『体の中にナニカが居る』 1人だけ安全な異世界転移

石のやっさん

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第13話 冒険者ギルドにて

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あの王女やってくれるよ。

本当に運が良かった。

もし、途中でゴブリンやオークに出くわして居たら、俺は殺され、月子は地獄の生活になった可能性がある。

もしかしたら俺が感じた視線は遠くからこちらを見ていた魔物かも知れない。

俺たちが貰ったお金はそれぞれ金貨3枚。

お城で聞いた話では金貨1枚約10万円。

二人して金貨6枚、約60万だ。

騙された…此処から必要な装備を揃えたり生活に必要な道具を揃えたら、あまりお金が残らない気がする。

「どうしようか? 理人くん」

「そうだな、武器屋でも見てみるか? 多分街の外を出歩くにはナイフ位は必要らしいからな」

「うん、そうだよね」

二人して武器屋に入った。

やはり危惧した通りだった。

昔は日本でも刃物は高額だった。

戦うような刃物は、日本で言うなら刀だ高額じゃない訳ないじゃないか。

「理人くん…これ買えないよ」

見た感じ、戦いに使える様な感じの武器は金貨5枚はする。

これを買ったらもう生活は出来ない。

「駆け出しの冒険者かい? 武器は命を預ける物だ高いのは当たり前だ、田舎から出て来たなら働きながら金を貯めるといいぞ…二人なら金貨10枚を目標に貯めな」

全然足りないな。


駄目だ。

「そうですね、金を貯めたらまた来ます」

「そうだな、だが冒険者目指すなら、これだけは買って置いた方が良い」

小さなナイフ2本に袋?

「それは一体なんですか?」

「街の外に出るなら、身を守る最低線のナイフは必要だぞ! これでも刺せばゴブリン位なら逃げる…まぁ複数、もしくはオークに出会ったらおしまいだが、それでも持つべきだ。あと素材を入れる為には袋は必要だ」

俺たちは異世界人…運が良い。

俺たちには『アイテム収納』のスキルがある。

だから袋は要らない。

「おじさん、袋は要らないから、そのナイフ2本で幾ら?」

「ああっ、これは冒険者組合から援助が出ているから2本で銀貨4枚で良いぞ」

1本銀貨2枚=2万円位か。

刃渡り30センチのナイフが2万円…これは仕方ないな

「それじゃナイフ2本下さい」

「あいよ」

武器屋を出た後、街を少し見てみたが『物価が高い』

一か月なんて到底このお金じゃ生活なんて出来ないな…

はやく働かないと生活が出来なくなる。

『騙された』そんな気が凄く強くなった。

「理人くん、なんだか騙されたみたいだね」

「ああっ、これじゃ10日が精々だな、すぐに冒険者ギルドに行こう」

「すぐに働ける目途を立てないと大変だものね」

良く考えたら『家賃』が必要だし、生活に必要な物を揃えるなら全然足らないじゃないか。


◆◆冒険者ギルドにて◆◆◆

見た感じは酒場が併設されていて、いかにも荒くれ者が集う場所...そんな感じに見えるな。

「理人くん、大丈夫なのかな? 嫌われてお酒を頭から掛けられたりしないかな」

流石に小説や漫画みたいにそんな事はない…無いとよいな。

「大丈夫だよ」

そう言いながら不安そうな顔の月子の手を強く握った。

考えても仕方ない。

私達は意を決してカウンターへと向かった。

「初めて見る方ですね!今日はご依頼ですか?」

綺麗なお姉さん、耳が頭にあるお姉さんがそう聞いてきた。

流石は異世界…獣人だ。

確かに武器は持っていないから『冒険者になりたい』人間には見えないかも知れないな。

「登録を頼みたいのですが、お願い出来ますか? 王城からの身元保証書類もあります」

「はい、登録ですね、その身分証明書は冒険者の登録では使う必要はありませんよ。こちらの用紙にご記入お願いします。文字は書けますか?」

翻訳の影響なのか、何故かこの世界の文字が書ける様な気がする。

「はい大丈夫です」

どういう意味か何故か理解でき、ひらめいた文字をそのまま書いた。

同じように月子も書いている。

「これで宜しいでしょうか?」

俺たちは 名前とジョブしか書いていない。

実際になにが出来るのか、自分達も解らない。

仕方ないだろう。

「構いませんよ、冒険者ギルドは来るものは拒まず。 訳ありの方でも犯罪者で無い限りどなたでもOKです、ですが『冒険者』に『お針子』ですか…充分気をつけて下さいね」

「「はい」」

ちなみに、どういう仕組みか解らないが犯罪歴があると紙が赤くなり、ギルマスと面接になるらしいわ。

軽い犯罪なら、なれるらしいから、かなり敷居は低いのかも知れないわね。

「それじゃ、これで登録しますね」

「「ありがとうございます!」」

「但し、冒険者は、自己責任の厳しい世界だという事は頭に置いて下さいね」

「「解りました」」

「それではご説明させて頂きます」


説明内容は、
冒険者の階級は 上からS級、A級、B級、C級、D級、E級、F級にわかれている。

上に行くのは難しく、B級まで上がれば一流と言われている。

殆どの冒険者が、D級まででそれ以上は少数。

級を上げる方法は依頼をこなすか、大きな功績を上げるしか方法はない。

B級以上になるとテストがあるそうだ。

ギルドは冒険者同士の揉め事には関わらない。

もし、揉めてしまったら自分で解決する事。

素材の買取はお金だけでなくポイントも付くので率先してやる方が良いらしいわ。

死んでしまった冒険者のプレートを見つけて持ってくれば、そのプレートに応じたお金が貰える。

そんな感じだった。

「「解りました」」

「はい、これがF級冒険者のプレートです、再発行にはお金が掛かりますので大切にお持ちください、またプレートが身分証明書を兼ねます」

なんだ、これなら貰った身分証明は必要ないじゃないか…


まぁ、今考えても仕方がないな。

ギルドとは関係ないしな。

「「ありがとうございます」」

「仲が良さそうですが、パーティの申告もされますか?」

「お願いします」

「ぜひお願いします!」

「仲が良いのですね、それでは名前はどうしますか?」

どうした物かな…

「月子、なにか希望はある?」

「特にないけど、二人の名前にちなんだ物が良いな」

難しいな、これで良いか?

「『月の理解者』でどうかな?」

意味は特にないけど…月子と理人から考えたらただ浮かんだだけだ。

「うん、良いね、それにしよう」

「それじゃ『月の理解者』でお願いします」

「解りました『月の理解者』ですね…はい登録しました。これで全部の手続きは終わりました」

お礼を言い立ち去ろうとすると受付嬢が話し掛けてきた。

「冒険者は実績が全てです、実績があれば上に昇り詰められます、頑張って下さい」

「「はい」」

月子が居るから野宿は不味いな、安い宿の相談も必要だ。

とりあえず、お金もあるし、今日は遅いから、明日から色々頑張るか。

その為にはとりあえず宿について教えて貰わないと。

「この辺りで安く泊まれる宿はありますか?」

「それなら、当ギルドの仮部屋は如何ですか? 1日2食付いて銅貨3枚、これは地方から出て来た初心者冒険者の支援だからかなりお得ですよ...但し最長で20日間まで、依頼を2日間で1回は受けて貰えなわないと出て行ってもらう条件です!」

何だか凄く親切な気がします。

「「お願いします」」

「場所はすぐ裏です。食事はここの酒場で冒険者カードを出せば貰えます。便利でしょう」

「「本当に便利ですね」」

「あくまで支援ですので」

「「ありがとうございました」」

俺たちは、酒場で早速、食事を貰いに行った。

見た感じは給食みたいだ。

パンにミルクの様な物、何かの焼肉、スープがついている。

味は調味料の少ない給食みたいだ。

月子も黙って食べているから、多分同じ感想じゃないかな。

それを平らげると2人して部屋に早速行ってみた。

あらかじめ部屋番を教わり、鍵を貰っていたので部屋に入った

部屋の広さは狭く、ベットとテーブルだけで一杯一杯だ、ベットには毛布が2枚ある。

狭いけど、屋根があって暖かい毛布もある。

銅貨3枚、二人で銅貨6枚じゃ文句は言えないな。

「待てよ…二人で1部屋なのか、不味いよな、ちょっとギルド迄行ってくる」

「理人くん、私達パーティだから1部屋なんじゃないかな? これから先野営とかでも一緒に過ごすんだから…慣れる意味でこれで良いんじゃない?」

仲が良いとはいえ男女一緒で良いのか?

「月子はそれで良いのか?」

「うん、理人くんならね…信頼しているから」

「そうか、月子が良いなら…良いや」

お互いが別々の毛布を被り一緒のベッドで寝た。

月子は声を殺して泣いていた。
「うっうっううっ」

こんな異世界で放り出されたらそうなるだろう…

だが、何故だ…本当なら月子みたいに不安になる筈だ。

俺はどうしてか解らないが不安にならない。

月子の手が俺の方に差し出された。

口に出すのは無粋だな。

そっと俺は差し出された月子の手を握った。

此処は20日間で出ないといけない、それまでに真面な宿屋に泊まり生活が出来るようにしないとな…

まぁ明日から頑張る、それしか無いな。


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