【完結】AnimaRoom

桐生千種

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HAPPY HALLOWEEN

3.ケン兄さんの場合

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 意味はよくわからないけど、HALLOWEENの催しをすることになりました。

 これから、各人に割り当てられた部屋を回ってお菓子を回収していきます。

 みんなHALLOWEENの意味がわかっているのか微妙なところなんだけど、しかたない。

 まずは、ケン兄さんから。

 コンコンコンコン――

「とりっく おあ とりーと。お菓子をくれないといたずらするぞ」

 って、言ったはいいけど、ケン兄さんからお菓子をもらってもなー……。

 そこまでお菓子がほしいわけでもないし。

 ガチャリ――

 開いた扉の前には、ボールを持ったケン兄さん。

「そんなことより遊ぼうぜ!」

 HALLOWEENどうこうとか関係なかった……。

「ボール、ボール! 投げてくれよ!」

 キラキラした目で見られて、ブンブンしっぽを振っている姿を見せられて、イヤだなんて言えない……。

「ちょっとだけだよ」

「やったー!!!」

 なぜか、魔女のコスプレ衣装を着て、悪魔のコスプレをしたイヌミミケン兄さんと、ボール遊びをすることになりました。

「いくよー」

「わんっ!!」

 まあ、ケン兄さんが楽しそうだからいいか。

 でも、人間の姿なのに投げたボールを拾って来るだけって、面白いのかな……。

「ケン兄さん、楽しい?」

「すっげぇ楽しいっ!」

 楽しいらしい。

 結局、ちょっとだけと言っておきながら、ケン兄さんが飽きるまで遊んでしまった。

「楽しかったぁ!」

 満足そうにケン兄さんが言う。

「はい、これ。ボスが渡せって」

 ケン兄さんが出してきたのは、ビスケットが入った透明な袋。

 ちなみに、ボスとは探さんのこと。

 主従関係はしっかりしている。

 どうやら探さんは、みんなに私に渡す用のお菓子を事前に配っているらしい。

 もらったビスケットの袋を、私も探さんに渡されていたジャックオーランタンの形をした入れ物に入れる。

 探さん、わざわざこんなに用意して、そんなにハロウィンがしたかったのかな……。

 でも、私がお菓子をもらいにコスプレして練り歩くって、探さんそれで楽しいのかな?

 お菓子用意して待ってるだけになってない?

 ときどき……いや、基本的に、探さんの考えていることはわからない。

「じゃあ、私行くね。他のみんなのところにも行かないと」

「おう! 楽しかった! また遊ぼうぜ!」

 いい笑顔で、ケン兄さんに見送られて、次の部屋に向かいます。

 ケン兄さんと結構な時間遊んでしまったから、待ちくたびれてるかもしれない。

 そう考えて、ないな、と思い直す。

 ネコ兄さんに限ってそれはない。

 と、思う。

 だって、自由なネコ兄さんだもん。

 私のことなんて気にしてないよね。

 コンコンコンコン――

「とりっく おあ とりーと。お菓子をくれないといたずらするぞ」
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