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第12話「リラ捜索と、辺境へ伸びる手」
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王都の空は、もう“神殿の街”と呼ばれていた頃の面影をほとんど残していなかった。
ここ数日で立ち上った黒煙が、空の色を鈍く曇らせている。
焦げた石と血の匂いが、風に混じって神殿の高窓から入り込んでくる。
その匂いを、誰も「異常だ」と言えなくなった頃──王城の上層階で、ひどく不毛な会議が開かれていた。
◇
「結界の崩壊については、神殿側の管理責任が重大であると考えられる」
玉座の手前、白いマントを羽織った文官が冷ややかに言い放った。
王はやつれていた。
目の下には深い隈、髪には白いものが混じっている。
それでも、その背筋だけはなお「王」のそれを保っていた。
王の隣で、側妃と第二王子が無言で睨み合う。
その一段下の段に立つのは、高位神官たち。
代表して一歩前に出た老神官が、額の汗を袖で拭った。
「も、もちろん……我らも、この事態を重く受け止めております。
しかしながら、結界そのものは王家の加護も受けており、責任の所在は──」
「責任の“所在”など、今はどうでもよい」
王の声が、低く響いた。
「今必要なのは、これ以上の被害を抑える手立てだ。
民は恐怖している。
“女神の加護の街”だったはずの王都が、いまや魔物に穿たれているのだからな」
誰も言葉を継げなくなる。
重苦しい沈黙の中、第二王子が口を開いた。
「……陛下」
「なんだ」
「大聖女の力が足りないのであれば──“大聖女候補”を増やすべきです」
その言葉に、数人の神官が顔を強張らせた。
「そ、それは……すでに、手を打っておりまして……」
「“異世界召喚”とやらか」
王の声が一段冷たくなる。
「その結果が、今の有様だろう」
「……申し開きもございません」
老神官が膝を折る。
床に額がつくほど頭を下げても、焼けた街は戻らない。
そこに、女官が一人駆け込んできた。
「──失礼いたします!」
息を弾ませた様子に、場の空気が少しざわめく。
「なんだ」
「避難所となっている教会から、陛下宛の嘆願書が……。
“かつての大聖女候補を呼び戻してほしい”という声が、多数……」
「かつての?」
王の視線が、ゆっくりと神官たちへ向く。
老神官の背中を、冷たい汗が伝った。
「……リラ、という名の娘でございます」
その名が出た瞬間、部屋の空気が、ほんのわずかに揺れた。
レイナが、小さく肩を震わせたからだ。
彼女は王の斜め後ろ、王家付きの“現大聖女”として控えていた。
痩せた頬、青白い肌、視線だけがひどく鋭く、張り詰めている。
王はレイナを一瞥し、それから神官を見据える。
「聞いていなかったな。
“追放した大聖女候補”がいたと?」
「……はい。
当時の測定結果では、“基準以下”と判定されておりまして……
儀式に耐えうる素質なしと見なされ──」
「その“基準”で測った結果が、今の有様か」
王の冷笑が走る。
「王都の結界は崩れ、魔物は溢れ、民は死に、街は焼けた。
“真の大聖女”を求めるあまり、禁忌の召喚に手を出し、事態を悪化させた。
……それでなお、自分たちの“基準”を信じるか?」
誰も答えられない。
王はしばし黙考し、そのあとで言い切った。
「──いいだろう。
そのリラという娘を、呼び戻せ」
「陛下!?」
神官たちが声をあげる。
王はその騒ぎを手で制し、静かに続けた。
「責任追及は後だ。
今は、一人でも多くの“光”が必要だ。
追放した相手に手を伸ばすのは、王家にとっても神殿にとっても、恥ではあるが──」
そこで、視線が鋭さを増す。
「今さら、“恥”の一つや二つ、増えたところで変わるものはないだろう?」
「……っ」
老神官は、唇を噛んだ。
「……では、居場所の特定を急ぎます」
「急げ。
その娘が生きているかどうかもわからん以上、一刻も早く動け」
◇
神殿の記録庫は、紙と埃と古いインクの匂いでむせ返っていた。
長い棚に並ぶ羊皮紙と紙束。
高位神官たちが裾をひきずりながら、その間を行ったり来たりする。
「リラ、リラ……リラ・○○? いや姓は与えられておらんはず……」
「“孤児出身”の大聖女候補、リラ。ありました!」
ひとりの若い神官が叫ぶ。
「追放記録は!?」
「ええと、“王都北方の街道にて解放。その後の行き先は不明”」
「不明では話にならん!」
「ですが……あ、待ってください。
付箋記録が……」
若い神官は慌てて小さな紙片を開いた。
「“北方街道、三里ほどの地点。天候悪化のため馬車撤退。
対象は徒歩にて移動。
後日、辺境地調査員より『北方辺境の無名村に類似人物の目撃あり』との報告。”」
「無名村?」
「名前すらまともに登録されていない、小規模な集落のようです。
だが、この地図を見る限り……」
神官は壁に掛けられた地図に紙片を押し当てた。
王都から北へ細く伸びる街道。
その先、森と丘と崖に囲まれた辺りに、小さく点が打たれている。
「ここ、です」
「そんな辺境に……」
「追放された者の行き着く先としては、むしろ自然なのでは?」
皮肉な笑いが漏れる。
「よし。
特別使節団を組もう。
王都の騎士と、神殿の代表者と──」
誰かが、意地悪に言った。
「もちろん、“現大聖女”レイナ様にも、ご同行願わねばなりませんな?」
◇
「……え」
レイナは、言葉を失った。
高位神官に呼び出され、謁見室の隅で命令を告げられたとき、頭の中が真っ白になった。
「レイナ様。
これは陛下の御意向でもあります」
「わ、わたしが……辺境に? リラのところに?」
「“大聖女候補の呼び戻し”という名目上、貴女が顔を出すのが最も筋が良い」
「……どんな顔して、会えばいいの……?」
小さな声がこぼれる。
「追放を止められなかった大聖女として?
“ごめんね、助けて”って、今さら言えばいいんですか……?」
その言葉には、皮肉よりも、自嘲よりも、自分自身への嫌悪が多く含まれていた。
神官は、わずかだけ目を伏せる。
「……それでも、行くしかありません」
「……はい」
レイナはぎゅっと拳を握りしめた。
脳裏に浮かぶのは、雨のように降ってくる瓦礫、燃える街、泣き叫ぶ人々。
そして──膝をついて、泣きながら謝る自分の幻。
(今さら……)
(今さら、どんな顔して、リラに会えばいいの)
心臓が、痛い。
息を吸うたびに、肺の中まで冷たくなる。
それでも──。
「……連れてきて、って言われたら、私は……」
呟きは誰にも聞こえない。
“連れ戻す”のか、“助けを乞う”のか。
自分がどうしたいのか、それすらもわからないまま。
王都から北へ向かう馬車の準備が、静かに進められていった。
◇
一方そのころ、辺境。
村の空は、朝からどこか変だった。
雲が少ないのに、空の青さが薄い。
地平線のずっと向こうに、黒い靄のようなものがかすかにたなびいている。
「ねえリラ、なんか空、変じゃない?」
畑で草をむしっていた子どもが、手を止めて空を指さした。
「んー?」
リラは腰を伸ばし、空を見上げる。
「……たしかに、ちょっと、くすんでる、かな?」
目を細めると、遠くの山の向こう側──王都のある方角に、薄い煙のようなものが見えた。
煙、というよりは、黒い靄。
空にじっとり貼り付くような、嫌な影。
「山火事かな?」
「こんな季節に?」
「たしかに……」
子どもたちはすぐに他の遊びに気を取られて走り去っていく。
リラはしばらく、ぽかんと空を見つめていた。
風が一陣、吹き抜ける。
いつもより、少し冷たい。
(……なんか、いやだな)
言葉にできない違和感が、首筋をなぞる。
そのとき。
地の底から、うっすらと響くような、低い唸り声が聞こえた気がした。
「……え?」
耳を澄ます。
風の音。葉の擦れる音。遠くの家畜の鳴き声。
そして──。
「……グルゥゥゥゥ……」
確かに聞こえた。
人間の喉から出るものではない、獣の唸り声。
それも、普通の獣よりずっと重く、湿った音。
「アゼル……?」
リラは思わず、名を呼んでいた。
◇
村外れの丘。
木々の間から、村全体と、遠くの山並みが見渡せる場所。
そこに、ひとりの青年が佇んでいた。
黒髪を風に揺らせ、腕を組んだまま、じっと遠方を見つめている。
その横顔は、人のものにしてはあまりに静かで、どこか冷ややかだ。
ひとり分の足音が近づく。
「……やっぱり、ここにいた」
振り向かずとも誰かはわかっているのだろう。
アゼルはほんの少しだけ顎を動かした。
「どうした、リラ」
「いや、“どうした”はこっちの台詞なんですけど。
朝からいないと思ったら、一人でこんなところで黄昏れて……」
「黄昏れてはいない」
「じゃあ何してたの」
「風を見ていた」
「……竜の会話、難易度高くない?」
軽口を叩きながらも、リラは隣に立って同じ方角を見た。
山の向こう。
黒い靄。
低いうなり声。
「これ、まさか全部、“気のせい”じゃないよね」
「気のせいではないな」
アゼルは短く言い切る。
「王都の結界が、本格的に崩れ始めた」
「……やっぱり」
頭のどこかで予想していた言葉だった。
「前に言っただろう。
王都の結界が歪み、その余波が辺境に“形を変えて届く”と」
「魔物が増える、ってやつ?」
「ああ。
それと同時に、“匂い”も流れてくる」
「匂い?」
「血の匂い、炎の匂い、絶望の匂い。
人間のそれは、竜にはよく届く」
アゼルの言葉に、リラはぎゅっと指を握りしめた。
「……王都、そんなひどいことになってるんだ」
「少なくとも、“無傷”ではいられない程度にはな」
風が、二人の間を通り抜ける。
さっきより冷たく、重い風。
「……行かなきゃ、って言われたら、どうしよう」
ぽつりと、リラは呟いた。
自分でも、出所のよくわからない言葉だった。
「まだ何も言われていないのに?」
「なんとなく。
こういうのって、絶対、“力を持ってる人間”のところに話がくるじゃん」
「お前、自分の力を“ある”前提で話すようになったな」
「そこ拾わないで。今ちょっと真面目な話してるから」
アゼルは、口の端をすこしだけ上げた。
「行きたいのか?」
「わかんない」
正直に答える。
「行くのが怖くないわけないし。
王都は……正直、あんまりいい思い出ないし。
神殿の顔なんて、できれば二度と見たくない」
「だろうな」
「でも、“見捨てたい”ってほど嫌いでもないからさ。
あそこにも、私が治したことのある人、たくさんいるし」
神殿の厨房の子。
掃除の少年。
祈りに来ていた老夫婦。
彼らの顔が、黒煙の向こうへ吸い込まれていく想像をすると、胃がきゅっと痛くなる。
「……今は、ここにいたい」
リラは自分の胸に手を当てた。
「ここが好きだし。
みんなの顔がちゃんと浮かぶ、居場所だし。
マリアさんもいるし……シロもいるし」
「ふむ」
「でも、“ここにいたい”って思うからこそさ。
ここを守るために、どこかに行かなきゃいけないことも、あるのかなって」
自分で言って、自分で苦笑する。
「なんか、ゲームの主人公みたいなこと言ってる自覚はある」
「ゲームとはなんだ」
「こっちの話です」
アゼルは少しだけ考えるように目を細めた。
「……いずれにせよ」
ゆっくりとした口調で言う。
「“厄介な客”は来る」
「やっぱり?」
「風がそう言っている」
竜特有の比喩なのか、本当に風と会話しているのか、リラには判断できない。
でも、アゼルが“来る”と言うなら、それはほぼ確定事項だ。
「王都の結界が崩れた余波は、この辺りにも魔物を呼ぶ。
同時に、“助けを求める者”と、“責任を押し付けたい者”も流れてくる」
「後半のやつ、嫌な予感しかしないんだけど」
「どちらも、だいたい同じ顔をしているからな」
「……レイナ様、来るかな」
不意に出た名前に、自分でびくりとする。
アゼルが横目でこちらを見る。
「来てほしいか?」
「わかんない」
さっきと同じ答え。
「会うのが怖くないって言ったら嘘になる。
“どうして庇ってくれなかったの”って、責めたくなるかもしれない。
でも、あの人が今、どんな顔してるか想像するとさ──」
喉が、少しだけ震えた。
「“会いたくない”って言い切るのも、違う気がして」
「ほう」
「もし本当にここに来るなら……
“あの時のまま”ではないと思うから」
王都の空が黒く曇るほどの事態。
その中で、レイナが何も感じないわけがない。
後悔も、罪悪感も、たぶん山ほど抱えている。
「会ったら、きっと面倒だよね。
話もこじれるだろうし、“戻ってきて”とか言われたら困るし。
でも──」
リラは、空に薄くかかった黒い靄を見上げた。
「それでも、ちゃんと会って、“今の私”の顔を見せたいっていう気持ちも、ちょっとだけある」
追放された元聖女ではなく。
この村で笑って、泣いて、誰かを治している、“今のリラ”として。
「……めんどくさいなー、人間の感情」
自分で自分に呆れながら笑う。
アゼルはそんな彼女を、しばし静かに眺めてから、言った。
「めんどくさいが、嫌いではない」
「……そういうことさらっと言うの、ほんとやめよ?」
「褒めている」
「わかってるから余計やめてほしいんです。照れるから」
軽口を交わしながらも、二人の視線は遠くの山に釘付けになっている。
黒い靄は、少しずつ濃くなっているように見えた。
遠くの方で、また低い唸り声が響く。
「……本当に、“厄介な客”、来るね」
「ああ」
アゼルの声は、静かで冷静だ。
その目の奥には、竜としての覚悟と、人間としての諦念が、複雑に混ざっている。
「そのとき、お前が“どうしたいか”を決めるのは──お前自身だ」
「うん」
リラは、小さく頷いた。
「“ここにいたい”って気持ちを、ちゃんと持ったまま決める。
前みたいに、“ここしかないから”って理由で縋るんじゃなくて」
「それができるなら──」
アゼルは目を細めた。
「たとえどんな選択をしても、我は文句は言わん」
「“文句は言わん”って言い方、なんかズルいなあ」
「感情は口を挟むかもしれんが」
「いや挟むんかい」
二人の笑い声が、少しだけ強くなった風にさらわれていった。
◇
数日後──。
王都から北へ伸びる街道を、一団の馬車と騎馬が進んでいた。
王家の紋章の入った旗。
神殿の紋章を刻んだローブ。
その中心の馬車の中で、レイナは固く拳を握りしめていた。
「……リラ」
馬車の揺れに合わせて、心臓も揺れる。
窓の外には、まだ黒い靄は見えない。
だが、空気の冷たさは確実に増していた。
(どんな顔して会えばいいの、なんて──)
答えなんて、やっぱり出ない。
それでも、馬車は止まらない。
辺境の、小さな無名の村へ向かうその車輪は、もう後戻りできない速度で回っていた。
その先にいる一人の少女が、
“ここにいたい”と選んだ場所を守るための、最初の軋みが──今、音を立て始めていた。
ここ数日で立ち上った黒煙が、空の色を鈍く曇らせている。
焦げた石と血の匂いが、風に混じって神殿の高窓から入り込んでくる。
その匂いを、誰も「異常だ」と言えなくなった頃──王城の上層階で、ひどく不毛な会議が開かれていた。
◇
「結界の崩壊については、神殿側の管理責任が重大であると考えられる」
玉座の手前、白いマントを羽織った文官が冷ややかに言い放った。
王はやつれていた。
目の下には深い隈、髪には白いものが混じっている。
それでも、その背筋だけはなお「王」のそれを保っていた。
王の隣で、側妃と第二王子が無言で睨み合う。
その一段下の段に立つのは、高位神官たち。
代表して一歩前に出た老神官が、額の汗を袖で拭った。
「も、もちろん……我らも、この事態を重く受け止めております。
しかしながら、結界そのものは王家の加護も受けており、責任の所在は──」
「責任の“所在”など、今はどうでもよい」
王の声が、低く響いた。
「今必要なのは、これ以上の被害を抑える手立てだ。
民は恐怖している。
“女神の加護の街”だったはずの王都が、いまや魔物に穿たれているのだからな」
誰も言葉を継げなくなる。
重苦しい沈黙の中、第二王子が口を開いた。
「……陛下」
「なんだ」
「大聖女の力が足りないのであれば──“大聖女候補”を増やすべきです」
その言葉に、数人の神官が顔を強張らせた。
「そ、それは……すでに、手を打っておりまして……」
「“異世界召喚”とやらか」
王の声が一段冷たくなる。
「その結果が、今の有様だろう」
「……申し開きもございません」
老神官が膝を折る。
床に額がつくほど頭を下げても、焼けた街は戻らない。
そこに、女官が一人駆け込んできた。
「──失礼いたします!」
息を弾ませた様子に、場の空気が少しざわめく。
「なんだ」
「避難所となっている教会から、陛下宛の嘆願書が……。
“かつての大聖女候補を呼び戻してほしい”という声が、多数……」
「かつての?」
王の視線が、ゆっくりと神官たちへ向く。
老神官の背中を、冷たい汗が伝った。
「……リラ、という名の娘でございます」
その名が出た瞬間、部屋の空気が、ほんのわずかに揺れた。
レイナが、小さく肩を震わせたからだ。
彼女は王の斜め後ろ、王家付きの“現大聖女”として控えていた。
痩せた頬、青白い肌、視線だけがひどく鋭く、張り詰めている。
王はレイナを一瞥し、それから神官を見据える。
「聞いていなかったな。
“追放した大聖女候補”がいたと?」
「……はい。
当時の測定結果では、“基準以下”と判定されておりまして……
儀式に耐えうる素質なしと見なされ──」
「その“基準”で測った結果が、今の有様か」
王の冷笑が走る。
「王都の結界は崩れ、魔物は溢れ、民は死に、街は焼けた。
“真の大聖女”を求めるあまり、禁忌の召喚に手を出し、事態を悪化させた。
……それでなお、自分たちの“基準”を信じるか?」
誰も答えられない。
王はしばし黙考し、そのあとで言い切った。
「──いいだろう。
そのリラという娘を、呼び戻せ」
「陛下!?」
神官たちが声をあげる。
王はその騒ぎを手で制し、静かに続けた。
「責任追及は後だ。
今は、一人でも多くの“光”が必要だ。
追放した相手に手を伸ばすのは、王家にとっても神殿にとっても、恥ではあるが──」
そこで、視線が鋭さを増す。
「今さら、“恥”の一つや二つ、増えたところで変わるものはないだろう?」
「……っ」
老神官は、唇を噛んだ。
「……では、居場所の特定を急ぎます」
「急げ。
その娘が生きているかどうかもわからん以上、一刻も早く動け」
◇
神殿の記録庫は、紙と埃と古いインクの匂いでむせ返っていた。
長い棚に並ぶ羊皮紙と紙束。
高位神官たちが裾をひきずりながら、その間を行ったり来たりする。
「リラ、リラ……リラ・○○? いや姓は与えられておらんはず……」
「“孤児出身”の大聖女候補、リラ。ありました!」
ひとりの若い神官が叫ぶ。
「追放記録は!?」
「ええと、“王都北方の街道にて解放。その後の行き先は不明”」
「不明では話にならん!」
「ですが……あ、待ってください。
付箋記録が……」
若い神官は慌てて小さな紙片を開いた。
「“北方街道、三里ほどの地点。天候悪化のため馬車撤退。
対象は徒歩にて移動。
後日、辺境地調査員より『北方辺境の無名村に類似人物の目撃あり』との報告。”」
「無名村?」
「名前すらまともに登録されていない、小規模な集落のようです。
だが、この地図を見る限り……」
神官は壁に掛けられた地図に紙片を押し当てた。
王都から北へ細く伸びる街道。
その先、森と丘と崖に囲まれた辺りに、小さく点が打たれている。
「ここ、です」
「そんな辺境に……」
「追放された者の行き着く先としては、むしろ自然なのでは?」
皮肉な笑いが漏れる。
「よし。
特別使節団を組もう。
王都の騎士と、神殿の代表者と──」
誰かが、意地悪に言った。
「もちろん、“現大聖女”レイナ様にも、ご同行願わねばなりませんな?」
◇
「……え」
レイナは、言葉を失った。
高位神官に呼び出され、謁見室の隅で命令を告げられたとき、頭の中が真っ白になった。
「レイナ様。
これは陛下の御意向でもあります」
「わ、わたしが……辺境に? リラのところに?」
「“大聖女候補の呼び戻し”という名目上、貴女が顔を出すのが最も筋が良い」
「……どんな顔して、会えばいいの……?」
小さな声がこぼれる。
「追放を止められなかった大聖女として?
“ごめんね、助けて”って、今さら言えばいいんですか……?」
その言葉には、皮肉よりも、自嘲よりも、自分自身への嫌悪が多く含まれていた。
神官は、わずかだけ目を伏せる。
「……それでも、行くしかありません」
「……はい」
レイナはぎゅっと拳を握りしめた。
脳裏に浮かぶのは、雨のように降ってくる瓦礫、燃える街、泣き叫ぶ人々。
そして──膝をついて、泣きながら謝る自分の幻。
(今さら……)
(今さら、どんな顔して、リラに会えばいいの)
心臓が、痛い。
息を吸うたびに、肺の中まで冷たくなる。
それでも──。
「……連れてきて、って言われたら、私は……」
呟きは誰にも聞こえない。
“連れ戻す”のか、“助けを乞う”のか。
自分がどうしたいのか、それすらもわからないまま。
王都から北へ向かう馬車の準備が、静かに進められていった。
◇
一方そのころ、辺境。
村の空は、朝からどこか変だった。
雲が少ないのに、空の青さが薄い。
地平線のずっと向こうに、黒い靄のようなものがかすかにたなびいている。
「ねえリラ、なんか空、変じゃない?」
畑で草をむしっていた子どもが、手を止めて空を指さした。
「んー?」
リラは腰を伸ばし、空を見上げる。
「……たしかに、ちょっと、くすんでる、かな?」
目を細めると、遠くの山の向こう側──王都のある方角に、薄い煙のようなものが見えた。
煙、というよりは、黒い靄。
空にじっとり貼り付くような、嫌な影。
「山火事かな?」
「こんな季節に?」
「たしかに……」
子どもたちはすぐに他の遊びに気を取られて走り去っていく。
リラはしばらく、ぽかんと空を見つめていた。
風が一陣、吹き抜ける。
いつもより、少し冷たい。
(……なんか、いやだな)
言葉にできない違和感が、首筋をなぞる。
そのとき。
地の底から、うっすらと響くような、低い唸り声が聞こえた気がした。
「……え?」
耳を澄ます。
風の音。葉の擦れる音。遠くの家畜の鳴き声。
そして──。
「……グルゥゥゥゥ……」
確かに聞こえた。
人間の喉から出るものではない、獣の唸り声。
それも、普通の獣よりずっと重く、湿った音。
「アゼル……?」
リラは思わず、名を呼んでいた。
◇
村外れの丘。
木々の間から、村全体と、遠くの山並みが見渡せる場所。
そこに、ひとりの青年が佇んでいた。
黒髪を風に揺らせ、腕を組んだまま、じっと遠方を見つめている。
その横顔は、人のものにしてはあまりに静かで、どこか冷ややかだ。
ひとり分の足音が近づく。
「……やっぱり、ここにいた」
振り向かずとも誰かはわかっているのだろう。
アゼルはほんの少しだけ顎を動かした。
「どうした、リラ」
「いや、“どうした”はこっちの台詞なんですけど。
朝からいないと思ったら、一人でこんなところで黄昏れて……」
「黄昏れてはいない」
「じゃあ何してたの」
「風を見ていた」
「……竜の会話、難易度高くない?」
軽口を叩きながらも、リラは隣に立って同じ方角を見た。
山の向こう。
黒い靄。
低いうなり声。
「これ、まさか全部、“気のせい”じゃないよね」
「気のせいではないな」
アゼルは短く言い切る。
「王都の結界が、本格的に崩れ始めた」
「……やっぱり」
頭のどこかで予想していた言葉だった。
「前に言っただろう。
王都の結界が歪み、その余波が辺境に“形を変えて届く”と」
「魔物が増える、ってやつ?」
「ああ。
それと同時に、“匂い”も流れてくる」
「匂い?」
「血の匂い、炎の匂い、絶望の匂い。
人間のそれは、竜にはよく届く」
アゼルの言葉に、リラはぎゅっと指を握りしめた。
「……王都、そんなひどいことになってるんだ」
「少なくとも、“無傷”ではいられない程度にはな」
風が、二人の間を通り抜ける。
さっきより冷たく、重い風。
「……行かなきゃ、って言われたら、どうしよう」
ぽつりと、リラは呟いた。
自分でも、出所のよくわからない言葉だった。
「まだ何も言われていないのに?」
「なんとなく。
こういうのって、絶対、“力を持ってる人間”のところに話がくるじゃん」
「お前、自分の力を“ある”前提で話すようになったな」
「そこ拾わないで。今ちょっと真面目な話してるから」
アゼルは、口の端をすこしだけ上げた。
「行きたいのか?」
「わかんない」
正直に答える。
「行くのが怖くないわけないし。
王都は……正直、あんまりいい思い出ないし。
神殿の顔なんて、できれば二度と見たくない」
「だろうな」
「でも、“見捨てたい”ってほど嫌いでもないからさ。
あそこにも、私が治したことのある人、たくさんいるし」
神殿の厨房の子。
掃除の少年。
祈りに来ていた老夫婦。
彼らの顔が、黒煙の向こうへ吸い込まれていく想像をすると、胃がきゅっと痛くなる。
「……今は、ここにいたい」
リラは自分の胸に手を当てた。
「ここが好きだし。
みんなの顔がちゃんと浮かぶ、居場所だし。
マリアさんもいるし……シロもいるし」
「ふむ」
「でも、“ここにいたい”って思うからこそさ。
ここを守るために、どこかに行かなきゃいけないことも、あるのかなって」
自分で言って、自分で苦笑する。
「なんか、ゲームの主人公みたいなこと言ってる自覚はある」
「ゲームとはなんだ」
「こっちの話です」
アゼルは少しだけ考えるように目を細めた。
「……いずれにせよ」
ゆっくりとした口調で言う。
「“厄介な客”は来る」
「やっぱり?」
「風がそう言っている」
竜特有の比喩なのか、本当に風と会話しているのか、リラには判断できない。
でも、アゼルが“来る”と言うなら、それはほぼ確定事項だ。
「王都の結界が崩れた余波は、この辺りにも魔物を呼ぶ。
同時に、“助けを求める者”と、“責任を押し付けたい者”も流れてくる」
「後半のやつ、嫌な予感しかしないんだけど」
「どちらも、だいたい同じ顔をしているからな」
「……レイナ様、来るかな」
不意に出た名前に、自分でびくりとする。
アゼルが横目でこちらを見る。
「来てほしいか?」
「わかんない」
さっきと同じ答え。
「会うのが怖くないって言ったら嘘になる。
“どうして庇ってくれなかったの”って、責めたくなるかもしれない。
でも、あの人が今、どんな顔してるか想像するとさ──」
喉が、少しだけ震えた。
「“会いたくない”って言い切るのも、違う気がして」
「ほう」
「もし本当にここに来るなら……
“あの時のまま”ではないと思うから」
王都の空が黒く曇るほどの事態。
その中で、レイナが何も感じないわけがない。
後悔も、罪悪感も、たぶん山ほど抱えている。
「会ったら、きっと面倒だよね。
話もこじれるだろうし、“戻ってきて”とか言われたら困るし。
でも──」
リラは、空に薄くかかった黒い靄を見上げた。
「それでも、ちゃんと会って、“今の私”の顔を見せたいっていう気持ちも、ちょっとだけある」
追放された元聖女ではなく。
この村で笑って、泣いて、誰かを治している、“今のリラ”として。
「……めんどくさいなー、人間の感情」
自分で自分に呆れながら笑う。
アゼルはそんな彼女を、しばし静かに眺めてから、言った。
「めんどくさいが、嫌いではない」
「……そういうことさらっと言うの、ほんとやめよ?」
「褒めている」
「わかってるから余計やめてほしいんです。照れるから」
軽口を交わしながらも、二人の視線は遠くの山に釘付けになっている。
黒い靄は、少しずつ濃くなっているように見えた。
遠くの方で、また低い唸り声が響く。
「……本当に、“厄介な客”、来るね」
「ああ」
アゼルの声は、静かで冷静だ。
その目の奥には、竜としての覚悟と、人間としての諦念が、複雑に混ざっている。
「そのとき、お前が“どうしたいか”を決めるのは──お前自身だ」
「うん」
リラは、小さく頷いた。
「“ここにいたい”って気持ちを、ちゃんと持ったまま決める。
前みたいに、“ここしかないから”って理由で縋るんじゃなくて」
「それができるなら──」
アゼルは目を細めた。
「たとえどんな選択をしても、我は文句は言わん」
「“文句は言わん”って言い方、なんかズルいなあ」
「感情は口を挟むかもしれんが」
「いや挟むんかい」
二人の笑い声が、少しだけ強くなった風にさらわれていった。
◇
数日後──。
王都から北へ伸びる街道を、一団の馬車と騎馬が進んでいた。
王家の紋章の入った旗。
神殿の紋章を刻んだローブ。
その中心の馬車の中で、レイナは固く拳を握りしめていた。
「……リラ」
馬車の揺れに合わせて、心臓も揺れる。
窓の外には、まだ黒い靄は見えない。
だが、空気の冷たさは確実に増していた。
(どんな顔して会えばいいの、なんて──)
答えなんて、やっぱり出ない。
それでも、馬車は止まらない。
辺境の、小さな無名の村へ向かうその車輪は、もう後戻りできない速度で回っていた。
その先にいる一人の少女が、
“ここにいたい”と選んだ場所を守るための、最初の軋みが──今、音を立て始めていた。
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