【完結】守り姫[完全版]

桐生千種

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-章 エピローグ

-.エピローグ

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 「はい。お話はこれでおしまい」

「えー! 妖精は? 妖精はどうなったの?」

「しょーじょは人間じゃなかったの? よーせいだったの?」

 夢中になって話を聞いてくれた小さな友達たちから一斉に声をあげられるけど、残念ながら僕はそれ以上のことを知らない。

 少女は本当に妖精の忘れ形見だったのかもしれないし、そうじゃなかったのかもしれない。

 妖精が姿を見せなくなったのか、妖精の姿を見れなくなったのかもわからない。

「ねえねえ、守り姫はエレナみたいね」

 誰かがそんなことを言った。

「何で?」
「だって、守り姫は真っ白な髪で、優しい女の子なんでしょ? エレナにぴったり!」

「そう?」

 小さな友達たちの会話に、エレナは「ふふっ」と笑う。

 小さな子供の冗談だと、捉えているようだけど、小さな友達たちも冗談のつもりで言っているようだけど、僕はどうしても言っておきたい。

「違うよ。エレナは守り姫じゃない」

 僕の言葉に、誰もがきょとんとした顔で僕を見た。

「エレナは、僕のお姫様だから」

 村の守り姫はもういない。

 守り姫と呼ばれた少女は、ひとりの女の子として、たったひとりの誰かのお姫様になって、普通の女の子として生きていくんだ。

「それじゃあ、フラビオがエレナの王子様?」
「似合わなーい!」

 子供は正直で、確かに僕が王子様と言うには無理があると自覚はあるけれど……。

 それでも、きゃっきゃっと楽しそうに笑う子供たちとエレナを見て、僕もつられて笑った。

 エレナが楽しそうなら、それでいいや。

 ふと、懐かしい花の香りが通り過ぎた気がして、視線を巡らせてみたけれど、誰かを見つけることはできなかった。

 ただ少し遠くの方で蝶の羽が、羽ばたいている様子だけが見てとれた――


 *** 守り姫 終 ***
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