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「この人たちは会長直々に依頼したアメフト部の方々だ、彼らがいれば一日で終わるだろうな」
「オークの軍勢、いやアメフト部だと?」
ガミネ先輩も俺同様の認識を持っていたのかはっきりとオークという単語を口にした後、アメフト部と訂正しながら驚愕していた。
「そうだ、もう太刀打ちできないぞ遠州、霧ヶ峰、観念するんだな」
「ひどいっすよ宮本先輩、オークを召喚するなんて失望しました」
「遠州がもっと早く退去していればこんなことにはならなかったのだ、これは仕方のない事なんだ」
「そんな、だからってオークなんて聞いてないですよ」
「遠州、さっきからオークオークと何位を言ってるのかわからんが、とっととこの部屋を出ていけ二人とも」
「くそ、私の目が覚醒すればこんな奴ら幻術で一発なのに、そう思わんか遠州」
が峰先輩は片目を手で押さえるそぶりを見せながらそう言った。
「あの、ふざけないでくださいガミネ先輩」
「え、あ、すまん・・・・・・でも、遠州もオークとか言ってたよな?」
「いえ、言っておきますけどガミネ先輩、この状況なら僕は首ちょんぱされるとかですけど、先輩の場合オークたちにあんなことやこんなことされるっていう展開が待ち受けてるんですよ、そんなのんきに構えてていいんですか?」
「ば、馬鹿言うな、変なものの見すぎだぞ遠州」
「でも間違いなく目の前にいるのはそれくらいのことをしでかす種族に見えますよ」
「そ、そんなわけないだろ」
「でも目の前のオーク達は女に飢えていそうなやつらばかりです、先輩なんてペロッといかれちゃうんじゃないですか?」
「た、助けろ遠州っ」
「無理です」
「勇者として覚醒するとか、召喚獣を召喚するとかっ」
「お言葉ですけど、変なものの見すぎですよ先輩っ」
絶体絶命のピンチ、もはや頼る人間など一人もおらず馬鹿なことを言いながら時間をつぶしてはいたが、じりじりと迫ってくるアメフト部を前に俺たちはなすすべがなかった。
ガミネ先輩の言う通り俺が勇者として覚醒したりできればいいんだが、そんなことはできない、それこそ召喚獣なんて絶対に出せないし。
いや、でも一応願ったりしたら出てきてくれるかも、なんてことを思っていると、目の前のオークたちがざわつき始めた。そんなおかしな様子に見とれていると、密集したオークたちの間から花屋敷さんが現れた。
「トース、今日も来たっ」
「花屋敷さんっ?」
元気よくそう言った花屋敷さんはオークたちの集団からスポンと抜け出してくると、真っ先に俺のもとへと来てくれた。相変わらず美少女という名にふさわしい容姿をした彼女は、その大きな目をパチクリさせながら俺とオークたちを交互に眺めていた。
「トースこれ何?今日は何かある?」
「いや、これにはちょっとした事情があって」
ちょっとしたどころではない事情を説明しようとしていると、宮本先輩が「ひゃうっ」という奇声を上げた。
「なんですか宮本先輩変な声出さないでくださいよ」
「どどど、どどど」
まさか俺が童貞であるということを見抜かれたとでもいうのだろうか?宮本先輩は俺の方を指さしながら「どどどどど」といった後、ようやく言葉を発した。
「どうして、花屋敷さんがここにおられるのですかっ?」
「あれ、宮本先輩って花屋敷さんの事知ってるんすか?」
どうやら俺ではなく隣にいた花屋敷さんを指さしていたようだ。
「知ってるも何も、この人が今度この部室を使うことになってる人だっ」
「えっ、そうなんですか?」
俺はすぐさま花屋敷さんに目を向けると、彼女は「何のことですか?」とでも言いたげに首をかしげた。
「宮本先輩、花屋敷さんはよくわかってないみたいですよ」
「い、いや、聞いた話では、彼女はこの部屋で漫画家活動を行うことになっている予定なんだ」
「漫画家活動?花屋敷さん漫画家なんすか?」
そう尋ねると今度は普通にうなづいた。確かに原稿をばらまいたりした時からそんな風なことをしているのかなとは思っていたけどまさか本当に漫画家だったとは。
「マジっすか宮本先輩」
「そうだ、ここは彼女専用の部屋となる、だからお前たちには出て行ってもらうことになってたんだ」
「え、でも彼女専用って、大学のものを私物化するなんておかしくないっすか?」
「おかしくない、これは大学が決めた事だからな」
「そんな」
「それに、彼女は大学の看板の一つなんだ、だからこれくらいの事は許さると会長が言っていた」
「いや、待ってくださいよ、だったらここじゃなくても、他の設備のよいところいけばいいじゃないですか、何でここなんですか」
「決まったことだから仕方がない」
「ちょっと、そう言いうわけにはいかないっす、ここは大切なサークルなんです、そして、歴史の深い箱庭サークルの歴史を後世に伝えなくちゃいけないんです」
「何を言ってるんだ、さっさとあけ渡せ遠州、お前にもう選択権はない」
「そういうわけにもいかなくなったんですよ、分かってください」
「何をいまさら、もうこれは決まったことであり、お前には立ち退くという選択肢しか残ってないんだ、もういいだろう」
そりゃあ、俺だって今日までここでの生活に呆けて何の対策も考えてこなかったのは悪い、けど、それでもどこか
に救いの光が・・・・・・ん?
「いや、ちょ、ちょっと待ってください宮本先輩」
「なんだ?」
ちょっと待て、よくよく考えればこれは千万一隅のチャンスじゃないのか?そう、箱庭サークルを存続させつつ、大学の意向を尊重したハッピーエンドに迎えるかもしれない最高の分岐点。
この提案は全て花屋敷さんの選択一つにゆだねられるが、彼女がもしもこの箱庭サークルに入ってくれるとしたら、このサークルは存続できるかもしれないという事にはならないだろうか?
そして、サークルの存続とこの宝の山が手に入るという一石二鳥のエンドがあるのかもしれない。そう思ったら俺はすかさず花屋敷さんに歩み寄っていた。
「花屋敷さんっ」
「ん、どうしたトース?」
「花屋敷さんは、漫画をかければいいんですよねっ」
「おい、突然何を言だすんだ遠州、お前と霧ヶ峰は早くこの部屋から出ていくんだっ」
「宮本先輩、花屋敷さんがうちのサークルに入れば漫画は描き放題ですし、おまけに何十年も前から現代に近いものまで、たくさんのBL本とかもあったりします。それは、きっと花屋敷さんの漫画家活動に参考になると思いますし、彼女にとって絶好の場所だと思うんすよ」
「馬鹿なことを言うな、お前達がいる時点で彼女の仕事の邪魔になる、それに話ではその部屋を完全に明け渡すということになっている」
「で、でも、花屋敷さんはどうですか?」
「何の話?」
俺の質問に難しい顔をしながら首をかしげる花屋敷さん。あぁなんて愛らしいんだ、こんな時ですらこんな感情がわいてくるなんて、こいつは相当やばいぞ。
「いや、つまり、単刀直入に言うと、ここで漫画家活動しないかってことです」
「ここで、漫画描くの?」
「そう、この部屋で」
「ここでやっていいの?」
「も、もちろんっ」
「だめだ花屋敷さんっ、ここに邪魔な人間がいると、あなたの仕事に影響が出る可能性があります、何よりそういう手はずになっているのです、あなたのお兄様からもそういわれているのです」
僕と花屋敷さんの間に入ってきた宮本先輩はそういった。この人もこの人でやるべきことがあるのはわかっているが、こんなチャンスを逃すわけにはいかない。そう思い宮本先輩に立ち向かおうとしていると、花屋敷さんが口を開いた。
「大丈夫、無茶な仕事はしない、締め切りに遅れたことも一度もない、どこでも仕事できる」
「お、おぉ、ほら花屋敷さんはこういってることだし、どうっすか宮本先輩」
「バカなことを言うな」
「バカなのは認めますけど、花屋敷さんがこう言ってますし、うちのサークルはこのまま延命という感じで」
「ねぇトース、今日も『神父さんズ』読んでいい?」
「も、もちろんっ、じゃあ花屋敷さんはうちのサークルに入会ってことで、こうなったらサークル存続でもいいですよね」
「なにを勝手なことを、私は許さないぞ遠州っ」
「い、いやでも花屋敷さんがこういってますし」
「だ、ダメだダメだダメだ、私は許さんぞー」
「むぅ、さっきからメガネの人うるさいっ」
まるでとどめの一撃といわんばかりの一言を花屋敷さんが放った。これには宮本先輩のハートに矢が突き刺さったか、呆然とした様子で「え?」とつぶやいた後、何もしゃべらなくなってしまった。
もはや最初の勢いはどこえやら、無能な指揮官を前にオークたちも少しづつだれ始めてきており、そんな様子を察したのか、突如としてガミネ先輩が立ち上がった。
「よくやった遠州、あとは私に任せろ」
「な、なんすか急に」
「まぁまぁ、それよりもシャナたん」
「なに?ガミネ先輩?」
「ここは箱庭サークルだ、アニメ漫画ゲームなどなどなどなど、サブカルを愛す者たちの集う場所だ、分かるか?」
「分かるっ、アニメ漫画大好きっ」
「うむ、そうだな、そしてこのサークルに入会すれば好きなようにこの部屋で過ごしてくれて構わない、何をしてもいいんだ、すべてが許される」
「うん、過ごすっ、なんでもするっ」
「よーし決まった、じゃあ早速だがシャナたん、この入会届けに名前を書くんだ」
そうしてガミネ先輩はいつの間にか持っていた入会届の用紙を取り出した。
「うわっ、いつのまにそんなものを用意したんすか先輩」
「私にはぬかりはないのだよ遠州君」
「ま、待てっ」
と、ここで復活した様子の宮本先輩が声を張り上げた。そしてそんな復活にいち早く反応したガミネ先輩は、何故か花屋敷さんを抱き寄せた。
「おいおい、動くなミヤチ、花屋敷さんがどうなってもいいのか?」
「な、なにをしている霧ヶ峰、彼女を離せっ」
「ふへへ、何をするってそんなの決まっているだろう、このたわわな果実をタッチしまくって、服をはじけ飛ばすのさ」
「くっ、何を言っているかわからないが彼女を離せ霧ヶ峰っ」
「ふへへ、嫌に決まってるだろう、こんなうまそうな女ひさしぶりだぁ、じっくり堪能させてもらおう、なぁシャナたん」
「クッ、コロセー」
「おぉ、よくわかってるじゃないかシャナたん、それでこそ我がサークルの一員だ」
「くっくっく、おぬしも悪よのぉ、ガミネ先輩」
「ほっほっほ、よいではないかよいではないか」
女同士とはいえ、もはやセクハラにしか聞こえないセリフと、花屋敷さんの奇想天外な発言に、宮本先輩は悔しそうにその場で打ち震えていた。そして、その間にも花屋敷さんはガミネ先輩指導の下、入会届けにしっかりと自らの名前を書き込んでいた。
そして、その紙をもって花屋敷さんは俺のもとへとやってきた。紙には花屋敷シャナハとしっかり書き込まれていたが、文字がまるで小学生のようであり、またすべてひらがなで書いてあったのがなんだかかわいらしかった。
「はい、トース」
「あ、ありがとう花屋敷さん」
「トース、これで私もここのなまかか?」
「う、うん、なまか」
「ふふふ、なまかなまか、よろしくトース、ガミネ先輩」
「あぁ、よろしくなシャナたん」
「よろしく、花屋敷さん」
なんともほほえましい展開、そして幸せな時間。まさか、こんなかわいい子と会話ができさらにはサークル活動をする事ができるなんて入学時には思わなかった。そんなことを思っていると、宮本先輩が俺につかみかかってきた。
「オークの軍勢、いやアメフト部だと?」
ガミネ先輩も俺同様の認識を持っていたのかはっきりとオークという単語を口にした後、アメフト部と訂正しながら驚愕していた。
「そうだ、もう太刀打ちできないぞ遠州、霧ヶ峰、観念するんだな」
「ひどいっすよ宮本先輩、オークを召喚するなんて失望しました」
「遠州がもっと早く退去していればこんなことにはならなかったのだ、これは仕方のない事なんだ」
「そんな、だからってオークなんて聞いてないですよ」
「遠州、さっきからオークオークと何位を言ってるのかわからんが、とっととこの部屋を出ていけ二人とも」
「くそ、私の目が覚醒すればこんな奴ら幻術で一発なのに、そう思わんか遠州」
が峰先輩は片目を手で押さえるそぶりを見せながらそう言った。
「あの、ふざけないでくださいガミネ先輩」
「え、あ、すまん・・・・・・でも、遠州もオークとか言ってたよな?」
「いえ、言っておきますけどガミネ先輩、この状況なら僕は首ちょんぱされるとかですけど、先輩の場合オークたちにあんなことやこんなことされるっていう展開が待ち受けてるんですよ、そんなのんきに構えてていいんですか?」
「ば、馬鹿言うな、変なものの見すぎだぞ遠州」
「でも間違いなく目の前にいるのはそれくらいのことをしでかす種族に見えますよ」
「そ、そんなわけないだろ」
「でも目の前のオーク達は女に飢えていそうなやつらばかりです、先輩なんてペロッといかれちゃうんじゃないですか?」
「た、助けろ遠州っ」
「無理です」
「勇者として覚醒するとか、召喚獣を召喚するとかっ」
「お言葉ですけど、変なものの見すぎですよ先輩っ」
絶体絶命のピンチ、もはや頼る人間など一人もおらず馬鹿なことを言いながら時間をつぶしてはいたが、じりじりと迫ってくるアメフト部を前に俺たちはなすすべがなかった。
ガミネ先輩の言う通り俺が勇者として覚醒したりできればいいんだが、そんなことはできない、それこそ召喚獣なんて絶対に出せないし。
いや、でも一応願ったりしたら出てきてくれるかも、なんてことを思っていると、目の前のオークたちがざわつき始めた。そんなおかしな様子に見とれていると、密集したオークたちの間から花屋敷さんが現れた。
「トース、今日も来たっ」
「花屋敷さんっ?」
元気よくそう言った花屋敷さんはオークたちの集団からスポンと抜け出してくると、真っ先に俺のもとへと来てくれた。相変わらず美少女という名にふさわしい容姿をした彼女は、その大きな目をパチクリさせながら俺とオークたちを交互に眺めていた。
「トースこれ何?今日は何かある?」
「いや、これにはちょっとした事情があって」
ちょっとしたどころではない事情を説明しようとしていると、宮本先輩が「ひゃうっ」という奇声を上げた。
「なんですか宮本先輩変な声出さないでくださいよ」
「どどど、どどど」
まさか俺が童貞であるということを見抜かれたとでもいうのだろうか?宮本先輩は俺の方を指さしながら「どどどどど」といった後、ようやく言葉を発した。
「どうして、花屋敷さんがここにおられるのですかっ?」
「あれ、宮本先輩って花屋敷さんの事知ってるんすか?」
どうやら俺ではなく隣にいた花屋敷さんを指さしていたようだ。
「知ってるも何も、この人が今度この部室を使うことになってる人だっ」
「えっ、そうなんですか?」
俺はすぐさま花屋敷さんに目を向けると、彼女は「何のことですか?」とでも言いたげに首をかしげた。
「宮本先輩、花屋敷さんはよくわかってないみたいですよ」
「い、いや、聞いた話では、彼女はこの部屋で漫画家活動を行うことになっている予定なんだ」
「漫画家活動?花屋敷さん漫画家なんすか?」
そう尋ねると今度は普通にうなづいた。確かに原稿をばらまいたりした時からそんな風なことをしているのかなとは思っていたけどまさか本当に漫画家だったとは。
「マジっすか宮本先輩」
「そうだ、ここは彼女専用の部屋となる、だからお前たちには出て行ってもらうことになってたんだ」
「え、でも彼女専用って、大学のものを私物化するなんておかしくないっすか?」
「おかしくない、これは大学が決めた事だからな」
「そんな」
「それに、彼女は大学の看板の一つなんだ、だからこれくらいの事は許さると会長が言っていた」
「いや、待ってくださいよ、だったらここじゃなくても、他の設備のよいところいけばいいじゃないですか、何でここなんですか」
「決まったことだから仕方がない」
「ちょっと、そう言いうわけにはいかないっす、ここは大切なサークルなんです、そして、歴史の深い箱庭サークルの歴史を後世に伝えなくちゃいけないんです」
「何を言ってるんだ、さっさとあけ渡せ遠州、お前にもう選択権はない」
「そういうわけにもいかなくなったんですよ、分かってください」
「何をいまさら、もうこれは決まったことであり、お前には立ち退くという選択肢しか残ってないんだ、もういいだろう」
そりゃあ、俺だって今日までここでの生活に呆けて何の対策も考えてこなかったのは悪い、けど、それでもどこか
に救いの光が・・・・・・ん?
「いや、ちょ、ちょっと待ってください宮本先輩」
「なんだ?」
ちょっと待て、よくよく考えればこれは千万一隅のチャンスじゃないのか?そう、箱庭サークルを存続させつつ、大学の意向を尊重したハッピーエンドに迎えるかもしれない最高の分岐点。
この提案は全て花屋敷さんの選択一つにゆだねられるが、彼女がもしもこの箱庭サークルに入ってくれるとしたら、このサークルは存続できるかもしれないという事にはならないだろうか?
そして、サークルの存続とこの宝の山が手に入るという一石二鳥のエンドがあるのかもしれない。そう思ったら俺はすかさず花屋敷さんに歩み寄っていた。
「花屋敷さんっ」
「ん、どうしたトース?」
「花屋敷さんは、漫画をかければいいんですよねっ」
「おい、突然何を言だすんだ遠州、お前と霧ヶ峰は早くこの部屋から出ていくんだっ」
「宮本先輩、花屋敷さんがうちのサークルに入れば漫画は描き放題ですし、おまけに何十年も前から現代に近いものまで、たくさんのBL本とかもあったりします。それは、きっと花屋敷さんの漫画家活動に参考になると思いますし、彼女にとって絶好の場所だと思うんすよ」
「馬鹿なことを言うな、お前達がいる時点で彼女の仕事の邪魔になる、それに話ではその部屋を完全に明け渡すということになっている」
「で、でも、花屋敷さんはどうですか?」
「何の話?」
俺の質問に難しい顔をしながら首をかしげる花屋敷さん。あぁなんて愛らしいんだ、こんな時ですらこんな感情がわいてくるなんて、こいつは相当やばいぞ。
「いや、つまり、単刀直入に言うと、ここで漫画家活動しないかってことです」
「ここで、漫画描くの?」
「そう、この部屋で」
「ここでやっていいの?」
「も、もちろんっ」
「だめだ花屋敷さんっ、ここに邪魔な人間がいると、あなたの仕事に影響が出る可能性があります、何よりそういう手はずになっているのです、あなたのお兄様からもそういわれているのです」
僕と花屋敷さんの間に入ってきた宮本先輩はそういった。この人もこの人でやるべきことがあるのはわかっているが、こんなチャンスを逃すわけにはいかない。そう思い宮本先輩に立ち向かおうとしていると、花屋敷さんが口を開いた。
「大丈夫、無茶な仕事はしない、締め切りに遅れたことも一度もない、どこでも仕事できる」
「お、おぉ、ほら花屋敷さんはこういってることだし、どうっすか宮本先輩」
「バカなことを言うな」
「バカなのは認めますけど、花屋敷さんがこう言ってますし、うちのサークルはこのまま延命という感じで」
「ねぇトース、今日も『神父さんズ』読んでいい?」
「も、もちろんっ、じゃあ花屋敷さんはうちのサークルに入会ってことで、こうなったらサークル存続でもいいですよね」
「なにを勝手なことを、私は許さないぞ遠州っ」
「い、いやでも花屋敷さんがこういってますし」
「だ、ダメだダメだダメだ、私は許さんぞー」
「むぅ、さっきからメガネの人うるさいっ」
まるでとどめの一撃といわんばかりの一言を花屋敷さんが放った。これには宮本先輩のハートに矢が突き刺さったか、呆然とした様子で「え?」とつぶやいた後、何もしゃべらなくなってしまった。
もはや最初の勢いはどこえやら、無能な指揮官を前にオークたちも少しづつだれ始めてきており、そんな様子を察したのか、突如としてガミネ先輩が立ち上がった。
「よくやった遠州、あとは私に任せろ」
「な、なんすか急に」
「まぁまぁ、それよりもシャナたん」
「なに?ガミネ先輩?」
「ここは箱庭サークルだ、アニメ漫画ゲームなどなどなどなど、サブカルを愛す者たちの集う場所だ、分かるか?」
「分かるっ、アニメ漫画大好きっ」
「うむ、そうだな、そしてこのサークルに入会すれば好きなようにこの部屋で過ごしてくれて構わない、何をしてもいいんだ、すべてが許される」
「うん、過ごすっ、なんでもするっ」
「よーし決まった、じゃあ早速だがシャナたん、この入会届けに名前を書くんだ」
そうしてガミネ先輩はいつの間にか持っていた入会届の用紙を取り出した。
「うわっ、いつのまにそんなものを用意したんすか先輩」
「私にはぬかりはないのだよ遠州君」
「ま、待てっ」
と、ここで復活した様子の宮本先輩が声を張り上げた。そしてそんな復活にいち早く反応したガミネ先輩は、何故か花屋敷さんを抱き寄せた。
「おいおい、動くなミヤチ、花屋敷さんがどうなってもいいのか?」
「な、なにをしている霧ヶ峰、彼女を離せっ」
「ふへへ、何をするってそんなの決まっているだろう、このたわわな果実をタッチしまくって、服をはじけ飛ばすのさ」
「くっ、何を言っているかわからないが彼女を離せ霧ヶ峰っ」
「ふへへ、嫌に決まってるだろう、こんなうまそうな女ひさしぶりだぁ、じっくり堪能させてもらおう、なぁシャナたん」
「クッ、コロセー」
「おぉ、よくわかってるじゃないかシャナたん、それでこそ我がサークルの一員だ」
「くっくっく、おぬしも悪よのぉ、ガミネ先輩」
「ほっほっほ、よいではないかよいではないか」
女同士とはいえ、もはやセクハラにしか聞こえないセリフと、花屋敷さんの奇想天外な発言に、宮本先輩は悔しそうにその場で打ち震えていた。そして、その間にも花屋敷さんはガミネ先輩指導の下、入会届けにしっかりと自らの名前を書き込んでいた。
そして、その紙をもって花屋敷さんは俺のもとへとやってきた。紙には花屋敷シャナハとしっかり書き込まれていたが、文字がまるで小学生のようであり、またすべてひらがなで書いてあったのがなんだかかわいらしかった。
「はい、トース」
「あ、ありがとう花屋敷さん」
「トース、これで私もここのなまかか?」
「う、うん、なまか」
「ふふふ、なまかなまか、よろしくトース、ガミネ先輩」
「あぁ、よろしくなシャナたん」
「よろしく、花屋敷さん」
なんともほほえましい展開、そして幸せな時間。まさか、こんなかわいい子と会話ができさらにはサークル活動をする事ができるなんて入学時には思わなかった。そんなことを思っていると、宮本先輩が俺につかみかかってきた。
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