『体の中にナニカが居る』 1人だけ安全な異世界転移

石のやっさん

文字の大きさ
12 / 76

第12話 飛び出した先で

しおりを挟む
「理人くん、これからどうしようか?」

「そうだな、まずは腹ごしらいしようか?」

「そうだね」

俺たちは貰ってきた弁当を広げた。

意地悪されて貧相な物を渡されるのではないかと思っていたが、そんな事はなく割と豪華だ。

恐らくは夜の晩餐会のメニューから幾つかの料理を抜いて作ってくれたのだろう、まぁ美味い事は美味い。

「私達これからどうなっちゃうのかな?」

料理を食べながら月子がポツリと言い出した。

不安でしょうがないのが良くわかる。

「あのさぁ、こう考えたら良いんじゃないかな?『能力が無いから魔族と戦わないで済んだ』そう思えば気が楽にならない?」

「理人くん…」

「物語では勇者が必ず勝つけど、現実じゃ解らない…可哀そうだけど、同級生のうちかなりの人数が死ぬと思うよ。映画のモンスターみたいな奴と戦うんだからな」

「そうだね…」

「俺たちは追い出されたから『魔族と戦う義務』は無い。そう考えたら逆についている…そうも考えられないかな?」

恐らくかなり過酷な戦いの筈だ、確かに勝てば名誉も手に入るが、負けたり使い物にならなくなれば『容赦なく切り捨てられる』に違いない。

こんな異世界で『年金も保険も期待できない』

実際に俺たちは『追い出された』

怪我をして追い出されるより五体満足で追い出された方がまだ良い。

「だけど、それじゃ皆が心配だよ」

「そうだね、だけど皆の心配より今は自分達の心配をしよう、これを食べたら、城下町迄急ごう」

「うん、そうだね」

急いでお弁当を食べると再び歩き出した。

『何だか遠巻きに視線を感じるけど気のせいだよな…怖がらせるといけないから月子には内緒にして置こう…気のせいじゃ無ければ襲ってくる筈だが、襲ってこないのだから…うん本当に勘違いだ』

◆◆◆
「ゴレムの街へようこそ! おい、お前達武器も持たずに大丈夫か?」

「そんなに危ないのですか?」

「お前達城の方から来たんだよな? まぁ大した奴じゃないがゴブリン位は出るぜ、流石にナイフも無しで街から外に出るのは無謀だぞ」

「理人くん」

「ああっ」

彼奴らやってくれる。

追い出した時点で俺たちなんてどうでも良い、そういう事かよ。

「どうした、それじゃ通行証か冒険者証を見せてくれ」

「あの、これで大丈夫ですか?」

「ああっ王家からの身分証明書か、大丈夫だ、そうかお前達、異世界人で城を追い出された口か…強く生きろよ」

何でだろうか?

凄く同情された気がする。

◆◆◆

しかし、王も姫様も酷い事をするな…城からこの街の道にはゴブリンやオークが出るんだぞ。

それなのに武器も渡さず追い出すんだからな。

同じことされたら大体は襲われて死ぬぞ。

出くわさなかったとはあの二人余程の強運だ。

◆◆◆

「オイ」

「アレハナンダ…」

「ワタシハ、アンナソンザイシラナイ…マゾクサマカ?」

「キングサマヨリ、コワイ…ナ」

「ワケガ、ワカラナイカラ…テヲダスノハヤメヨウ」

「ミナイフリ、ソレガブナンダ」

私は部下と一緒に二人を見ていた。

男は殺して、女は苗床…男は兎も角、女を連れ帰ればキングも喜ぶだろう…だが暫く見ていると…男が不気味な存在に見えてきた。

人に擬態した魔族様…いや邪神様か…解らない、だが怖い存在なのだけは解った…ナイトの私では敵わないし、部下たちもその怖さだけは解ったようだ…触らぬ魔族様に祟りなし…

放っておこう…
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
 2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。  死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。  命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。  自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

処理中です...