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「ま、待て遠州っ」
「なんですか宮本先輩、花屋敷さんはここに入会することになったんですよ」
「認めないぞ、彼女が入ったところでこのサークルはとっくに解散になっているんだ、いくら彼女が入ったところで、どうにかなるものじゃない」
「その通りですね、でも花屋敷さんなら何とかなりそうで、へへへ」
「なにがへへへだ、覚えておけよ遠州、次は会長とともにここに来るからなっ」
「そ、そんなこと言われても」
「絶対にっ、責任とってもらうからなっ」
そんな捨て台詞とともに、宮本先輩はオークたちと箱庭サークルを後にしていった。責任とはいったい何のことやらと思いつつも、俺とガミネ先輩、そして新たな仲間となった花屋敷さんはハイタッチをした。
後日、花屋敷さん入会という絶対的権力を得た俺たち箱庭サークル。もとより解散だったからこんな言い方はおかしいかもしれないが、それでも花屋敷さんの権力あってか廃部というものが簡単に撤回され、箱庭サークルの復活が認められることになった。
そして、それを証明するものが掲示されている場所で、俺は高揚する感情を抑えることなく掲示板に張られているサークル存続の紙を眺め、記念に写真に撮り、人目も気にせず何度もガッツポーズした。
そんな興奮冷めやらぬまま愛しの箱庭サークルへと向かうと、部室内にはガミネ先輩がいた。
改めて思うが、たった一人で過ごしていた時間も快適だったが、こうして新たな同志が増えたことによる喜びは思った以上にうれしい。そんな新たな感情を見つけることができた俺は思わず涙ぐみながらパイプ椅子に腰かけた。すると、そんな俺に気付いたのかガミネ先輩が声をかけてきた。
「な、なんだ遠州、何を泣いている」
「いやぁ、掲示板に箱庭サークルが存続を認められてたのを見てきたんすよ」
「あぁ、これからも最高の時間を過ごせるのは幸せなことだ」
「そうっすよ、しかも目障りな連中もいないし、大量のお宝もついてくるんすよ、最高じゃないっすか、もう泣けて泣けてしょうがないんっす」
「そうだな」
「なんすか、もう少し喜んだらどうっすかガミネ先輩」
「まぁあれだ、こういう時どういう顔すればいいかわからんのだ」
「またまた、そんな何かを意識した発言して、素直に喜んでくださいよ、笑えばいいんすよ」
「いや、本当にどういう顔すればいいのかわからんのだ、ふひひ」
「そ、そうっすか」
その割にはいつもよりにやついているような気がするが、それは俺の気のせいなんだろうか?そう思っていると、部室の扉が開かれ、勢いよく花屋敷さんが入ってきた。
「トース、来たっ」
「あっ、花屋敷さん」
「トースちわわ、ガミネ先輩もちわわ」
「おぉ、シャナたんよく来たな、ほら遠州、シャナたんにお茶を出せ、彼女はこのサークルの救世主だぞ」
「わ、分かりました、ささ花屋敷さんどうぞ」
「どうしたの、二人とも」
不思議がる花やしきさんを丁重にパイプ椅子までご案内した後、俺はいつの間にか設置されているお茶セットでお茶を淹れることにした。
「何でもないぞシャナたん、ここにきたからには自由にのんびり自らの欲望に赴くまま生きるがいい」
「欲望に赴くまま?」
「そうだ、我々は自分だけが正しい世界に生きている人間だ、だれに何を言われようとその信念を曲げずに生きればいい」
「誰の受け売りっすか先輩?」
「別に受け売りでも何でもない、そう過ごせばいいとアドバイスしただけだ」
「ふーん、はい花屋敷さんお茶です」
「ありがトース」
「いいっすよ花屋敷さん、ほら先輩にも淹れてあげましたよ」
「おぉ、悪いな遠州」
「いいっす、祝杯ですよ祝杯、我が箱庭サークル存続記念っす」
お茶を配り終えた後、特に会話が広がることもなくなんとなく過ごしていると、唐突に部室の扉がノックされた。 ここにいる二人を除けばここに訪れる人なんてのはそれこそ宮本先輩くらいしかいないともうのだが。
あぁ、そういえば宮本先輩がここに来るとか何とか言っていたような気がするな。そんな、不安を抱きながら軽く返事すると、部室の扉がゆっくりと開かれた。
すると、扉の先から鼻息荒くした女性がやってきた。彼女は大きな背丈と女性ホルモンの権化ともいえるべき体格をしており、思わず目をそらしてしまいそうな程だった。そうして、この状況をどうしたものかとガミネ先輩を見ると、先輩は無言で漫画を読んでいた。
まるで気付いていないかのような態度に、少々疑問を感じていたがそこはやはりコミュ障という彼女の本質がこの場ではああいう態度をするべきだと判断したのかもしれない。
「あ、あのっ」
と、ここでかわいらしいしたっ足らずな声が聞こえてきた、三次元であるのが残念すぎる彼女はなぜか俺のもとまでやってきた。
「な、なんですか?」
「ここって、箱庭サークルであってますか?」
「え、あぁ、はい」
「あの、あの、入部希望です」
「え、入部希望っていうと、このサークルに入りたいってことですか?」
「は、はい、ダメですか?」
「いや、ダメじゃないダメじゃない」
「本当ですか?」
「ねぇ、ガミネ先輩大丈夫っすよね」
「なんで私に聞くかはわからんが、この入会届に名前を書いたら入会は完了するぞ、ほれっ」
ガミネ先輩は机の上にくしゃついた入会届を出した、そういえば花屋敷さんの時にも思ったけど、どうしてこんなにも都合よく入会届が出てくるのだろうか?
そして、それと同時に我が箱庭サークルへと入部したいというこの人、この特徴的に思える声をどこかで聞いたことがあるような気がするが、これは俺の気のせいだろうか?
「あのぉ、ガミネ先輩?」
「なんだ?」
「どうしていつも入会届持ってるんですか?」
「これは私が幾度となく入会に試みた証だ」
「どういう意味っすか?」
「そんなことを聞くなんてスケベだな遠州」
「スケベってなんすか、普通に聞いただけじゃないっすか」
「女はミステリアスのほうが魅力的なんだぞ、余計なことは聞くな」
「そうすか、じゃあまぁ、とりあえず、入ってください」
俺は小さな入会希望者を部屋に招き入れ、彼女のためにパイプ椅子を準備した。すると、小さな入会希望者は部屋の中を物珍しそうな顔で見渡した後、パイプ椅子にちょこんと座った。
すると、今度は背中に背負っていた大きなリュックからペンを取り出し、入会届に名前を書き始めた。名前の欄には「加地 美琴(かぢ みこと)」と書かれており、そこまでぶっとんだ名前じゃないことになぜか安心した。そして、何より加地さんは俺と同学年だった。
「加地さん、俺と同級生なんですね」
「あ、はい」
「俺、遠州っていいます、このサークルの一年です、それから目の前で漫画書いてる人が花屋敷さんで、マンガ読んでる方が霧ヶ峰先輩、一個上の先輩です」
「知ってます」
「え?」
俺はとんでもない違和感を感じた。それは初めて会うであろう二人の事をさも当然のように知ってると口にしたことだ。しかし、そんな元気よく知っていると口にした加地さんはというと、なぜか慌てて口を手でふさぎ、まるで今まさに口にしたことをなかったことにしようとしていた。
「えーと、加地さんは二人の事知ってたんですか?」
「い、いえ知らないです」
「でも、今知ってるって」
「ち、違います、てんぱって、つい」
「そう、ならいいけど」
なんだか不思議ちゃんな気配を醸し出した加地さんは、とりあえず入会届を書き終えると俺に渡してきた。
「かけました、これからよろしくお願いします遠州君」
「あぁうん、ところで加地さんはどこでここの情報を?」
「美琴でいいですよ遠州君、苗字はなんだか苦手ですから」
「そう、じゃあ美琴さん?」
「はい、よろしくお願いします」
「えーっと、それでここのことはどこで知ったんですか?」
「もともとは入学式の日に、箱庭サークルというのが、アニメや漫画といったサブカルにフォーカスしたサークルであることを知っていまして、それで入会しようとしたんです」
「へぇ」
「でも、いざ行ってみると、なんだか怖そうな人たちがたくさん出入りしてて、電波が届かず入会をあきらめたです」
「電波?」
「はい、まったくびびびと来ませんでした、とても残念でした」
「なるほど、たしかに俺も勢いで入会したけど、入ったらあんまり居心地の良いサークルじゃなかったですよ」
「遠州君もそうだったんですか」
「まぁ、そうなるかな、でも一回あきらめたのにどうしてまた?」
「えぇ、入部をあきらめてからちょっとした頃、箱庭サークルが廃部になったと聞いて、私は完全に行くところがなくなって、細々と大学生活を送っていました。
でも、そんな生活があまりにも寂しくて、何とかもう一度入れそうなサークルを探していたところ、たまたま掲示板で箱庭サークル復活の掲示を見て、もう一度だけいってみようと思ってここに来ました」
「すごいタイミングですね」
「そうですか?」
「そうですよ、ちなみに美琴さんが怖いと思っていた人たちはもういませんし、サークル会員はここにいるの人で全員ですから」
「そうなんですか、なんだか居心地がよさそうです、ふふん」
「そう?」
「はい、びんびんです」
「びんびん?」
「はい、びんびんきてます」
「そ、そうすか・・・・・・」
というわけで、さっそくの新人の入会、これはなかなかにいいスタートを切っていきそうだ。だが美琴さんが入会したことにより、俺はちょっとした危機感を覚えていた。
そう、それは誰一人として男がいないということだ。
これは、いわゆるハーレムというものに近い形であると思われるが、それは、つまり俺がとんでもなく肩身の狭い状態に陥ってしまうという前触れなのだ。
実際、女性に囲まれたからと言ってうれしいとかそういう感情はエロゲーの主人公でもない限りあり得ない、むしろ、恐怖感すら感じる。
それに、本来なら男同士で盛り上がるような論争や、それこそ下ネタ的なことやらなんやら、とにかくそういう楽しい会話を楽しんでみたかったのだが、女子ばかりとなるとそうもいかないような気がする。
つまり、俺が幸せだと思っているこの空間が徐々に気まずい空間になるかもしれないということだ。現に、美琴さんはぎこちない笑顔を俺に振りまきながら、花屋敷さんの近くへと寄って行った。
そんな、少なからず感じる危機感を背に、この嫌な予感を払拭するかのように美琴さんの入会届を学友会に提出するため部室を後にした。
学友会室まで行き、特に顔見知りでもない学友会の人間に入会届を提出した後、再び箱庭サークルに戻ってくると宮本先輩が部屋にいた。
「なんですか宮本先輩、花屋敷さんはここに入会することになったんですよ」
「認めないぞ、彼女が入ったところでこのサークルはとっくに解散になっているんだ、いくら彼女が入ったところで、どうにかなるものじゃない」
「その通りですね、でも花屋敷さんなら何とかなりそうで、へへへ」
「なにがへへへだ、覚えておけよ遠州、次は会長とともにここに来るからなっ」
「そ、そんなこと言われても」
「絶対にっ、責任とってもらうからなっ」
そんな捨て台詞とともに、宮本先輩はオークたちと箱庭サークルを後にしていった。責任とはいったい何のことやらと思いつつも、俺とガミネ先輩、そして新たな仲間となった花屋敷さんはハイタッチをした。
後日、花屋敷さん入会という絶対的権力を得た俺たち箱庭サークル。もとより解散だったからこんな言い方はおかしいかもしれないが、それでも花屋敷さんの権力あってか廃部というものが簡単に撤回され、箱庭サークルの復活が認められることになった。
そして、それを証明するものが掲示されている場所で、俺は高揚する感情を抑えることなく掲示板に張られているサークル存続の紙を眺め、記念に写真に撮り、人目も気にせず何度もガッツポーズした。
そんな興奮冷めやらぬまま愛しの箱庭サークルへと向かうと、部室内にはガミネ先輩がいた。
改めて思うが、たった一人で過ごしていた時間も快適だったが、こうして新たな同志が増えたことによる喜びは思った以上にうれしい。そんな新たな感情を見つけることができた俺は思わず涙ぐみながらパイプ椅子に腰かけた。すると、そんな俺に気付いたのかガミネ先輩が声をかけてきた。
「な、なんだ遠州、何を泣いている」
「いやぁ、掲示板に箱庭サークルが存続を認められてたのを見てきたんすよ」
「あぁ、これからも最高の時間を過ごせるのは幸せなことだ」
「そうっすよ、しかも目障りな連中もいないし、大量のお宝もついてくるんすよ、最高じゃないっすか、もう泣けて泣けてしょうがないんっす」
「そうだな」
「なんすか、もう少し喜んだらどうっすかガミネ先輩」
「まぁあれだ、こういう時どういう顔すればいいかわからんのだ」
「またまた、そんな何かを意識した発言して、素直に喜んでくださいよ、笑えばいいんすよ」
「いや、本当にどういう顔すればいいのかわからんのだ、ふひひ」
「そ、そうっすか」
その割にはいつもよりにやついているような気がするが、それは俺の気のせいなんだろうか?そう思っていると、部室の扉が開かれ、勢いよく花屋敷さんが入ってきた。
「トース、来たっ」
「あっ、花屋敷さん」
「トースちわわ、ガミネ先輩もちわわ」
「おぉ、シャナたんよく来たな、ほら遠州、シャナたんにお茶を出せ、彼女はこのサークルの救世主だぞ」
「わ、分かりました、ささ花屋敷さんどうぞ」
「どうしたの、二人とも」
不思議がる花やしきさんを丁重にパイプ椅子までご案内した後、俺はいつの間にか設置されているお茶セットでお茶を淹れることにした。
「何でもないぞシャナたん、ここにきたからには自由にのんびり自らの欲望に赴くまま生きるがいい」
「欲望に赴くまま?」
「そうだ、我々は自分だけが正しい世界に生きている人間だ、だれに何を言われようとその信念を曲げずに生きればいい」
「誰の受け売りっすか先輩?」
「別に受け売りでも何でもない、そう過ごせばいいとアドバイスしただけだ」
「ふーん、はい花屋敷さんお茶です」
「ありがトース」
「いいっすよ花屋敷さん、ほら先輩にも淹れてあげましたよ」
「おぉ、悪いな遠州」
「いいっす、祝杯ですよ祝杯、我が箱庭サークル存続記念っす」
お茶を配り終えた後、特に会話が広がることもなくなんとなく過ごしていると、唐突に部室の扉がノックされた。 ここにいる二人を除けばここに訪れる人なんてのはそれこそ宮本先輩くらいしかいないともうのだが。
あぁ、そういえば宮本先輩がここに来るとか何とか言っていたような気がするな。そんな、不安を抱きながら軽く返事すると、部室の扉がゆっくりと開かれた。
すると、扉の先から鼻息荒くした女性がやってきた。彼女は大きな背丈と女性ホルモンの権化ともいえるべき体格をしており、思わず目をそらしてしまいそうな程だった。そうして、この状況をどうしたものかとガミネ先輩を見ると、先輩は無言で漫画を読んでいた。
まるで気付いていないかのような態度に、少々疑問を感じていたがそこはやはりコミュ障という彼女の本質がこの場ではああいう態度をするべきだと判断したのかもしれない。
「あ、あのっ」
と、ここでかわいらしいしたっ足らずな声が聞こえてきた、三次元であるのが残念すぎる彼女はなぜか俺のもとまでやってきた。
「な、なんですか?」
「ここって、箱庭サークルであってますか?」
「え、あぁ、はい」
「あの、あの、入部希望です」
「え、入部希望っていうと、このサークルに入りたいってことですか?」
「は、はい、ダメですか?」
「いや、ダメじゃないダメじゃない」
「本当ですか?」
「ねぇ、ガミネ先輩大丈夫っすよね」
「なんで私に聞くかはわからんが、この入会届に名前を書いたら入会は完了するぞ、ほれっ」
ガミネ先輩は机の上にくしゃついた入会届を出した、そういえば花屋敷さんの時にも思ったけど、どうしてこんなにも都合よく入会届が出てくるのだろうか?
そして、それと同時に我が箱庭サークルへと入部したいというこの人、この特徴的に思える声をどこかで聞いたことがあるような気がするが、これは俺の気のせいだろうか?
「あのぉ、ガミネ先輩?」
「なんだ?」
「どうしていつも入会届持ってるんですか?」
「これは私が幾度となく入会に試みた証だ」
「どういう意味っすか?」
「そんなことを聞くなんてスケベだな遠州」
「スケベってなんすか、普通に聞いただけじゃないっすか」
「女はミステリアスのほうが魅力的なんだぞ、余計なことは聞くな」
「そうすか、じゃあまぁ、とりあえず、入ってください」
俺は小さな入会希望者を部屋に招き入れ、彼女のためにパイプ椅子を準備した。すると、小さな入会希望者は部屋の中を物珍しそうな顔で見渡した後、パイプ椅子にちょこんと座った。
すると、今度は背中に背負っていた大きなリュックからペンを取り出し、入会届に名前を書き始めた。名前の欄には「加地 美琴(かぢ みこと)」と書かれており、そこまでぶっとんだ名前じゃないことになぜか安心した。そして、何より加地さんは俺と同学年だった。
「加地さん、俺と同級生なんですね」
「あ、はい」
「俺、遠州っていいます、このサークルの一年です、それから目の前で漫画書いてる人が花屋敷さんで、マンガ読んでる方が霧ヶ峰先輩、一個上の先輩です」
「知ってます」
「え?」
俺はとんでもない違和感を感じた。それは初めて会うであろう二人の事をさも当然のように知ってると口にしたことだ。しかし、そんな元気よく知っていると口にした加地さんはというと、なぜか慌てて口を手でふさぎ、まるで今まさに口にしたことをなかったことにしようとしていた。
「えーと、加地さんは二人の事知ってたんですか?」
「い、いえ知らないです」
「でも、今知ってるって」
「ち、違います、てんぱって、つい」
「そう、ならいいけど」
なんだか不思議ちゃんな気配を醸し出した加地さんは、とりあえず入会届を書き終えると俺に渡してきた。
「かけました、これからよろしくお願いします遠州君」
「あぁうん、ところで加地さんはどこでここの情報を?」
「美琴でいいですよ遠州君、苗字はなんだか苦手ですから」
「そう、じゃあ美琴さん?」
「はい、よろしくお願いします」
「えーっと、それでここのことはどこで知ったんですか?」
「もともとは入学式の日に、箱庭サークルというのが、アニメや漫画といったサブカルにフォーカスしたサークルであることを知っていまして、それで入会しようとしたんです」
「へぇ」
「でも、いざ行ってみると、なんだか怖そうな人たちがたくさん出入りしてて、電波が届かず入会をあきらめたです」
「電波?」
「はい、まったくびびびと来ませんでした、とても残念でした」
「なるほど、たしかに俺も勢いで入会したけど、入ったらあんまり居心地の良いサークルじゃなかったですよ」
「遠州君もそうだったんですか」
「まぁ、そうなるかな、でも一回あきらめたのにどうしてまた?」
「えぇ、入部をあきらめてからちょっとした頃、箱庭サークルが廃部になったと聞いて、私は完全に行くところがなくなって、細々と大学生活を送っていました。
でも、そんな生活があまりにも寂しくて、何とかもう一度入れそうなサークルを探していたところ、たまたま掲示板で箱庭サークル復活の掲示を見て、もう一度だけいってみようと思ってここに来ました」
「すごいタイミングですね」
「そうですか?」
「そうですよ、ちなみに美琴さんが怖いと思っていた人たちはもういませんし、サークル会員はここにいるの人で全員ですから」
「そうなんですか、なんだか居心地がよさそうです、ふふん」
「そう?」
「はい、びんびんです」
「びんびん?」
「はい、びんびんきてます」
「そ、そうすか・・・・・・」
というわけで、さっそくの新人の入会、これはなかなかにいいスタートを切っていきそうだ。だが美琴さんが入会したことにより、俺はちょっとした危機感を覚えていた。
そう、それは誰一人として男がいないということだ。
これは、いわゆるハーレムというものに近い形であると思われるが、それは、つまり俺がとんでもなく肩身の狭い状態に陥ってしまうという前触れなのだ。
実際、女性に囲まれたからと言ってうれしいとかそういう感情はエロゲーの主人公でもない限りあり得ない、むしろ、恐怖感すら感じる。
それに、本来なら男同士で盛り上がるような論争や、それこそ下ネタ的なことやらなんやら、とにかくそういう楽しい会話を楽しんでみたかったのだが、女子ばかりとなるとそうもいかないような気がする。
つまり、俺が幸せだと思っているこの空間が徐々に気まずい空間になるかもしれないということだ。現に、美琴さんはぎこちない笑顔を俺に振りまきながら、花屋敷さんの近くへと寄って行った。
そんな、少なからず感じる危機感を背に、この嫌な予感を払拭するかのように美琴さんの入会届を学友会に提出するため部室を後にした。
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