『体の中にナニカが居る』 1人だけ安全な異世界転移

石のやっさん

文字の大きさ
11 / 76

第11話 追い出される。

しおりを挟む
その後、俺と月子だけが別室に呼ばれライア王女と話をする事になった。

「さてお二人ですが、適性が無い事がはっきりしました…残念ながら貴方達は魔王軍と戦う力がありません、数日のちこの城を出て行って貰う事になります」

まぁ、お針子と冒険者じゃ戦力にはならない…

「それは解りますが、先程生活の保障をして下さると聞きましたが」

何だかこの王女様目つきが悪いな。

「ハァ? 貴方達は戦力外です、召喚された方を優遇するのは魔王軍と戦って下さるからです。戦う事も出来ない貴方達を優遇する意味はありません…とはいえこのまま追い出すのは無情ですね、一か月の生活費と国からの身分証明書を特別に与えます。今日は特別に晩餐への参加を認め、城へも泊めてあげますわ」

「姫様のご配慮に感謝するんだな役立たず」

余りにも馬鹿にしている。

月子なんて今にも泣きだしそうだ。

美瑠子と和也位しか俺たちの友達は居ない。

「なぁ、月子、今更晩餐に出ても仕方ないよな」

「そうだね、なんで私お針子なんだろう」

「まぁ、僕も冒険者だ、聞こえは良いが役立たずらしい…ライア姫様、晩餐は辞退します、友人に挨拶だけしたら出て行きますので、生活費と身分証明書、あとすいませんが外で食べるのでお弁当でも下さい」

和也と美瑠子に会えれば充分だ、特に勇者である大樹達からは嫌われているから、この方が良いだろう。

「貴方達がそれで良いなら構いません…もう会う事も無いでしょう、それでは」

「ふん、役立たずがお金や身分保証が貰えるのだ、ありがたく思うのだな」

本当に腹が立つな。

まぁ何を言っても負け惜しみだし、向こうは権力者だ。

「ありがとうございます」

それだけ伝えた。

◆◆◆

「そんな事があったのか? 酷いな」

「幾らなんでもあんまりだよ…二人とも大丈夫なの」

「それでね、美瑠子ちゃん、ちょっと二人で話しがあるの」

「良いわよ」

女同士、これで最後だ、きっと話したい事があるのだろう。

「それじゃ俺は和也と二人話すさ」

◆◆美瑠子と月子◆◆

「美瑠子ちゃん…これでお別れだね、私どうなっちゃうのかな? 折角、犬神の呪いから解き放たれたのに…」

「そうね、あの女神きっと貴方が元犬神憑きだったからこんな事、したのね…本当に慈悲もないわね」

「確かに神様からしたら汚らわしいのかも…」

「そんなのは呼び出した相手の勝手だよ」

「うん、だけど私は理人くんに出会わなければきっともう死んでいたから…此処で死んでも元は取れたのかな」

「月子、そんな事言わないの、貴方が死んだら私は悲しいわ」

「ありがとう…だけど私より理人くんが心配だよ…美瑠子ちゃん、理人くんの中に『ナニカ』は居ないんでしょう」

「ジョブやスキルのせいか、今、霊視が出来なくなっちゃったみたいなんだ…多分一時的な物だと思う、だけど幾ら『ナニカ』でも女神には勝てないと思うよ」

「だけど理人くんのナニカは『犬神』すら勝てなかったし、美瑠子ちゃんのおばさん宜保数子ですら払えなかった『牛首村』の呪いすら払った、じゃなくて逃げ出したんでしょう」

「ええっ数子おばさん曰く、平将門の霊なんて雑魚に思える存在とは聞いたわ…だけど世界を管理する程の女神には流石に勝てると思えないわ」

「そうだよね…私は良いの、だけど理人くんが…」

「犬神憑きだったせいか『ナニカ』を怖がらずに傍にいる位だもんね…好きなんでしょう」

「うん…だって命の恩人だもん」

「まぁ心配なのは解るけど…好きな子と二人きりの生活、それを楽しむのね」

「…うん、そうね、そうする」

理人くんと二人…今はそれを楽しむしかないよね。

◆◆和也と理人◆◆

「まぁ理人頑張れよ」
「ああ頑張るさ」

「月子ちゃん体が弱いから、まぁ養ってやれよ、夫婦みたいな者だろう」

「何言っているんだ? 養う気はあるが『夫婦』そんなの月子が嫌がるよ」

相変わらずの朴念仁だな。

お前が誰かから告白されるだけで…泣きそうな顔をするのに…

本当に鈍感だな…良い奴だけど。

「まぁ気が付いて無いなら良いよ! ただ異世界に二人きりなんだ、助けてやるんだぞ」

「解っている、当たり前だ」

◆◆◆

最後は4人で再会の約束をし、俺と月子は城を出て行った。

頑張るしかない…うつむく月子を見た瞬間俺は、そう決意した。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
 2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。  死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。  命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。  自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

処理中です...