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第51話 危機は去っただが...
しおりを挟む「その報告は本当ですか?」
「はい、姫様!」
まさか、オーガにすら勇者が勝てなかった。
そんな事があるのでしょうか?
聖女を除き、勇者パーティは全員が再起不能。
この世界は終わったのかも知れない。
実際には、そこ迄行かなくても、次の勇者が現れるまで、暗黒の時代が続きます。
これが恐らく『人類の黒歴史』の始まりである事は容易に解ります。
「それで、その後の勇者たちはどうなったのですか?」
生きているならこの国に戻ってくる筈です。
「それが、塔子様の指示で、聖教国ホムラに、聖教国側の馬車で向かっているとの事です」
何を勝手な事を…
まぁ良いでしょう。
オーガにすら勝てぬ勇者等抱えていても意味はありません。
聖教国が引き取るなら『責任ごと押し付ける』それでいいわ。
『戦わせない』そういう選択をするなら、一番欲しいのは聖女だわ。
「それで聖女である塔子はどうしているのですか? 今の話では勇者たちといっしょではなさそうですが…」
「こちらに戻ってきているようです」
「そう、解ったわ」
勇者輩出国の王女として活躍は出来ませんでしたが…これでもう幕引きですね。
私はお父様に経緯を報告した。
「ライアよ!今までご苦労であった、とりあえず今はゆっくり休むと良い」
言葉は優しいが、失望している。
そういう様子がありありと解った。
もう私には政治的な取引き材料の価値しかない。
だが、私の苦悩はこれで終わりじゃ無かったのです。
◆◆◆
「なんですって、あの死霊の女王コーネリアがこの城に向かって来ているのですか?」
「はっ、大量の死霊を引き連れてきています」
「終わりだ…この国はもう終わりだ」
「お父様落ち着いて下さい! まだ手はあります…もし向かってくるなら籠城戦を…」
よりによってコーネリアなんて…見た瞬間に殆どの者の心臓が止まる恐怖の象徴、もし倒す方法があるとするなら『目が見えない状態』で戦えば良いが、過去に戦った勇者が紙一重でようやく勝利を得た。
(勇者は加護がありコーネリアの即死を無効にできた)目の見える勇者と互角に戦うコーネリアに目が見えない者など、無力に過ぎない。
しかも、コーネリアは死霊の軍団の中心に要る。
事実上…倒し方が無い。
勇者の多くは…コーネリアにぶつからない様に戦ってきた。
お父様の言う通り…終わりかも知れません。
「それしかないのは解るが…こちらは人間だ、死霊は食料も要らないし、いつまでも攻め続けられる、時間稼ぎにしか過ぎぬ」
確かにその通りだ。
向こうは無限に戦える…そんな相手と戦えば、最後に負けるのは私達だ。
『勝てない』
せめて真面な勇者が居なければ勝機すらない。
「お父様…解っております、まずは報告を聞きましょう…今現在の被害は…」
「はっ!少なくとも万は下らないと思われます…数が多すぎて最早数えられません」
不味い…
最悪、その殺された者まで死霊にされたら…数の理も無理だ。
「最悪、門を閉めます…」
「そんな、民を見捨てるのですか…」
「見捨てたくはありません、城に入れるだけの者を入れて閉めるのです」
「それでも民の多くは」
私だって…見捨てたくはない…
「待て、その前に兵糧もそこ迄無いでは無いか…」
「ではお父様はどうしろと? 判断をお願い致します」
「…やはり籠城しかない」
まさか自分がこの国の最後の王族になるとは思いませんでした。
これでもう…
◆◆◆
そこ迄覚悟をしたのですが…
「コーネリアの軍団が…城を避けたのですか、それで?」
いったい何が起きたと言うのでしょうか…
あの死の軍団が…
「それが、斥候の話では、姫様が追い出した異世界人と接触…その後数を減らしていき、異世界人の家の傍に着いた時には死霊の数を数人に減らし…王国から離れていったそうです」
「一体何が起きたというのじゃ」
不味い、不味い…
この城を悪霊が避けたという事は『悪霊が避けるような結界を誰かが張った』という事ではないのですか?
あの追い出した異世界人はその後冒険者として活躍して『幸運の女神に愛された男』と呼ばれ、死の森で普通に狩りをしている。
最初の時に、魔物会わずに街にたどり着いたのも『聖』や『光』の力が弱まったのも、これなら説明がつきます。
あの追い出した異世界人こそが、この世界に真に必要な救世主だったのではないでしょうか?
強力な結界を張り、自分達の住む地域を守り…
自分の周りには更に強力な結界を張っていたから、死霊の数が家の傍に近づくにつれ減っていった。
何よりあのコーネリアと遭遇して死なかった、その力。
最低ラインで考えて『凄腕の結界師』
そして、もし最大で考えるなら…
勇者が破られた時、過去に1度だけ現れ世界を救った伝説の英雄。
女神から『聖』と『光』の加護を人智を超え与えられ魔王を倒し、邪神すら退けた伝説の存在。
その名は『女神の騎士』
これなら、勇者が弱く『聖』『光』の力が弱体化したのも解ります。
女神の騎士を使わすには女神はその力の多くを与える。
そういう伝説もあります。
あの理人こそが…女神の騎士だったのかも知れません。
「ライア、何か解らぬか」
「わ、解りません、調査致します」
この事はまだ話せません。
ですが…私は、あの異世界人にもう一度会う必要がある。
その事だけは解りました。
もし、私の想像通りなら…どんな事をしても城に戻って貰わなくてはいけません。
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