【完結】AnimaRoom

桐生千種

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HAPPY HALLOWEEN

6.メェ子さんの場合

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 開口一番、メェ子さんに怒られた。

「おっっっそーい!!」

 おぉおぅ……。

「もう!! なにやってたのよ!! いくらなんでも遅すぎるわよ!! いつまで待たせる気よ!!」

「す、すみません……」

 さすがに、他のみんなのところで時間をかけ過ぎたみたい……。

「せっかくアレンジしたのに、ミヨが来ないなら意味ないじゃない。他の男どもは美のなんたるかを本当にわかってないんだから!!」

 そう言えば……。

 さっき、着ていた衣装とは同じだけど少し違ってる。

 黒のドレスに赤色が差し込まれて、これ、メェ子さんが縫ったの?

「メェ子さん、それ、自分でやったんですか?」

「そうよ、なにか問題ある?」

 メェ子さんの、意外な特技を知りました。

「す、すごいです。素敵ですね」

「あら、そーお?」

 嬉しそうに、メェ子さんはくるりと一回転。

「ポイントは後ろのリボンなの!」

「はい、かわいいと思います」

「やっぱり、わかる子に見てもらわないとねぇ!」

 メェ子さんは上機嫌で部屋の奥へ入っていった。

「この衣装に合わせて、ヘッドドレスを作ろうと思うのよ。どっちのデザインがいいと思う?」

 メェ子さんが持って来たのは、紙の束。

 見ると、こと細かに、ヘッドドレスの図案が描かれている。

「もしかして、これもメェ子さんが描いたんですか?」

「そうよ?」

「ほへー」

 デザインのセンスも絵の才能もあるらしいメェ子さん。

 ヒツジさんなのに、私よりうまい。

 そして、0から作ろうとするあたり、ものすごい才能を感じる。

「あ、私これがいいです」

「あら、やっぱりー! 私もそれじゃないかと思ってたのよー! さっそく作りはじめましょ」

 ルンルンと、メェ子さんの周囲に楽しそうなオーラが見える気がする。

「あ、お菓子を取りに来たんだったわね、はい」

 メェ子さんから、マシュマロをゲット。

「でもミヨ、そんなに食べると太るわよ」

 チラリと、私のジャックオーランタンの入れ物の中を見たメェ子さんのひと言に、ぴしりと、固まる。

「こ、こんなに食べませんよ!」

「あら、そう? じゃあ、あたしこれから忙しいから、邪魔しないでね」

「ホントに食べませんよ!! 私、そんなに食いしん坊じゃないですからね!!」

 部屋を出て、ふと、集めたお菓子を見る。

 探さんに言われるまま。お菓子を集めて来たけど、こんなにいっぱいどうするんだろう。

 全部私に押し付けるつもりじゃないよね??

 最後は、探さんだ。

 探さんだから、何が起こるかちょっと怖い。

 コンコンコンコン――

「とりっく おあ とりーと。お菓子をくれないといたずらするぞ」
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