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するとそこに血眼はなかったものの、やたらと反射するメガネが彼女の表情を隠し、冷徹なロボットのように見えた。
「お前たち、今何と言った?」
「ん、あぁ、遠州と一緒にここにあるものを売りにだして少しでも儲けようとしたんだ」
その言葉に俺はようやく事の重大さに気付いた。しかし時すでに遅し、霧ヶ峰先輩はしっかりと言質を残してしまった。
「そうか、お前たち、少し学生会室に来てもらおうか」
「え、なんでですかっ?」
「何でも何も、学内において無断で販売行為を行うのは禁止されている、しかもそれが私的な金銭目的など言語道断だ、ふざけるのも大概にしろお前たちっ」
「あ、いや待てミヤチ、ここだけの話これを提案したのは遠州で私は一切関係ないというかなんというか」
霧ヶ峰先輩も事の重大さに気付いたところで、いきなり俺を生贄として差し出そうとしてきた。
「だぁっ、裏切ったな先輩」
「許せ遠州、これで最後だ」
「今はふざけてる場合じゃ」
「遠州っ」
部屋中に響き渡る大声に思わず姿勢を正すと、宮本先輩が俺の肩に手を置いてきた。彼女の顔は初めて会った時のとても冷徹でクールビューティな様子だった。
「な、なんでしょう宮本先輩?」
「私についてこい、学友会室でたっぷり話を聞かせてもらう」
「いや、ちょっと待ってください、霧ヶ峰先輩だって共犯っていうか、なんというか」
「うるさい、霧ヶ峰はお前が提案したといっている」
「そ、そんな言葉を鵜呑みにするんですか?」
「そうだ」
「そ、そんなぁ」
結局、俺は霧ヶ峰先輩にいけにえに出される形となり、宮本先輩とともに学友会室へと向かった。
しかし、学友会室には運の良いことに誰一人としておらず、そんな様子に先輩も少し困惑した様子だった。だが、それで宮本先輩の怒りが静まるわけもなく、俺は先輩からしばらく説教を受けた。
そして、最終的には反省分四千字という酷な判決を受けて再び箱庭サークルへと戻ることになった。
つくづく学友会のメンバーがいなかったことに感謝しつつ、サークル棟を歩いていると、俺はふと変なものを感じ取った。
そう、それはまるで後方から何者かに尾行されているような感覚だ。
はじめは気のせいだと思って気にもしていなかったが、人通りの少ない箱庭サークル付近まで来てその足跡はやはり俺をつけているとしか思えなくなった。間違いない、俺の背後から人の足跡らしきものが付きまとってきている。
いや、決して何かの能力に目覚めたとかではなく、ただ単純にコツコツというホラーゲームご用達の音がしっかりと聞こえてくるのだ。それも俺が歩けば鳴り、立ち止まれば遅れて鳴りやむものだから非常に怖い。そんな状況下で幼き頃から幽霊という存在を待ち望んでいる俺は勇気を振り絞り振り返ってみることにした。
しかし、振り返ったところで俺の眼前には人らしき姿もなく、あたりはしんと静まり返っていた。まるで甘いものが好きな何かにとりつかれているかのような現象が、気のせいだったと安心しつつ、俺は思わずため息をついた。
そんな、ため息とともに下げた視線の先には何故か金色の何かが存在しており、俺は思わず腰を抜かし、しりもちをついた。
「うわぁぁぁっ」
情けなくもしりもちをついた俺は、すかさず不可解な存在を確かめると、そこには昼休みに原稿をまき散らしていた金髪巨乳美少女がしゃがみこんでいた。
ゴスロリ服のおかげか、パンツが見えるかもしれないといういわゆるラッキースケベにはいたらなかったが、そんなことよりも俺はどうして彼女が俺の目の前にいるのかというのが不思議でならなかった。
そして、そんな困惑した状況の中、目の前の金髪巨乳美少女は口を開いた。
「キーホルダー」
「え?」
「キーホルダー、かわいい」
あまりにも気の抜けた発言に俺は思わず首をかしげると、彼女もまた俺同様に首を傾げた。そんな仕草だけでもかわいいと思える美少女との出会いに、もはやラブコメの主人公に選ばれたのかと思っていると、金髪巨乳美少女は俺のカバンについていたキーホルダーを指さしてきた。
「それシロちゃん」
「あ、あぁ、これですか」
「好き」
「ど、どうも・・・・・・」
嫌な沈黙、いや、この沈黙は起こるべくして起きたと言えるだろう。
まぁ、俺というやつは妄想ではおしゃべりだが、初対面の相手に軽々しく口を聞けるような奴ではないのだ。そんな自らの情けなさを反省しつつも体に打事が聞かない俺は話すらできないまま高鳴る鼓動を抑えるのに必死だった。
「あ、あの、えっと」
「これ、私も好き」
「へ?」
「私もざくろ好き」
「ざくろ、知ってるんすか?」
そういうと、金髪美少女は鞄の中からざくろの漫画を取り出して見せた。そして漫画を取り出し俺に見せつけてくる彼女の顔が幾分どや顔に見えるのは俺だろうか?とにかく、思いもよらない出会いに俺はようやく心が落ち着いてきた。
「な、なるほど」
「どこに行くの?」
「え?」
「どこ行く?」
もはやどこに行くではなくたどり着いている箱庭サークル前、僕は静かにその扉を指さすと、金髪美少女は「おー」と声を上げた。
「ここは何をするところ?」
「え、あぁ、ここはマンガ読んだり、アニメ見たり、ゲームしたりするところ」
「すごい、パラダイス」
その通り、ここにあるものはとても貴重な品ばかりであり俺たちはその貴重さを知らずに売りさばこうとしていた不埒ものです。
そして今度は来られをどう守るか考えている途中なのだが、そんな俺の気も知らず金髪美少女はずれた箱庭サークルというプレートをきっちりハメなおしてくれた。
すると、いつもならすぐにずれるところを、今回ばかりはきちりとはまり、堂々たる姿を見せてくれた。こんな機嫌のいいプレートは初めて見たものだと思わず感心していると、隣にいる金髪美少女が話しかけてきた。
「ねぇねぇ」
「え、はい、なんすか?」
「ここ入ってもいい?」
「あ、はい、どうぞ」
簡単に受け入れちゃったけど、まぁ大丈夫だろう。なんなら、霧ヶ峰先輩に昼休みに出会った金髪少女が実在したことを教えてその反応でも見てみよう。
そう思い重い扉を開けて、金髪美少女を部屋に招き入れると、中でのんきに漫画を読んでいた先輩は、俺の後ろから現れたであろう金髪美少女を目にしたのか、パイプ椅子から転げ落ちて見せた。
「うわ、ちょっと大丈夫ですか先輩」
すぐさま先輩に駆け寄ると、先輩は俺の背後を指さして「ききききき」という言葉にならない声を上げた。
「なんですか、きききききって?」
「き、金髪、巨乳、美少女、KKB、KKBがいるっ」
「は、はいそうっすね」
「遠州、お前の話は本当だったのかっ」
「そうですよ、それでさっきこの部屋の前でばったり出会っちゃって、それでここに興味を持ってくれたみたいで」
「そ、そうか、異世界に転生されてチュートリアルとしてこの金髪少女がやってきたとか、そういう感じかと思ったが違ったか」
「違いますよ」
「証拠は?」
「この部室にいる時点で、異世界じゃないです」
「しかし、この部屋だけが現実世界から切り離されてしまったという可能性は少なくないはずだ」
「ありませんし、俺がいるんですからそれはないですよ」
「あぁ、そうだったな」
「はい」
そんないつも通りといえばいつも通りとなりつつある会話の中、部屋に招きいれた金髪美少女は、部屋に置いてある様々なアニメ、漫画グッズたちを眺めており、それはとても興味深々といった様子だった。
そして、その中から一冊の本に興味を持ったのか、その本を棚から引き抜いたかと思うと俺のもとまでやってきた。
「これ、読んでいい?」
彼女が見せてきたのは「神父さんズ」という、神父養成学校に女の子が男装して入学してくるという、何とも新しい視点の漫画だった。
一度読んだこともあるから面白いのはわかっているけど、まさかこの漫画を手に取り、目を輝かせて読みたいといってくるとは、この金髪美少女かなりできる人らしい。
「あぁ、いいよ」
「ありがと」
しかし、この片言の日本語で喋りかけられると妙にかわいく思えてしまうのはなんでだろうか?
「あ、ここにあるものは好きに読んでもいいから」
「好きに?」
「うん」
「すごい、ここマンキッサンみたい」
「マンキッサン?」
「うん、マンキッサン」
まるでマンハッタンのように言っているが、彼女が言いたいのはおそらく漫画喫茶の事だろう。
「漫画喫茶の事?」
「うんマンキッサン」
独自の言葉を扱いながら金髪美少女は部室内を散策し始めた。しかし、突然散策をやめたかと思うと、金髪美少女は、俺のところにやってきて見つめてきた。
「お前たち、今何と言った?」
「ん、あぁ、遠州と一緒にここにあるものを売りにだして少しでも儲けようとしたんだ」
その言葉に俺はようやく事の重大さに気付いた。しかし時すでに遅し、霧ヶ峰先輩はしっかりと言質を残してしまった。
「そうか、お前たち、少し学生会室に来てもらおうか」
「え、なんでですかっ?」
「何でも何も、学内において無断で販売行為を行うのは禁止されている、しかもそれが私的な金銭目的など言語道断だ、ふざけるのも大概にしろお前たちっ」
「あ、いや待てミヤチ、ここだけの話これを提案したのは遠州で私は一切関係ないというかなんというか」
霧ヶ峰先輩も事の重大さに気付いたところで、いきなり俺を生贄として差し出そうとしてきた。
「だぁっ、裏切ったな先輩」
「許せ遠州、これで最後だ」
「今はふざけてる場合じゃ」
「遠州っ」
部屋中に響き渡る大声に思わず姿勢を正すと、宮本先輩が俺の肩に手を置いてきた。彼女の顔は初めて会った時のとても冷徹でクールビューティな様子だった。
「な、なんでしょう宮本先輩?」
「私についてこい、学友会室でたっぷり話を聞かせてもらう」
「いや、ちょっと待ってください、霧ヶ峰先輩だって共犯っていうか、なんというか」
「うるさい、霧ヶ峰はお前が提案したといっている」
「そ、そんな言葉を鵜呑みにするんですか?」
「そうだ」
「そ、そんなぁ」
結局、俺は霧ヶ峰先輩にいけにえに出される形となり、宮本先輩とともに学友会室へと向かった。
しかし、学友会室には運の良いことに誰一人としておらず、そんな様子に先輩も少し困惑した様子だった。だが、それで宮本先輩の怒りが静まるわけもなく、俺は先輩からしばらく説教を受けた。
そして、最終的には反省分四千字という酷な判決を受けて再び箱庭サークルへと戻ることになった。
つくづく学友会のメンバーがいなかったことに感謝しつつ、サークル棟を歩いていると、俺はふと変なものを感じ取った。
そう、それはまるで後方から何者かに尾行されているような感覚だ。
はじめは気のせいだと思って気にもしていなかったが、人通りの少ない箱庭サークル付近まで来てその足跡はやはり俺をつけているとしか思えなくなった。間違いない、俺の背後から人の足跡らしきものが付きまとってきている。
いや、決して何かの能力に目覚めたとかではなく、ただ単純にコツコツというホラーゲームご用達の音がしっかりと聞こえてくるのだ。それも俺が歩けば鳴り、立ち止まれば遅れて鳴りやむものだから非常に怖い。そんな状況下で幼き頃から幽霊という存在を待ち望んでいる俺は勇気を振り絞り振り返ってみることにした。
しかし、振り返ったところで俺の眼前には人らしき姿もなく、あたりはしんと静まり返っていた。まるで甘いものが好きな何かにとりつかれているかのような現象が、気のせいだったと安心しつつ、俺は思わずため息をついた。
そんな、ため息とともに下げた視線の先には何故か金色の何かが存在しており、俺は思わず腰を抜かし、しりもちをついた。
「うわぁぁぁっ」
情けなくもしりもちをついた俺は、すかさず不可解な存在を確かめると、そこには昼休みに原稿をまき散らしていた金髪巨乳美少女がしゃがみこんでいた。
ゴスロリ服のおかげか、パンツが見えるかもしれないといういわゆるラッキースケベにはいたらなかったが、そんなことよりも俺はどうして彼女が俺の目の前にいるのかというのが不思議でならなかった。
そして、そんな困惑した状況の中、目の前の金髪巨乳美少女は口を開いた。
「キーホルダー」
「え?」
「キーホルダー、かわいい」
あまりにも気の抜けた発言に俺は思わず首をかしげると、彼女もまた俺同様に首を傾げた。そんな仕草だけでもかわいいと思える美少女との出会いに、もはやラブコメの主人公に選ばれたのかと思っていると、金髪巨乳美少女は俺のカバンについていたキーホルダーを指さしてきた。
「それシロちゃん」
「あ、あぁ、これですか」
「好き」
「ど、どうも・・・・・・」
嫌な沈黙、いや、この沈黙は起こるべくして起きたと言えるだろう。
まぁ、俺というやつは妄想ではおしゃべりだが、初対面の相手に軽々しく口を聞けるような奴ではないのだ。そんな自らの情けなさを反省しつつも体に打事が聞かない俺は話すらできないまま高鳴る鼓動を抑えるのに必死だった。
「あ、あの、えっと」
「これ、私も好き」
「へ?」
「私もざくろ好き」
「ざくろ、知ってるんすか?」
そういうと、金髪美少女は鞄の中からざくろの漫画を取り出して見せた。そして漫画を取り出し俺に見せつけてくる彼女の顔が幾分どや顔に見えるのは俺だろうか?とにかく、思いもよらない出会いに俺はようやく心が落ち着いてきた。
「な、なるほど」
「どこに行くの?」
「え?」
「どこ行く?」
もはやどこに行くではなくたどり着いている箱庭サークル前、僕は静かにその扉を指さすと、金髪美少女は「おー」と声を上げた。
「ここは何をするところ?」
「え、あぁ、ここはマンガ読んだり、アニメ見たり、ゲームしたりするところ」
「すごい、パラダイス」
その通り、ここにあるものはとても貴重な品ばかりであり俺たちはその貴重さを知らずに売りさばこうとしていた不埒ものです。
そして今度は来られをどう守るか考えている途中なのだが、そんな俺の気も知らず金髪美少女はずれた箱庭サークルというプレートをきっちりハメなおしてくれた。
すると、いつもならすぐにずれるところを、今回ばかりはきちりとはまり、堂々たる姿を見せてくれた。こんな機嫌のいいプレートは初めて見たものだと思わず感心していると、隣にいる金髪美少女が話しかけてきた。
「ねぇねぇ」
「え、はい、なんすか?」
「ここ入ってもいい?」
「あ、はい、どうぞ」
簡単に受け入れちゃったけど、まぁ大丈夫だろう。なんなら、霧ヶ峰先輩に昼休みに出会った金髪少女が実在したことを教えてその反応でも見てみよう。
そう思い重い扉を開けて、金髪美少女を部屋に招き入れると、中でのんきに漫画を読んでいた先輩は、俺の後ろから現れたであろう金髪美少女を目にしたのか、パイプ椅子から転げ落ちて見せた。
「うわ、ちょっと大丈夫ですか先輩」
すぐさま先輩に駆け寄ると、先輩は俺の背後を指さして「ききききき」という言葉にならない声を上げた。
「なんですか、きききききって?」
「き、金髪、巨乳、美少女、KKB、KKBがいるっ」
「は、はいそうっすね」
「遠州、お前の話は本当だったのかっ」
「そうですよ、それでさっきこの部屋の前でばったり出会っちゃって、それでここに興味を持ってくれたみたいで」
「そ、そうか、異世界に転生されてチュートリアルとしてこの金髪少女がやってきたとか、そういう感じかと思ったが違ったか」
「違いますよ」
「証拠は?」
「この部室にいる時点で、異世界じゃないです」
「しかし、この部屋だけが現実世界から切り離されてしまったという可能性は少なくないはずだ」
「ありませんし、俺がいるんですからそれはないですよ」
「あぁ、そうだったな」
「はい」
そんないつも通りといえばいつも通りとなりつつある会話の中、部屋に招きいれた金髪美少女は、部屋に置いてある様々なアニメ、漫画グッズたちを眺めており、それはとても興味深々といった様子だった。
そして、その中から一冊の本に興味を持ったのか、その本を棚から引き抜いたかと思うと俺のもとまでやってきた。
「これ、読んでいい?」
彼女が見せてきたのは「神父さんズ」という、神父養成学校に女の子が男装して入学してくるという、何とも新しい視点の漫画だった。
一度読んだこともあるから面白いのはわかっているけど、まさかこの漫画を手に取り、目を輝かせて読みたいといってくるとは、この金髪美少女かなりできる人らしい。
「あぁ、いいよ」
「ありがと」
しかし、この片言の日本語で喋りかけられると妙にかわいく思えてしまうのはなんでだろうか?
「あ、ここにあるものは好きに読んでもいいから」
「好きに?」
「うん」
「すごい、ここマンキッサンみたい」
「マンキッサン?」
「うん、マンキッサン」
まるでマンハッタンのように言っているが、彼女が言いたいのはおそらく漫画喫茶の事だろう。
「漫画喫茶の事?」
「うんマンキッサン」
独自の言葉を扱いながら金髪美少女は部室内を散策し始めた。しかし、突然散策をやめたかと思うと、金髪美少女は、俺のところにやってきて見つめてきた。
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