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ミヨちゃんは居候
3.波乱!! ケン兄さんとお散歩
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現在、どういうわけか探さんが私の隣に座っていて、どういうわけか肩に腕が回されている奇妙な状況になっている。
「もう、部屋から出るなってあれほど言ったのに」
そう言う探さんは目の前の男の子たちを見る。
不機嫌そうに床に座る男の子たち。
と、綺麗なお姉さん。
ただし、全員耳がついている。
人の耳じゃなくて、いわゆるケモミミ。
お姉さんに至ってはクルンとしたツノがついている。
作り物かも、とも思ったけどピクンピクンと意思を持って動いている様を見せつけられたら本物だと思わざるを得なくて……。
「えーっと、これは……」
「俺の家族。元々は普通のイヌとネコとウサギとヒツジだったんだけどね」
あ、少し先が読めたかも。
「動物と意思疎通ができる薬を作ろうと思っていたんだけど、ちょっとした事故で」
「事故?」
「俺が飲むはずだった薬をこいつらが飲んじゃって、こうなった」
――なにそのふぁんたじー。
現実に、こんなことが起こって良いのでしょうか、お母さん。
「なあ! 俺、散歩行きたいんだけど!!」
そう言うのは、さっき私に抱き付いてきた男の子。
その耳は、イヌ。
「今日の散歩は、まだだったか」
「散歩! 散歩! 散歩!」
人の姿だけど、イヌの耳があって、「散歩、散歩」と強請るあたり、本当にイヌなんだ……。
「仕方ない、散歩に行くか」
「俺、ミヨがいい!!」
「は?」
「え?」
「ミヨと散歩! ミヨと散歩! ミヨと散歩!」
結局、私が散歩に連れて行くことになった。
そうと決まったとき、ブンブンとしっぽが振られてその姿はまさにイヌだった。
姿は人間だけど。
「気を付けてね。ケン兄、ミヨちゃんに変なことするなよ」
「大丈夫ですよ。敷地内をぐるっと回るだけでいいんですよね」
それくらい、お安い御用。
だけど、いくらイヌの散歩とは言え、見た目がほぼ人間なのにリードをするのには抵抗があるなぁ……。
探さんが絶対だって言うから仕方ないけど……。
「ミヨよ散歩! ミヨと散歩!」
ワンコのケン君はご機嫌で、さっきからしっぽをブンブン振っている。
「それじゃ、行って来ます」
家を出て、散歩を始める。
「わわっ! ちょっ……」
ケン君は人の姿で私より大きくて、パワーもあるみたいで、私がどんどん引っ張られちゃう。
「散歩ー! 散歩ー!」
ケン君はご機嫌で、私のことなんてお構いなし。
「ケン君、もう少しゆっくり行こうよー」
そう言っても、ケン君のイヌミミには届いていないのか、聞こえないフリをされているのか……。
「あ、ちょっと! そっちはダメ!」
ケン君が行こうとしている先には、敷地の外に繋がる門がある。
「外には出ないように」って言われてるのに!!
「ダメだってケン君!!」
焦る私を余所に、グイグイと歩いて行くケン君。
「待ちなさい、ケン!!」
ビクッと、ケン君の肩が震えて、その歩みを止めた。
「そっちはダメって、探さんにも言われてるでしょう!?」
しゅん……と、ケン君のイヌミミが垂れた。
これは、可愛いかもしれない……。
「ミヨ、ごめんなさい」
そう言うケン君はしっぽも垂れていて、うん、可愛い。
「わかってくれたならいいの。いい子いい子」
思わず、その頭を撫でた。
「ミヨー!!」
「ちょっ!!」
ガバリと抱き付かれて、頬ずりされて、くすぐったい。
「やめなさい、こら!」
「ミヨ好きー! いい匂い……」
スンスンと、鼻先が首筋まで降りて来て……。
「ちょ、ちょっとっ……」
何でか、とっても恥ずかしい格好になってしまっているような……。
「好き、ミヨ……」
かぷ――
「うひゃあ!?」
かぷって! 今、首筋、かぷって!!
「ミヨうるさい。耳……耳が……」
ケン君は耳を抑えて震えている。
耳元で、大声を出してしまったのは申し訳ないとは思うけど、これは自業自得です。
「もう、部屋から出るなってあれほど言ったのに」
そう言う探さんは目の前の男の子たちを見る。
不機嫌そうに床に座る男の子たち。
と、綺麗なお姉さん。
ただし、全員耳がついている。
人の耳じゃなくて、いわゆるケモミミ。
お姉さんに至ってはクルンとしたツノがついている。
作り物かも、とも思ったけどピクンピクンと意思を持って動いている様を見せつけられたら本物だと思わざるを得なくて……。
「えーっと、これは……」
「俺の家族。元々は普通のイヌとネコとウサギとヒツジだったんだけどね」
あ、少し先が読めたかも。
「動物と意思疎通ができる薬を作ろうと思っていたんだけど、ちょっとした事故で」
「事故?」
「俺が飲むはずだった薬をこいつらが飲んじゃって、こうなった」
――なにそのふぁんたじー。
現実に、こんなことが起こって良いのでしょうか、お母さん。
「なあ! 俺、散歩行きたいんだけど!!」
そう言うのは、さっき私に抱き付いてきた男の子。
その耳は、イヌ。
「今日の散歩は、まだだったか」
「散歩! 散歩! 散歩!」
人の姿だけど、イヌの耳があって、「散歩、散歩」と強請るあたり、本当にイヌなんだ……。
「仕方ない、散歩に行くか」
「俺、ミヨがいい!!」
「は?」
「え?」
「ミヨと散歩! ミヨと散歩! ミヨと散歩!」
結局、私が散歩に連れて行くことになった。
そうと決まったとき、ブンブンとしっぽが振られてその姿はまさにイヌだった。
姿は人間だけど。
「気を付けてね。ケン兄、ミヨちゃんに変なことするなよ」
「大丈夫ですよ。敷地内をぐるっと回るだけでいいんですよね」
それくらい、お安い御用。
だけど、いくらイヌの散歩とは言え、見た目がほぼ人間なのにリードをするのには抵抗があるなぁ……。
探さんが絶対だって言うから仕方ないけど……。
「ミヨよ散歩! ミヨと散歩!」
ワンコのケン君はご機嫌で、さっきからしっぽをブンブン振っている。
「それじゃ、行って来ます」
家を出て、散歩を始める。
「わわっ! ちょっ……」
ケン君は人の姿で私より大きくて、パワーもあるみたいで、私がどんどん引っ張られちゃう。
「散歩ー! 散歩ー!」
ケン君はご機嫌で、私のことなんてお構いなし。
「ケン君、もう少しゆっくり行こうよー」
そう言っても、ケン君のイヌミミには届いていないのか、聞こえないフリをされているのか……。
「あ、ちょっと! そっちはダメ!」
ケン君が行こうとしている先には、敷地の外に繋がる門がある。
「外には出ないように」って言われてるのに!!
「ダメだってケン君!!」
焦る私を余所に、グイグイと歩いて行くケン君。
「待ちなさい、ケン!!」
ビクッと、ケン君の肩が震えて、その歩みを止めた。
「そっちはダメって、探さんにも言われてるでしょう!?」
しゅん……と、ケン君のイヌミミが垂れた。
これは、可愛いかもしれない……。
「ミヨ、ごめんなさい」
そう言うケン君はしっぽも垂れていて、うん、可愛い。
「わかってくれたならいいの。いい子いい子」
思わず、その頭を撫でた。
「ミヨー!!」
「ちょっ!!」
ガバリと抱き付かれて、頬ずりされて、くすぐったい。
「やめなさい、こら!」
「ミヨ好きー! いい匂い……」
スンスンと、鼻先が首筋まで降りて来て……。
「ちょ、ちょっとっ……」
何でか、とっても恥ずかしい格好になってしまっているような……。
「好き、ミヨ……」
かぷ――
「うひゃあ!?」
かぷって! 今、首筋、かぷって!!
「ミヨうるさい。耳……耳が……」
ケン君は耳を抑えて震えている。
耳元で、大声を出してしまったのは申し訳ないとは思うけど、これは自業自得です。
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