『体の中にナニカが居る』 1人だけ安全な異世界転移

石のやっさん

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第49話 理人とコーネリア

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人間が恐怖でおののき死んでいく。

我れは愉快じゃ…愉快じゃのう。

「コーネリア様、少しは自重なさいませ…」

「お前、我れに逆らうのか? 逆らうのなら元の死体に戻しても良いのじゃぞ!」

「解りました…」

「解れば良いのじゃ! 我れは死霊の女王コーネリア、我れを見た者は全て死ぬのじゃ!」

我れの姿は恐怖の象徴じゃ。

普通の人間であれば見た瞬間、心臓が止まり死ぬ。

考え方によっては見た瞬間に死ぬ程恐ろしいのじゃ…

恐怖を身に纏うのが魔族なら我れ程の存在は二人と居まい。

「もう、何も言いませんが…これは魔王様に逆らったととも取られかねません…」

我れは魔王様から旅立ちの許可を貰っておる。

誰も文句等言えんじゃろうが…


「魔王様から旅立ちの許可なら得ておろうが!」

「あの…死霊を大量に伴った行進…これは『旅立ち』じゃなくて侵略じゃないですか…」

確かにそうと言えるのう。

だが、これは憂さ晴らしじゃ…大体人間なんて薄汚く『本質』を見ぬ存在等…死滅してしまえば良いのじゃ。

魔王様が皆殺しにしない理由が解らぬのじゃが…

「まぁ、良い! 王国と揉めてはいけんらしいから…城の近くは迂回するから、それで良いじゃろう?」

「はぁ~もう何も言いませんが…数千単位を殺しながら歩くのは…」

「しつこい、文句言うな…これは我れにとっては、そう『散歩』じゃ」

「はいはい、散歩ですね…もう良いです、はい」

◆◆◆

「しかし、愉快じゃ、人間が我れやお前達を見た瞬間、恐怖で心臓が止まり死んでいく…のう」

「私は、まだコーネリア様程割り切れません、醜い自分の姿を晒すのは女として悲しい者があります」

「なぁに、魔族として心が変わっていけば、それが快感になる! 我れとて大昔はお前の様に醜さに悲しんだ、だが今となっては大量に人が殺せる嬉しい限りじゃ」

「コーネリア様は悲しく無いのですか?」

「死霊の女王の我れが悲しむわけなかろうが….この話はやめじゃ」

「…はい」

我れは悲しくない。

誰からも愛されなくても…

我れはもう少女等ではない…死霊の女王なのだからな。

◆◆◆

「おはようございます! 今日もいい天気ですね」

「はいおはよう!…なぬっ!」

なんなんじゃ此奴は…何故死なんのじゃ?


そうか…これが、例の『器』じゃな。

気配を消していたのか我れとした事が気が付かなかった。

「驚かれた表情、俺なにかやっちゃいましたか?」

『やっちゃいましたか?』じゃないだろう…

邪神様の器じゃから耐性があるのは解る。

だが『何故普通にしゃべれる』のじゃ。

我れ等は死霊じゃ…魔族の中でも悍ましいと言われる存在じゃ。

周りの死霊もさっきから困惑しておる。

「なぁ、お主は我れが気持ち悪くないのか? お前の目には我れはどの様に映っておるのじゃ?」

「う~ん」

考え込んでおるな…流石に…

なんじゃいきなり手を叩きおって。

「ララアさんと同じで姿を変えられるんだ、凄いね、そんなに小さいのに…周りの皆さんもそうなのですね…だけど無駄ですよ? 俺には本当の姿が見えているから」

「なっ、それじゃ我れがどう見えると言うのじゃ?」

「う~ん…綺麗な金髪の三つ編みで背が低くて、可愛らしい感じかな…あっ、そっちのお嬢さんは茶髪で髪の毛が長くて綺麗」

「私が綺麗…そんな」

「お前は黙っておるのじゃ…お主、我れがその様に見えるのか? 嘘は言っておら…おらぬよな…」

「ああっ、少しきつそうに見えるけど…うん可愛い…」

可愛い?

可愛い?

我れが可愛いじゃと…

「我れは、そんなに可愛いか?」

「自分から、可愛いと言うのは、ちょっと可笑しいけど、かなりの美少女? 12歳位に見えるけど…」

美少女?

我れが美少女…此奴目が腐っているのか…いや。

そんな目で我れを見ないでくれ。

なんじゃ、その優しそうな目は…

「そうか、お主はララアと知り合いなのじゃな…ララアは息災か?」

「ああっ指名依頼を受けて今はこの場所を離れているけど元気だよ」

「そうか…それなら良い! 引き止めて済まなかった…行ってくれ」

「それじゃ」

「我れはコーネリアじゃ」

「コーネリアちゃんね、それじゃあね!」

手を振ると器は行ってしまった。

「あっ」

「行ってしまいましたね」

「我れが『可愛い』と言われてしまった…なんなのじゃあれは…どうして良いか我れは…我れは解らん…あんな好意を向けられたら…あぁぁぁぁっ困るわい!」

「うふふっ、可愛らしく見えているみたいですから『お兄ちゃん』とでも呼んであげたら良いじゃないですか?」

「黙れ、殺すぞ!」

「うふふっ、ほうら『お兄ちゃん』って」

「ううっ、そんな恥ずかしい事は言えぬのじゃ」

「あら、そうですか? 呼んであげたら喜びそうなのに?」

「ううっ『お兄ちゃん』こうか?」

「案外コーネリア様…チョロいですね」

「うがぁぁぁー-貴様殺す」

「ちょっと止めて、下さい」

何故じゃ…何故人を殺す以上に…今が楽しく感じるのじゃ。

ララアの奴、サボっていちゃついていたに違いないわい。

合流して、殴ってやるのじゃ。


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