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第12章
昨日と同じ日がずっと続いていくように思えた。月だけが形を変え、現実を照らす。研究所からの帰り道、ルートグーヴァはフィンと並んで歩きながら、均一に塗りこめたような満月が昇る様を眺めていた。家路をたどる人々が行き交う。潮騒。生ぬるい海風。どこからかただよう料理の匂い。最後の夜とは思えないほどありふれた風景だ。
道すがら、フィンはぽつぽつとチョウザメの話をした。なかなかいいデータが集まっているらしい。先生に報告すべき成果がまた一つ増えたと言う。ルートグーヴァは黙ってうなずいた。
「遅ーい! いつまで待たせるの!」
食事を終えて自室に戻ると、泡沫の精霊たちが窓を叩いたり揺すったりしていた。
「お肌が乾燥しちゃうじゃない!」
「レディを待たせていいと思ってるわけ?」
「悪かった。怒らないでくれ」
窓を開けてやると、十数人の精霊が飛び込んできた。ルートグーヴァの衣類や見取り図などを手分けして運び出していく。
「他に回収するものがあったら机の上にまとめておいてちょうだい」
「窓を完全に閉めちゃダメよ。私たち入れなくなっちゃう」
「わかった。もう一つ頼みたい。先生からの手紙を隠しているだろう。明日になったらポストに入れてくれ」
「はぁい。カモメのお嬢さんに伝えるわ」
処分してもただの郵便事故として片付けられるだろうが、フィンは先生の手紙を心待ちにしている。少しは慰めになるかもしれない。
「ねえ、他に何かないの。お世話になりましたとか、ありがとうとか、髪が素敵だとか」
「世話になった。ありがとう。髪が素敵だ」
「ああ、もう、最低。でも許しちゃうわ」
精霊の一人がルートグーヴァの頬にキスをした。雨粒が当たったような感触だ。我も我もとキスをされ、最後には頬が湿っていた。月が暗い海面に光の帯を作っている。ゆっくりと、正確に昇っていく。ルートグーヴァの時間を削り取る。もう少しだけ、いっしょにいたかった。
ノックがあって、フィンが顔をのぞかせた。
「シャワーが空きました」
砂色の髪の先から雫が落ちて、パジャマの肩を濡らしている。冷たくないのだろうか。ルートグーヴァはフィンからバスタオルを受け取り、濡れた肩にかけた。フィンはルートグーヴァの行動の意味がわかっていないようだ。不思議そうにタオルを見やる。
「フィン」
「はい」
ルートグーヴァは息を吸って、止めた。
「今夜、いっしょにいてもいいか」
ルートグーヴァから問うのは初めてだ。フィンはかすかに笑ってうなずいた。
シャワーを浴びるのも、歯を磨くのも、先生の書斎に入るのも今日が最後だ。ルートグーヴァは真ん中の本棚の上から三段目の左から十七冊目に、持ち出していた本を戻した。ルートグーヴァがいなくなっても、フィンはここで青いランプを灯すのだろう。ひとりで、静かに、クラゲのように。
昨日と同じようにフィンの部屋を訪れる。フィンが収斂進化に関する本を読んでいたのも昨日と同じだ。ルートグーヴァはフィンが書棚に本を戻し、窓辺に眼鏡を置くのを待った。昨日と同じようにフィンを抱きしめる。骨っぽい体だ。フィンの髪はまだ湿っている。石鹸の匂いがした。ルートグーヴァは息を深く吸い、吐いた。
離れたくない。明日も、今日と同じ日をフィンと過ごしたい。叶わないと知りながら、願わずにはいられなかった。触れても何もわからない。伝わらない。それでもよかった。ただ、いっしょにいたかった。
徐々に部屋の輪郭がはっきり見えるようになった。色鮮やかなハナゴイもスズメダイもいない。海藻も育たない、深く冷たい海の底だ。フィンは命を終えたクジラのように、じっとルートグーヴァの腕の中にいる。何百年も前からこうして抱き合っているような気がした。
ルートグーヴァはフィンのパジャマの裾をめくり、素肌に触れた。脊椎を一つずつ首の方へ辿っていく。フィンはひくりと肩を震わせたが、ルートグーヴァから離れようとはしなかった。
「抱きたい」
ルートグーヴァはフィンの背に回した腕に力を込めた。フィンが小さくうなずく。カーテンの隙間から差し込むわずかな月明かりが、青い瞳の中にさざ波を作っている。ルートグーヴァはフィンに口づけた。レモンの味はしないが、不思議と甘く感じられた。口づけは次第に深くなる。フィンが鼻にかかった声をもらした。シャツの袖を握られる。
「……嫌か?」
フィンは首を振った。とろりとした表情でルートグーヴァを見上げている。
「フィン、痛かったり苦しかったり、そうでなくとも嫌だと思ったらすぐに言ってくれ」
本を読んで一通りはわかったが、うまくできるかは別の話だ。
「嫌じゃないです」
「今じゃない。この後の話だ」
「はい。嫌じゃないです」
フィンは同じトーンでくり返す。海のようだ。敵わない。離れられない。
「フィン、誰かとセックスをした経験は?」
「ないです。ルートは、あるんですか」
「私もない」
ルートグーヴァはフィンのまぶたに唇を落とし、パジャマのボタンをひとつずつ外していった。鎖骨が浮いている。胸も腹も薄くて心もとない。首筋に唇を寄せ、脈をたどるように肌をなぞる。唇に触れる体温とやわらかさが心地いい。ふいに、フィンが身をよじった。
「どうした」
「くすぐったいです」
フィンは困った顔をしている。どこに触れても、どこを舐めてもフィンは身を震わせた。親指の腹で乳首をこねると、フィンは一層困った顔をした。刺激を与えているうちに、ぷくんと膨らんでくる。
「ここもくすぐったいか」
フィンは目を伏せて首を振った。口元にこぶしを当て、声を殺している。ルートグーヴァはフィンの手首を引いた。指を絡めてシーツに縫い止める。フィンは束の間視線をさまよわせたが、抵抗しなかった。
「んっ……ぁ……」
舌先で乳首を転がすと、舌の上にこりこりとした触感が残った。乳輪ごと吸い上げ、唇で食んで軽く引っぱる。腕の中で細い体が跳ね、つないだ手をぎゅっと握られた。薄い胸に手を置くと、肋骨の硬さといっしょに鼓動が伝わる。
「ひゃんっ」
へそを舐めたらフィンの声が裏返った。よほどくすぐったかったらしい。手でへそを隠してしまう。
「わかった。もうしない」
パジャマのズボンを抜き取ると、フィンの股間は少し膨らんでいた。フィンの体はいつもひんやりとしているが、性器だけは布越しにも熱かった。人間のオスは性器に刺激を受けると快感を得るらしい。てのひらで何度か撫で、軽く力を入れてみる。手首をつかまれ、ルートグーヴァは手を止めた。
「痛かったか」
フィンは首を振り、手を離した。ルートグーヴァはフィンの下着を脱がせ、性器に直接触れた。力加減がわからない。握り込み、上下に擦ってみる。先端がふにふにとやわらかい。指の腹で撫でてみる。フィンは道に迷ったような表情をしていた。視線が定まらず、シーツを握ったり離したりしている。
「フィン、教えてくれ。どうしたら気持ちいい」
「わ、わか、な……っ、ごめんなさい」
わからないと言われると困ってしまう。ルートグーヴァはフィン以上に人間の体がわからない。しばし考え、ルートグーヴァはシャツを脱いだ。ズボンと下着も脱ぐ。
「ルート?」
フィンが不安そうな声を出す。行き場をなくした手は寄る辺を求めてシーツを撫でている。ルートグーヴァはフィンの隣に横になった。抱き寄せ、頬にキスをする。
「少し待ってくれ」
ルートグーヴァは自身の性器に触れた。妙な心地だ。クラーケンの場合、性器は腕の一本なので、自慰はしないし基本的に触らない。力を入れすぎると痛いし、入れなさすぎても物足りない。初めは戸惑ったが、加減がわかると早かった。手の中のものが形を変える。下腹部がぞくぞくする。これが性的快感なのだろう。体は快楽を認識しているが、初めての感覚に思考が遅れがちになる。
自分がよかったのと同じ強さでフィンのものを扱く。フィンはルートグーヴァの肩口に額を当て、くぐもった声をもらした。
「気持ちいいか」
フィンは小刻みに何度もうなずいた。吐息が肌をくすぐる。ルートグーヴァは次第に丸まっていくフィンの背を撫でた。薄っすらと汗ばんだ肌がてのひらに吸いつく。
「……っあ、あ」
フィンはルートグーヴァの胸に顔を伏せ、されるがままに愛撫を受け入れていた。質量を増した性器から蜜がこぼれ、ルートグーヴァの手を濡らす。フィンはルートグーヴァの腕をつかみ、爪を立てた。膝を曲げて震えている。しゃくり上げるように息をするから、苦しいのではないかと心配になる。
「んっ、ん……!」
びくん、とフィンの体が跳ね、生温かいものが手にかかった。これが人間の精か。嗅いだことのない匂いがする。舐めてみたら驚くほどまずくて、ルートグーヴァは眉根を寄せた。フィンが信じられないという顔をしているので、普通は口に入れないのだろう。
濡れた手を奥へ這わせる。小さなすぼまりを指の腹で撫でると、フィンは体を強張らせた。額にキスをする。まぶたにも、頬にも。触れても何もわからないのに、触れていないと不安だった。
「あ……ッ!」
後孔に指先を潜り込ませると、フィンは息を詰めた。抵抗感はあるが、精液のぬめりで奥まで入っていく。熱くて、狭い。指一本でこんな状態なのに、性器が入るとは思えない。
乱れた呼吸を落ち着かせようと、ルートグーヴァはフィンの背を撫で続けた。指を抜き、もう一度差し込む。内壁に沿うように同じ動きをくり返している内に、フィンの反応が違う箇所に気がついた。円を描くようにその辺りを撫でてみる。軽く押しながら揺すってやると、フィンがすがりついてきた。
「痛かったか」
フィンは首を振った。髪が肌に当たってくすぐったい。
「嫌か」
また、首を振る。ルートグーヴァはフィンを驚かせないよう、ゆっくりと指を動かした。フィンは甘い声を途切れ途切れにこぼし、ルートグーヴァの指をきゅうきゅう締めつけた。
「気持ちいいか」
フィンは首を縦にも横にも振らなかったが、イイときの反応はもうわかる。耳朶を食み、耳殻に沿って舌を這わせる。名前を呼んで、逃げようとする腰を抱き寄せる。ルートグーヴァは指を二本に増やし、中を押し広げた。指を軽く開いてぐるりと掻き回す。潤んだ秘肉が絡みついてくる。指を引き抜くと、惜しむように吸いつかれた。
「ああ……ぁッ、ルート……っ」
行為自体に意味はない。同性では次の世代は残せない。仮にフィンが異性であったとしても、ルートグーヴァの肉体は仮初のものだ。生殖の観点からは、やはり無意味だろう。
フィンは夜を吸って透明な目でルートグーヴァを見つめている。
記憶が欲しかった。
ひとつでも多く、褪せない瞬間が欲しい。
ルートグーヴァはフィンの膝を抱えて腰を引き寄せた。後孔に先端を当てると、フィンの体が強張る。怖くないと教えるように内股を撫で、徐々に腰を沈めていく。フィンが喉を反らして息を呑む。きつい。そこは思った以上に狭く、ルートグーヴァを拒んだ。張った部分が入らない。苦しそうなフィンを見たくなくて、目をつむる。
「すまない」
ルートグーヴァはフィンの腰をつかみ、半ば強引に先端を埋め込んだ。内壁を割り開き、昂ぶりを突き入れる。刺さるような快感が背筋を抜けた。
「ひっ、ぃ、ァ……ッ!」
フィンが引き攣れた声を上げた。ルートグーヴァは奥歯を噛み、衝動を抑えた。フィンの荒い呼吸が聞こえる。痙攣するように震えている。今この瞬間だけは、触れても何もわからないのが救いだった。なんとかすべてを収めて目を開けると、フィンは泣いていた。瞬きもせず、見開いた目から涙がこぼれ落ちる。薄い胸が忙しなく上下している。
ぞく、と脊椎の終わりが疼いた。食べたいと思った。くちばしで肉を引き裂いて、骨ごと飲みこんでしまいたい。凶暴な感情に引きずられるように、性器が大きくなる。フィンの目から新しい雫が流れた。
「フィン」
次の言葉が出ない。飢餓感はひどくなるばかりだ。つらいか、とは聞けなかった。つらいに決まっている。痛いくらいに締めつけられ、ルートグーヴァも苦しかった。性器は萎えず、快楽に苛まれる。人間の体は厄介だ。
「ルート」
細い声。焦点の合わない目がルートグーヴァを探している。
「……やめないで」
舌ですくい取った涙は希釈した海の味がした。
ルートグーヴァは性器を半ばまで抜き、再び埋め込んだ。フィンの呼吸は浅いままだ。性器も萎えてしまっている。じっくりと、なじませるように同じ動作をくり返す。ふいにきつく絞られ、ルートグーヴァは呻いた。フィンは戸惑いの表情で視線をさまよわせている。指で刺激したのと同じところだとわかっていないのだろう。意識して当てると、フィンは腰を跳ねさせた。中がうねる。ひくひくと、ルートグーヴァの性器に絡みつく。
「あぁっ、あ……あんっ」
吐く息が熱い。痺れるような感覚が背骨の終わりにわだかまっている。何か別の、ただ凶暴なだけの生物になり果てたような気分だった。濡れた音がする。フィンは揺さぶられるまま甘い声を上げた。時折、中がきゅうっと締まる。引き込まれそうだ。
屈むと結合が深くなり、フィンが甘い声を上げた。反らされた無防備な喉にキスをする。食い破ってしまいたいという衝動に目を伏せる。眦にもこめかみにも唇を落とす。薄く開いた唇をふさぎ、吐息さえ奪うように口づけた。舌を絡ませ合う間も、腰が揺れてしまう。奥まで全部埋め込んで、これ以上ないほど深くつながっているのに、まだ足りない。自分はこんなに強欲だっただろうか。人間の体がそうさせるのだろうか。
フィンの腰も揺れている。腹にフィンの性器が当たっていた。ぬるぬると、すべる。熱い。唇を離し、惜しくなってもう一度口づける。
「ルート」
「ん?」
「ルート」
フィンの腕が背に回り、抱きしめられた。胸が密着し、フィンの鼓動が感じられる。フィンにもルートグーヴァの鼓動が伝わっているだろうか。きっと二人ともいつもより速いのだろう。
抜こうとすると、粘膜が追いすがってくる。先端を絞られて気持ちいい。幾度となく触れるだけのキスを交わす。
「んっ、ん……はぁ……あっ」
ルートグーヴァが突き上げるたび、フィンは声をこぼして身悶えた。体の中に快楽が積み重なっていく。波にもまれる鳥の羽のように翻弄される。秘部が締まる間隔が短くなっていた。ルートグーヴァはしがみついてくるフィンを抱きとめた。フィンは痙攣するように震えながら、ルートグーヴァの背に爪を立てた。
「ルート……!」
ルートグーヴァに答える余裕はなかった。欲望に任せて最奥を穿つ。とろけた秘肉に吸いつかれ、頭の芯がぼうっとする。これまでになく長く締めつけられたと思ったら、フィンの体が跳ねた。腹に生温かい飛沫がかかる。せり上がる波のような衝動を感じたのも束の間、ルートグーヴァはフィンの中に精を放っていた。止まらない。腰が揺れる。本能的な興奮が引いても息が乱れていた。疲労感がのしかかって脱力しそうになったが、下にフィンがいる。上体を起こそうとすると、背に回った腕に抱き寄せられた。頬と頬が触れる。
「フィン」
名前を呼ぶと、かすれた声で返事があった。何度口づけても濡れてしまう目元に、飽かず口づける。愛おしいと思った。それだけだ。
「愛してる」
道すがら、フィンはぽつぽつとチョウザメの話をした。なかなかいいデータが集まっているらしい。先生に報告すべき成果がまた一つ増えたと言う。ルートグーヴァは黙ってうなずいた。
「遅ーい! いつまで待たせるの!」
食事を終えて自室に戻ると、泡沫の精霊たちが窓を叩いたり揺すったりしていた。
「お肌が乾燥しちゃうじゃない!」
「レディを待たせていいと思ってるわけ?」
「悪かった。怒らないでくれ」
窓を開けてやると、十数人の精霊が飛び込んできた。ルートグーヴァの衣類や見取り図などを手分けして運び出していく。
「他に回収するものがあったら机の上にまとめておいてちょうだい」
「窓を完全に閉めちゃダメよ。私たち入れなくなっちゃう」
「わかった。もう一つ頼みたい。先生からの手紙を隠しているだろう。明日になったらポストに入れてくれ」
「はぁい。カモメのお嬢さんに伝えるわ」
処分してもただの郵便事故として片付けられるだろうが、フィンは先生の手紙を心待ちにしている。少しは慰めになるかもしれない。
「ねえ、他に何かないの。お世話になりましたとか、ありがとうとか、髪が素敵だとか」
「世話になった。ありがとう。髪が素敵だ」
「ああ、もう、最低。でも許しちゃうわ」
精霊の一人がルートグーヴァの頬にキスをした。雨粒が当たったような感触だ。我も我もとキスをされ、最後には頬が湿っていた。月が暗い海面に光の帯を作っている。ゆっくりと、正確に昇っていく。ルートグーヴァの時間を削り取る。もう少しだけ、いっしょにいたかった。
ノックがあって、フィンが顔をのぞかせた。
「シャワーが空きました」
砂色の髪の先から雫が落ちて、パジャマの肩を濡らしている。冷たくないのだろうか。ルートグーヴァはフィンからバスタオルを受け取り、濡れた肩にかけた。フィンはルートグーヴァの行動の意味がわかっていないようだ。不思議そうにタオルを見やる。
「フィン」
「はい」
ルートグーヴァは息を吸って、止めた。
「今夜、いっしょにいてもいいか」
ルートグーヴァから問うのは初めてだ。フィンはかすかに笑ってうなずいた。
シャワーを浴びるのも、歯を磨くのも、先生の書斎に入るのも今日が最後だ。ルートグーヴァは真ん中の本棚の上から三段目の左から十七冊目に、持ち出していた本を戻した。ルートグーヴァがいなくなっても、フィンはここで青いランプを灯すのだろう。ひとりで、静かに、クラゲのように。
昨日と同じようにフィンの部屋を訪れる。フィンが収斂進化に関する本を読んでいたのも昨日と同じだ。ルートグーヴァはフィンが書棚に本を戻し、窓辺に眼鏡を置くのを待った。昨日と同じようにフィンを抱きしめる。骨っぽい体だ。フィンの髪はまだ湿っている。石鹸の匂いがした。ルートグーヴァは息を深く吸い、吐いた。
離れたくない。明日も、今日と同じ日をフィンと過ごしたい。叶わないと知りながら、願わずにはいられなかった。触れても何もわからない。伝わらない。それでもよかった。ただ、いっしょにいたかった。
徐々に部屋の輪郭がはっきり見えるようになった。色鮮やかなハナゴイもスズメダイもいない。海藻も育たない、深く冷たい海の底だ。フィンは命を終えたクジラのように、じっとルートグーヴァの腕の中にいる。何百年も前からこうして抱き合っているような気がした。
ルートグーヴァはフィンのパジャマの裾をめくり、素肌に触れた。脊椎を一つずつ首の方へ辿っていく。フィンはひくりと肩を震わせたが、ルートグーヴァから離れようとはしなかった。
「抱きたい」
ルートグーヴァはフィンの背に回した腕に力を込めた。フィンが小さくうなずく。カーテンの隙間から差し込むわずかな月明かりが、青い瞳の中にさざ波を作っている。ルートグーヴァはフィンに口づけた。レモンの味はしないが、不思議と甘く感じられた。口づけは次第に深くなる。フィンが鼻にかかった声をもらした。シャツの袖を握られる。
「……嫌か?」
フィンは首を振った。とろりとした表情でルートグーヴァを見上げている。
「フィン、痛かったり苦しかったり、そうでなくとも嫌だと思ったらすぐに言ってくれ」
本を読んで一通りはわかったが、うまくできるかは別の話だ。
「嫌じゃないです」
「今じゃない。この後の話だ」
「はい。嫌じゃないです」
フィンは同じトーンでくり返す。海のようだ。敵わない。離れられない。
「フィン、誰かとセックスをした経験は?」
「ないです。ルートは、あるんですか」
「私もない」
ルートグーヴァはフィンのまぶたに唇を落とし、パジャマのボタンをひとつずつ外していった。鎖骨が浮いている。胸も腹も薄くて心もとない。首筋に唇を寄せ、脈をたどるように肌をなぞる。唇に触れる体温とやわらかさが心地いい。ふいに、フィンが身をよじった。
「どうした」
「くすぐったいです」
フィンは困った顔をしている。どこに触れても、どこを舐めてもフィンは身を震わせた。親指の腹で乳首をこねると、フィンは一層困った顔をした。刺激を与えているうちに、ぷくんと膨らんでくる。
「ここもくすぐったいか」
フィンは目を伏せて首を振った。口元にこぶしを当て、声を殺している。ルートグーヴァはフィンの手首を引いた。指を絡めてシーツに縫い止める。フィンは束の間視線をさまよわせたが、抵抗しなかった。
「んっ……ぁ……」
舌先で乳首を転がすと、舌の上にこりこりとした触感が残った。乳輪ごと吸い上げ、唇で食んで軽く引っぱる。腕の中で細い体が跳ね、つないだ手をぎゅっと握られた。薄い胸に手を置くと、肋骨の硬さといっしょに鼓動が伝わる。
「ひゃんっ」
へそを舐めたらフィンの声が裏返った。よほどくすぐったかったらしい。手でへそを隠してしまう。
「わかった。もうしない」
パジャマのズボンを抜き取ると、フィンの股間は少し膨らんでいた。フィンの体はいつもひんやりとしているが、性器だけは布越しにも熱かった。人間のオスは性器に刺激を受けると快感を得るらしい。てのひらで何度か撫で、軽く力を入れてみる。手首をつかまれ、ルートグーヴァは手を止めた。
「痛かったか」
フィンは首を振り、手を離した。ルートグーヴァはフィンの下着を脱がせ、性器に直接触れた。力加減がわからない。握り込み、上下に擦ってみる。先端がふにふにとやわらかい。指の腹で撫でてみる。フィンは道に迷ったような表情をしていた。視線が定まらず、シーツを握ったり離したりしている。
「フィン、教えてくれ。どうしたら気持ちいい」
「わ、わか、な……っ、ごめんなさい」
わからないと言われると困ってしまう。ルートグーヴァはフィン以上に人間の体がわからない。しばし考え、ルートグーヴァはシャツを脱いだ。ズボンと下着も脱ぐ。
「ルート?」
フィンが不安そうな声を出す。行き場をなくした手は寄る辺を求めてシーツを撫でている。ルートグーヴァはフィンの隣に横になった。抱き寄せ、頬にキスをする。
「少し待ってくれ」
ルートグーヴァは自身の性器に触れた。妙な心地だ。クラーケンの場合、性器は腕の一本なので、自慰はしないし基本的に触らない。力を入れすぎると痛いし、入れなさすぎても物足りない。初めは戸惑ったが、加減がわかると早かった。手の中のものが形を変える。下腹部がぞくぞくする。これが性的快感なのだろう。体は快楽を認識しているが、初めての感覚に思考が遅れがちになる。
自分がよかったのと同じ強さでフィンのものを扱く。フィンはルートグーヴァの肩口に額を当て、くぐもった声をもらした。
「気持ちいいか」
フィンは小刻みに何度もうなずいた。吐息が肌をくすぐる。ルートグーヴァは次第に丸まっていくフィンの背を撫でた。薄っすらと汗ばんだ肌がてのひらに吸いつく。
「……っあ、あ」
フィンはルートグーヴァの胸に顔を伏せ、されるがままに愛撫を受け入れていた。質量を増した性器から蜜がこぼれ、ルートグーヴァの手を濡らす。フィンはルートグーヴァの腕をつかみ、爪を立てた。膝を曲げて震えている。しゃくり上げるように息をするから、苦しいのではないかと心配になる。
「んっ、ん……!」
びくん、とフィンの体が跳ね、生温かいものが手にかかった。これが人間の精か。嗅いだことのない匂いがする。舐めてみたら驚くほどまずくて、ルートグーヴァは眉根を寄せた。フィンが信じられないという顔をしているので、普通は口に入れないのだろう。
濡れた手を奥へ這わせる。小さなすぼまりを指の腹で撫でると、フィンは体を強張らせた。額にキスをする。まぶたにも、頬にも。触れても何もわからないのに、触れていないと不安だった。
「あ……ッ!」
後孔に指先を潜り込ませると、フィンは息を詰めた。抵抗感はあるが、精液のぬめりで奥まで入っていく。熱くて、狭い。指一本でこんな状態なのに、性器が入るとは思えない。
乱れた呼吸を落ち着かせようと、ルートグーヴァはフィンの背を撫で続けた。指を抜き、もう一度差し込む。内壁に沿うように同じ動きをくり返している内に、フィンの反応が違う箇所に気がついた。円を描くようにその辺りを撫でてみる。軽く押しながら揺すってやると、フィンがすがりついてきた。
「痛かったか」
フィンは首を振った。髪が肌に当たってくすぐったい。
「嫌か」
また、首を振る。ルートグーヴァはフィンを驚かせないよう、ゆっくりと指を動かした。フィンは甘い声を途切れ途切れにこぼし、ルートグーヴァの指をきゅうきゅう締めつけた。
「気持ちいいか」
フィンは首を縦にも横にも振らなかったが、イイときの反応はもうわかる。耳朶を食み、耳殻に沿って舌を這わせる。名前を呼んで、逃げようとする腰を抱き寄せる。ルートグーヴァは指を二本に増やし、中を押し広げた。指を軽く開いてぐるりと掻き回す。潤んだ秘肉が絡みついてくる。指を引き抜くと、惜しむように吸いつかれた。
「ああ……ぁッ、ルート……っ」
行為自体に意味はない。同性では次の世代は残せない。仮にフィンが異性であったとしても、ルートグーヴァの肉体は仮初のものだ。生殖の観点からは、やはり無意味だろう。
フィンは夜を吸って透明な目でルートグーヴァを見つめている。
記憶が欲しかった。
ひとつでも多く、褪せない瞬間が欲しい。
ルートグーヴァはフィンの膝を抱えて腰を引き寄せた。後孔に先端を当てると、フィンの体が強張る。怖くないと教えるように内股を撫で、徐々に腰を沈めていく。フィンが喉を反らして息を呑む。きつい。そこは思った以上に狭く、ルートグーヴァを拒んだ。張った部分が入らない。苦しそうなフィンを見たくなくて、目をつむる。
「すまない」
ルートグーヴァはフィンの腰をつかみ、半ば強引に先端を埋め込んだ。内壁を割り開き、昂ぶりを突き入れる。刺さるような快感が背筋を抜けた。
「ひっ、ぃ、ァ……ッ!」
フィンが引き攣れた声を上げた。ルートグーヴァは奥歯を噛み、衝動を抑えた。フィンの荒い呼吸が聞こえる。痙攣するように震えている。今この瞬間だけは、触れても何もわからないのが救いだった。なんとかすべてを収めて目を開けると、フィンは泣いていた。瞬きもせず、見開いた目から涙がこぼれ落ちる。薄い胸が忙しなく上下している。
ぞく、と脊椎の終わりが疼いた。食べたいと思った。くちばしで肉を引き裂いて、骨ごと飲みこんでしまいたい。凶暴な感情に引きずられるように、性器が大きくなる。フィンの目から新しい雫が流れた。
「フィン」
次の言葉が出ない。飢餓感はひどくなるばかりだ。つらいか、とは聞けなかった。つらいに決まっている。痛いくらいに締めつけられ、ルートグーヴァも苦しかった。性器は萎えず、快楽に苛まれる。人間の体は厄介だ。
「ルート」
細い声。焦点の合わない目がルートグーヴァを探している。
「……やめないで」
舌ですくい取った涙は希釈した海の味がした。
ルートグーヴァは性器を半ばまで抜き、再び埋め込んだ。フィンの呼吸は浅いままだ。性器も萎えてしまっている。じっくりと、なじませるように同じ動作をくり返す。ふいにきつく絞られ、ルートグーヴァは呻いた。フィンは戸惑いの表情で視線をさまよわせている。指で刺激したのと同じところだとわかっていないのだろう。意識して当てると、フィンは腰を跳ねさせた。中がうねる。ひくひくと、ルートグーヴァの性器に絡みつく。
「あぁっ、あ……あんっ」
吐く息が熱い。痺れるような感覚が背骨の終わりにわだかまっている。何か別の、ただ凶暴なだけの生物になり果てたような気分だった。濡れた音がする。フィンは揺さぶられるまま甘い声を上げた。時折、中がきゅうっと締まる。引き込まれそうだ。
屈むと結合が深くなり、フィンが甘い声を上げた。反らされた無防備な喉にキスをする。食い破ってしまいたいという衝動に目を伏せる。眦にもこめかみにも唇を落とす。薄く開いた唇をふさぎ、吐息さえ奪うように口づけた。舌を絡ませ合う間も、腰が揺れてしまう。奥まで全部埋め込んで、これ以上ないほど深くつながっているのに、まだ足りない。自分はこんなに強欲だっただろうか。人間の体がそうさせるのだろうか。
フィンの腰も揺れている。腹にフィンの性器が当たっていた。ぬるぬると、すべる。熱い。唇を離し、惜しくなってもう一度口づける。
「ルート」
「ん?」
「ルート」
フィンの腕が背に回り、抱きしめられた。胸が密着し、フィンの鼓動が感じられる。フィンにもルートグーヴァの鼓動が伝わっているだろうか。きっと二人ともいつもより速いのだろう。
抜こうとすると、粘膜が追いすがってくる。先端を絞られて気持ちいい。幾度となく触れるだけのキスを交わす。
「んっ、ん……はぁ……あっ」
ルートグーヴァが突き上げるたび、フィンは声をこぼして身悶えた。体の中に快楽が積み重なっていく。波にもまれる鳥の羽のように翻弄される。秘部が締まる間隔が短くなっていた。ルートグーヴァはしがみついてくるフィンを抱きとめた。フィンは痙攣するように震えながら、ルートグーヴァの背に爪を立てた。
「ルート……!」
ルートグーヴァに答える余裕はなかった。欲望に任せて最奥を穿つ。とろけた秘肉に吸いつかれ、頭の芯がぼうっとする。これまでになく長く締めつけられたと思ったら、フィンの体が跳ねた。腹に生温かい飛沫がかかる。せり上がる波のような衝動を感じたのも束の間、ルートグーヴァはフィンの中に精を放っていた。止まらない。腰が揺れる。本能的な興奮が引いても息が乱れていた。疲労感がのしかかって脱力しそうになったが、下にフィンがいる。上体を起こそうとすると、背に回った腕に抱き寄せられた。頬と頬が触れる。
「フィン」
名前を呼ぶと、かすれた声で返事があった。何度口づけても濡れてしまう目元に、飽かず口づける。愛おしいと思った。それだけだ。
「愛してる」
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「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
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第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
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成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
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いつの間にか整えられていく環境。
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番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
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閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
上司、快楽に沈むまで
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冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
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ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
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その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
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雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。