【完結】AnimaRoom

桐生千種

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ミヨちゃんは居候

5.寂しんぼ!! ウサニさん

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 目が覚めた私の第一声。

「うきゃああああ!!!!」

 私、一生の不覚……。

 いくらニャンコとは言え、男の子なのに……。

 男の子に抱きしめられて、寝ちゃうなんて……。

 そして……。

「なんだ!? なんだ!?」

 少し離れたところで飛び起きた、ケン君。

 イヌミミがピクピク動いて辺りを探っている様子。

「うるさい……」

 横で顔をうずめるように丸くなるニィ君。

「どうしたの!?」

 と、探さんもなぜかリビングに布団を敷いて寝ていた。

 そして、ウサミミを抑えてプルプルしている……ウサニさん。

 いつの間に!?

 ニィ君に抱き枕にされて寝てしまったのは不覚だったけれども、朝に目が覚めたら、ウサミミのウサニさんに、カッチリ抱きしめられていた。

 目を開けて、視界に入ったのがウサミミ男子のドアップ。

 悲鳴、あげるでしょう?

「ご、ごめんね、ウサニさん……」

 ウサギの耳元で大声は、さすがに悪かったかもしれないので謝っておく。

 すると、グイッと抱き付かれてしまった。

 お腹に、ウサニさんのウサミミつきの頭がグイグイ押し当てられる。

「撫でて。いっぱい撫でて。よしよしして」

 ――ええ……。

 言われた通り、ウサニさんの頭を、ウサニさんの気の済むまで撫でた。

 朝。

 朝食の準備。

 キッチンを動き回る私の傍を、ウサニさんがちょろちょろついて回る。

 朝食。

 ウサニさんが、私に「あーん」をしてくれとせがむ。

 探さんが、「自分も」と口を開ける。

 自分で食べてください。

 朝食後。

 ケン君がせがむので、ボール遊び。

 私のすぐ傍にはウサニさん。

 ボール遊び後。

 今度はニィ君と猫じゃらし。

 ウサニさんは私のすぐ傍。

 その後は、探さんの手作りお昼。

 ――探さん、料理できたんだ……。

 そして、その変化は突然やって来た。

 ウサニさんが、ご飯を食べない。

 さらには、機嫌が悪そう……。

「ウサニさん?」

 声をかけても反応なし。

「あーん?」

 「あーん」で食べさせる作戦、失敗。

 撫でてみる。

「ウサニさん?」

 返事はない。

 一体、どうしてしまったんだろうか。

「探さん、ウサニさんの様子が変です」

 最後の手段は飼い主に聞く!!

「これは……ストレスだね」

「ストレス?」

「ミヨちゃんが、ケン兄やネコ兄と遊ぶから、ヤキモチだよ」

 ――ヤキモチ……。

「ウサニさん、機嫌直してよ」

 探さんが、ウサニさんに手を伸ばす、と……。

「痛っ!!」

 ――噛んだ!? ウサニさんが探さんの手を噛んだ!?

「う、ウサニさん……」

 手を伸ばしたら、私も噛まれてしまうだろうか……。

 でも、放ってはおけないし……。

「機嫌直して……って!?」

 声をかけると、ガバリと抱き付かれた。

「ちょっ、ウサニさん……?」

「なんで……?」

 ボソリと、呟かれた。

「なんで、僕と一緒にいてくれないの?」

「はい?」

「僕、寂しい……」

 ――構って、ほしかった……?

「もっと僕と一緒にいてよ。僕を撫でてよ。僕を抱っこしてよ」

 ――抱っこはムリ。

 ウサギ姿だったならいざ知らず、人間の姿のウサニさんは私より、ケン君より、ニィ君より、大きいんだもん。

「僕を見てよ。僕だけを見て。僕だけを愛して」

 ――……。

 誰かが言っていました。

 ウサギは寂しいと死んじゃうって。

 私は勝手に、とっても繊細な動物なのだと、勝手に、本当に勝手に、思っていました。

 だけど実際に、ウサギが人型になったら……。

 攻撃的な面も持つ、物凄く、愛が重たい動物でした。

 ※個体差はあるかも……?
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