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第五十六話 【幸運の女神の笑顔】の秘密
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【幸運の女神の笑顔】という宝石箱にはもう一つの顔がある。
それは正当な所持者がこの宝石箱を持ちオルゴールを奏でる時に、オルゴールが鳴っている間『王族と同じ権利を持てる』
曲の長さは約7分、その間は『王族になれるのだ』
これは現王太后と王太后の父親である時の王の感謝の気持ちが込められている。
当時は他に王位継承権利者がいなかったことから解るかも知れないが...あの時マリアーヌが時間を稼がなければ『王家の血筋』は絶えていた。
その為『【騎士】の権限ですら足りない』そう考えた為に後からつけられた権利だ。
つまりこの宝石箱を使うには
マリアーヌの血筋を継ぐ者がこの宝石箱を使った時にのみ有効なのだ。
例え、国や教会の所有であっても『女神が与えた聖剣は勇者しか使えない』のに似ている。
この宝石箱の所有はドレーク伯爵家だが『マリアーヌの血を引くマリアしかこの宝石箱は使えない』
だが、この権利をマリアーヌや、その娘は今迄使った事は無い。
そしてこの秘密についてはマリアーヌからその娘、そしてマリアにのみ伝えられていて王族とその関係者しかそれは知らない。
今初めて、この権利は使われた。
自分の力ではどうすることも出来ないマリアは【この権利】に頼った。
そしてマリアは...今、王太后さまに会いに来ている。
【幸運の女神の笑顔】の正当所有者は【騎士】の権利も『所持している間は行使できる』その一つに王族に気軽に会える権利がある。
マリアがこの事を知ったのは、【幸運の女神の笑顔】を受け継いだ時に一緒に受け継いだ権利書によるものだ。
今回初めてこの権利をマリア行使した。
【回想】
「お初にお目に掛かります王太后さま」
「貴方がマリアなのね、どことなくマリアーヌに似ているわね」
「有難うございます」
「貴方が宝石箱を持って現れたと言う事は、頼みごとがある、そういう事ね」
「緊張しなくて良いわ...【幸運の女神の笑顔】の音色を聞かせてくださいな、そうそう頼み事も言って下さいな」
私は宝石箱のオルゴールを奏でた。
『この瞬間からマリアの扱いは貴族の娘から【王族】の扱いとなった』
「実は、私にお譲り頂きたい物が幾つかあります、それから幾つかのお願いがございます」
『【王族】になったからこそ一介の貴族が王太后に対してお願いが出来たのだ』
「そうね、譲って欲しい物3つは無償であげるわ、但し王では無いので一番下になるわね、お願い3つも聞きましょう」
『譲って欲しいとマリアの頼んだ物は『爵位』この国では王族であれば爵位は与える事は可能』
『但し、あくまで『王でなく王族』なので一番下の爵位に限定される...つまり騎士爵しか与える事は出来ないそれ以上は王族でも王の許可なくして与える事は出来ない。』
『願いについては』
一つ目は『自分の裁き』に王族に立ち会って貰う事
これは今回の件は普通では考えられない事なので王族の承認が必要とマリアは考えた。
二つ目は【幸運の女神の笑顔】に関わった者の行方についての調査...場合によってはその身柄の確保
三つ目は場合によっては『国外追放』の取り消し。
マリアとしては自分が望んだ結末にはこれだけ必要だと考えていた。
※ちなみに貰える爵位の数の3つは直前まで解らなかった、爵位が1つならフリードだけ、二つならフリードとシャルロッテにと考えていた。
他にも令嬢が多くいた場合は『シャルロッテ』を中心に迎え入れる様な事を考えたいたのかも知れない。
「有難うございます」
「良いのよ、ですがこれからはもう少し王宮にも顔を出して、貴方は親友の孫娘なのよ? プライベートではお婆ちゃんと思って貰っても良い位なのよ?」
「解りました、出来る限りその様にさせて頂きます」
「うん、本当に良い子ね」
私は暫く王太后さまと時間を過ごしてから『家』に帰ってきた。
それから暫くすると王宮から手紙が届いた。
王太后さまにお願いしていた一つのお願いを聞いてくれた内容だった。
『この内容は【幸運の女神の笑顔】に関わった者の行方についての調査...場合によってはその身柄の確保』
そしてもう一つのお願いを聞いて貰える日時も書かれていた。
『この内容は『自分の裁き』に王族に立ち会って貰う日時』
これで準備は整ったわ...後は『どうでも良かった自分』なりの決着を付けないとね。
マリアは手を握りしめた。
【王太后.王SIDE】
「母上、マリアはマリアーヌ様に似て良き子でしたね」
「そうね、まるで若き日のマリアーヌを見ている様だわ...貴方も王になったのですからおいそれと『様』をつけてはいけませんよ」
「何をおっしゃいます、あの方は私にとっては母も同然『様』をつけるのは当たり前の事です」
「まぁ、マリアーヌが居なければ、私も貴方も居なかった、そう考えれば『その通りですね』」
「はい母上」
「しかし、まさか【幸運の女神の笑顔】を使うなど思いませんでしたね」
「そうですな...あれは諸刃の剣、正しき心で使わないのなら『王』として殺さなければなりません」
「そうですね、それがマリアーヌがあの権利を貰った時に望んだ条件ですものね」
「あの齢で使うののには驚かせられました」
「正直いえば『正しく』使った事にホッとしているわ」
「そうで無ければ、例え恩人の孫娘とて殺さねばなりませんでした」
「まぁ良いわ、私はあの子を凄く気に入ったのよ、本当にマリアーヌそっくり」
「母上が気に入ったなら問題はありませんね」
「ええっ」
マリアーヌは【幸運の女神の笑顔】のこの特別な権利を最初受け取らなかった。
受取る条件として、この宝石箱を悪い事に使った場合は『願いを叶えた後殺す事』その条件を自ら望み、それで初めて受け取った。
【王族で居られる時間はオルゴールがメロディーを奏でている時間のみ】音が切れたら、その権利は消える。
つまり、願い事やその身を守れるのはメロディーが奏でられている間のみ...それを過ぎたら元に戻る。
メロディーが途切れてゼンマイを巻くまでの時間は、その権力は行使されない。
その時にもし悪事につかった者は...許される事は無い。
それは正当な所持者がこの宝石箱を持ちオルゴールを奏でる時に、オルゴールが鳴っている間『王族と同じ権利を持てる』
曲の長さは約7分、その間は『王族になれるのだ』
これは現王太后と王太后の父親である時の王の感謝の気持ちが込められている。
当時は他に王位継承権利者がいなかったことから解るかも知れないが...あの時マリアーヌが時間を稼がなければ『王家の血筋』は絶えていた。
その為『【騎士】の権限ですら足りない』そう考えた為に後からつけられた権利だ。
つまりこの宝石箱を使うには
マリアーヌの血筋を継ぐ者がこの宝石箱を使った時にのみ有効なのだ。
例え、国や教会の所有であっても『女神が与えた聖剣は勇者しか使えない』のに似ている。
この宝石箱の所有はドレーク伯爵家だが『マリアーヌの血を引くマリアしかこの宝石箱は使えない』
だが、この権利をマリアーヌや、その娘は今迄使った事は無い。
そしてこの秘密についてはマリアーヌからその娘、そしてマリアにのみ伝えられていて王族とその関係者しかそれは知らない。
今初めて、この権利は使われた。
自分の力ではどうすることも出来ないマリアは【この権利】に頼った。
そしてマリアは...今、王太后さまに会いに来ている。
【幸運の女神の笑顔】の正当所有者は【騎士】の権利も『所持している間は行使できる』その一つに王族に気軽に会える権利がある。
マリアがこの事を知ったのは、【幸運の女神の笑顔】を受け継いだ時に一緒に受け継いだ権利書によるものだ。
今回初めてこの権利をマリア行使した。
【回想】
「お初にお目に掛かります王太后さま」
「貴方がマリアなのね、どことなくマリアーヌに似ているわね」
「有難うございます」
「貴方が宝石箱を持って現れたと言う事は、頼みごとがある、そういう事ね」
「緊張しなくて良いわ...【幸運の女神の笑顔】の音色を聞かせてくださいな、そうそう頼み事も言って下さいな」
私は宝石箱のオルゴールを奏でた。
『この瞬間からマリアの扱いは貴族の娘から【王族】の扱いとなった』
「実は、私にお譲り頂きたい物が幾つかあります、それから幾つかのお願いがございます」
『【王族】になったからこそ一介の貴族が王太后に対してお願いが出来たのだ』
「そうね、譲って欲しい物3つは無償であげるわ、但し王では無いので一番下になるわね、お願い3つも聞きましょう」
『譲って欲しいとマリアの頼んだ物は『爵位』この国では王族であれば爵位は与える事は可能』
『但し、あくまで『王でなく王族』なので一番下の爵位に限定される...つまり騎士爵しか与える事は出来ないそれ以上は王族でも王の許可なくして与える事は出来ない。』
『願いについては』
一つ目は『自分の裁き』に王族に立ち会って貰う事
これは今回の件は普通では考えられない事なので王族の承認が必要とマリアは考えた。
二つ目は【幸運の女神の笑顔】に関わった者の行方についての調査...場合によってはその身柄の確保
三つ目は場合によっては『国外追放』の取り消し。
マリアとしては自分が望んだ結末にはこれだけ必要だと考えていた。
※ちなみに貰える爵位の数の3つは直前まで解らなかった、爵位が1つならフリードだけ、二つならフリードとシャルロッテにと考えていた。
他にも令嬢が多くいた場合は『シャルロッテ』を中心に迎え入れる様な事を考えたいたのかも知れない。
「有難うございます」
「良いのよ、ですがこれからはもう少し王宮にも顔を出して、貴方は親友の孫娘なのよ? プライベートではお婆ちゃんと思って貰っても良い位なのよ?」
「解りました、出来る限りその様にさせて頂きます」
「うん、本当に良い子ね」
私は暫く王太后さまと時間を過ごしてから『家』に帰ってきた。
それから暫くすると王宮から手紙が届いた。
王太后さまにお願いしていた一つのお願いを聞いてくれた内容だった。
『この内容は【幸運の女神の笑顔】に関わった者の行方についての調査...場合によってはその身柄の確保』
そしてもう一つのお願いを聞いて貰える日時も書かれていた。
『この内容は『自分の裁き』に王族に立ち会って貰う日時』
これで準備は整ったわ...後は『どうでも良かった自分』なりの決着を付けないとね。
マリアは手を握りしめた。
【王太后.王SIDE】
「母上、マリアはマリアーヌ様に似て良き子でしたね」
「そうね、まるで若き日のマリアーヌを見ている様だわ...貴方も王になったのですからおいそれと『様』をつけてはいけませんよ」
「何をおっしゃいます、あの方は私にとっては母も同然『様』をつけるのは当たり前の事です」
「まぁ、マリアーヌが居なければ、私も貴方も居なかった、そう考えれば『その通りですね』」
「はい母上」
「しかし、まさか【幸運の女神の笑顔】を使うなど思いませんでしたね」
「そうですな...あれは諸刃の剣、正しき心で使わないのなら『王』として殺さなければなりません」
「そうですね、それがマリアーヌがあの権利を貰った時に望んだ条件ですものね」
「あの齢で使うののには驚かせられました」
「正直いえば『正しく』使った事にホッとしているわ」
「そうで無ければ、例え恩人の孫娘とて殺さねばなりませんでした」
「まぁ良いわ、私はあの子を凄く気に入ったのよ、本当にマリアーヌそっくり」
「母上が気に入ったなら問題はありませんね」
「ええっ」
マリアーヌは【幸運の女神の笑顔】のこの特別な権利を最初受け取らなかった。
受取る条件として、この宝石箱を悪い事に使った場合は『願いを叶えた後殺す事』その条件を自ら望み、それで初めて受け取った。
【王族で居られる時間はオルゴールがメロディーを奏でている時間のみ】音が切れたら、その権利は消える。
つまり、願い事やその身を守れるのはメロディーが奏でられている間のみ...それを過ぎたら元に戻る。
メロディーが途切れてゼンマイを巻くまでの時間は、その権力は行使されない。
その時にもし悪事につかった者は...許される事は無い。
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