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第9章
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下弦の月が昇った二日後、ルートグーヴァは資料庫を飲み込む丘に登った。西側の坂はゆるやかに見えたが、実際に登るとじっとりと汗が出た。今日は風が強い。雑草がなびき、ルートグーヴァの白衣の裾もあおられる。沖には一艘の船も見えなかった。
資料庫に降りる扉の取っ手は真上から降り注ぐ陽光ですっかり熱せられていた。ちゃんと開く。まだ誰も鍵が開いていると気づいていないようだ。もし気づくとしたらフィンだろうが、今はその心配もないだろう。
ここ数日、フィンは何をするにも上の空だ。湯が沸いてケトルの笛が鳴っても聞こえないらしく、今朝もコンロの火はルートグーヴァが止めた。昨日は解剖中にメスで切ったと言って指に絆創膏を貼っていたし、プレパラートを一枚割ってしまったそうだ。ずっと考え事をしているらしい。尋ねてみたが、フィンは何を考えているのか教えてくれなかった。
「言える状態になっていないんです」
ルートグーヴァの顔を見ないでそう言ったきりだ。フィンはフィンのペースでしか生きられない。順序を乱せば立ち止まってしまう。話してくれるまで待つしかない。
雲が流れていく。フィンは水族館に着いただろうか。午後から水族館に行くと言っていたが、誘われなかった。ミアによろしくと言ったら、フィンは小さくうなずいた。
ルートグーヴァはベンチを通り過ぎ、崖下をのぞいた。岩肌に波が寄せている。海は紺碧で、暗礁もなさそうだ。ここから飛び込んで海底に沿ってひたすら潜っていけば、王国に辿り着く。残された猶予はあと二十日ほど。フィンから宝玉の在処を聞き出すべきだとわかっているが、一人で見つけると決めた。フィンに嫌われたくない。たとえ、二度と会えなくても。
海風がため息をさらっていく。ルートグーヴァは一歩、二歩と崖からあとずさった。叱責されているような気がした。
研究室に戻ると、フィンが帰ってきていた。髪とシャツが濡れている。
「どうしたんだ」
「ミアにやられました」
ミアはフィンには水鉄砲を撃たない。卵が原因だろうか。ミアの卵はすべて腐って落ちてしまったと聞いている。気が滅入っていて、八つ当たりをしたのかもしれない。フィンには災難だったが、水鉄砲を撃てるほどミアが元気だとわかって安心した。
「たまたま機嫌が悪かったんだろう」
「いいえ、ミアは怒っていたんです。たぶん、僕が言わないでいると、気づいたんです」
何を、誰に、と尋ねたかったが、ルートグーヴァは我慢した。フィンはまだ言える状態ではないだろう。
フィンはちらりとルートグーヴァを見たが、すぐに視線をそらした。ここのところ、フィンの態度が素っ気なく感じられる。出会ったばかりの頃に戻ってしまったようだ。
「とにかく、髪を拭いた方がいい」
「はい。僕は家に帰ります。鍵をください」
ルートグーヴァは白衣のポケットから鍵を出してフィンに渡した。鍵には、揺らすと音がする銀の玉がついている。玉の響きは二人の手の間で長く尾を引いた。フィンが鍵をズボンのポケットに入れ、音が途切れる。フィンは心なしか速足で研究室を出ていった。
フィンが何を考えているのか知りたい。打ち解けたと思っていたが、相談相手にはなれないのか。ミアもミアだ。フィンの不調は皮膚を通じて伝わっただろうに、どうして追い打ちをかけるような真似をするのだろう。ミアなら、フィンの考え事に見当がつくかもしれない。他者を通じて探りを入れるのは不作法だが、今のままではなんと声をかけていいかわからない。ルートグーヴァは白衣をロッカーにしまい、バス停へ向かった。
西日が水族館の壁に反射し、辺りを焼き尽くそうとしている。裏口では口ひげの男性がウェットスーツを洗っていた。ルートグーヴァはフィンの同僚だと名乗り、失くしものを探しに来たと嘘をついた。
「フィンが家の鍵を落としたらしいんです。ミアに水をかけられたときじゃないかと言うので、代わりに来ました」
「ああ、聞いたよ。痴話喧嘩だろう。しかし困ったな。おれは今手が離せないんだ」
「ミアの水槽の場所はわかります」
「付き添いなしで部外者を入れるのはよくないんだが、鍵は大変だなぁ。手短に頼むよ」
ルートグーヴァは礼を言って水族館に入り、ミアの元へ向かった。近くにあった脚立に登って金網をずらし、隙間を作る。金網の振動が伝わったのか、ミアが擬岩から頭を出した。ルートグーヴァは袖をまくり、冷たい水に手を入れた。すぐにミアの腕が手首に巻きつく。
「ミア、聞きたいことが」
最後まで言う暇は与えられなかった。水鉄砲が顔に直撃する。
「何をするんだ。ミア、話を」
二度、三度と水をかけられ、ルートグーヴァは顔をしかめた。海水は人間の舌には塩辛すぎる。
「フィンに何をしたの」
ミアは皮膚の色を赤黒く変えていた。ぎりぎりと腕を締めつけられ、指先がしびれる。
「あんたのせいでしょ。わかってるんだから」
「落ち着いてくれ。私はただ」
四度目の水鉄砲で、ルートグーヴァは会話の主導権を放棄した。額に張りついた前髪を掻き上げる間に、ミアは水面まで上ってきている。
「フィンが濁っちゃった。あんなに透明できれいだったのに。絶対許さない」
濁ったとはどういう意味だろう。ミアには何が見えているのだろう。
「なんとか言ったら?」
発言権が与えられた。
「フィンは君に何か打ち明けたのか」
「何も」
「フィンはどういう状態なんだ」
「なんで私に聞くわけ。自分で確かめなさいよ」
「言える状態ではないと言われた」
「じゃあ待てば?」
返す言葉もない。ミアの腕がもう二本絡みついてくる。ミアはルートグーヴァの腕を抱きかかえ、吸盤を押し当てた。金色の目がルートグーヴァをにらみつけている。
「なんなの。フィンも、あんたも、悩んで迷ってうじうじして、ほんとイライラする。煮え切らない男って大嫌い」
「なんの話だ」
ミアが腕を離して沈んでいく。追いすがったら五度目の水鉄砲を撃たれた。水の勢いでミアは水槽の底に沈み、擬岩に入ってしまう。名前を呼んでも出てこない。仕方なく、ルートグーヴァは金網と脚立を元の位置に戻した。濡れた床はそのままに、裏口から外へ出る。口ひげの男性はすでにおらず、とろけるような夕日が山の向こうへ沈もうとしていた。
「おかえりなさい。どうしたんですか」
「ミアにやられた」
立場を入れ替え、昼間の会話をくり返す。フィンはすでにシャワーを浴びたようで、パジャマを着てソファで本を読んでいた。
「水族館に行ったんですか」
「気になったんだ」
「ミアは元気だったでしょう。産卵で体力を消耗したようですが、餌を食べたのがよかったんだとアンナが言っていました」
何が気になったのか、フィンは都合よく取り違えてくれた。
ルートグーヴァは浴室へ向かった。浴室は優に二部屋分の広さがある。半分以上が浴槽で占められ、シャワーは隅に追いやられている。浴槽用の蛇口には油性ペンで印がつけられている。浴槽は先生しか使わないので、水と湯の蛇口、どちらをどれだけ開けば適温になるか、フィンは印を見ないとわからないそうだ。
この不思議な浴室は、先生が東の果ての島国で体験したオンセンという施設を模しているらしい。なぜか屋外へ出るためのドアもある。磨りガラスのドアを開けると、外は芝生だ。左手には潜水艇の小屋があり、右は砂浜へ下りる坂に続いている。
ルートグーヴァがシャワーを終えたとき、フィンはまだ本を読んでいた。夕食を終えてからも本を読んでいた。ルートグーヴァが自室に戻るときも、本を読んでいた。
ルートグーヴァは机の上に研究所の見取り図を広げた。丘の資料庫だけが白い。総務部の一角には警備員が常駐しており、申請すれば夜でも鍵を借りられるが、ルートグーヴァの許可証では無理だ。警備員の目をかいくぐって鍵を持ち出し、元の場所に返すのは不可能だろう。別の方法を考えるしかない。
ふいに窓がカタカタと鳴った。外に泡沫の精霊が集まっている。窓を開けると、精霊たちは潮騒といっしょにすべりこんできた。
「聞いたわよ。噴水の子たちにお話をしてあげたんですって?」
「ずるいずるい。私たちにも聞かせてよ」
どうやら文句を言いに来ただけらしい。素直に開けるのではなかった。
「話はしたが、不評だったぞ」
「知ってるわ。話し方が下手くそって言ってたもの」
「ねえ、あの子たちとは別のお話をしてよ。恋のお話がいいわ」
「ハイドラストイエに頼め。実体験が聞ける」
「ダメよ。だって彼の恋の物語はいつも振られて終わるもの。ハッピーエンドがいいの」
「そうそう。二人はいつまでも幸せに暮らしました、で終わるお話じゃなきゃ」
二人はいつまでも幸せに暮らしました。そんな恋、本当にあるのだろうか。
「お前たちは、恋をするのか」
泡沫の精霊は朝日と共に波の間から生まれ、一晩で消える種族だ。生殖の概念はなく、海がある限り滅びない。それぞれが一欠片ずつ、海の記憶を持っている。精霊たちは朝日と共に波間へ還り、海の記憶は新しく生まれる精霊に受け継がれる。
「たまにいるわね、そういう子たち」
「恋をしたら、どうするんだ」
「私が聞いた話だと、恋をした子たちは一晩中並んでおしゃべりして、朝日が昇る間際にふたりでぎゅーって抱き合って、ひとつになって消えたんですって」
「ロマンチック! 素敵!」
「素敵なのか」
「素敵よ!」
「たとえ短い間でも、最後の瞬間まで愛する人と一緒にいるのよ。素敵じゃない」
「いつまでも幸せに暮らしていないぞ」
先ほどの主張と矛盾している。
「それはそれ、これはこれ」
「あんたホントに無粋ねぇ。だから恋人できないのよ」
「ハイドラストイエみたいなことを言わないでくれ」
「でも、いつまでも幸せに暮らすって難しいのかも。ほら、昔人間に恋した人魚いたでしょ?」
「泡になって消えてしまった人魚だろう」
「違う違う。その子よりもっと前。もう一人いたのよ」
「私それ知らない。どんな話」
「千年くらい前にね、人間の漁師と恋人になった人魚がいたの」
漁師が沖合に船を出し、ふたりは逢瀬を重ねた。仲睦まじい恋人たちだったという。
「人間の方が惚れこんでて、普通より二回りも大きな黒い真珠をプレゼントしたのよ」
「人魚に真珠なんてセンスないわ。私たちだって見飽きてるのに」
「大事なのは気持ちよ。き、も、ち。恋人からのプレゼントなんだから、うれしいに決まってるじゃない」
「いいなぁ。私も恋人からプレゼントもらってみたーい」
「でも、ふたりはある日会えなくなっちゃうの。人間ってすぐ死んじゃうから」
「あ、その話知ってる。水面でうろうろしてた人魚に、昔の私たちの誰かが人間は死んだって教えてあげたのよ。彼女、悲しい顔して海に戻っていったって」
「初めて聞く話だ。その人魚は、それからどうなったんだ」
話を始めた精霊は首を振った。彼女たちは浅い海の記憶は断片的に持っているが、深い海については知らないらしい。
ノックがあり、精霊たちがびくりと肩を震わせる。ルートグーヴァは見取り図を裏返し、ドアを開けた。フィンは口を開きかけて途中で止め、ルートグーヴァの横から室内をのぞいた。
「どうしたんだ」
「窓の辺りで何か光ったような気がしました」
振り返ると、泡沫の精霊たちが身を固くしている。フィンには見えないはずだ。物音さえ立てなければ問題ない。ルートグーヴァはじっとしていろと目配せをして、フィンに向き直った。
「窓ガラスの反射だろう。何か用があったんじゃないのか」
「はい。いっしょにお茶を飲みませんか」
机の上を片付けてから行くと告げ、ルートグーヴァはドアを閉めた。ほっとした様子の精霊たちを窓から外に出す。「お話」から逃げられたので、ルートグーヴァもほっとした。
フィンはキッチンカウンターでマグカップに湯を注いでいた。湯気が眼鏡の隅を曇らせている。まぶたが下りて、再び持ち上がる。フィンのまばたきはゆっくりだ。回数も少ない。人間のオスは、成体であれば一分間に平均二十回まばたきをするらしい。フィンは十三回だった。
「コーヒーじゃないんだな」
「先生が、夜にコーヒーを飲むと眠れなくなるからいけないと言っていました」
ふたりはソファに並んで紅茶が冷めるのを待った。絶好の機会だ。雑談の振りをして宝玉の在処を聞き出せる。しかし、ルートグーヴァは口をつぐんでいた。
一刻の猶予もないのに、この何も起こらない時間が愛おしい。永遠に紅茶が冷めなければいいとすら思う。けれども紅茶は冷め続け、とうとう飲める温度になってしまった。
「ルート」
声をかけておきながら、フィンは紅茶を一口飲んだ。あの、と何か言いかけて、また一口。息を吸って、吐き出さないまま、また一口。
「ルート」
「ん?」
「あの」
「うん」
「あの……」
「うん」
先が続かない。
「ゆっくりでいい」
フィンはうつむき、小さくうなずいた。紅茶が減るたび、隙間を埋めるように時間が降り積もる。音もなく、一定の速度で、まるでマリンスノーのようだ。
「僕には、普通の友だちも、恋人も、できないそうです」
フィンは前置きも息継ぎもなく話し出した。
「先生に、言われたんです。両親は僕を愛しているけれど、僕とは違う生き物で、それは、ハナミノカサゴとリーフィーシードラゴンが、親子じゃないのと同じで、仕方がないそうです」
比喩はよくわからなかったが、先生の見解は正しい。フィンは一般的大多数の人間とは異なっている。血縁関係があったとしても、その差は容易には埋まらないだろう。
「僕を受け入れてくれる人も、僕が受け入れられる人も、とても……とても、少ないそうです」
人間は自分と違うものを許容できない。研究所の人間は、フィンと距離を取ったり排除したりしようとする。彼らはフィンが異質だと知っている。
「でも、世界のどこかには、必ず、僕を受け入れてくれる、僕が受け入れられる相手がいるそうです」
「アンナのような?」
「いいえ。水族館のみんなは違います」
水族館の飼育員たちもフィンとは違う。違うと知っていても、飼育員たちはフィンを理解し受け入れようとしている。恐らく、許容できないのはフィンの方だ。
「僕は、あなたがその相手だと思うんです」
フィンは人差し指でカップの取っ手を一方向に撫でていた。フィンの目は紅茶を突き抜けて、カップの底を見つめている。
「どうして私なんだ」
「客観的根拠はありません。ただ、市場で手をつないだときに、呼吸が楽になりました」
客観的根拠などあるはずがない。重要なのは、フィンがそう信じている点だ。
「先生は、もし、そういう人に出会ったら、勇気を出して、気持ちを伝えなさいと言いました。たとえどんな相手でも、僕がどんな気持ちでも、嘘をついてはいけないそうです」
聞きたくないと思った。動じずにいられる自信がない。きっと宝玉を探しにくくなる。フィンに続きを話させてはいけない。「相手」が自分ではないと否定して、会話を切り上げるべきだ。
反面、知りたいと思っている。フィンが何を考えているのか知りたい。
「あなたが好きです」
フィンはまっすぐにルートグーヴァを見ていた。とてつもない羞恥に、ルートグーヴァは目を逸らす。首の後ろが熱い。こんなにはっきりと口にするなんて大胆すぎる。人間には普通なのか。
クラーケンは好意を言葉で伝えない。わざわざ声にしなくても、触れ合っていれば互いの状態がわかる。クラーケンは接触している時間の長さや密着度合いで愛情を表す。恋人たちは互いに腕を絡め合い、胴に抱きついたまま何時間も過ごす。ごく稀に、触れるだけでは足りないほど愛しているときは言葉にするが、想像だけで恥ずかしい。
フィンはルートグーヴァの反応を待っているようだった。こんなときどうすればいいか、レヴィアタンは教えてくれなかった。何が正解だろう。好きだなんて、言ったことも言われたこともない。
「今の研究が終わっても、ずっといっしょにいてくれますか」
答えは否に決まっている。宝玉を取り戻して、海に帰らなければならない。ずっといっしょにはいられない。いつまでも幸せに暮らせるのはおとぎ話の中だけだ。
喉の奥が締めつけられるように痛い。窒息してしまいそうだ。冷めた紅茶の表面に、天井のモビールが映りこんでいる。色もなく、ゆらゆらと、心もとない。
「ごめんなさい」
ルートグーヴァはフィンに視線を戻した。朝日を受けた海の色の目に、ルートグーヴァが映っている。
「……ごめんなさい」
薄いまぶたがゆっくりと下りて、持ち上がる。海の色は変わらない。ルートグーヴァはカップに張りついていた手を引きはがした。とてもやわらかい生物に対するように、フィンの手の甲に触れる。フィンの手はひんやりとしていた。皮膚のすぐ下に骨がある。静脈が透けている。フィンは二人の手とルートグーヴァの顔を交互に見て、カップから手を離した。
フィンの手を握り、力を込める。触れ合っていても何も伝わらない。人間の体は不便だ。
「ルート」
「相手」が自分ではないと言っても、フィンは信じないだろう。フィンには確信があり、そして、それは間違っていない。
「今夜は、いっしょにいてくれますか」
透き通った小さなエビが古い殻を脱ぐように、フィンは静かに「ずっと」を捨てた。息を潜めてルートグーヴァの反応を待っている。
フィンがいじらしかった。ずっといっしょにはいられないけれど、今夜一晩。一晩だけなら返事ができる。ルートグーヴァはうなずいた。
紅茶を飲み干し、ふたつのカップを並べて流しに置く。フィンの部屋は宝玉を探しに入ったとき以来だ。ふたりでベッドに潜り込み、ぴたりと寄り添う。抱きしめても、フィンは嫌がらなかった。ルートグーヴァは細く長く息を吐き出した。ようやく呼吸ができる。触れるだけでは何もわからないけれど、途方もなく満たされた気分だった。
「フィン、おやすみ」
「おやすみなさい」
宝玉からも、間近に迫った別れからも、ルートグーヴァは目を背けた。朝日が昇るまででいい。この幸福が途切れないよう祈っている。
資料庫に降りる扉の取っ手は真上から降り注ぐ陽光ですっかり熱せられていた。ちゃんと開く。まだ誰も鍵が開いていると気づいていないようだ。もし気づくとしたらフィンだろうが、今はその心配もないだろう。
ここ数日、フィンは何をするにも上の空だ。湯が沸いてケトルの笛が鳴っても聞こえないらしく、今朝もコンロの火はルートグーヴァが止めた。昨日は解剖中にメスで切ったと言って指に絆創膏を貼っていたし、プレパラートを一枚割ってしまったそうだ。ずっと考え事をしているらしい。尋ねてみたが、フィンは何を考えているのか教えてくれなかった。
「言える状態になっていないんです」
ルートグーヴァの顔を見ないでそう言ったきりだ。フィンはフィンのペースでしか生きられない。順序を乱せば立ち止まってしまう。話してくれるまで待つしかない。
雲が流れていく。フィンは水族館に着いただろうか。午後から水族館に行くと言っていたが、誘われなかった。ミアによろしくと言ったら、フィンは小さくうなずいた。
ルートグーヴァはベンチを通り過ぎ、崖下をのぞいた。岩肌に波が寄せている。海は紺碧で、暗礁もなさそうだ。ここから飛び込んで海底に沿ってひたすら潜っていけば、王国に辿り着く。残された猶予はあと二十日ほど。フィンから宝玉の在処を聞き出すべきだとわかっているが、一人で見つけると決めた。フィンに嫌われたくない。たとえ、二度と会えなくても。
海風がため息をさらっていく。ルートグーヴァは一歩、二歩と崖からあとずさった。叱責されているような気がした。
研究室に戻ると、フィンが帰ってきていた。髪とシャツが濡れている。
「どうしたんだ」
「ミアにやられました」
ミアはフィンには水鉄砲を撃たない。卵が原因だろうか。ミアの卵はすべて腐って落ちてしまったと聞いている。気が滅入っていて、八つ当たりをしたのかもしれない。フィンには災難だったが、水鉄砲を撃てるほどミアが元気だとわかって安心した。
「たまたま機嫌が悪かったんだろう」
「いいえ、ミアは怒っていたんです。たぶん、僕が言わないでいると、気づいたんです」
何を、誰に、と尋ねたかったが、ルートグーヴァは我慢した。フィンはまだ言える状態ではないだろう。
フィンはちらりとルートグーヴァを見たが、すぐに視線をそらした。ここのところ、フィンの態度が素っ気なく感じられる。出会ったばかりの頃に戻ってしまったようだ。
「とにかく、髪を拭いた方がいい」
「はい。僕は家に帰ります。鍵をください」
ルートグーヴァは白衣のポケットから鍵を出してフィンに渡した。鍵には、揺らすと音がする銀の玉がついている。玉の響きは二人の手の間で長く尾を引いた。フィンが鍵をズボンのポケットに入れ、音が途切れる。フィンは心なしか速足で研究室を出ていった。
フィンが何を考えているのか知りたい。打ち解けたと思っていたが、相談相手にはなれないのか。ミアもミアだ。フィンの不調は皮膚を通じて伝わっただろうに、どうして追い打ちをかけるような真似をするのだろう。ミアなら、フィンの考え事に見当がつくかもしれない。他者を通じて探りを入れるのは不作法だが、今のままではなんと声をかけていいかわからない。ルートグーヴァは白衣をロッカーにしまい、バス停へ向かった。
西日が水族館の壁に反射し、辺りを焼き尽くそうとしている。裏口では口ひげの男性がウェットスーツを洗っていた。ルートグーヴァはフィンの同僚だと名乗り、失くしものを探しに来たと嘘をついた。
「フィンが家の鍵を落としたらしいんです。ミアに水をかけられたときじゃないかと言うので、代わりに来ました」
「ああ、聞いたよ。痴話喧嘩だろう。しかし困ったな。おれは今手が離せないんだ」
「ミアの水槽の場所はわかります」
「付き添いなしで部外者を入れるのはよくないんだが、鍵は大変だなぁ。手短に頼むよ」
ルートグーヴァは礼を言って水族館に入り、ミアの元へ向かった。近くにあった脚立に登って金網をずらし、隙間を作る。金網の振動が伝わったのか、ミアが擬岩から頭を出した。ルートグーヴァは袖をまくり、冷たい水に手を入れた。すぐにミアの腕が手首に巻きつく。
「ミア、聞きたいことが」
最後まで言う暇は与えられなかった。水鉄砲が顔に直撃する。
「何をするんだ。ミア、話を」
二度、三度と水をかけられ、ルートグーヴァは顔をしかめた。海水は人間の舌には塩辛すぎる。
「フィンに何をしたの」
ミアは皮膚の色を赤黒く変えていた。ぎりぎりと腕を締めつけられ、指先がしびれる。
「あんたのせいでしょ。わかってるんだから」
「落ち着いてくれ。私はただ」
四度目の水鉄砲で、ルートグーヴァは会話の主導権を放棄した。額に張りついた前髪を掻き上げる間に、ミアは水面まで上ってきている。
「フィンが濁っちゃった。あんなに透明できれいだったのに。絶対許さない」
濁ったとはどういう意味だろう。ミアには何が見えているのだろう。
「なんとか言ったら?」
発言権が与えられた。
「フィンは君に何か打ち明けたのか」
「何も」
「フィンはどういう状態なんだ」
「なんで私に聞くわけ。自分で確かめなさいよ」
「言える状態ではないと言われた」
「じゃあ待てば?」
返す言葉もない。ミアの腕がもう二本絡みついてくる。ミアはルートグーヴァの腕を抱きかかえ、吸盤を押し当てた。金色の目がルートグーヴァをにらみつけている。
「なんなの。フィンも、あんたも、悩んで迷ってうじうじして、ほんとイライラする。煮え切らない男って大嫌い」
「なんの話だ」
ミアが腕を離して沈んでいく。追いすがったら五度目の水鉄砲を撃たれた。水の勢いでミアは水槽の底に沈み、擬岩に入ってしまう。名前を呼んでも出てこない。仕方なく、ルートグーヴァは金網と脚立を元の位置に戻した。濡れた床はそのままに、裏口から外へ出る。口ひげの男性はすでにおらず、とろけるような夕日が山の向こうへ沈もうとしていた。
「おかえりなさい。どうしたんですか」
「ミアにやられた」
立場を入れ替え、昼間の会話をくり返す。フィンはすでにシャワーを浴びたようで、パジャマを着てソファで本を読んでいた。
「水族館に行ったんですか」
「気になったんだ」
「ミアは元気だったでしょう。産卵で体力を消耗したようですが、餌を食べたのがよかったんだとアンナが言っていました」
何が気になったのか、フィンは都合よく取り違えてくれた。
ルートグーヴァは浴室へ向かった。浴室は優に二部屋分の広さがある。半分以上が浴槽で占められ、シャワーは隅に追いやられている。浴槽用の蛇口には油性ペンで印がつけられている。浴槽は先生しか使わないので、水と湯の蛇口、どちらをどれだけ開けば適温になるか、フィンは印を見ないとわからないそうだ。
この不思議な浴室は、先生が東の果ての島国で体験したオンセンという施設を模しているらしい。なぜか屋外へ出るためのドアもある。磨りガラスのドアを開けると、外は芝生だ。左手には潜水艇の小屋があり、右は砂浜へ下りる坂に続いている。
ルートグーヴァがシャワーを終えたとき、フィンはまだ本を読んでいた。夕食を終えてからも本を読んでいた。ルートグーヴァが自室に戻るときも、本を読んでいた。
ルートグーヴァは机の上に研究所の見取り図を広げた。丘の資料庫だけが白い。総務部の一角には警備員が常駐しており、申請すれば夜でも鍵を借りられるが、ルートグーヴァの許可証では無理だ。警備員の目をかいくぐって鍵を持ち出し、元の場所に返すのは不可能だろう。別の方法を考えるしかない。
ふいに窓がカタカタと鳴った。外に泡沫の精霊が集まっている。窓を開けると、精霊たちは潮騒といっしょにすべりこんできた。
「聞いたわよ。噴水の子たちにお話をしてあげたんですって?」
「ずるいずるい。私たちにも聞かせてよ」
どうやら文句を言いに来ただけらしい。素直に開けるのではなかった。
「話はしたが、不評だったぞ」
「知ってるわ。話し方が下手くそって言ってたもの」
「ねえ、あの子たちとは別のお話をしてよ。恋のお話がいいわ」
「ハイドラストイエに頼め。実体験が聞ける」
「ダメよ。だって彼の恋の物語はいつも振られて終わるもの。ハッピーエンドがいいの」
「そうそう。二人はいつまでも幸せに暮らしました、で終わるお話じゃなきゃ」
二人はいつまでも幸せに暮らしました。そんな恋、本当にあるのだろうか。
「お前たちは、恋をするのか」
泡沫の精霊は朝日と共に波の間から生まれ、一晩で消える種族だ。生殖の概念はなく、海がある限り滅びない。それぞれが一欠片ずつ、海の記憶を持っている。精霊たちは朝日と共に波間へ還り、海の記憶は新しく生まれる精霊に受け継がれる。
「たまにいるわね、そういう子たち」
「恋をしたら、どうするんだ」
「私が聞いた話だと、恋をした子たちは一晩中並んでおしゃべりして、朝日が昇る間際にふたりでぎゅーって抱き合って、ひとつになって消えたんですって」
「ロマンチック! 素敵!」
「素敵なのか」
「素敵よ!」
「たとえ短い間でも、最後の瞬間まで愛する人と一緒にいるのよ。素敵じゃない」
「いつまでも幸せに暮らしていないぞ」
先ほどの主張と矛盾している。
「それはそれ、これはこれ」
「あんたホントに無粋ねぇ。だから恋人できないのよ」
「ハイドラストイエみたいなことを言わないでくれ」
「でも、いつまでも幸せに暮らすって難しいのかも。ほら、昔人間に恋した人魚いたでしょ?」
「泡になって消えてしまった人魚だろう」
「違う違う。その子よりもっと前。もう一人いたのよ」
「私それ知らない。どんな話」
「千年くらい前にね、人間の漁師と恋人になった人魚がいたの」
漁師が沖合に船を出し、ふたりは逢瀬を重ねた。仲睦まじい恋人たちだったという。
「人間の方が惚れこんでて、普通より二回りも大きな黒い真珠をプレゼントしたのよ」
「人魚に真珠なんてセンスないわ。私たちだって見飽きてるのに」
「大事なのは気持ちよ。き、も、ち。恋人からのプレゼントなんだから、うれしいに決まってるじゃない」
「いいなぁ。私も恋人からプレゼントもらってみたーい」
「でも、ふたりはある日会えなくなっちゃうの。人間ってすぐ死んじゃうから」
「あ、その話知ってる。水面でうろうろしてた人魚に、昔の私たちの誰かが人間は死んだって教えてあげたのよ。彼女、悲しい顔して海に戻っていったって」
「初めて聞く話だ。その人魚は、それからどうなったんだ」
話を始めた精霊は首を振った。彼女たちは浅い海の記憶は断片的に持っているが、深い海については知らないらしい。
ノックがあり、精霊たちがびくりと肩を震わせる。ルートグーヴァは見取り図を裏返し、ドアを開けた。フィンは口を開きかけて途中で止め、ルートグーヴァの横から室内をのぞいた。
「どうしたんだ」
「窓の辺りで何か光ったような気がしました」
振り返ると、泡沫の精霊たちが身を固くしている。フィンには見えないはずだ。物音さえ立てなければ問題ない。ルートグーヴァはじっとしていろと目配せをして、フィンに向き直った。
「窓ガラスの反射だろう。何か用があったんじゃないのか」
「はい。いっしょにお茶を飲みませんか」
机の上を片付けてから行くと告げ、ルートグーヴァはドアを閉めた。ほっとした様子の精霊たちを窓から外に出す。「お話」から逃げられたので、ルートグーヴァもほっとした。
フィンはキッチンカウンターでマグカップに湯を注いでいた。湯気が眼鏡の隅を曇らせている。まぶたが下りて、再び持ち上がる。フィンのまばたきはゆっくりだ。回数も少ない。人間のオスは、成体であれば一分間に平均二十回まばたきをするらしい。フィンは十三回だった。
「コーヒーじゃないんだな」
「先生が、夜にコーヒーを飲むと眠れなくなるからいけないと言っていました」
ふたりはソファに並んで紅茶が冷めるのを待った。絶好の機会だ。雑談の振りをして宝玉の在処を聞き出せる。しかし、ルートグーヴァは口をつぐんでいた。
一刻の猶予もないのに、この何も起こらない時間が愛おしい。永遠に紅茶が冷めなければいいとすら思う。けれども紅茶は冷め続け、とうとう飲める温度になってしまった。
「ルート」
声をかけておきながら、フィンは紅茶を一口飲んだ。あの、と何か言いかけて、また一口。息を吸って、吐き出さないまま、また一口。
「ルート」
「ん?」
「あの」
「うん」
「あの……」
「うん」
先が続かない。
「ゆっくりでいい」
フィンはうつむき、小さくうなずいた。紅茶が減るたび、隙間を埋めるように時間が降り積もる。音もなく、一定の速度で、まるでマリンスノーのようだ。
「僕には、普通の友だちも、恋人も、できないそうです」
フィンは前置きも息継ぎもなく話し出した。
「先生に、言われたんです。両親は僕を愛しているけれど、僕とは違う生き物で、それは、ハナミノカサゴとリーフィーシードラゴンが、親子じゃないのと同じで、仕方がないそうです」
比喩はよくわからなかったが、先生の見解は正しい。フィンは一般的大多数の人間とは異なっている。血縁関係があったとしても、その差は容易には埋まらないだろう。
「僕を受け入れてくれる人も、僕が受け入れられる人も、とても……とても、少ないそうです」
人間は自分と違うものを許容できない。研究所の人間は、フィンと距離を取ったり排除したりしようとする。彼らはフィンが異質だと知っている。
「でも、世界のどこかには、必ず、僕を受け入れてくれる、僕が受け入れられる相手がいるそうです」
「アンナのような?」
「いいえ。水族館のみんなは違います」
水族館の飼育員たちもフィンとは違う。違うと知っていても、飼育員たちはフィンを理解し受け入れようとしている。恐らく、許容できないのはフィンの方だ。
「僕は、あなたがその相手だと思うんです」
フィンは人差し指でカップの取っ手を一方向に撫でていた。フィンの目は紅茶を突き抜けて、カップの底を見つめている。
「どうして私なんだ」
「客観的根拠はありません。ただ、市場で手をつないだときに、呼吸が楽になりました」
客観的根拠などあるはずがない。重要なのは、フィンがそう信じている点だ。
「先生は、もし、そういう人に出会ったら、勇気を出して、気持ちを伝えなさいと言いました。たとえどんな相手でも、僕がどんな気持ちでも、嘘をついてはいけないそうです」
聞きたくないと思った。動じずにいられる自信がない。きっと宝玉を探しにくくなる。フィンに続きを話させてはいけない。「相手」が自分ではないと否定して、会話を切り上げるべきだ。
反面、知りたいと思っている。フィンが何を考えているのか知りたい。
「あなたが好きです」
フィンはまっすぐにルートグーヴァを見ていた。とてつもない羞恥に、ルートグーヴァは目を逸らす。首の後ろが熱い。こんなにはっきりと口にするなんて大胆すぎる。人間には普通なのか。
クラーケンは好意を言葉で伝えない。わざわざ声にしなくても、触れ合っていれば互いの状態がわかる。クラーケンは接触している時間の長さや密着度合いで愛情を表す。恋人たちは互いに腕を絡め合い、胴に抱きついたまま何時間も過ごす。ごく稀に、触れるだけでは足りないほど愛しているときは言葉にするが、想像だけで恥ずかしい。
フィンはルートグーヴァの反応を待っているようだった。こんなときどうすればいいか、レヴィアタンは教えてくれなかった。何が正解だろう。好きだなんて、言ったことも言われたこともない。
「今の研究が終わっても、ずっといっしょにいてくれますか」
答えは否に決まっている。宝玉を取り戻して、海に帰らなければならない。ずっといっしょにはいられない。いつまでも幸せに暮らせるのはおとぎ話の中だけだ。
喉の奥が締めつけられるように痛い。窒息してしまいそうだ。冷めた紅茶の表面に、天井のモビールが映りこんでいる。色もなく、ゆらゆらと、心もとない。
「ごめんなさい」
ルートグーヴァはフィンに視線を戻した。朝日を受けた海の色の目に、ルートグーヴァが映っている。
「……ごめんなさい」
薄いまぶたがゆっくりと下りて、持ち上がる。海の色は変わらない。ルートグーヴァはカップに張りついていた手を引きはがした。とてもやわらかい生物に対するように、フィンの手の甲に触れる。フィンの手はひんやりとしていた。皮膚のすぐ下に骨がある。静脈が透けている。フィンは二人の手とルートグーヴァの顔を交互に見て、カップから手を離した。
フィンの手を握り、力を込める。触れ合っていても何も伝わらない。人間の体は不便だ。
「ルート」
「相手」が自分ではないと言っても、フィンは信じないだろう。フィンには確信があり、そして、それは間違っていない。
「今夜は、いっしょにいてくれますか」
透き通った小さなエビが古い殻を脱ぐように、フィンは静かに「ずっと」を捨てた。息を潜めてルートグーヴァの反応を待っている。
フィンがいじらしかった。ずっといっしょにはいられないけれど、今夜一晩。一晩だけなら返事ができる。ルートグーヴァはうなずいた。
紅茶を飲み干し、ふたつのカップを並べて流しに置く。フィンの部屋は宝玉を探しに入ったとき以来だ。ふたりでベッドに潜り込み、ぴたりと寄り添う。抱きしめても、フィンは嫌がらなかった。ルートグーヴァは細く長く息を吐き出した。ようやく呼吸ができる。触れるだけでは何もわからないけれど、途方もなく満たされた気分だった。
「フィン、おやすみ」
「おやすみなさい」
宝玉からも、間近に迫った別れからも、ルートグーヴァは目を背けた。朝日が昇るまででいい。この幸福が途切れないよう祈っている。
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