10 / 44
第10話 甘い檻の中で
しおりを挟む宰相府の廊下は、香りが薄い。
王城の廊下には香木の匂いが漂う。人が通るたびに衣擦れの香水が混ざり、花の甘さや紅茶の余韻が残る。
でも宰相府の廊下は違う。香りがない。あるのは紙とインク、乾いた革、そして冷えた石の匂い。
ここは“感情”を持ち込ませない場所。人を人として扱わない場所。
第二王女ミレイアは、その廊下を一歩ずつ進みながら、背中の奥が冷えるのを感じていた。
――怖い。
でも怖いと言うのは、恥だ。
姫は可愛く、優しく、笑っていなければならない。
笑えば守られる。笑えば選ばれる。
そう教えられてきた。
扉の前で、侍従が丁寧に頭を下げる。
「ミレイア様。宰相閣下がお待ちです」
「うん……ありがとう」
ミレイアは声を整えた。
甘く。柔らかく。
自分が一番得意な音にして。
扉が開く。
中は静かで、窓の光が薄い。カーテンが重く、昼なのに部屋は薄暗い。
机の上には書類の山。
壁には地図と紋章。
ここにあるのは国であって、人ではない。
宰相グラディオ・フェルゼンは、机の向こうで立ち上がった。
白髪混じりの髪。穏やかな目。柔らかな微笑み。
“安心していい”と語りかける顔。
「お越しくださりありがとうございます、ミレイア様」
ミレイアは軽く膝を折り、可憐に礼をした。
「呼んでくださって嬉しいです、宰相閣下」
宰相は手を上げ、椅子を勧める。
座っていいよ、という仕草。
優しい仕草。
なのにミレイアの喉は乾いた。
優しさに似せた檻だと、身体が先に知っている。
ミレイアは椅子に座り、両手を膝の上で揃える。
背筋を伸ばす。
“良い姫”の姿勢。
「さて」
宰相はゆっくり息を吐く。
その呼吸の間が、相手の心臓の速さを測るみたいで怖い。
「最近、第一王女殿下の動きが目立ちますね」
ミレイアは唇を噛みそうになって、笑顔で誤魔化した。
「……お姉さま、変わったの」
口から出た声が、自分でも驚くほど弱かった。
あの人の名前を出すだけで、心が揺れる。
姉はいつも自分の世界の中心にいる。
中心にいるからこそ、憎くて、怖くて、手を伸ばしたくなる。
宰相は穏やかに頷く。
「ええ。私も感じております」
この“感じております”が、ミレイアを安心させる。
分かってくれる。
味方だ。
そう錯覚させる。
「お姉さまが孤児院に行ったり、帳簿を……手続きを変えるって……みんなが、お姉さまの話ばかりで」
ミレイアは言葉を選びながら、胸の奥の焦りをそっと机の上に置くように吐き出した。
本当はもっと醜い言葉がある。
“私を見て”
“私も選んで”
でもそれを言ったら、可愛い姫の仮面が割れる。
割れたら、誰も守ってくれない。
宰相は笑った。
優しい笑い。
その笑いが、ミレイアの心を撫でる。
「それは、あなたにとって苦しいことでしょう」
「……うん」
ミレイアは思わず頷いた。
苦しい、と言っていい。
ここでは言っていい。
宰相はそういう“許可”をくれる。
宰相は机の端に指を置き、低い声で言った。
「ミレイア様」
「はい」
「あなたが王国の希望です」
甘い。
砂糖菓子みたいに甘い言葉。
ミレイアの胸が、ふわっと浮く。
希望。
その言葉は、“選ばれる”という意味に聞こえる。
姉ではなく、私。
私が希望。
その響きが、麻薬みたいに効く。
でも同時に、怖い。
希望と言われると、失敗できない。
希望と言われると、期待に縛られる。
期待は鎖だ。
鎖は、甘い匂いがする。
「……ほんとに?」
ミレイアは小さく聞いた。
子どもみたいに。
宰相は頷く。
「ええ。あなたは民に愛される。貴族も、あなたの微笑みに安心する。あなたが前に立てば、国は穏やかになる」
穏やか。
またその言葉。
穏やかは、血が流れないという意味じゃない。
血が見えないという意味だ。
ミレイアは膝の上で指を絡めた。
爪が食い込む。
痛い。
痛いから、現実だ。
「でも……お姉さまは……」
言いかけた瞬間、宰相の目がふっと細くなった。
笑っているのに、冷たい。
その冷たさに、ミレイアの背中がぞくりとする。
「第一王女殿下は、聡明です。ですが……国は聡明さだけでは動きません」
宰相は柔らかく、しかし確実に姉を切り分ける言い方をした。
褒めるふりをして、価値を削る。
いつものやり方。
「聡明すぎる者は、民から距離を取ってしまう。冷たく見える。……そして、貴族が不安になる」
貴族が不安。
つまり、宰相が不安。
ミレイアはそこまで言語化できないのに、身体が先に理解してしまう。
宰相が続ける。
「あなたが前に立てばよいのです。あなたが笑えば、民は救われる」
その言葉が、また甘い。
笑うだけで救えるなら、どれだけ楽だろう。
でも孤児院の子は、笑っても腹が減る。
ミレイアはそれを知らない。
知らないように生きてきた。
知らないほうが、可愛い姫でいられるから。
「ミレイア様。あなたは、第一王女殿下が怖いですか?」
宰相が突然、核心を突く。
ミレイアは目を見開いた。
怖い、と言われた瞬間、胸の奥が冷える。
怖い。
そう。怖い。
姉が変わったのが怖い。
姉が私の手から離れていくのが怖い。
姉が、私を見なくなるのが怖い。
でもそれを言ったら負けだ。
姫は怖がらない。
姫は笑う。
「そんなこと……」
ミレイアが否定しかけた瞬間、宰相が優しく遮った。
「大丈夫です。怖くていいのです」
その一言が、ミレイアの心をほどく。
怖いと言っていい。
怖いままでいい。
宰相はそう言ってくれる。
その許可が、甘い。
「……うん。怖い」
ミレイアは小さく認めた。
認めた瞬間、胸が軽くなる。
軽くなるのに、同時に足首に鎖が巻き付く感覚がする。
宰相は頷き、机の上の紙をそっと裏返した。
何の紙か、ミレイアには見えない。
見えないように置かれている。
見せないことで、ミレイアを守っているふりをする。
「あなたは、正しい選択をすればよいのです」
「正しい……?」
「国のための選択。あなた自身のための選択。……そして、あなたが守られる選択」
守られる。
その言葉に、ミレイアの心がきゅっと縮む。
守られるという言葉は、彼女の過去に直結している。
――八歳の春。
突然、記憶が引き戻された。
母アウレリアの部屋。
カーテンは閉められ、香炉の匂いが濃かった。
母はベッドに横たわっていて、頬が白い。
あの頃のミレイアは、母に抱きついて泣いた。
でも母は弱々しく笑って、「大丈夫よ」と言った。
その笑顔が、怖かった。
いつも強い母が、弱く笑うのが怖かった。
廊下の影。
ミレイアは偶然、見てしまった。
宰相グラディオが、侍医に小さな包みを渡しているところ。
包みは茶色い紙。
中身は薬草。
香りは甘くて、でもどこか金属みたいに冷たい匂いがした。
「……これを」
宰相の声は低く、優しかった。
まるで“良いこと”をしているような声。
「……はい」
侍医は震えていた。
震えているのに、受け取った。
受け取ってしまった。
ミレイアは息を止め、柱の陰に隠れた。
理解できなかった。
でも本能が告げた。
これは見てはいけないものだ。
その時、背後から手が伸びた。
宰相の手。
いつの間にか、彼はミレイアの後ろにいた。
「ミレイア様」
優しい声。
優しいのに、動けなくなる声。
「……見てしまいましたか」
ミレイアは震えた。
声が出ない。
泣きそうになる。
宰相はしゃがみ、ミレイアの目線に合わせた。
「大丈夫。あなたは悪くない」
その言葉が甘くて、ミレイアは泣いた。
悪くない。
悪くないなら、ここにいていい。
守ってくれる。
「これは……お母様が楽になるための薬です」
「……ほんと?」
「ほんとです。あなたは優しい子だ。優しい子は、余計なことで苦しまなくていい」
余計なこと。
つまり、真実。
でも八歳のミレイアには分からない。
分からないから、信じる。
信じたほうが、守られるから。
「だから、誰にも言わないで。いい子だね」
宰相の指が、ミレイアの頭を撫でた。
その撫で方が、母の撫で方に似ていた。
だから、ミレイアは頷いた。
頷いてしまった。
――その瞬間、罪が共有された。
言わない。
沈黙する。
沈黙する代わりに、守られる。
守られる代わりに、縛られる。
記憶はそこまでで途切れ、宰相府の薄暗い部屋に戻る。
ミレイアの頬には、いつの間にか涙が一筋落ちていた。
「……ミレイア様」
宰相がハンカチを差し出す。
優しい仕草。
優しい檻。
「どうしました? お顔が青い」
「……思い出したの」
ミレイアは震える声で言った。
自分でも驚く。
言うつもりはなかったのに、口が勝手に開いた。
「昔……お母様の薬……」
宰相の微笑みが、一瞬だけ止まった。
ほんの一瞬。
でもミレイアは見た。
氷が割れる一瞬を。
宰相はすぐに笑顔を貼り直した。
「……お辛い記憶ですね」
「私、見てた。閣下が……侍医に……」
ミレイアの声が、細くなる。
怖い。
怖いのに、言わずにはいられない。
姉が変わった。
姉が何かに近づいている。
もし姉がこの記憶に触れたら――世界が崩れる。
崩れるのが怖い。
でも、崩れた方がいいのかもしれない。
その矛盾が、ミレイアの胸を裂く。
宰相は椅子から立ち上がり、ミレイアのそばに回った。
距離が近い。
近いと、逃げられない。
「ミレイア様」
宰相の声は優しい。
でも温度がない。
紙の上を滑るナイフみたいな優しさ。
「あなたは、優しい子です」
またその言葉。
優しい子。
それは褒め言葉のようで、鎖だ。
「優しい子だから、守られるべきです。……あなたがそれを口にする必要はありません」
「でも……」
「でも、ではありません」
宰相はミレイアの肩に手を置いた。
重い。
手の重さが、国の重さみたいにのしかかる。
「あなたは希望です。希望は、汚れてはいけない。希望は、笑っていなければならない」
ミレイアは息が詰まった。
笑うことが、仕事。
笑うことで、国が穏便になる。
そのために真実を飲み込む。
飲み込んで、守られる。
愛と恐怖が、同じ形をして絡み合う。
宰相の手は、母の撫で方に似ている。
だからミレイアは、抵抗できない。
母を失った穴に、宰相が入り込んでいる。
その事実が、ぞっとするほど正しい。
「……お姉さまが、変わったの」
ミレイアはもう一度言った。
訴え。助けを求める声。
でもその助けは、同時に宰相の鎖を強くする。
「姉が、私を見なくなるのが怖い。姉が……私のこと、捨てるのが怖い」
言ってしまった。
その瞬間、ミレイアは自分が子どもに戻った気がした。
八歳の春の、母の部屋の前にいる子ども。
宰相は微笑んだ。
今度は本当に、嬉しそうに。
「大丈夫です」
「……ほんとに?」
「ええ。あなたは捨てられません。私が守ります」
その言葉が、甘い。
でも甘いほど怖い。
守ると言う人は、支配する。
宰相は続けた。
「第一王女殿下が動けば動くほど、国は揺れます。揺れれば、あなたが必要になる。あなたの笑顔が、国を救う」
ミレイアの胸が、またふわっと浮く。
必要とされる。
それは麻薬。
姉に勝てない自分に、価値を与える。
「……私、どうすればいい?」
ミレイアは聞いた。
自分で決めることが怖い。
決めたら嫌われるかもしれない。
だから、決めてほしい。
宰相は優しく言う。
「あなたは、いつも通りでいい。可憐に、柔らかく。……そして、第一王女殿下の動きを私に教えてください」
罪の共有。
また一つ、鎖が増える。
ミレイアは震えた。
姉を売ることになる。
でも、売れば守られる。
守られれば、怖くない。
その計算が、心の中で勝手に回る。
「……うん」
小さな返事。
それが、契約の印になる。
宰相は満足そうに頷き、ミレイアの頭を撫でた。
「いい子です」
その瞬間、ミレイアの背中に冷たい汗が流れた。
褒められているのに、恐ろしい。
愛されているのに、息ができない。
ミレイアは立ち上がり、可憐に礼をした。
笑顔を作る。
目尻を下げる。
いつもの姫の顔。
「ありがとう、閣下。……私、頑張る」
「ええ。あなたならできます」
扉が閉まり、廊下へ出る。
香りのない廊下。
冷たい石。
ミレイアは歩きながら、胸の奥を押さえた。
愛されたい。
守られたい。
選ばれたい。
その願いが、鎖になっている。
鎖が甘い匂いをしている。
甘い檻の中で、彼女は笑うしかない。
そして――彼女は気づいていない。
その檻の鍵を持っているのは、宰相ではなく、彼女自身の沈黙だということを。
92
あなたにおすすめの小説
【完結】侍女が王女に転生?!英雄と結婚して破滅の国を救います!
カナタカエデ
ファンタジー
八十歳で生涯を終えた、元王宮侍女カリナ。
その最期の瞬間――枕元に、かつて仕えた王女アメリアが現れた。
「お願い…私の人生をやり直して。国を、私を、救って――」
次に目を開くと、カリナは十八歳の“王女アメリア”として転生していた。
彼女は知っている。
このままでは王国は滅び、愛する主君が破滅する未来を。
未来を変えるため、アメリアは
冷徹と噂される英雄ヴァルクとの政略結婚を選ぶ。
これは、かつて守れなかった主人のための転生。
そのはずなのに――彼への想いは、気づけば変わり始めていた。
王女と英雄が紡ぐ、破滅回避ラブファンタジー開幕。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
挿絵はA I画像を使用
10/20 第一章完結
12/20 第二章完結
2/16 第三章完結
他サイト掲載
(小説家になろう、Caita)
婚約破棄のその場で転生前の記憶が戻り、悪役令嬢として反撃開始いたします
タマ マコト
ファンタジー
革命前夜の王国で、公爵令嬢レティシアは盛大な舞踏会の場で王太子アルマンから一方的に婚約を破棄され、社交界の嘲笑の的になる。その瞬間、彼女は“日本の歴史オタク女子大生”だった前世の記憶を思い出し、この国が数年後に血塗れの革命で滅びる未来を知ってしまう。
悪役令嬢として嫌われ、切り捨てられた自分の立場と、公爵家の権力・財力を「運命改変の武器」にすると決めたレティシアは、貧民街への支援や貴族の不正調査をひそかに始める。その過程で、冷静で改革派の第二王子シャルルと出会い、互いに利害と興味を抱きながら、“歴史に逆らう悪役令嬢”として静かな反撃をスタートさせていく。
【完結】妃が毒を盛っている。
井上 佳
ファンタジー
2年前から病床に臥しているハイディルベルクの王には、息子が2人いる。
王妃フリーデの息子で第一王子のジークムント。
側妃ガブリエレの息子で第二王子のハルトヴィヒ。
いま王が崩御するようなことがあれば、第一王子が玉座につくことになるのは間違いないだろう。
貴族が集まって出る一番の話題は、王の後継者を推測することだった――
見舞いに来たエルメンヒルデ・シュティルナー侯爵令嬢。
「エルメンヒルデか……。」
「はい。お側に寄っても?」
「ああ、おいで。」
彼女の行動が、出会いが、全てを解決に導く――。
この優しい王の、原因不明の病気とはいったい……?
※オリジナルファンタジー第1作目カムバックイェイ!!
※妖精王チートですので細かいことは気にしない。
※隣国の王子はテンプレですよね。
※イチオシは護衛たちとの気安いやり取り
※最後のほうにざまぁがあるようなないような
※敬語尊敬語滅茶苦茶御免!(なさい)
※他サイトでは佳(ケイ)+苗字で掲載中
※完結保証……保障と保証がわからない!
2022.11.26 18:30 完結しました。
お付き合いいただきありがとうございました!
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~
紅月シン
ファンタジー
聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。
いや嘘だ。
本当は不満でいっぱいだった。
食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。
だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。
しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。
そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。
二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。
だが彼女は知らなかった。
三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。
知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。
※完結しました。
※小説家になろう様にも投稿しています
悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。
潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。
悪役令嬢と呼ばれた私に裁きを望むならご自由に。ただし、その甘露の罠に沈むのはあなたですわ。
タマ マコト
ファンタジー
王都で“悪役令嬢”と噂されるリシェル・ノワゼルは、聖女と王太子による公開断罪を宣告される。
しかし彼女は弁明も反抗もせず、ただ優雅に微笑むだけだった。
甘い言葉と沈黙の裏で、人の嘘と欲を見抜く彼女の在り方は、やがて断罪する側の秘密と矛盾を次々と浮かび上がらせていく。
裁くつもりで集った者たちは気づかぬまま、リシェルが張った“甘露の罠”へと足を踏み入れていくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる