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第12話 飛び出した先で
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「理人くん、これからどうしようか?」
「そうだな、まずは腹ごしらいしようか?」
「そうだね」
俺たちは貰ってきた弁当を広げた。
意地悪されて貧相な物を渡されるのではないかと思っていたが、そんな事はなく割と豪華だ。
恐らくは夜の晩餐会のメニューから幾つかの料理を抜いて作ってくれたのだろう、まぁ美味い事は美味い。
「私達これからどうなっちゃうのかな?」
料理を食べながら月子がポツリと言い出した。
不安でしょうがないのが良くわかる。
「あのさぁ、こう考えたら良いんじゃないかな?『能力が無いから魔族と戦わないで済んだ』そう思えば気が楽にならない?」
「理人くん…」
「物語では勇者が必ず勝つけど、現実じゃ解らない…可哀そうだけど、同級生のうちかなりの人数が死ぬと思うよ。映画のモンスターみたいな奴と戦うんだからな」
「そうだね…」
「俺たちは追い出されたから『魔族と戦う義務』は無い。そう考えたら逆についている…そうも考えられないかな?」
恐らくかなり過酷な戦いの筈だ、確かに勝てば名誉も手に入るが、負けたり使い物にならなくなれば『容赦なく切り捨てられる』に違いない。
こんな異世界で『年金も保険も期待できない』
実際に俺たちは『追い出された』
怪我をして追い出されるより五体満足で追い出された方がまだ良い。
「だけど、それじゃ皆が心配だよ」
「そうだね、だけど皆の心配より今は自分達の心配をしよう、これを食べたら、城下町迄急ごう」
「うん、そうだね」
急いでお弁当を食べると再び歩き出した。
『何だか遠巻きに視線を感じるけど気のせいだよな…怖がらせるといけないから月子には内緒にして置こう…気のせいじゃ無ければ襲ってくる筈だが、襲ってこないのだから…うん本当に勘違いだ』
◆◆◆
「ゴレムの街へようこそ! おい、お前達武器も持たずに大丈夫か?」
「そんなに危ないのですか?」
「お前達城の方から来たんだよな? まぁ大した奴じゃないがゴブリン位は出るぜ、流石にナイフも無しで街から外に出るのは無謀だぞ」
「理人くん」
「ああっ」
彼奴らやってくれる。
追い出した時点で俺たちなんてどうでも良い、そういう事かよ。
「どうした、それじゃ通行証か冒険者証を見せてくれ」
「あの、これで大丈夫ですか?」
「ああっ王家からの身分証明書か、大丈夫だ、そうかお前達、異世界人で城を追い出された口か…強く生きろよ」
何でだろうか?
凄く同情された気がする。
◆◆◆
しかし、王も姫様も酷い事をするな…城からこの街の道にはゴブリンやオークが出るんだぞ。
それなのに武器も渡さず追い出すんだからな。
同じことされたら大体は襲われて死ぬぞ。
出くわさなかったとはあの二人余程の強運だ。
◆◆◆
「オイ」
「アレハナンダ…」
「ワタシハ、アンナソンザイシラナイ…マゾクサマカ?」
「キングサマヨリ、コワイ…ナ」
「ワケガ、ワカラナイカラ…テヲダスノハヤメヨウ」
「ミナイフリ、ソレガブナンダ」
私は部下と一緒に二人を見ていた。
男は殺して、女は苗床…男は兎も角、女を連れ帰ればキングも喜ぶだろう…だが暫く見ていると…男が不気味な存在に見えてきた。
人に擬態した魔族様…いや邪神様か…解らない、だが怖い存在なのだけは解った…ナイトの私では敵わないし、部下たちもその怖さだけは解ったようだ…触らぬ魔族様に祟りなし…
放っておこう…
「そうだな、まずは腹ごしらいしようか?」
「そうだね」
俺たちは貰ってきた弁当を広げた。
意地悪されて貧相な物を渡されるのではないかと思っていたが、そんな事はなく割と豪華だ。
恐らくは夜の晩餐会のメニューから幾つかの料理を抜いて作ってくれたのだろう、まぁ美味い事は美味い。
「私達これからどうなっちゃうのかな?」
料理を食べながら月子がポツリと言い出した。
不安でしょうがないのが良くわかる。
「あのさぁ、こう考えたら良いんじゃないかな?『能力が無いから魔族と戦わないで済んだ』そう思えば気が楽にならない?」
「理人くん…」
「物語では勇者が必ず勝つけど、現実じゃ解らない…可哀そうだけど、同級生のうちかなりの人数が死ぬと思うよ。映画のモンスターみたいな奴と戦うんだからな」
「そうだね…」
「俺たちは追い出されたから『魔族と戦う義務』は無い。そう考えたら逆についている…そうも考えられないかな?」
恐らくかなり過酷な戦いの筈だ、確かに勝てば名誉も手に入るが、負けたり使い物にならなくなれば『容赦なく切り捨てられる』に違いない。
こんな異世界で『年金も保険も期待できない』
実際に俺たちは『追い出された』
怪我をして追い出されるより五体満足で追い出された方がまだ良い。
「だけど、それじゃ皆が心配だよ」
「そうだね、だけど皆の心配より今は自分達の心配をしよう、これを食べたら、城下町迄急ごう」
「うん、そうだね」
急いでお弁当を食べると再び歩き出した。
『何だか遠巻きに視線を感じるけど気のせいだよな…怖がらせるといけないから月子には内緒にして置こう…気のせいじゃ無ければ襲ってくる筈だが、襲ってこないのだから…うん本当に勘違いだ』
◆◆◆
「ゴレムの街へようこそ! おい、お前達武器も持たずに大丈夫か?」
「そんなに危ないのですか?」
「お前達城の方から来たんだよな? まぁ大した奴じゃないがゴブリン位は出るぜ、流石にナイフも無しで街から外に出るのは無謀だぞ」
「理人くん」
「ああっ」
彼奴らやってくれる。
追い出した時点で俺たちなんてどうでも良い、そういう事かよ。
「どうした、それじゃ通行証か冒険者証を見せてくれ」
「あの、これで大丈夫ですか?」
「ああっ王家からの身分証明書か、大丈夫だ、そうかお前達、異世界人で城を追い出された口か…強く生きろよ」
何でだろうか?
凄く同情された気がする。
◆◆◆
しかし、王も姫様も酷い事をするな…城からこの街の道にはゴブリンやオークが出るんだぞ。
それなのに武器も渡さず追い出すんだからな。
同じことされたら大体は襲われて死ぬぞ。
出くわさなかったとはあの二人余程の強運だ。
◆◆◆
「オイ」
「アレハナンダ…」
「ワタシハ、アンナソンザイシラナイ…マゾクサマカ?」
「キングサマヨリ、コワイ…ナ」
「ワケガ、ワカラナイカラ…テヲダスノハヤメヨウ」
「ミナイフリ、ソレガブナンダ」
私は部下と一緒に二人を見ていた。
男は殺して、女は苗床…男は兎も角、女を連れ帰ればキングも喜ぶだろう…だが暫く見ていると…男が不気味な存在に見えてきた。
人に擬態した魔族様…いや邪神様か…解らない、だが怖い存在なのだけは解った…ナイトの私では敵わないし、部下たちもその怖さだけは解ったようだ…触らぬ魔族様に祟りなし…
放っておこう…
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