5 / 6
1章
4話
しおりを挟む小さい先生の後ろを泣きながらひな鳥のようについて歩く少女。
金髪のツインテールで人形のように整った顔立ちをもち、胸には金色のバッジ。
少し古びて暗く静かな、俺たちの騒がしいクラスには全く似合わない雰囲気が漂う教室の中で、彼女がいる空間だけは世界が違うかのように見えた。
……なんか、つい先日見たことがあったような顔立ちだ。いや、その当人で間違いないだろう。バッジもあるし。
に、しても何で泣いているのだろうか。
俺が知る由もないか。
「さ、さて。それじゃあ紹介しよう」
貼り付けたような笑みを顔に浮かべて先生が言う。
口元がピクピクと震えているのは、忘れていたことに対する罪の意識からだろうか。
まあ、そんな先生の様子に生徒は気付くそぶりはない。生徒は今泣いている彼女に夢中だ。
泣いている姿は庇護欲を掻き立てられるのだろう。女子生徒も全員、少女の方を母親のような目で見ている。
ちなみに男子生徒の目は欲望にまみれた感じだ。同じクラスの女子生徒ほぼ全員がケバいので、編入生の彼女をオアシスのように感じているのだろう。
ただ、光輝の視線だけは純粋に泣いている彼女を哀れんでいるものであった。
流石に正義感が強い。
「……えーと、うん。こいつは編入生の北川アリナだ。イギリスからの来たらしいから、その、何だ……」
動揺からか、かなり言葉に詰まりながら先生が彼女を紹介する。紹介されている彼女の方は、みんなを見渡したかと思うと、慌てた様子でポケットからティッシュを取り出し鼻をかんだ。そして手で目元をゴシゴシとこする。
「よし~!」
涙を吹き飛ばすかのように勢いよく腕を振る。
ひとしきり行動が終わった彼女からは、先程までの悲壮感漂う雰囲気は消え去り昨日のような余裕があるゆったりとした空気が漂っていた。
そんな中にもやはり、普通とは離れた、他と隔絶された空気が滲み出されているのは、彼女の退魔士としての実力からだろう。
武道を修めた人たちが纏う、他とは違う独特な空気。それがさらに濃くなったものだと考えていい。
「えっと、北川アリナです。イギリスから来ました~。退魔士なのです~。みんなよろしくね~」
「「「はいっ!よろしくですっ!」」」
男子生徒全員が立ち上がり、深く深くこうべを垂れる。
単純なものだ。人の見た目がどれだけ重要か教えてくれているこの光景。
そんな男子生徒たちの行動に、女子生徒も呆れかえってしまっている。
……なんだ? 変な違和感がある。
見慣れた景色に異物が混ざっているような。視界の端にちょこんとあるような、そんな些細な違和感。
だけど、どこから来ているんだ?
その違和感の原因を探そうと、もう一度視線を一周させようとし????
ガラガラと教室前方の扉が開け放たれた。と同時に、一限目の開始を告げるチャイムも鳴る。
そりゃそうか。一限目までの時間、逃げ出した生徒を捕まえるのに使っているのだから。
むしろ、簡単な自己紹介を済ましてしまえるほど時間が余ったことの方が驚きだ。
先生も編入生の北川さんも、立っている男子生徒も、座っている女子生徒も、全員その場で固まった。
そんな全員を不思議そうに見渡しながら、定年近い歳で髪の毛が端にしか生えていない数学の教師は教壇に上がる。
「おはよう諸君。さて、まずは数学Aの教科書15ページを開……い……て?」
黒板に今日やる予定の単元名を書き終え、俺たちの方を向く。
そして固まった。
向けられている視線に気づいたようだ。
全員がジト目で数学の教師を見つめている。教師は異様なプレッシャーを感じていることだろう。
教師は気圧されたのかバランスを崩し、後ずさった。
トン。教師の肩に優しく手が乗せられる。
そのことに対し、全員の視線を集めて精神が敏感になっていた教師は、ビクビクしながら振り返った。
「すまないな。今編入生の紹介をしているところなんだ。
……邪魔だから、退出してくれないかなあ」
般若の微笑み。そして何とも理不尽な言い分。
先生が生徒を捕まえるのに夢中になって、北川さんの存在を忘れていたのが根元だと思うのだが。
だが、さすがレディースの元総長。
そんじょそこらの不良など足元にも及ばないほどの、凄みきかしている。
ただ、先生といった職業に就いている人のする表情ではないだろう。
教師は額に玉のような汗を浮かべている。完全に先生、怯えられています。
「は、はひぃっ! わかりましたっ、失礼しますっ!」
脱兎の如くと表現するに相応しい。教師は風のような速度で教室から退散していった。
それにしても、とんだとばっちりを受けたな。
「さて、それじゃあ続きだ」
先生はさっきの教師が黒板に書いた文字を消し、何事もなかったかのように自己紹介を続行した。
起立していた男子生徒も、一旦場が切れたことを察したのか、自らの席に腰を下ろす。
「え~っと。それじゃあ~何か質問ある~」
その質問に対し、待っていましたとばかりに大勢の手が宙に掲げられた。
その中に一つ。大勢ある手の中で一際目立つもの。
力強く掲げられたそれ。光輝の手があった。
「わぁ~。いっぱい手が上がった~。
う~んとねぇ、それじゃあねぇ。はいっそこの手の人~!」
一番最初に指されたのは光輝。
満足そうな顔をして立ち上がり、北川さんと相対した。
「北川さん。退魔士のランクはどうなんですか?
バッジを見ればわかりますが、本物かどうかわからないので北川さんの口から聞きたいんですよ」
その言葉に対し、教室内がざわついた。
バッジが何処にあるのかわかっている人がいなかったからだ。
『バッジ? そんなものあるのか?』や、『え、どこどこどこ?』といった声が上げられている。
ちなみに、バッジは高校の制服だという違いを除き、昨日と同じようにつけられていた。
つまり胸の位置だ。
男子生徒も女子生徒も、みんな整った顔ばかりを見て、主張のおとなしい胸の方には目がいっていなかったようだ。
「胸のところだよ、胸の」
教えない理由もないので、位置を指し示してみせた。
みんなは指し示された方……北山さんの胸を見る。
自己主張の少ない。けれども少し膨らみがあり、滑らかな曲線を描いている、形の整った胸。
男性陣は『おぉ……』と感嘆の声を漏らしている。
そして女性陣は……
俺と光輝を汚いものを見るような目で見ていた。
「……なぜそんな目で見る?」
「は? だって真っ先に胸の部分を見るとか変態でしょ」
……盲点だった。そうか、女子はそのように男子のことを観察しているのか。
その女子生徒の後に続き、『そうだそうだ』といった女子生徒の同意の声が響いた。
みんなから言われると傷付きそうだ。光輝はもうダウンしており、うなだれてしまっている。
「えっと、あのぉ~。質問に答えたいんですけど~」
その声が聞こえ、光輝がバッと顔を上げた。光輝にとっては、傷ついたことよりも同じ退魔士としての、彼女のランクの方が重要だということだ。
どうせ『自分よりランクが上だったら師事して貰おう』とでも考えているのだろう。
騒いでいた生徒も、その声をきっかけに何の時間だったのかを思い出したようだ。
「ランクでしたね~。私のランクは、さっき言ってくれた通り金色でまちがいないですよ~」
そう言って胸についているバッジを取り外し、ほらほら~。と見えるように掲げた。
光を反射させキラリと眩しく輝くそれ。
誰もが目を奪われた。
「…….あっ、ありがとうございましたっ!」
「いえいえ~」
数秒の後、バッジから目を離した光輝がお礼を言う。
北川さんはニコニコしながら手を振って返した。
可憐なその表情に、光輝の顔が熱を帯びる。
そして珍しく、ごにょごにょとはっきりしない声で質問を重ねた。
「えっと……それでなんですけど、」
「ん~? まだ何かあるのですか~?」
「はい……よかったら、放課後お時間頂けないでしょうか?」
『うおおっ!』と、教室が揺れた。
色恋沙汰の予感でも感じ取ったのだろうか。
「告白か? 告白なのか?」
「遂に御垣守くんにも春が!?」
「ええっ……御垣守くん、そうなんですか~?」
北川さんも、頬に手を当てて体をくねらせた。
「違いますからねっっ!」
光輝は全力でこれを否定。
囃し立てたクラスのみんなを睨みつけた。みんなは視線をそらし、素知らぬふりをする。
……分かり易すぎだろ。
「えっと、兎に角違うんです! ただちょっと訓練をして欲しかっただけです!」
「な~んだぁ。そうだったんですか~。私は別に大丈夫ですよ~」
その答えに光輝が破顔した。
協会に入っている者にとっては金色なんて、羨望の的だからな。
普通訓練なんてつけてもらえない。光輝にとっては貴重な体験になるのではないかな。
強くなれるかどうかはわからないが。
昨日の事と結びつくが、銀色以上と銀色未満では本当に世界が違うのだ。
比喩でも何でもない。あれは努力や才能といった問題ではないからだ。
そのような、世界が違う人は自分の“能力”に合った、その人自身の戦い方や動きをするようになる。
最適化されていくのだ。
そして、それは他人が教わったとしてもあまり意味のないもの。
その人に適しているわけではないのだから。
だから、まだ熟していない内は型に合った動きを学んでいく方が、強くなれると俺は思っている。
光輝は隣で、本当に嬉しそうに、無邪気な笑みを零している。
……まあ、こんなことを伝えてあいつの喜びに水を差すのも無粋な話だろう。
俺は隣から光輝の喜び様を眺めていた。
「さーて、そんじゃあ他に質問のある奴はいるかぁ?」
クラスの大半の人が手を挙げる。
この後もまだまだ質問は続くだろう。
窓側の席だが、数学の教師はどうしたのだろうと思い廊下を見てみた。
教師は無表情で、だけどどこか寂しそうに廊下で教材を持って立っていた。
目が合う。
何故だかとても申し訳ない気持ちになった。
◇ ◇ ◇
質問が終わったのと、一限目の終わりを告げるチャイムが鳴ったのはほとんど同時だった。
数学の教師はとぼとぼと、俺たちのクラスの前から離れていく。次の教室へと向かうのだろう。
この一時間で、北山さんはすっかりクラスのみんなに溶け込んだようだ。
結果的にはよかったと言えるのかな?
あの後あった質問は、イギリスの退魔士であることについてが殆どだ。
イギリス
知っての通り、ヨーロッパの国の一つだ。
地理的に見ると他の国とは海を隔てて、ぽつんと存在している。
そこまでは普通のこと。
では何故そんなことを、みんなが質問したのか。
ヨーロッパは妖怪の勢力の拠点であるからだ。
何故そうなったのかと言うと……長々とした話になるので止めておこう。
ドイツにあるひときわ大きな城を中心に、最高級の吸血鬼たちの城が四つ、各地に存在している。
空には厚く黒い雲がかけられており、陽の光が降り注ぐことはない。
以前人が住んでいたであろう建物は、長年風雨にさらされたかの如く錆び付いて、少なくない箇所が崩れ落ちている。
退廃した雰囲気が漂う地域。
そしてそれは、ロシアのウラル山脈までも続いている。
そんな妖怪たちの地域。そこにあるただ一つの、人間が無事に暮らしている国。
それがイギリスなのだ。
何故無事なのかと言うと、先に言ったような地理的な理由が大きい。
海を挟んでいる、といった理由だ。
吸血鬼はより高い級になるほど、陽の光や流水が苦手になっていく。
これは、力が上がることへの代償だ。
何かを得るためには何かを失わなくてはいけない。
上手くなるために、練習に時間を失わせる。
ものを買うのに、お金を失う。
こういった法則に従っているのだ。
だからこそ、高い級の吸血鬼は直接イギリスに攻め込むことが出来なかった。
結果的に、攻め入れたのは弱い吸血鬼やその配下の妖怪のみ。
イギリスは、そういった妖怪をすべて撃破してきたのだ。
もちろん、弱いと言っているが他の地域に出現する妖怪よりかは断然に強い。
本拠地が近くにあるからだ。
今も絶え間なく侵攻が続いている。最前線に数えられている地域の一つだ。
そういった国の退魔士。さらにそこで、金色に数えられている彼女だからこそ、クラスのみんなは質問を重ねたのだ。
余談だが、もちろん吸血鬼たちも手をこまねいているだけではない。
海を渡らずに攻め込む方法も、もう考えられているのだが……
「ああ、そうだ北山。お前はあの席に座れ」
と、まあ。先生の声によって遮られた。
先生が指し示した座席。
一番窓に近い列。その一番後ろ。
どこだか分かっていても、指し示されると自然とそちらを向いてしまう。
俺も例に漏れずそちらを向いた。
色彩を失い、同時に生気も亡くしたような、腰にまで流れる白髪。
青白い肌。しかし不気味といった印象よりかは、儚く可憐な印象を感じさせる。
そして、何と言っても目を引くのが左が欠けたその腕。丁度、俺が亡くした方の腕しか彼女はもっていなかった。
誰だ彼女は。
俺は彼女を全く知らない。
特徴的な、一ヶ月ほども同じクラスで過ごしているのならば少なくとも一回は目に留まるであろう彼女の姿。
だが、俺は見覚えがない。
周りの人はそのことに気づいていないようだ。……いや、どこか違う。
普通、同じ集団の中に知らない人がいたのならば、誰も触れなかったとしても変な空気が流れる。
しかし今このクラスに流れている空気は、俺が四月から慣れ親しんだ空気だ。
みんなは、彼女がいることが当たり前のように、クラスの雰囲気の中に彼女を溶け込ませている。
みんなも気づかないうちに。
だからこそ、俺はすぐに気付けなかった。
こんな異常に。
「お隣よろしくね~」
「ええ。こちらこそ」
彼女は隣の席に来た北川さんと、普通に挨拶を交わす。
それに対し、彼女の前の席にいる女子生徒も挨拶をする。さらにそれをきっかけに女子同士の会話へと移行した。
空気にはさざめき一つ立たない。
本当に溶け込んでいるようだ。
訝しむ視線を彼女に向ける。
向こうも俺に気づいた……いや、初めから気づいていたようだ。
周りにはたくさんの人がいるが、俺は彼女と二人っきりで対面しているような気がした。
そしてそれは、向こうも同じように感じていることだろう。
彼女はこちらを???俺の目を見て、興味深そうにほほえんだ。
そして彼女の、ふっくらとしているがやはり青い唇が動く。
『ひ・る・や・す・み・お・く・じ・ょ・う・で』
彼女の唇は、空気を震わせることはなかった。
それでも、動きを見て何を言っているのかはわかる。
何を狙っているのか。見透かすように彼女を見る。
彼女はさっきまでと変わらずにいた。
雰囲気も何もかも。
しかし俺が理解したことがわかったのか、満足そうな、けれども冷めている表情を見せた。
伝えたかったことは終わったのだろう。彼女は髪を翻して顔を前に向けた。
空中に解けた白髪は、窓から差し込む光によって銀色に煌めく。
その輝きに俺は視線を釘付けにされて????
記憶の中の“彼女”と重なった。
「っっ!」
『夜姫』
妹を思わせるその髪の色。
それをきっかけに、妹との記憶が思い返される。
圧倒的な奔流が俺を巻き込んだ。
何年たっても色褪せない……いや、より鮮明さを増しているそれになす術もなく呑み込まれた。
音も色も光も全てが精彩を欠き、白と黒に還元されていく。
現実の景色が遠ざかっていくたびに意識が過去の思い出へと誘われていくのが分かった。
……また、夢を見るのか
「??ねえ、神代くん大丈夫?」
肩を叩かれる感覚とともに、耳に言葉が入り込む。
俺の肩を叩いたのは如月さんだった。
如月さんは、俺の右隣の席に座っている女の子だ。
長く艶めかしい黒髪を後ろで結い団子状にしている。
顔には、その半分ほどを覆う大きさのメガネがかけられており、端から見るとあまり顔の造形が分からないようになっている。
いつも、一歩引いたところから眺めている。普段の如月さんを見ているとそんな感じだ。
俺もそんな感じなので、みんなが騒いでいる時に目が合って一緒にため息をつくことが多々ある。
こういう関係を何というのだろう? 友達とは少し違うような気がする。
「あ、ああ。……大丈夫だよ。ありがとう」
「いや、こっちも全然平気だよ。それにしてもどうしたの? 神代くんが寝そうになるなんて珍しいし」
「まあ、色々あってね……」
そう、色々。
あれは完全に不意打ちだった。心の準備が一切出来ていない状態だったので、いとも簡単に心が乱されてしまった。
彼女のせいではないのだが、八つ当たりと言うのだろうか? 疑惑の彼女についつい視線を流してしまった。
彼女は先生に呼ばれていた。
プリントを職員室まで運ぶのを手伝って欲しいというお願いだった。
と、いうわけで俺の視線の先には誰もいない……なんねことはなく。
「何だ斬夜? お前……品鬼さんに気があるのか? どうなんだ?」
「ちょ、ちょっと。近い、離れて離れて」
相田駿の顔が、下敷きをも挟めないほどの近さで俺の顔の前に存在していた。
でかでかと、目と鼻の先にある彼の顔。
太い眉毛に、きりりとした目。髪は短くスポーツ刈りだ。
そんな彼は、何故かこちらを、その太い眉にしわを刻んだ鬼の形相でにらんでいる。
ふん!ふん!といった、ものすごい鼻息を伴って。
あまりの近さに吐かれた息が勢いよく俺の顔に降りかかってきている。
……それにしても、彼女は品鬼さんという苗字なのか。
うん。やっぱり聞き覚えがないな。
「そんなことはどうでもいいんだよ! 俺が聞きたいのは、お前は彼女に気があるのかどうかなんだよ!」
「ああ~、なるほど。安心してよ、これっぽっちもないから」
「本当にか?」
「ん」
未だ疑いを晴らしてくれない相田。
俺の目をじっと見つめ続ける。
いつも通り俺は受け流した。
まだ見つめてくる。
まだ。
まだ。
どうしよう。動く気配がない。
助けを求めるように如月さんに目を配る。
如月さんは読んでいる難しそうな本を置き、こちらを見てくれた。
一秒、二秒。
状況を把握し、行動を選択するまでの時間だったのかな。
如月さんは再び手元に視線を下ろした。
助けが消えた。数少ない喋り相手にも見捨てられたか。
さて、どうしよう。
と、悩んでいるところに突然、横から助けが入った。
「相田。斬夜は大丈夫だよ。女に興味あるのか分からないようなやつなんだから」
「……なるほど。光輝が言うのであれば信じよう」
光輝が会話に入ってきて、俺の援護をする。
ちなみに光輝は俺の左隣の席だ。
俺たちの会話が聞こえていたのであろう。
そして、言われもない事を突きつけられている俺を見て、正義感が働いたのだな。
それにしても、今の言葉は俺に対して失礼ではないのか……?
まあ、今ここで言うことでもないか。せっかく納まりがつきそうになっているのだ。
我慢しよう。
話を光輝のことに戻す。
光輝は正義感が強い真っ直ぐなその性格からか、やはり多くの人に慕われている。
そんな光輝だからこそ、俺より周りの信用が厚いのは当たり前のこと。
俺はあまりクラスの人と話してないからな。つながりが薄いのも仕方ないだろう。
「疑って悪かったな」
こうしてちゃんと謝るところが、礼がちゃんとしているというかなんというか。
少なくとも悪い印象は受けない。
「いやいや、別に大丈夫だよ」
「ああ、そうか」
「それにしても……」
「なんだ?」
俺が勿体振るからか、相田は苛つき気に返事をする。
「相田ってさ、品鬼さんのこと好きなの?」
相田の彫りの深い顔、その動きが固まった。
先ほどよりも遠い位置になったが、それでも目の前と言える距離。
そんなところで厳つい人が固まっているのだ。
それだけで、威圧感がひしひしと伝わってきた。
「へー。それで、どうなんだい相田?」
光輝までもがニヤニヤして固まっている人物へと尋ねる。
二人から聞かれ、相田の頭は再始動した。と、同時に恥ずかしさがこみ上げていく。
相田は、耳も顔も真っ赤になり、さらに湯気まで吹いた。
そうとうわかりやすいな、彼。
「は、は、はぁ? そ、そんなことねぇし。ば、ばっかじゃねえのか、お、おまえら。は、はは。
お、俺があいつを好き? ははは、は。あ、ありえねえし!」
噛み噛みになりながらも、彼はなんとか最後まで言い切った。
言い切ると同時に駆け出していき、机の間をすり抜けて教室から出て行った。
可愛いとこあるじゃないか。
結局彼は、二時限目のチャイムが鳴ってからしばらくした頃、先生に引きずられる形で教室へと戻ってきた。
◇ ◇ ◇
昼休み。
クラス内では、弁当を取り出し机を移動させ、友達と食べる人や、売り切れる前にと購買へ駆け込む人が見受けられる。
中庭のベンチには、恋人同士なのだろう男女が何組かいて、木陰で涼しい場所のはずなのに、非常に甘いねっとりとした空気が漂っていて、とてもお熱い。
そんな中俺は廊下の人混みを掻き分けて、屋上に向かっていた。
俺たちの教室は三階。屋上は五階なので二つ階段を登らなくてはならない。
二つ目の階段を上る。
一つ目とは違い、人影一つ見つからない。
一つ目は生徒もよく使う活気あふれる場所だが、ここは窓がなく暗いということと、屋上がそもそも開放されてないということで、活気の『か』の文字もない。
一歩踏み出すごとに、まともに掃除がされていないため埃が足の振り上げを追って、線を描くように宙を舞う。
あまり吸い込まないように気をつけながら進み、細く光が差し込む、屋上へと続く扉にたどり着いた。
「さて……」
予想通り、鍵はきちんとかけられている。
ということは、彼女……品鬼さんはまだ来ていないのだろう。
「おかしいな?」
俺より昼休みに入った途端、品鬼さんが教室を出ていったところを見た。
てっきり、直ぐ屋上に向かったものだと思ったのだが、俺の勘違いだったのかもしれない。
「しょうがない。先に行って待ってるか」
ドアノブを捻って外し、ちゃんと扉をくぐって屋上へと出た。
風が俺の体を叩く。
窓から外を眺めただけではわからなかったが、結構強く風が吹いている。
屋上から見ることができる、山腹市を囲む山々もその風の影響を受けていた。
山肌を染める緑。
さざめいた。
波のように、間隔はきまぐれに。
大きく揺れることもあれば、小さく揺れることもある。
しかし、一体となって動いていた。
ひとつの生き物のように。
風の通り道がよくわかる。
近くまでいけば、葉擦れの音も聞こえてくるのであろう。
放課後行ってみようかな。
なんて現実逃避してないで、ちゃんと今を見よう。
……ダンボール
茶色い。
何度見ても変わることはない。
何でダンボールが? それもかなり大きいやつ。
そんなものが何故ここにあり、風に煽られてこちらに向かってきているのだろうか。
幸い風も止んだので、俺に当たる前に屋上のコンクリートの上へと着地する???
また風が吹いた。
勢いを失い地面に接しかけていたそれは、再び空へと舞い戻った。
「おおっ」
さっきよりも速度を増してこちらへ。
角度が水平に近くなったからであろう。
当たったら少し痛いだろうな。
何て、呑気なことを考えながら、俺は鈍い痛みに備えた。
「ちょ~。あぶな~い!」
顔の横から突き出された、男子に比べると細い腕。
白く、肌のキメも細やか。
一見すると華奢な腕だ。
その腕……厳密に言うと手なのだが。それが、俺に向かってきていたダンボールを掴み、支えている。
角など、持ちやすい部分ではなく平らな面を、ぐしゃりと握りつぶして止めていた。
止められたので、俺はそのダンボールをまじまじと見ることができた。
四角い箱状。
人一人と少しが入れそうな大きさだ。
一面には扉のようなものが存在した。
一体なんなのだろうこれは? 小学生が遊びで作るようなダンボールハウスに似ているけれど……
とは言ったものの、ダンボールハウスの実物を見たことはない。
などと思考を走らせていると、取り付けられていた扉がガタガタと揺れ出した。
「あ~。まずいかも~」
「え……何が?」
「主に私にとってぇ~」
「……答えになってなくないか?」
その言葉の意味は直ぐに理解できた。
ダンボール製の扉。
それは、頑丈に作られていてもやっぱり元は紙なのだと思い知らせるように、内部からの重みでいとも簡単に破れ去った。
扉だったもののあとを追うように、何かが落ちてくる。
落ちてくるスピードを見るに、かなりの質量を持っているらしい。
床に落ちた扉を潰すように、それらは地面に体をつけた。
「……教科書?」
「え、えへへぇ~」
数学I、古典、現代文、化学……等等、入学前に俺たちが購入したのと同じものが地面に転がっていた。
北川さんは照れ臭そうに、頬に手を被せる。
困惑の視線。
俺たちの間を、五月には似つかわしくない冷たい風が吹いた。
◇ ◇ ◇
時は少し遡る。
私は、3時限目が終わると同時に屋上へ向かった。
彼は未だ席を立っていない。
如月さん……だったわよねあの子。その子と雑談をしていた。
屋上で。と伝えたはずなのだが……もしかしたら伝わっていなかったのだろうか。
それなら、その程度だったということなのだけれど。
先に行って少し待っていましょう。
そんなことを考えながら、私は教室を出た。
???視線?
背中に突き刺さるような。敵意……? そこまではいかないけれど、それに近いものが含まれている。
足を止めた。
自然に見えるように教室を振り返る。
聞こえるのは、友達同士の会話。そこで生まれる笑い声。
見えるのは、ふざけ合う人たち。
黒板には前の授業の板書が残っている。
日直は気づいている様子もなく、友人との時間を充実させることに精一杯のようだ。
なんてことはない。いたって普通の光景。
……気のせいだったのかしら。
そう割り切って、今一度屋上へ向かうことにした。
屋上前への階段。
初めて来たけれど、あまり良い感じがしない。
暗く、湿気が多い。
陰の気が溜まっているとでも言えるのかしら。
何故だかここにいると不安にさせられる。
早く行きましょう。
闇の中を進んでいく。
ふと、何かが視界に入った。
階段の丁度中間辺りにぽつんとある。
小さい。
私の膝くらいまでしかないほど。けれども、何故だか目を引いた。
好奇心、とでも言うのだろうか。深く考えずに、私は足を向けた。
「あら……? 人形、よね」
着物を着ていた。黒い髪が腰まである。
肌は異様なほど白く塗られている。
“日本人形”というものがそこにあった。
「へぇ、初めて見たけれど……少し不気味ね」
話には聞いたことあるけれど、写真は見たことがなかった。
なので、姿を見るのは正真正銘初めてのことだ。
しかし……日本人形は怪談によく使われると言うが、その理由がわかった気がする。
暗い中ぼうっと浮き上がる白い顔。
傷つけるのも、触れることすら躊躇わせるような、黒い髪。そこにつく髪飾り。
あれはアイビーだろうか? 顔に比べると地味な印象を感じる。
そして、切なそうな細い目。
この暗い空間が住処のよう。
……いや、主人と言っても過言ではないだろう。
それほどこの場に似合っていた。
「……っ!」
思わず息を呑んだ。
薄い双眸が闇の中、ジッとこちらを見ている。
???私が見透かされていく。
そんな、得体の知れない恐怖を感じた。
足を運んだことは間違いだったのかもしれない。
これ以上見るのを止め、先に進んだ。
???行……か……な……い……で……
冷たい、女性の声が聞こえた気がした。
後ろを振り返ると、綺麗な着物を着た後ろ姿が一つ、目に入る。
特におかしな様子はない。
よかった。やっぱりただの人形だった。
もしかしたら動いているかも。と思っていたけれど、杞憂に終わったようだ。
少し安心した。
前を向き、扉を開けてそこに入った。
彼女は気づかなかったようだが、扉に取り付けてあるガラス。
そこには反射した彼女の姿と……日本人形が写り込んでいた。
???ねぇ……行……か……な……い……で……よ……
屋上前の階段。
私がさっき登ったところだ。確かに、私は屋上に出たはず。
何故ここにいるのだろう。
考えられるとしたら、……幻術?
もしそうだとしたら誰が? 退魔士?
いや、しかし。自分で言うのもなんなのだが、私ほどのレベルではまず幻術なぞかかる訳がない。
例え、金色だという北川アリナが使っているとしても。
顎に手を当て黙考している最中、何かが視界の端に入ったような気がして、顔を上げる。
目の前に白い顔があった。
暗い中、ボウッと、漂うように浮かび上がっている顔。
作り物だからなのだろうか。いや、そうだとしてもあまりに生気がなさ過ぎる。
「くっ!」
反射的に殴りつけてしまった。
人形は二回ほど弾み、階段の上の方で力なく倒れる。
「はぁ、はぁ」
たいして力を使った訳でもない。
しかし、言いようのない不吉な雰囲気に、私は肩で息をしていた。
「あらあら」
私の横を誰かが通り抜けた。
暗くて顔がよく見えない。
その誰かは、確かな足取りで階段に転がっている気味の悪い人形の元へと向かう。
たどり着いた誰かは人形を大切そうに抱えあげ、黒い髪を手櫛で梳いた。
そして、私が殴ったおかげでずれたアイビーの髪飾りを直す。
「この子可愛いでしょう」
唐突に、質問された。
声は男性にはない高い声だ。
何て答えたら良いのかわからずに、沈黙を貫いた。
お世辞にも可愛いとは思えない。けれども、そう言ってはいけないような気がした。
今もあまりいい予感はしないが、その質問に本音で答えてしまうと何かが終わってしまう。そう感じたのだ。
「この子ね、私の妹なの。本当に可愛いいんだから」
胸にうずめて頬ずりをする。
その様子には狂気すら感じられた。
「ひどいわよねえ。せっかく、『行かないで』と言ったのに行ってしまうなんてね……それに」
胴を抱き抱え、首が見えるようにする。
亀裂。
首を横に走っている。
私が殴った時に付いたものだ。
「可哀想に……痛かったでしょう?」
キッとこちらを睨みつけてくる。
そして、人形を手に持ち歩いてきた。
気圧されていることを気取られないように堂々と立つ。
いつでも相手を排除できるように準備しておくのも忘れない。
足音が近づいてくる。
暗闇の中、相手の顔が見えた。
「……何で殴ったのかしら?」
「……」
「あら、喋ってくれないのね。……納得はいかないけど、まあいいわ。
今日はそんな話をしに来たのではないのだもの」
「用件はなんだ?」
「やっと声が聞けたわ。今日聞いたのより低いわね」
「気付いてたのか……」
「ええ。それで、貴女は何をしようとしているのかしら? 彼を屋上に呼び出して」
「聞きたいかい?」
「ええ」
「そりゃまたどうしてだい?」
「だって……
???彼は私たちの『獲物』ですもの。
先に見つけた方に優先権があると思わないかしら?」
「いや、悪いけどこっちも譲れないんでね。上からのお達しなんだ」
譲れない。という言葉を聞いた途端、目の前の彼女と彼女が抱える人形から、並を優に超えた妖気が溢れ出した。
……おいおい。まさかここで、ここまでやるかよ……。バレるのを気にしてないのか?
そんな私の心を読んでいるように彼女は言う。
「心配しないでいいわよ。この空間は私たちがつくっているから、外に漏れることはないわ」
感情を伴わない、人形とよく似た無機質な目。
そして、空間を封鎖するほどの力。
???金色と相見える前に、こんなのに出逢ってしまうなんてね……
私は己が不幸を嘆く。とても面倒な相手だ。
それぞれの昼休みはまだ続く。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる