【完結】AnimaRoom

桐生千種

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HAPPY HALLOWEEN

5.ウサニさんの場合

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 うーん。

 私は今、悩んでます。

「お菓子をあげないと、いたずらしてくれるの?」

 うーん……。

 ちょっと意味が理解できない。

「ウサニさん? お菓子くれないなら、いたずら、するよ?」

「うん。お菓子あげないからいたずらして?」

 やっぱりちょっとわからない。

「いたずら、してほしいの?」

 しなきゃいけないの?

「そうしたら、ミヨちゃん僕と一緒にいてくれるでしょ?」

「一緒にいたいの?」

「僕、ずーっとミヨちゃんと一緒にいたい。ずーっとミヨちゃんにくっついて、ずーっとずーっとミヨちゃんになでなでしてほしい。だから、ずーっとずーっとずーっと、僕と一緒にいて?」

 ……とりあえず、やたらずっと一緒にいたいってことはわかった。

 でも、どこか話がかみ合ってない気がする。

「ウサニさん?」

「なぁに?」

「いたずらって、なにされるかわかってる?」

「わかってるよ。かみかみするんでしょ?」

 ん?

「僕、ケン兄が探の靴かみかみして怒られてるの見たもん。いたずらしちゃダメって」

 ――ケン兄さんっ!! なにしてるの!?

 ……って思ったけど、よく考えればケン兄さんはワンコだもんね。

 しかたないよね。

「でも、かみかみするのは靴じゃなくて僕にしてね。僕、ミヨちゃんにかみかみされたい。かみかみして?」

 いやいやいやいや!!

 私はウサニさん噛んだりしないよ!?

 でもウサニさんはそれを待っているようで……。

 ウサミミのウサニさんが、ウサギのぬいぐるみを抱えてわくわくしながら待っている……。

「私、ウサニさんに痛いことしたくないなぁ」

 ウサニさんに手を伸ばして、撫でる。

「そもそも噛んだりしないし。でもいたずら、考えてなかったしなぁ」

 ミミの付け根辺りが、ウサニさんの絶好の気持ち良いポイントなんだよね。

「あ、そうだ」

 思いついたいたずらは。

「お菓子をくれないウサニさんはこうだ」

 両頬をつまんで、ほっぺのびのびの刑。

「うぃよひゃんいひゃい(ミヨちゃん痛い)」

 意外とよく伸びることを発見しました。

「はい、いたずら終わり。ごめんねー」

 伸ばしたほっぺをもみもみしてあげる。

 ……ほっぺ、柔らかいな。

 ウサニさんのほっぺの柔らかさに気がつきました。

「ミヨちゃん、これあげる」

 ほっぺもみもみがお気に召したようで、キャンディをゲットしました。

「また、ほっぺもみもみして?」

「こ、今度、ね……」

 ウサニさんからキャンディをゲットできたのはいいけど、無事に部屋を出て来れたのはいいけど……。

 変なこと覚えさせちゃった……。

 さて、次はメェ子さん。

 メェ子さんは常識人だから、気が楽。

 コンコンコンコン――

「とりっく おあ とりーと。お菓子をくれないといたずらするぞ」
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