけないですっ!」
「コテツさん?」
だからオレはモニカさんをなぐさめようと、口のまわりを沢山ペロペロしてあげました。
「ええっ? ちょっ、コテツさ……っ!?」
ペロペロ。
「あ、あっ……ああ~んッ! そんないきなりキスだなんてっ! し、しかもベロチューとか!……し、舌使いが上手すぎですうっ!」
「ベロチュー?」
「いやーん、もうたまりませんわッ! ああもう失敗した! 手を出さないとか約束しなきゃ良かったっ! てかリリアンなんかにこのイケメン絶対譲らねえ! コテツさんは私のものなんだからねっ」
「ちょ、ちょっとモニカさん? しがみつかないでください」
「イヤイヤん、もっとチューしてえっ!」
「チューってなんですかっ? なんか元気になったみたいだし、オレは掲示板で依頼を探したいんですが……」
仕方がないのでオレはリリアンさんをしがみつけたまま、掲示板に向かいました。
でも寂しそうな匂いはなくなったみたいなので良かったです! その代わり怪しい匂いがプンプンしますが……
オレはとりあえずEのつく依頼を端から全部引き受けることに決めました。
探しモノの依頼はまとめてやったほうが楽そうなので、六つ一気にやります。モニカさんは無理しないでと心配してくれましたが、「デキるオス」モード全開でやれば余裕でしょう!
お日さまが真上に来る頃にはネコが二匹におサルさんが一匹、小さな石のついた輪っかが一個に身分証が一つです。あと、おばあさんが一人ですね。全部見つけました。
「お前ニャンキチを捕まえた奴ニャろ! 評判の極悪イヌニャッ!」
「そうニャ! 人間の姿をしていると聞いたニャ! 嘘かと思ったニャがほんとにいたニャ!」
「ムキーッ! 人間みたいなイヌとか反則だっキッー! バナナ返せっキッー!」
「ヨシコさん、ごはんはまだかね?」
ああもう、ほんとにウルサイですねえ。早く依頼した人が来て連れて行ってくれればいいのに!
「ねえコテツさん、どうやってこんなに早く全部見つけてきたんです? ちょっと信じられないわ……」
「あ、モニカさん、これでランク上がりますか?」
「ええ、多分。次はDランクですよ、我がギルドの最短記録ですわね」
「わかりました! じゃあ今のうちに掲示板でDランクの依頼を探してきますっ」
このランクになると探しモノの依頼がありません。でも似た感じのが一杯あります。ヤクソウ探し──ヤクソウとはなんでしょうかね? この依頼の紙からは色々なクサい匂いがプンプンして気持ち悪いです。
「モニカさん、このヤクソウ探しってなんですか?」
「それは街の薬師の依頼ですね。薬に使う草が薬草ですよ。街の北十リーロ先にある森で探して採ってくるんです。慣れないとなかなか見つけられないし、ちよっと難しい依頼なんですけど報酬はいいですよ。採ってきただけ買い取ってくれるので、多ければ報酬もポイントも沢山貰えますわ」
クスリというのは知ってます! あの甘くて美味しいやつですね。でもあれを貰うには大嫌いなお医者さんに会わないとなりません……なんだか危険な香りのする依頼ですね。
「もしかしてオレを騙そうとしていませんか?……ウッキウキで草をとりに行ったらお医者がいるとか……」
「い、いえ? お医者はいませんわ。それは薬師の依頼ですから……」
「ならよかったです! モニカさん、この紙の中で一番ポイントが沢山貰えるのを教えてくださいっ!」
モニカさんは依頼を選んでくれました。その探す草がギルドの二階の倉庫にもあると、わざわざその匂いを教えてもくれたんです! モニカさんは優しいです。
というか、すごくクサいです……なんでしょうこの匂いは。あっ、あれに似ています! ご主人様がゆで玉子を沢山食べたあとにお尻からオレの鼻にプッスーぅっと吹きかけるイヤな匂いです。
「これクサいですね、イヤな匂いを思い出しました……」
「そうですか? 私には全然匂わないですけど……? このスカス草は匂いが無いから探すのが難しい薬草なんですよ? 回復ポーションの材料ですわね」
このイヤな匂いがわからないとは、モニカさんの鼻は大丈夫でしょうか? スカス草。一応名前を憶えておきましょう。
そのあと二人で一階に戻ってみると、あのウルサイ者どもは居なくなっていて、オレは依頼達成とランクアップを果たしていました。
「ではモニカさん! 草をとってきますね!」
「ええっ? じゅ、準備とかちゃんとして下さい! なかなか見つからないと森で二~三日過ごすことになるんですよ!?」
「大丈夫です! この貸してもらった大きな袋だけで準備万端ですっ。では行ってきますッ!」
モニカさんへの挨拶もそこそこで、オレが急いで出かけたのには訳があります。
実ははちょっと試してみたいことがあるんです。最近シナモン走りより人間の真似して走ったほうが、もしかして速く走れるのではないかという気がしてて……
こう考えること自体、イヌとしてどうかと思うのですが、おそらくこれも病気がそうさせているのでしょう。
とにかく人間走りを「デキるオス」モード全開で走ったら、どのくらいのスピードが出るのかが知りたいのです!
北の森へはほぼ真っ直ぐな道だそうで、走るにはまさにうってつけ!
なのでさっそく走ってみたのですが……
「のあああーっ! なにこれ速いっ、てか速すぎるうッ!」
我ながら信じられない速さでした……あの凶暴な速さの車というやつより速いです。
さすがに恐ろしいので普段はあまり使わないでおこうと誓いました。
それにしてもオレの身体は、なんだか普通じゃありません……
そんなわけであっという間に到着した北の森で、オレはスカス草の匂いを探しました。
匂いに関しては日常的に「デキるオス」モードのまま生活できるようになっているので、見つけるのは簡単です。
「てか、クっサッ!」
スカス草の匂いがあちこちからしてきますね、なんだかクサくて吐きそうです……
いや実際に吐きましたけどね! でもなんだかご主人様がお尻を向けて待っててくれている気もして、ちよっとだけワクワクしちゃいます! てか。
「オエーーっ」
でももう無理です。袋に満杯になったスカス草の強烈な匂いでめまいがしてきました。モード解除で嗅覚を弱めないことには帰えるまでに失神するでしょう……おえっ!
なんとか無事にギルドに戻れたオレは、モニカさんに採ってきたスカス草を渡しました。
「ほ、ほんとにこれ全部、コテツさんがいま集めてきたんですか?……」
「はいっ! 何度も吐いて集めました!」
「そ、そうですか……い、いや、でもっ! まだ日が沈んだばかりですよっ!? ありえないです……」
「これでCランクになれますか?」
「えっ? あ、はい。余裕でなれますけど……ちょ、ちょっと待って……理解が追い付かないわ……」
オレはCランクになれるようです! クサいのを我慢した甲斐がありましたっ!
やはり我慢はイヌの美徳ですね。
「でもこれって、報酬だけでもすごい金額になりますよ? おそらく四百万キンネくらいには」
「それってお金が沢山ですか?」
モニカさんはこれ専門で仕事をすれば大金持ちになれると、ギラギラした目でオレを見ていましたが、オレにはよくわかりませんでした。
でもこれでご飯の心配もなくなってほんとによかったです。
リリアンさんと同じAランクまで、まだまだオレは頑張りますよっ!
だけどご飯と交換しようと思ったお金が、ずいぶんと少なくなっているんです。
「注文お願いします!」
「はいよコテツさん、今日は何にする? いつものバーガー?」
「いいえ! お金がこれだけしかないのです。なのでこれ全部と交換できるご飯をください!」
「えっ? これだけ? うーん、これじゃあ何も買えないなあ……あ、骨付き肉の骨だけなら買えるよ! なんてな、あはは──」
「それでお願いしますっ!」
「い、いや、コテツさん、冗談なんだけど……」
「お願いしますっ!!」
「…………」
キッチンのコックさんはいつも親切です。お金の少ないオレにこんな素敵な骨を交換してくれました! しかし『なんかごめん……』と謝っていたのはなぜでしょうかね?
「ちょっ!? コテツさん、なに食べているんですかっ?」
「あ、モニカさん、これは骨です! 美味しいですよっ」
「そんなの食べたら駄目でしょ! お腹こわしますわよ?」
「大丈夫だと思いますけど? あ、でもウンコは真っ白になります!」
「だ、駄目ですっ、いつもの焼肉定食とかトリプルチーズバーガーとか、普通のものを食べて下さい!」
骨は普通じゃないのでしょうか? 確かに細かく砕かずに尖ったのを飲み込んでしまうと死にますが……
うぅむ、そうは言ってもお金ないですしねえ。
「え? お金がない? ならギルド依頼やりましょ? そうだわ、報酬でポイント貯めてランクアップすれば、リリアンと一緒の依頼も受けられるようにもなりますわよ」
「そうなんですか?」
「ええもちろん、Aランクまで上がるのは大変ですけれど……」
「じゃあ今回みたいな危険な時にも、リリアンさんとずっと一緒にいられるようになるんですね! ならオレ頑張ってランクアップしますっ!」
「そうですね……リリアンも喜ぶと思いますわ、頑張って!」
あれ? モニカさんが急に元気のない匂いになりました。どうしたのでしょう?
「モニカさん? なんだか元気ないですけど……この骨一緒に食べますか?」
オレがそう言って骨をすすめたら、モニカさんはなんだか驚いた顔をしました。骨ってそんなに変ですかね?
「コテツさんは本当に他人の感情に敏感なんですのねえ、ありがとう。でも大丈夫ですわ、なんだか私の悪い癖がまたでたなって思っただけですから」
「どんな癖ですか? 盗んだものを穴に埋めて隠すとか?」
「い、いえ、違います……」
オレが小首を傾げると、モニカさんはほんの少しだけ笑って話してくれました。
「私ね、自分が本当に欲しいものを簡単に譲ってしまう癖があるんですよね、小さな頃からずっとそうなんです。馬鹿みたいですよね」
「なんで譲ってしまうんですか?」
「なんででしょ? 多分、自分に自信がないから?」
そう言ってまた笑ったモニカさんは、笑っているのに寂しそうな匂いで一杯です。
「モニカさん、寂しいんですか?」
「えっ? どうして……」
「モニカさんが寂しいなんて駄目です、そんなのほっとけないですっ!」
「コテツさん?」
だからオレはモニカさんをなぐさめようと、口のまわりを沢山ペロペロしてあげました。
「ええっ? ちょっ、コテツさ……っ!?」
ペロペロ。
「あ、あっ……ああ~んッ! そんないきなりキスだなんてっ! し、しかもベロチューとか!……し、舌使いが上手すぎですうっ!」
「ベロチュー?」
「いやーん、もうたまりませんわッ! ああもう失敗した! 手を出さないとか約束しなきゃ良かったっ! てかリリアンなんかにこのイケメン絶対譲らねえ! コテツさんは私のものなんだからねっ」
「ちょ、ちょっとモニカさん? しがみつかないでください」
「イヤイヤん、もっとチューしてえっ!」
「チューってなんですかっ? なんか元気になったみたいだし、オレは掲示板で依頼を探したいんですが……」
仕方がないのでオレはリリアンさんをしがみつけたまま、掲示板に向かいました。
でも寂しそうな匂いはなくなったみたいなので良かったです! その代わり怪しい匂いがプンプンしますが……
オレはとりあえずEのつく依頼を端から全部引き受けることに決めました。
探しモノの依頼はまとめてやったほうが楽そうなので、六つ一気にやります。モニカさんは無理しないでと心配してくれましたが、「デキるオス」モード全開でやれば余裕でしょう!
お日さまが真上に来る頃にはネコが二匹におサルさんが一匹、小さな石のついた輪っかが一個に身分証が一つです。あと、おばあさんが一人ですね。全部見つけました。
「お前ニャンキチを捕まえた奴ニャろ! 評判の極悪イヌニャッ!」
「そうニャ! 人間の姿をしていると聞いたニャ! 嘘かと思ったニャがほんとにいたニャ!」
「ムキーッ! 人間みたいなイヌとか反則だっキッー! バナナ返せっキッー!」
「ヨシコさん、ごはんはまだかね?」
ああもう、ほんとにウルサイですねえ。早く依頼した人が来て連れて行ってくれればいいのに!
「ねえコテツさん、どうやってこんなに早く全部見つけてきたんです? ちょっと信じられないわ……」
「あ、モニカさん、これでランク上がりますか?」
「ええ、多分。次はDランクですよ、我がギルドの最短記録ですわね」
「わかりました! じゃあ今のうちに掲示板でDランクの依頼を探してきますっ」
このランクになると探しモノの依頼がありません。でも似た感じのが一杯あります。ヤクソウ探し──ヤクソウとはなんでしょうかね? この依頼の紙からは色々なクサい匂いがプンプンして気持ち悪いです。
「モニカさん、このヤクソウ探しってなんですか?」
「それは街の薬師の依頼ですね。薬に使う草が薬草ですよ。街の北十リーロ先にある森で探して採ってくるんです。慣れないとなかなか見つけられないし、ちよっと難しい依頼なんですけど報酬はいいですよ。採ってきただけ買い取ってくれるので、多ければ報酬もポイントも沢山貰えますわ」
クスリというのは知ってます! あの甘くて美味しいやつですね。でもあれを貰うには大嫌いなお医者さんに会わないとなりません……なんだか危険な香りのする依頼ですね。
「もしかしてオレを騙そうとしていませんか?……ウッキウキで草をとりに行ったらお医者がいるとか……」
「い、いえ? お医者はいませんわ。それは薬師の依頼ですから……」
「ならよかったです! モニカさん、この紙の中で一番ポイントが沢山貰えるのを教えてくださいっ!」
モニカさんは依頼を選んでくれました。その探す草がギルドの二階の倉庫にもあると、わざわざその匂いを教えてもくれたんです! モニカさんは優しいです。
というか、すごくクサいです……なんでしょうこの匂いは。あっ、あれに似ています! ご主人様がゆで玉子を沢山食べたあとにお尻からオレの鼻にプッスーぅっと吹きかけるイヤな匂いです。
「これクサいですね、イヤな匂いを思い出しました……」
「そうですか? 私には全然匂わないですけど……? このスカス草は匂いが無いから探すのが難しい薬草なんですよ? 回復ポーションの材料ですわね」
このイヤな匂いがわからないとは、モニカさんの鼻は大丈夫でしょうか? スカス草。一応名前を憶えておきましょう。
そのあと二人で一階に戻ってみると、あのウルサイ者どもは居なくなっていて、オレは依頼達成とランクアップを果たしていました。
「ではモニカさん! 草をとってきますね!」
「ええっ? じゅ、準備とかちゃんとして下さい! なかなか見つからないと森で二~三日過ごすことになるんですよ!?」
「大丈夫です! この貸してもらった大きな袋だけで準備万端ですっ。では行ってきますッ!」
モニカさんへの挨拶もそこそこで、オレが急いで出かけたのには訳があります。
実ははちょっと試してみたいことがあるんです。最近シナモン走りより人間の真似して走ったほうが、もしかして速く走れるのではないかという気がしてて……
こう考えること自体、イヌとしてどうかと思うのですが、おそらくこれも病気がそうさせているのでしょう。
とにかく人間走りを「デキるオス」モード全開で走ったら、どのくらいのスピードが出るのかが知りたいのです!
北の森へはほぼ真っ直ぐな道だそうで、走るにはまさにうってつけ!
なのでさっそく走ってみたのですが……
「のあああーっ! なにこれ速いっ、てか速すぎるうッ!」
我ながら信じられない速さでした……あの凶暴な速さの車というやつより速いです。
さすがに恐ろしいので普段はあまり使わないでおこうと誓いました。
それにしてもオレの身体は、なんだか普通じゃありません……
そんなわけであっという間に到着した北の森で、オレはスカス草の匂いを探しました。
匂いに関しては日常的に「デキるオス」モードのまま生活できるようになっているので、見つけるのは簡単です。
「てか、クっサッ!」
スカス草の匂いがあちこちからしてきますね、なんだかクサくて吐きそうです……
いや実際に吐きましたけどね! でもなんだかご主人様がお尻を向けて待っててくれている気もして、ちよっとだけワクワクしちゃいます! てか。
「オエーーっ」
でももう無理です。袋に満杯になったスカス草の強烈な匂いでめまいがしてきました。モード解除で嗅覚を弱めないことには帰えるまでに失神するでしょう……おえっ!
なんとか無事にギルドに戻れたオレは、モニカさんに採ってきたスカス草を渡しました。
「ほ、ほんとにこれ全部、コテツさんがいま集めてきたんですか?……」
「はいっ! 何度も吐いて集めました!」
「そ、そうですか……い、いや、でもっ! まだ日が沈んだばかりですよっ!? ありえないです……」
「これでCランクになれますか?」
「えっ? あ、はい。余裕でなれますけど……ちょ、ちょっと待って……理解が追い付かないわ……」
オレはCランクになれるようです! クサいのを我慢した甲斐がありましたっ!
やはり我慢はイヌの美徳ですね。
「でもこれって、報酬だけでもすごい金額になりますよ? おそらく四百万キンネくらいには」
「それってお金が沢山ですか?」
モニカさんはこれ専門で仕事をすれば大金持ちになれると、ギラギラした目でオレを見ていましたが、オレにはよくわかりませんでした。
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リリアンさんと同じAランクまで、まだまだオレは頑張りますよっ!
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