【完結】AnimaRoom

桐生千種

文字の大きさ
9 / 15
HAPPY HALLOWEEN

2.HALLOWEENをしよう

しおりを挟む
 そんなわけで、着せられました、魔女のコスプレ衣装。

 帽子、杖、マントつき。

「うんうん。似合う似合う。可愛いね」

 探さんは、とても嬉しそうです。

 私は、恥ずかしく今すぐ着替え直したいんですが……。

「黒も意外といいわねぇ!」

 メェ子さんは、さっきの衣装に早速着替えてご機嫌に鏡とにらめっこしている。

 黒い衣装もお似合いです、メェ子さん。

 やっぱり何を着ても似合う美人さんはお得だよね、男の子だけど。

「ケン兄、おいで」

「わんっ」

 さすが、ワンコ。

 探さんの呼びかけに、ケン兄さんは即座に答えた。

 探さんの前で、お利口にお座りしてる。

 姿は人間だけどね……?

 探さんはと言うと、そんなケン兄さんになにかを取り付けている……。

 あれは……黒い……羽根……に、ツノ……?

「よし、もういいよ」

 取り付け終わったそれはやっぱり羽根で、いわゆる「悪魔の羽根」みたいな。

 それから、「悪魔のツノ」みたいな。

「取っちゃダメだからね」

 探さんは言うけど、ケン兄さんは気になるみたいで、頑張って背中を見ようとしている。

「ウサニ」

 今度はウサニさんへと探さんは近づいて。

「ウサニはこれね。はい、黙って被る」

 ほとんど無理矢理に、探さんはウサニさんの頭からマントを被せた。

「なーに、これ? 僕ヤダ。窮屈だよ」

 被せられたマントを脱ごうと頑張っているみたいだけど。

 残念なことに、ウサニさんは不器用だった……。

 首のところに手をやって、ガリガリとひっかいてもマントが脱げることはない。

「ミヨちゃんとお揃いはそんなにイヤ?」

 ピタリと、ウサニさんが止まった。

 そして、私を見る。

 自分を見る。

「おそろいー」

 へにゃりと嬉しそうな表情で言われると、私、着替えるに着替えられなくなるんですけど……。

「ミヨちゃんとおんなじだねー」

「そ、そうだね……」

 脱げない……!!

 探さんめっ!!

「ネコ兄、ほーら」

 そんな探さんはと言うと、ネコ兄さんに向かって包帯を投げた。

 巻かれている包帯の端が、ひらひらと揺れて、ネコ兄さんの視線が追う。

 ネコ兄さんはネコなわけで、たぶん、探さんの思惑通りにコトは運んで。

 包帯にじゃれついたネコ兄さんをうまく誘導して、みるみるうちに包帯に巻かれたネコ兄さん。

「ミイラ男完成」

 ネコ兄さんは、ミイラ男にされていた。

「あの、探さん?」

「なあに? ミヨちゃん」

「これは一体、どういう……」

「なにって、今日は10月31日。HALLOWEENだよ。家でHALLOWEENをしよう」

 探さんが、とても楽しそうです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

とある令嬢の断罪劇

古堂 素央
ファンタジー
本当に裁かれるべきだったのは誰? 時を超え、役どころを変え、それぞれの因果は巡りゆく。 とある令嬢の断罪にまつわる、嘘と真実の物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

処理中です...