快感アプリ☆DREAMBOMB ~6:マッチョなランジェリーイケメンをイジめたい~

keino

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5 美貴の場合

1 好みと言えるこだわりは年上

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 私は告られた時、自分がフリーで相手に嫌な感じがしなければ、とりあえず付き合ってみるタイプである。
 周りも好きな人がいない人はたいていこんな感じだから、自分がおかしいわけじゃないと思う。
 自分から好きになった事がないので、恋愛はいつも相手から。いわゆる、ちょっと恋愛意識前提のお友達からってやつだ。

 だけど年下は遠慮させてもらっている。
 好みと言えるこだわりは年上。できれば明るく悩まない人。自分が流されやすく優柔不断なタイプなので、相手にリードしてほしい。
 私が迷っていたら、ズバッと決めてほしいし、それでも私が迷ったら、ポジティブな事を言って説得してほしい。なんなら言いくるめてほしい。

 我ながらなんてめんどくさい女なんだと思うけど、筋金入りの優柔不断なので、これぐらいがちょうどいいと思っている。
 同級生とも何人か付き合ったが、慣れた頃お互いに痺れを来すので今では年上に絞ることにしたのだ。

 そして今、私に告白してきているのは今年度の新入学生の子だった。

「ごめんね、付き合えません」

「どうしてですか。美貴先輩はフリーならとりあえず付き合ってみるって聞いてますけど」

「うん。そうなんだけど、年上って条件が付くのは聞いてない?」

「それが納得いかないです。3年の違いは何ですか? 俺努力しますから猶予をください。返事はそのあとでお願いします」

 可愛い系が入っているさわやかイケメンだ。彼女がいないのが不思議なくらいでよくモテそう。
 わざわざ私に声をかけなくても、新歓で数多の女の子に声をかけられただろうに。というか、サークルのコンパで女子に囲まれてるこの子見たわ。

 あんまりグイグイ来るのでとりあえず連絡先を交わし、お友達という括りに収まった。
 チョロいぞ私。そういえば今まで付き合った同い年も押しに負けてだったわ。
 ……どうせ時間の無駄になるんだからはっきり断らないと。
 ……それか早く年上のいい人を見つける。う~ん、逃げ腰だ。


 ストレスがかかった時はこれに限る。
 快感アプリDreamBomb。
 バイトから帰り、さっさとご飯とお風呂を済ませてベッドに転がる。
 今日のネタは何にしよう。
 考える間もなくあっという間に押し倒されちゃうような、ドSなイケメンにヤられたいかも。
 お、社長と、逆らえない秘書みたいなのもいいかも。
 でもでもOLとか秘書ってうまく想像できないなぁ。

 私はあんまり想像力豊かじゃないのか、このアプリを使って夢を見られても、なんだか「そうそう、こういうシチュエーションのHがしたかったの!」って感じには見られない。
 もちろん気持ちいい夢は見れているからいいんだけど、せっかくだからアプリの謳い文句のように、性癖をドストライクでぶち抜いたやつが見たい。

 職業関連は諦め、じゃあ強引年上は何がいいのかとソフト一覧を見ながら考える。
 これがダメっていうとあとはどんな風にカテゴライズされているんだ?
 ああ、プレイ別か……。カテゴライズされるような特殊性癖持っていない。
 ドSっていうとSMになっちゃう。そういうのじゃない。
 とりあえず年上を想像しやすいソフト。……私の希望が漠然としてるから難しくなってるんだよね。想像力降ってこい!

「これが無難そうかなぁ。――スクールライフ」

 先輩とか先生とか? はたまた教授とか。
 夢だからね。現実にはいなくたって、夢では若いイケメン教師に出会えるはずだ。
 これなら私の乏しい想像力でもなんとかなるでしょう。
 早速ポチッて眺める。

 1枚のみの黒板とか机とか懐かし~。もう3年も前か~。
 うわあ壁ドンだ。生徒が廊下歩いてる陰で、一瞬の隙をついてキスとか、こっぱずかしぃ~。でもあったあった~。
 部室とかロッカーとかシャワールームとか狙いすぎです、先輩っ。
 え、え、教卓でっ、うわうわうわ。教科準備室~! 先生ーきゃあー。

 おおお~、自室っぽいのもあるんだ。学習机とか懐かしすぎるわ。なるほど、彼氏の部屋的な? ヤバイ初めて彼の部屋に行った時のこと思い出すよぉ。

 若干、自分の春の1ページを抉られながら、嬉し恥ずかし状態に陥りながらもなんとか1ローテ見切った。



________ ___ __ _




「相上君。何か心配事でもあるの?」

 私は家庭教師バイトの担当生徒に訊ねた。

「べ、別に何もありませんけど……」

「そう? 何かあったら何でも言ってね。
 もしかして成績が気になる? 大丈夫、伸び悩んでいる訳じゃないから。ちゃんと順位はキープしているし」

 私は努めて何でもないことのように言う。
 しかし内心私は焦っていた。
 家庭教師をつけたからには、グングン伸びて成果が出るもんだと思っている親御さんが多い。
 確かに高い入会料と授業料を払っているのだ。期待する気持ちもわかる。
 しかし個人差というものがあるのだ。相上君は一度爆上げしたんだからいいじゃないか。塾に行こうが家庭教師をつけようが、伸びない子だっているんだから。

 相上君は当初爆上げしたのだ。模試も私が受け持ってきた生徒の中で一番の出世株だ。
 今も下がってきている訳じゃない。下がったように見えてもこんなの相対的なものだから、総合的に見れば順調にキープしている。このままいければ合格ラインで、何も問題ないはずだ。
 ただ、親御さんが相上くんの爆上げに夢を見てしまい、こちらをせっついていると言うだけの話。もしかして本人にもせっついているのだろうか?
 気になるのは少し塞ぎ込んでいるらしいという事だけど、学生なんてみんなそんなものな気がするけど、放ってもおけない。

 そして気になることがもう一つ……。
 相上君がタッテいる・・・・・
 気付いてたよ、ええ、気付いていましたとも。
 私がついてから初めての定期テストを終えたあたりから、たまに勃っていたのは。さすがに教えてる最中はないと思うけど。例えば私が丸付けをしてる間の、相上君のちょっとした休憩時間とかね、タッテたよね。
 そんな時相上君はさりげなく席を立って行った。もしかしてなんて一瞬考えたけど、すぐさま関係ない、勉強してくれればそれだけでいいと思いなおした。

 それが。
 最近は頻度が高い。
 もしかしなくても、そういうお年頃らしい。
 なかなか男子はそういうの大変らしいし、理解してあげたいと思っているから、今は見て見ぬふりをしている。
 というかそうするしかないじゃない。相談されたら何か考えなきゃだろうけど、本人だって私に知られたくはないだろう。
 とにかくそっちばっかりになって、勉強をおろそかにするような事にはならないでと切に願う。
 私も分厚い黒縁眼鏡(伊達)と、体のラインを出さない野暮ったいスタイルで頑張っているんだ。相上君もがんばれ!


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