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5 美貴の場合
2 先生の見せてください
しおりを挟むまずい。相上君の勃ち問題のスルーを決めてから、成績が、私から見て下がってきている。
まだ公式なテストはないので公式では目に見えていないが、ケアレスミスが多すぎる。これでは惨敗必至だ。相上君の担当外されるかも。
相上君の家庭教師気に入ってるんだけどな。家から近いし、ケーキとか食べさせてくれるし。なんだかんだ相上君はイケメンでかわいいしさ。
とりあえず教師交代になってしまう前に、原因を探り、相上君と話しをしてみなくてはならない。
ううう、気が重いよ~。だって、このソソリタツモノも原因の一つっぽいと言うか元凶っしょ!?
しかし仕方がない。私は丸付けから目を逸らさないようにしながら、相上君に声をかけた。
「最近ケアレスミス多いね。どうかしたの?」
隣でビクッと体を揺らされたのがわかった。
ごめんねごめんね、私も仕事だからさ、相上君を追い込みたいわけじゃないの、本当だよ、ごめんね!
返事は返ってこない。
「何か調子が悪かったり、……気になる事とかあったりする?」
合間合間に、ここもうっかりミスだねとか、こっちもケアレスミスだ、どうしちゃったのも~とか言って、少しでも軽い空気になるように努めるけど、隣の空気は重い。
どうしよう、隣が見れない。
「受験は誰でもナーバスになるものだよ~、たまにはパーッと遊びに行くとか、そういうのも大事だと思うよ。
あとは、私に言えなくても誰か相談できる人と話すとか~、もちろん私も話しいくらでも聞くよ!」
ね? と相上君の方を見たら、真っ赤な顔をして口を引き結び、ジィッとこちらを見ていた。
うっ!? なんかまずいまずいまずい! 何か言わなきゃ、先手を取って口を封じなければ、相上君に口を開かせちゃまずい気が――
「せ、先生!」
遅かった。
「な、なにかな?」
「僕っ、おかしいんです」
「な、なにが?」
「抜いても抜いても治まらないんですッ」
超絶ストレート、めっちゃ剛速球だな!
しかし幼気な青少年が、羞恥も露わに決死の覚悟で言ってしまったものはしょうがない。年上として、解決できないまでも、何か方策を提示するくらいはしなければならないだろう。
「ええっと……、私の紹介だけど、誰か信頼できる男の人を紹介しようか? いい解決方法知ってるかも」
私は逃げた! 仕方ないじゃん女だし! 戦略的撤退ってやつだってば。
相上君はプルプルと首を振る。
うん、そうだよね、勇気を出して私に言ってくれたんだものね。……その信頼が今はつらいです。でもね、相談内容が難問すぎるよ!
「たぶんストレスなんだと思います。ネットでもそんなこと書いてあったし」
自己解決しようとちゃんと自分で調べたんだね、偉い、偉いよ相上君。
「はじめは数日に1回で大丈夫だったんです。だけどだんだん増えていって……!」
こんなんどうしろって言うの……っ。
よく他の事、例えばスポーツとかカラオケで熱唱するとかが良いとか聞いたことあるけど、たぶん一番いいのはやっぱりオナニーなんだろう。
元カレが『男は1日1回抜かなきゃいけない生理なんだ』とか言ってたし。
でも他に浮かばないので、一応言ってみる。
「スポーツとかは?」
「そんなんで解消できてたら先生に言ってません」
「だ、ダヨネー」
二人して沈黙する。
多少だけど先輩として何か言ってあげたいとは思うんだけど、気持ちばかり焦って言葉が出てこない。
しかしこのままでもいかんと思い、突破口を探る。
「ち……ちなみにどれくらい時間は浪ひ――費やされてるの?」
浪費はまずいだろ私! 言葉に気を付けたまえよ、一応大人!
「何回目かにもよるんですけど……早い時で1回5分、遅いと30分くらい?」
えっ、自分でやってそれって遅漏じゃん! 30分腰振られ続けたらたまんないんだけど! 無理って方の意味で。
しかも抜いても抜いてもって言ってたから、少なくとも1日2~3回は抜かなきゃダメってことでしょう?
賢者タイムがあるから一気にも抜けないだろうし……最低1時間はかかるってこと!? そんなに時間を消費するんじゃあ、ちょっと可哀そうではある。
かわいそうだけど、私にはやっぱり解決策を言ってあげられないんだけど。
「じ、実は、原因に思い当たる節があって……」
「えっ、ストレスの?」
勉強以外にもストレスがあったってこと?
なぁんだ、早く言ってよ。
「ストレスの原因は勉強なんですけど、回数増えた原因です」
回数が増えた原因?
ちょっと待ってよ、これこそ嫌な予感がする。まさか私が原因とか言わないよね!?
「1回がしっかり抜けてないんだと思うんです……!」
自意識過剰だったよ、ヤッフーゥ! こっぱずかしいけどよかっ――
「先生の見せてくださいッ!」
――た? え?
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