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第50話 エリクサール争奪戦…序章

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◆◆ララアSIDE◆◆

時は少し遡る 


私の仕事は魔王軍の情報収集。

だから、色々な情報に聞き耳を立てている。

その日は情報屋から面白い情報が手に入った。

「勇者たちが聖教国で保護される…それは本当?」

「ああっ、間違いない」

「そうですか」

まぁ、今の私には関係ないですね。

「それで、もう一つ重要な情報があるんだが…怪我した勇者たちの治療にエリクサールが使われるらしいぜ」

「エリクサール…」

どんな病も怪我も治せて、たしか死んで直ぐなら蘇らせる事も出来る秘薬。

四肢欠損すら治す…究極の秘薬だ。

うん、これは…

「なかなかの話ね…はいこれ」

「金貨5枚か、なかなか太っ腹だな」

「まぁ…凄く重要な情報だからね」

「毎度あり~」

魔族側に無く、人間側にのみ存在する秘薬エリクサール。

その力は、全ての傷を癒す事が出来る…

そして『死んで直ぐなら生き返る』

私はこれを探していた。

存在することは知っていたけど、何処にあるかまでは解らなかった。

これさえあれば『理人さんは死なない』

ようやくある場所が特定できた。

『聖教国ホムラ』の恐らくは『中央教会』そこにある筈だ。

そうと決まれば貰いに行かなくちゃね。
私一人でもどうにかなるけど…約束だからエルザを持って…

最悪、教会の人間を皆殺しにすれば手に入るでしょう。

◆◆コーネリアSIDE◆◆

「ちぃと話がしたいんじゃが…」

「ああっあああー――っ 死霊の女王コーネリア…うぐっひくっうぐ…だけど…だけど…死んでもご主人様のこの家はミランダが守ります」

「いや、我れは家は壊さんぞ…それに死んでもと言うが、お前も我れも死んでおる」

「確かに…死んでましたね」

「馬鹿かお前は…我れが聞きたいのはララアが何故、此処を離れたか聞きたいのじゃ…態々、奥の女や器が居ない時と場所を選んだのじゃ、正直に答えるのじゃ」

来奴も死霊じゃ…

死霊は皆、我れには嘘はつけぬ。

「それが酷いんですよ! 私が此処から動けない事を良い事に…二人してご主人様へのプレゼントを用意するらしいです…確かエリクサールとかいう秘薬らしいです」

「成程のう…ララアが『器』の傍に居ないわけじゃ」

「そうなんですよ…私のけ者扱いされて…」

「良い、話しは解った…次からは『様』をつけるのじゃ…さらばじゃ」

「コーネリア様、私も仲間に入れて下さい」

「無理じゃな…お主地縛されておるから」

「うう、そんな酷い」

「地縛されてちゃ無理、諦めるしかない…今度こそさらばじゃ」

何か言いたそうなメイド?の幽霊を無視して我れは急ぎ歩いた。

◆◆◆

「まさか、コーネリア様…」

「ああっ目指すは聖教国じゃ」

「あの…魔王様…」

「我れは知らん『器』は本物で間違いなく邪神様クラスの存在を宿しておる…そういうフミを既に持たせ、魔国に向かわせた、これで義務は果たした…あとはララアに会って詳しく話を聞く…どこか間違っておるかのう?」

「確かに間違っていませんが、聖教国ホムラに向かうのですよね!」

「そうじゃ…」

「実はララア様より先にエリクサールを手に入れて…誰かにプレゼントとか考えていませんか?」

「べ別に、お兄ちゃんにプレゼント…我れはするつもりじゃが…あくまでララアに会うついでに聖教国がムカつくからちぃと脅して秘宝を奪うだけじゃ…反対するのかのう」

「あはははっご冗談を『私もそうしたいな』そう思っていました」

反対しないのは良い事じゃが…我れの操る死霊は全部女じゃ。

まさか…

「まさか、お前もか?」

「なんの事か解りませー-ん、ですが私達、死霊が美しく見える美少年…そんな人の為なら何かしてあげたい、そう思うのは当たり前じゃないですか? 別に正妻はコーネリア様で構いません…私達死霊の女の子でハーレムを作ってですね…」

「お前、そんな事を考えていたのか…駄目じゃ、駄目じゃ」

「え~、まさかコーネリア様、独占する気ですか!」

「そんな事より、今は先を急ぐのじゃ…ララアより先にエリクサールを手に入れないと意味が無いのじゃ」

「そうですね、急ぎましょう」


我れたちは聖教国に急ぎむかった。
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