14 / 76
第14話 初めての仕事
しおりを挟む
次の日から俺は仕事に出る事にした。
「理人くん、本当に良いの?」
「ああっ、パーティならどちらかが2日間に1回依頼を受ければ良いから、俺が頑張ってみるよ、月子は暫くゆっくりすれば良いよ」
「だけど、私も頑張るよ」
「大丈夫だから、また体を壊すと大変だからね昔は凄く病弱だったんでしょう? とりあえず今日はゆっくり休んでて、今後については今夜にでも話そう」
「理人くんがそこ迄言うなら…うん、甘えさせて貰おうかな」
「それが良いよ…それじゃ行ってきます」
「行ってらっしゃい」
俺と会った時、月子は凄く体の調子が悪かった。
昔はもっと酷く、寝たきりだった時期もあったそうだ。
俺や美瑠子と仲良くなってから、随分と体は良くなっていった。
最初は良く気を失っていたが、途中からは健康になり普通になっていった。
医学の進歩は凄いな…本当にそう思う。
だがこの世界は中世に近い『もし体調を崩したら』そう考えたら、怖い物がある…恐らくは前ほどの医療技術は期待できない。
まぁ、その代りポーションとか謎の物はあるけど、月子の病気に効くかは不明だから、無理はさせない…
そう思っている。
◆◆◆
「理人さん、早速お仕事ですね、どちらにしますか?」
「どちらにするかって…どういう事でしょうか?」
まるで仕事が決まっているみたいだ。
「理人さんはまだ冒険者として新人です、ですので受付の方で実力を見させて頂きます。これは無駄に冒険者に犠牲を出さない為の処置ですご理解下さい」
そういう事か…これはありがたいな。
「解りました」
「今日は初めてのお仕事なので定番の薬草採取かゴブリンの討伐をお受け下さい、どちらも失敗したときのペナルティはありませんからご安心下さい! 薬草採取の場合は初めてなので特別に無料で薬草図鑑を御貸し致します」
碌な武器が無いから…此処は薬草採取の一択だな。
「それじゃ薬草採取で」
「はい、それじゃ頑張って下さい! あと、この世界は理人さんが居た世界より危ない世界です…魔物を見たら逃げる事、それを忘れてはいけませんよ、絶対に周りに気を使いながら、採取する事を心がけて下さいね」
確かに日本での山菜採りと危なさは比較にならないだろうな。
「解りました」
受付のお姉さんに見送られ、俺はギルドを後にした。
《今日は仕事にならない筈です…ですが頑張って下さいね》
◆◆◆
しかし、近場には余り生えていない物なんだな。
見つけた薬草は安い物…それもたった3本。
図鑑によるとこれは小銅貨3枚(300円)だから900円か。
こんなんじゃ、生活費も稼げないな。
何処か、奥に行かないと駄目か…
そうだ、王城から街に向かう途中にあった森。
あそこは随分と草木があった気がする。
魔物は怖いが、これじゃ月子を養う所か自分の生活費も稼げない。
行くしか無いな。
◆◆◆
「やっぱり此処は凄いな…沢山の薬草が密集している」
思わず口に出てしまう位に生えている。
この薬草は銅貨8枚(約8千円)これなんか銀貨5枚(約5万円)じゃないか?
こんな簡単に採取出来て良いのか?
アイテム収納は凄く便利だ。
どの位の収納力があるのか知らないが幾らでも入っていく。
そして…入っている物の名前が解る。
これなら間違った草を採取することはない。
最高級薬草 30 8000円×30=240000円
高級薬草 72 3000円×72=216000円
薬草102 300円×102=30600円
毒消し草 200 300円×200=60000円
生命の雫草15 50000円×15=750000
2時間も採取したらこれだ。
この世界では解らないけど、日本だと採りすぎると無くなるからある程度で止めるのが確かマナーだった気がする。
この位で良いか…頭の中の計算では日本円にして130万円稼いだ事になる。
刈り尽くしたら問題だが、これで暫くの生活費も稼げた。
こんなに楽に稼げるからこそ、金貨3枚しかくれなかったのかも知れない
◆◆◆
「アレの正体が何となく解った、あの者は邪心様か上級魔族の宿り木の可能性がある、オークキング様、ゴブリンキング様からの命令だ。絶対に手を出してはならない」
「ナイトサマ…ソノヨウナソンザイ…テナドダシマセン」
「ああっ、この辺り住むオークやゴブリン全員に伝え、必ずや守れ良いな」
「「ハハッ」」
◆◆◆
「え~とこれ全部1人で採取してきたのですか?」
「はい、良い場所を見つけたので」
「凄いわ、薬草採取の新記録ですよ、凄いですね~」
薬草の採取場所は、階級の低い冒険者の命綱。
良い場所は内緒にして口外しません。
少なくとも私の知り得た情報ではこの辺りに安全な場所でこんな薬草を刈れる場所はない筈です。
採れる場所と言えば、黒の森ですが、あそこはオークやゴブリンが沢山居て…かなり上の冒険者でも死にかねない場所です。
行くと必ず死ぬことから『死の森』と言われています。
一説によると人間を誘い出し捕獲食料にする魔物の罠という話もあります。
「そんな事無いですよ、たまたま、ついていただけです」
冒険者にとって貴重な採取場所は財産。
ジョブやスキルを教えないのは当たり前です。
聞くのはマナー違反ですね。
多分、異世界人なので、何か特殊なスキルがあるのかも知れませんね。
「そうですか、ラッキーですね、この調子で頑張って下さい」
「はい頑張ります」
顔に出さずに笑顔で私は彼を見送りました。
「理人くん、本当に良いの?」
「ああっ、パーティならどちらかが2日間に1回依頼を受ければ良いから、俺が頑張ってみるよ、月子は暫くゆっくりすれば良いよ」
「だけど、私も頑張るよ」
「大丈夫だから、また体を壊すと大変だからね昔は凄く病弱だったんでしょう? とりあえず今日はゆっくり休んでて、今後については今夜にでも話そう」
「理人くんがそこ迄言うなら…うん、甘えさせて貰おうかな」
「それが良いよ…それじゃ行ってきます」
「行ってらっしゃい」
俺と会った時、月子は凄く体の調子が悪かった。
昔はもっと酷く、寝たきりだった時期もあったそうだ。
俺や美瑠子と仲良くなってから、随分と体は良くなっていった。
最初は良く気を失っていたが、途中からは健康になり普通になっていった。
医学の進歩は凄いな…本当にそう思う。
だがこの世界は中世に近い『もし体調を崩したら』そう考えたら、怖い物がある…恐らくは前ほどの医療技術は期待できない。
まぁ、その代りポーションとか謎の物はあるけど、月子の病気に効くかは不明だから、無理はさせない…
そう思っている。
◆◆◆
「理人さん、早速お仕事ですね、どちらにしますか?」
「どちらにするかって…どういう事でしょうか?」
まるで仕事が決まっているみたいだ。
「理人さんはまだ冒険者として新人です、ですので受付の方で実力を見させて頂きます。これは無駄に冒険者に犠牲を出さない為の処置ですご理解下さい」
そういう事か…これはありがたいな。
「解りました」
「今日は初めてのお仕事なので定番の薬草採取かゴブリンの討伐をお受け下さい、どちらも失敗したときのペナルティはありませんからご安心下さい! 薬草採取の場合は初めてなので特別に無料で薬草図鑑を御貸し致します」
碌な武器が無いから…此処は薬草採取の一択だな。
「それじゃ薬草採取で」
「はい、それじゃ頑張って下さい! あと、この世界は理人さんが居た世界より危ない世界です…魔物を見たら逃げる事、それを忘れてはいけませんよ、絶対に周りに気を使いながら、採取する事を心がけて下さいね」
確かに日本での山菜採りと危なさは比較にならないだろうな。
「解りました」
受付のお姉さんに見送られ、俺はギルドを後にした。
《今日は仕事にならない筈です…ですが頑張って下さいね》
◆◆◆
しかし、近場には余り生えていない物なんだな。
見つけた薬草は安い物…それもたった3本。
図鑑によるとこれは小銅貨3枚(300円)だから900円か。
こんなんじゃ、生活費も稼げないな。
何処か、奥に行かないと駄目か…
そうだ、王城から街に向かう途中にあった森。
あそこは随分と草木があった気がする。
魔物は怖いが、これじゃ月子を養う所か自分の生活費も稼げない。
行くしか無いな。
◆◆◆
「やっぱり此処は凄いな…沢山の薬草が密集している」
思わず口に出てしまう位に生えている。
この薬草は銅貨8枚(約8千円)これなんか銀貨5枚(約5万円)じゃないか?
こんな簡単に採取出来て良いのか?
アイテム収納は凄く便利だ。
どの位の収納力があるのか知らないが幾らでも入っていく。
そして…入っている物の名前が解る。
これなら間違った草を採取することはない。
最高級薬草 30 8000円×30=240000円
高級薬草 72 3000円×72=216000円
薬草102 300円×102=30600円
毒消し草 200 300円×200=60000円
生命の雫草15 50000円×15=750000
2時間も採取したらこれだ。
この世界では解らないけど、日本だと採りすぎると無くなるからある程度で止めるのが確かマナーだった気がする。
この位で良いか…頭の中の計算では日本円にして130万円稼いだ事になる。
刈り尽くしたら問題だが、これで暫くの生活費も稼げた。
こんなに楽に稼げるからこそ、金貨3枚しかくれなかったのかも知れない
◆◆◆
「アレの正体が何となく解った、あの者は邪心様か上級魔族の宿り木の可能性がある、オークキング様、ゴブリンキング様からの命令だ。絶対に手を出してはならない」
「ナイトサマ…ソノヨウナソンザイ…テナドダシマセン」
「ああっ、この辺り住むオークやゴブリン全員に伝え、必ずや守れ良いな」
「「ハハッ」」
◆◆◆
「え~とこれ全部1人で採取してきたのですか?」
「はい、良い場所を見つけたので」
「凄いわ、薬草採取の新記録ですよ、凄いですね~」
薬草の採取場所は、階級の低い冒険者の命綱。
良い場所は内緒にして口外しません。
少なくとも私の知り得た情報ではこの辺りに安全な場所でこんな薬草を刈れる場所はない筈です。
採れる場所と言えば、黒の森ですが、あそこはオークやゴブリンが沢山居て…かなり上の冒険者でも死にかねない場所です。
行くと必ず死ぬことから『死の森』と言われています。
一説によると人間を誘い出し捕獲食料にする魔物の罠という話もあります。
「そんな事無いですよ、たまたま、ついていただけです」
冒険者にとって貴重な採取場所は財産。
ジョブやスキルを教えないのは当たり前です。
聞くのはマナー違反ですね。
多分、異世界人なので、何か特殊なスキルがあるのかも知れませんね。
「そうですか、ラッキーですね、この調子で頑張って下さい」
「はい頑張ります」
顔に出さずに笑顔で私は彼を見送りました。
20
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる